121 / 123
48-2 レイモンド
「忘れたのか。昔、君がセシリア様のブローチを欲しがって、部屋に立て籠ったことがあっただろう」
「それは……覚えているわよ。代わりに謝ってもらって、迷惑かけたもの。悪かったって思ってる。私、恩知らずじゃないから」
心外なことを言わないで欲しい。覚えているに決まっている。ずっと、ずーっと覚えている。
「あの時、青いブローチは持ってないから、ちょっと借りただけだって、お姉様だけずるいから、もう謝らないんだって言っていただろ?」
意固地になってレイモンドに八つ当たりした、思い出したくない記憶だ。
「だから、大きくなったら、青いブローチをプレゼントするって約束した。卒業式に絶対って」
キーンと耳の奥が鳴る。
あぁ、そうだったかもしれない。
謝らない、謝らない、と頑なに拒否していたけれど、レイモンドがプレゼントしてくれるから、姉のブローチはもういいや、と思ったのだ。
「……無茶苦茶ね。貴方を巻き込んで」
「いつも楽しかったよ」
「……」
過去形であることが胸を打つ。
こういう気持ちをなんと言うのだろうか。
記憶を辿れば、良いことが山のように浮かぶ。でも、そのどれも今、目の前にいるレイモンドとは一致しない。
頭の中で、転げまわって笑っているのは、もっとずっと幼い顔だ。
「これがずっと続いていくと思っていた。約束通りセシリア様に負けないブローチを贈りたかった。……でも、俺には君に見合った爵位も、広い領地も、財力も何もなかったから、せめていい成績をとって、早く家業を継ごうと思った。学校で一番の成績を収めたら変われるって。卒業までに完璧にして、そしたら全部うまくいくって……バカだな。そんな度量もないくせに、無理して、いつもイライラしていた」
アデレードは、憑き物が落ちたみたいなレイモンドの表情を、じっと見ていた。
知らなかった、教えてくれればよかったのに、とは思わなかったし、そんな独りよがりの告白されても今更遅い、と冷めた感情も起きない。
ただ、隣国まで逃げて、結婚までして逃げて、逃げて、逃げて、ようやく覚悟を決めて帰ってきたのに、もしかして、まだ取り返しがつくんじゃないか、という事実に息がつまった。
それでも、一切心が揺れないから。迷わないことに、泣きたくなった。
変わってしまったのだ、と思った。変わりたくなかったけれど、変わった。
アデレードは、浅い呼吸を抑えるように、ブローチに手をやった。
レイモンドは、まるで異国の地に一人でほっぽり出されたような顔をしている。
青い瞳が揺れていた。
このまましんみり、綺麗に静かに終わっていくことはできる。
もう引き返さないなら、言わずにいるのが正解かもしれない。けれど、
「……これ、ガラス石よ? 五千リラもしないわ」
感情をのせない声音で、アデレードは言った。
「三年くらい前に、学校で流行っていたでしょう?」
レイモンドの、初めて聞きましたみたいな顔に、少しだけ笑ってしまう。
「めちゃくちゃ流行った小説よ。主人公が、貧しいパン屋の青年からブローチをもらうの。そのモデルになった店がブラーメにあってね、皆んな、真似してプレゼントを贈りあっていたわ」
貴族も平民も関係なく、同級生の女の子達が騒いでいるのを横目で見ていた。
羨ましかった。
高い宝石でなくても良かった。あの時、ちゃんと向き合ってそういえば良かったのだろうか。
言えるわけなどなかったけれど。
「ペイトン・フォアードに、学校の楽しい思い出が一つもないって言ったら、まだ卒業してないから間に合うって、その店まで行って買ってくれたのよ」
当てつけがましい。
学校が楽しくなかったのは、自分のせいだ。
レイモンドは、誰とも仲良くするな、とは言わなかった。
全部、自分で選択して決めた。レイモンドのせいにするのは、お門違い。
だから、もうやめよう。もういいじゃないか。もういい。
アデレードは、ゆっくり深呼吸して、ブローチを握りしめた。その瞬間、
「俺が……フォアード卿だったらよかった」
レイモンドの小さな声が、耳に届いた。
何を言っているんだろうか。何を言っているんだ。
身体から血の気が引いて、頭の芯だけ燃えるように熱い。
「……私、どんな人よりレイモンドがよかったのよ」
零れ落ちた言葉と共に、視界がじんわり滲んで、頬に、首筋に、背中に、足裏に、目眩がするくらい熱が走っていく。
「ペイトン・フォアードより、レイモンドが良かったのよ」
そうでしょう。そうだろうが、と喘ぐように思った。
上手く呼吸ができなくて苦しかった。
冷たいブローチの手触りだけが、意識を現実に繋いでいる。
悲しいでも、辛いでもない。この感情は、悔しいからだ。だって、
「私、誰より、レイモンドがよかった。……少しずつ……少しずつ消えていった。悪いことだと思ったから、一生懸命好きでいようと思った。まだ、大丈夫、まだ好きだって、しぼりだして、しぼりだして、頑張って頑張って好きでいた。でもね、好きじゃない。もう全然好きじゃない。……好きじゃなくなった」
濁った視界が鬱陶しい。揺れる声も不愉快極まる。そんなんじゃない。泣きたくない。こんな場違いな涙で誤解されたくない。心と体はきちんと連動して動いてほしい。
アデレードは、目を開いて必死で抗った。
「……私、高いブローチが欲しいなんて言ってない」
でも、溜まった涙が、虚しいくらいはらはら零れ落ちていく。
ぼやけた視界が開けた先に、レイモンドの歪んだ顔が見えた。
心変わりしたのは自分。だけど、変わりたくなかった。好きでいたかった。
恨んでいる。憎んでいる。
全部レイモンドが悪いんだ。本当はそう思っている。
「私は、青いブローチが欲しいって言ったの」
幼稚な発言が、打ち寄せる波みたいに溢れてくる。
もやもやと黒い煙が言いたいことを覆って、的確な言葉が出てこない。
七ヶ月もあったのに、何故何も考えてこなかったのか。
楽天的に考えてしまう悪い癖だ。
再会したら、恋人にはなれなくても、また仲良かった頃のように戻れるんじゃないか。淡い希望を捨てきれていなかったんだ。
でも、本当にこれで終わり。もう、戻らない。決して。
だから、ちゃんと言わないといけない。目を凝らして、煙の先のもやの奥の、隠して逃げた本当のこと。
「貴方のことを好きな女の子達に、いつも馬鹿にされてた。しつこく擦り寄って、恥ずかしくないのかって。レイモンドが迷惑だって言ってるからやめろって。……でもね、傷ついたのは、そんなことじゃない。……私が……私が一番傷ついたのは、レイモンドがそう言ったんだ、と思った私自身よ。昔だったら『レイモンドがそんなこと言うわけないでしょう!』って言えたのに。『今すぐ本人に確かめてやるから、あんた達の嘘が判明したらどうなるかわかっているんでしょうね』って言えたのに……それが言えなかったことよ!」
アデレードは、息をするのももどかしいくらい、吐き出すように言った。
「……ねぇ、わかったって何? ペイトン・フォアードなら良かったって何!」
詰める言葉が、西日の差す部屋を冷たく裂く。
小さな白い花瓶。黄色いミモザの花。柔らかな木目の床。アンティークの飾り棚。
小さなぬいぐるみが飾られてある。
「……俺は……今でも君が好きだから」
この部屋に入ってから、ずっと頼りなげだったレイモンドが、輪郭のはっきりした声音で告げる。
自分の顔から表情が抜け落ちるのがわかる。
「……なんで今言うの?」
テーブルの上に置かれたレイモンドの手は、親指の爪先を人差し指の腹に強く押し当てている。色が変わるくらい。考え時の癖だって知っている。でも、待ちきれずに、アデレードは言った。
「わかった。……だったら、ずっと変わらず好きでいてよ。他に誰も好きにならないって約束して。できないなら、今言ったことは、ただの自己満足だから! 最低のクズだから!」
呪詛の言葉が溢れ出てくる。吐き捨てた気分は、最高に最悪だ。なのに、
「あぁ、今度の約束は必ず守るよ」
レイモンドは笑った。懐かしい笑い方で。一緒にセシリアに謝りに行こうって言ってくれた時みたいに。いつも味方をしてくれた時みたいに。
「……ふざけないで」
ごめんなさい、と思った。本当は、そう思った。けれど、
「ふざけるな」
おかしくなった。もう、おかしくなってしまった。こんなこと言う人間じゃなかった。めちゃくちゃになって、壊れてしまった。それでも、どうしても止められなかった。どうして、どうして、
「嘘つき! 私は、貴方に一生、ひとりぼっちで生きろって言ってるの! 不幸になれって言ってるの! それなのに……なんで笑うの! 何がおかしいの! 馬鹿にするな!」
アデレードは、唇を噛み締めて、レイモンドを見つめた。喚き散らして、めちゃくちゃにした方が楽なくらいの凍てつく静寂。でも、今度はちゃんと沈黙を通した。
「それは……覚えているわよ。代わりに謝ってもらって、迷惑かけたもの。悪かったって思ってる。私、恩知らずじゃないから」
心外なことを言わないで欲しい。覚えているに決まっている。ずっと、ずーっと覚えている。
「あの時、青いブローチは持ってないから、ちょっと借りただけだって、お姉様だけずるいから、もう謝らないんだって言っていただろ?」
意固地になってレイモンドに八つ当たりした、思い出したくない記憶だ。
「だから、大きくなったら、青いブローチをプレゼントするって約束した。卒業式に絶対って」
キーンと耳の奥が鳴る。
あぁ、そうだったかもしれない。
謝らない、謝らない、と頑なに拒否していたけれど、レイモンドがプレゼントしてくれるから、姉のブローチはもういいや、と思ったのだ。
「……無茶苦茶ね。貴方を巻き込んで」
「いつも楽しかったよ」
「……」
過去形であることが胸を打つ。
こういう気持ちをなんと言うのだろうか。
記憶を辿れば、良いことが山のように浮かぶ。でも、そのどれも今、目の前にいるレイモンドとは一致しない。
頭の中で、転げまわって笑っているのは、もっとずっと幼い顔だ。
「これがずっと続いていくと思っていた。約束通りセシリア様に負けないブローチを贈りたかった。……でも、俺には君に見合った爵位も、広い領地も、財力も何もなかったから、せめていい成績をとって、早く家業を継ごうと思った。学校で一番の成績を収めたら変われるって。卒業までに完璧にして、そしたら全部うまくいくって……バカだな。そんな度量もないくせに、無理して、いつもイライラしていた」
アデレードは、憑き物が落ちたみたいなレイモンドの表情を、じっと見ていた。
知らなかった、教えてくれればよかったのに、とは思わなかったし、そんな独りよがりの告白されても今更遅い、と冷めた感情も起きない。
ただ、隣国まで逃げて、結婚までして逃げて、逃げて、逃げて、ようやく覚悟を決めて帰ってきたのに、もしかして、まだ取り返しがつくんじゃないか、という事実に息がつまった。
それでも、一切心が揺れないから。迷わないことに、泣きたくなった。
変わってしまったのだ、と思った。変わりたくなかったけれど、変わった。
アデレードは、浅い呼吸を抑えるように、ブローチに手をやった。
レイモンドは、まるで異国の地に一人でほっぽり出されたような顔をしている。
青い瞳が揺れていた。
このまましんみり、綺麗に静かに終わっていくことはできる。
もう引き返さないなら、言わずにいるのが正解かもしれない。けれど、
「……これ、ガラス石よ? 五千リラもしないわ」
感情をのせない声音で、アデレードは言った。
「三年くらい前に、学校で流行っていたでしょう?」
レイモンドの、初めて聞きましたみたいな顔に、少しだけ笑ってしまう。
「めちゃくちゃ流行った小説よ。主人公が、貧しいパン屋の青年からブローチをもらうの。そのモデルになった店がブラーメにあってね、皆んな、真似してプレゼントを贈りあっていたわ」
貴族も平民も関係なく、同級生の女の子達が騒いでいるのを横目で見ていた。
羨ましかった。
高い宝石でなくても良かった。あの時、ちゃんと向き合ってそういえば良かったのだろうか。
言えるわけなどなかったけれど。
「ペイトン・フォアードに、学校の楽しい思い出が一つもないって言ったら、まだ卒業してないから間に合うって、その店まで行って買ってくれたのよ」
当てつけがましい。
学校が楽しくなかったのは、自分のせいだ。
レイモンドは、誰とも仲良くするな、とは言わなかった。
全部、自分で選択して決めた。レイモンドのせいにするのは、お門違い。
だから、もうやめよう。もういいじゃないか。もういい。
アデレードは、ゆっくり深呼吸して、ブローチを握りしめた。その瞬間、
「俺が……フォアード卿だったらよかった」
レイモンドの小さな声が、耳に届いた。
何を言っているんだろうか。何を言っているんだ。
身体から血の気が引いて、頭の芯だけ燃えるように熱い。
「……私、どんな人よりレイモンドがよかったのよ」
零れ落ちた言葉と共に、視界がじんわり滲んで、頬に、首筋に、背中に、足裏に、目眩がするくらい熱が走っていく。
「ペイトン・フォアードより、レイモンドが良かったのよ」
そうでしょう。そうだろうが、と喘ぐように思った。
上手く呼吸ができなくて苦しかった。
冷たいブローチの手触りだけが、意識を現実に繋いでいる。
悲しいでも、辛いでもない。この感情は、悔しいからだ。だって、
「私、誰より、レイモンドがよかった。……少しずつ……少しずつ消えていった。悪いことだと思ったから、一生懸命好きでいようと思った。まだ、大丈夫、まだ好きだって、しぼりだして、しぼりだして、頑張って頑張って好きでいた。でもね、好きじゃない。もう全然好きじゃない。……好きじゃなくなった」
濁った視界が鬱陶しい。揺れる声も不愉快極まる。そんなんじゃない。泣きたくない。こんな場違いな涙で誤解されたくない。心と体はきちんと連動して動いてほしい。
アデレードは、目を開いて必死で抗った。
「……私、高いブローチが欲しいなんて言ってない」
でも、溜まった涙が、虚しいくらいはらはら零れ落ちていく。
ぼやけた視界が開けた先に、レイモンドの歪んだ顔が見えた。
心変わりしたのは自分。だけど、変わりたくなかった。好きでいたかった。
恨んでいる。憎んでいる。
全部レイモンドが悪いんだ。本当はそう思っている。
「私は、青いブローチが欲しいって言ったの」
幼稚な発言が、打ち寄せる波みたいに溢れてくる。
もやもやと黒い煙が言いたいことを覆って、的確な言葉が出てこない。
七ヶ月もあったのに、何故何も考えてこなかったのか。
楽天的に考えてしまう悪い癖だ。
再会したら、恋人にはなれなくても、また仲良かった頃のように戻れるんじゃないか。淡い希望を捨てきれていなかったんだ。
でも、本当にこれで終わり。もう、戻らない。決して。
だから、ちゃんと言わないといけない。目を凝らして、煙の先のもやの奥の、隠して逃げた本当のこと。
「貴方のことを好きな女の子達に、いつも馬鹿にされてた。しつこく擦り寄って、恥ずかしくないのかって。レイモンドが迷惑だって言ってるからやめろって。……でもね、傷ついたのは、そんなことじゃない。……私が……私が一番傷ついたのは、レイモンドがそう言ったんだ、と思った私自身よ。昔だったら『レイモンドがそんなこと言うわけないでしょう!』って言えたのに。『今すぐ本人に確かめてやるから、あんた達の嘘が判明したらどうなるかわかっているんでしょうね』って言えたのに……それが言えなかったことよ!」
アデレードは、息をするのももどかしいくらい、吐き出すように言った。
「……ねぇ、わかったって何? ペイトン・フォアードなら良かったって何!」
詰める言葉が、西日の差す部屋を冷たく裂く。
小さな白い花瓶。黄色いミモザの花。柔らかな木目の床。アンティークの飾り棚。
小さなぬいぐるみが飾られてある。
「……俺は……今でも君が好きだから」
この部屋に入ってから、ずっと頼りなげだったレイモンドが、輪郭のはっきりした声音で告げる。
自分の顔から表情が抜け落ちるのがわかる。
「……なんで今言うの?」
テーブルの上に置かれたレイモンドの手は、親指の爪先を人差し指の腹に強く押し当てている。色が変わるくらい。考え時の癖だって知っている。でも、待ちきれずに、アデレードは言った。
「わかった。……だったら、ずっと変わらず好きでいてよ。他に誰も好きにならないって約束して。できないなら、今言ったことは、ただの自己満足だから! 最低のクズだから!」
呪詛の言葉が溢れ出てくる。吐き捨てた気分は、最高に最悪だ。なのに、
「あぁ、今度の約束は必ず守るよ」
レイモンドは笑った。懐かしい笑い方で。一緒にセシリアに謝りに行こうって言ってくれた時みたいに。いつも味方をしてくれた時みたいに。
「……ふざけないで」
ごめんなさい、と思った。本当は、そう思った。けれど、
「ふざけるな」
おかしくなった。もう、おかしくなってしまった。こんなこと言う人間じゃなかった。めちゃくちゃになって、壊れてしまった。それでも、どうしても止められなかった。どうして、どうして、
「嘘つき! 私は、貴方に一生、ひとりぼっちで生きろって言ってるの! 不幸になれって言ってるの! それなのに……なんで笑うの! 何がおかしいの! 馬鹿にするな!」
アデレードは、唇を噛み締めて、レイモンドを見つめた。喚き散らして、めちゃくちゃにした方が楽なくらいの凍てつく静寂。でも、今度はちゃんと沈黙を通した。
あなたにおすすめの小説
世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました
由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。
——皇子を産めるかどうか。
けれど私は、産めない。
ならば——
「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」
そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。
毒を盛られても、捨てられず。
皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。
「お前は、ここにいろ」
これは、子を産めない女が
ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。
そして——
その寵愛は、やがて狂気に変わる。
「妾の子だから」と呑気に構えていたら、次期公爵に選ばれました
木山楽斗
恋愛
父親であるオルガント公爵が大病を患った、その知らせを聞いた妾の子のヘレーナは、いい気味であるとさえ思っていた。
自分と母を捨てた父のことなど、彼女にとっては忌むべき存在でしかなかったのだ。ただ同時にヘレーナは、多くの子がいるオルガント公爵家で後継者争いが起こることを予感していた。
ただヘレーナは、それは自分には関係がないことだと思っていた。
そもそも興味もなかったし、妾の子の中でも特に存在感もない自分にはそんな話も回ってこないだろうと考えていたのだ。
他の兄弟達も、わざわざ自分に声をかけることもない。そう考えていたヘレーナは、後継者争いを気にせず暮らすことにした。
しかしヘレーナは、オルガント公爵家の次期当主として据えられることになった。
彼の兄姉、その他兄弟達が彼女を祭り上げたのだ。
ヘレーナはそれに困惑していた。何故自分が、そう思いながらも彼女は次期当主として務めることになったのだった。
※タイトルを変更しました(旧題:「どうせ私は妾の子だから」と呑気にしていたら、何故か公爵家次期当主として据えられることになりました。)
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
死ぬまでに叶えたい十の願い
木風
恋愛
「あなたを妻として、愛することはない。おそらく、生涯抱くこともないだろう」
三年間の白い結婚——捨て置かれた王太子妃エリアーナに、側妃が『死の呪い』をかけ余命一年を宣告する。
離縁を願うも拒否され、代わりに「死ぬまでに十の願いを叶えて」と契約する——
二人きりの外出、星空、海…ささやかな願いが王太子の心をほどいていく。
結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした
三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。
書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。
ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。
屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』
ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく――
※他サイトにも掲載
※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!
八年間の恋を捨てて結婚します
abang
恋愛
八年間愛した婚約者との婚約解消の書類を紛れ込ませた。
無関心な彼はサインしたことにも気づかなかった。
そして、アルベルトはずっと婚約者だった筈のルージュの婚約パーティーの記事で気付く。
彼女がアルベルトの元を去ったことをーー。
八年もの間ずっと自分だけを盲目的に愛していたはずのルージュ。
なのに彼女はもうすぐ別の男と婚約する。
正式な結婚の日取りまで記された記事にアルベルトは憤る。
「今度はそうやって気を引くつもりか!?」
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。