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第4話 邪神の手先
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――どうしよう。 どうすればいい?
朱里は悩んでいた。 スキルとやらに関してあまり信用していなかったので、判断に迷っていたのだ。
嫌な予感を信じるならあの水晶に触ってステータスを晒せば死にかねない。
だからと言って拒むと怪しまれる。 どうすればいいのか分からない。
そうこうしている間に鑑定を済ませていないのが朱里とさっき朱里に抱き着いた痴漢だけだった。
周囲の視線が「さっさと水晶を触ってステータスを見せろ」と圧をかけてくる。
朱里は汗をかきながら水晶に触る意志があるように見せ、途中で足を止めた。
――とにかく時間を稼ごう。
「あの、少しお聞きしたいのですがよろしいですか?」
「何でしょうか?」
ミュリエルは小さく首を傾げて見せる。
「あの、スキル欄にある『力神の加護』というのはどういった物なのでしょうか?」
「気になりますか?」
「はい、ここまでの全員に含まれているようなので……」
ミュリエルは小さく悩むような素振りを見せたが、ややあって説明を始めた。
力神の加護。 効果は筋力と生命力の増加。
全員のVITとSTRが増加しているのはこれが理由だろう。 所謂、召喚特典と言われる物で、オートゥイユ王国に召喚された場合、必ず付与される。
この世界には数多の神々が存在し、オートゥイユ王国は力神プーバーを信仰する国家でこの国に連なる者は例外なく何らかの形で力の神の恩恵を受けており『力神の加護』はこの国で生きていく上で最も素晴らしい恩恵である。 ここまではっきりとした加護を得られるのは一部の限られた人間だけなのだが、召喚された異世界人は例外なく得る事が可能だ。 これは召喚者が力神プーバーの力を借りる形で行使しているので力神を経由する事で加護が付与される。
そこまで聞いて朱里は最悪だと思った。
力神の加護はこの国の縁者である事を示し、所属を明確にする役割も持っている。
要は持っていなければならない代物なのだ。 この時点で朱里は危険察知の効果を信じざるを得なかった。 水晶に触れて運命神とかいう知らない神の加護を持っている自分が現れたらどうなる?
間違いなく碌な事にならない。 下手をすれば異端者として扱われる。
こんな他所の人間を拉致して当然のようにこき使う連中にまともなモラルを期待できない。
――終わった。
もう諦めざるを得なかった。 流石に王国と敵対してまで助けてくれる者は居ない。
酷い事になるのなら最悪自殺も視野に入れなければならなかった。
まるで断頭台に登る死刑囚の気分だと水晶へ手を伸ばそうとしたが――
「俺が先にします」
朱里の手を掴んだのは痴漢の少年だった。
少年は朱里をやや強引に水晶から引き離した後、手を乗せる。
すると彼のステータスが表示されるのだが――
荒癇 応供 સ્તર.1
જોમ સ્પષ્ટ નથી(+????)
સ્નાયુ સ્પષ્ટ નથી(+????)
સંરક્ષણ સ્પષ્ટ નથી(+????)
બુદ્ધિ સ્પષ્ટ નથી(+????)
દક્ષતા સ્પષ્ટ નથી(+????)
કૌશલ્ય
ભાષાની સમજ સ્વ-દેવતા
એક જેણે પ્રવાહમાં પ્રવેશ કર્યો છે
જે ધરતીની ઈચ્છાઓ પર કાબુ મેળવે છે
જેણે ધરતીની ઈચ્છાઓ છોડી દીધી છે
મુક્તિદાતા
――は? 何これ?
荒癇 応供という変わった名前などどうでもいいほどのインパクトが彼のステータスには含まれていた。
内容が一切理解できない。 辛うじて分かるのは項目の配置自体が変わらないからレベルが1である事とスキルが複数ある事ぐらいだ。 これまでの並びの傾向から一番上は言語理解だろうが、残りはさっぱりわからない。 後は何らかのステータス補正を受けている事ぐらいだろう。
これにはその場に居た者達全員が絶句。 朱里以外の日本人は全員、少年――荒癇から距離を取った。
これを見て不吉な物を感じるなという方が無理な話だろう。
全身鎧は全員が剣を抜き、ローブは懐から杖を取り出して構える。
国王は表情を青くし、ミュリエルもさっきまでの気の抜けた表情はどこへやら緊張に包まれていた。
ミュリエルは大きく呼吸をすると意を決したのか口を開く。
「貴方は何者ですか? ここへ呼ばれるのは力神プーバー様の眷属か、その資格がある者だけです」
「……そう言われましても俺には分かりかねます。 自分で呼び出しておいて相手に出自を問うのですか?」
静かだが何処か深みを感じる声。 さっきまでと雰囲気がまるで違う。
それはミュリエルもよく理解しているようで明らかに気圧されていた。
荒癇は周囲をぐるりと見回すとはぁと小さく溜息を吐く。
「この土地はその力神プーバーとやらを信仰する事で成り立っているのですね。 それは結構な事でしょう。 信仰に縛りはない。 どのような神を信じるのかは個々人の自由、俺が口を出す権利はないと思っていますので好きにすればいいと思います」
荒癇はですがと付け加えた。
「他者に信仰を強要するのは良くありません。 その点は改めるべきでしょう。 そこの彼等を御覧なさい。 自分が何をされたのかよく理解していない。 ――あぁ、それは貴方達もですね」
そう言って荒癇は朱里の背後に固まっている日本人達を差し、ミュリエル達には若干の哀れみの混ざった眼差しを向けていた。
その見透かすような視線が不快だったのか国王の表情に怒りとも恐れともつかない何かが浮かぶ。
「貴様、邪神の加護を受けたな」
「何の事でしょう?」
国王の低く威圧感すら感じる声を荒癇は涼し気に受け流す。
「惚けるな! 貴様の正体は分かっているぞ! 力神様の治世を脅かさんとする邪神が送り込んだ手先め!」
「何を言いだすのかと思えば訳の分からない事を。 俺が信仰するのは星と運命の女神ズヴィオーズ様のみ。 力神? 邪神? 全く知りませんね」
「ズヴィオーズ? 星と運命の女神? なんだそれは? 知らんぞ」
「人生を100割は損していますね。 三千世界の全てを見渡してもあの方ほどの美しさと神聖は存在しない。 絶対的な女神を知らないとは……」
荒癇は可哀そうにと顔を覆う。 煽っているようにも見えるが、近くに居た朱里には分かった。
こいつは本気で言っていると。 根拠は分かり易く、目がマジだったのだ。
朱里は悩んでいた。 スキルとやらに関してあまり信用していなかったので、判断に迷っていたのだ。
嫌な予感を信じるならあの水晶に触ってステータスを晒せば死にかねない。
だからと言って拒むと怪しまれる。 どうすればいいのか分からない。
そうこうしている間に鑑定を済ませていないのが朱里とさっき朱里に抱き着いた痴漢だけだった。
周囲の視線が「さっさと水晶を触ってステータスを見せろ」と圧をかけてくる。
朱里は汗をかきながら水晶に触る意志があるように見せ、途中で足を止めた。
――とにかく時間を稼ごう。
「あの、少しお聞きしたいのですがよろしいですか?」
「何でしょうか?」
ミュリエルは小さく首を傾げて見せる。
「あの、スキル欄にある『力神の加護』というのはどういった物なのでしょうか?」
「気になりますか?」
「はい、ここまでの全員に含まれているようなので……」
ミュリエルは小さく悩むような素振りを見せたが、ややあって説明を始めた。
力神の加護。 効果は筋力と生命力の増加。
全員のVITとSTRが増加しているのはこれが理由だろう。 所謂、召喚特典と言われる物で、オートゥイユ王国に召喚された場合、必ず付与される。
この世界には数多の神々が存在し、オートゥイユ王国は力神プーバーを信仰する国家でこの国に連なる者は例外なく何らかの形で力の神の恩恵を受けており『力神の加護』はこの国で生きていく上で最も素晴らしい恩恵である。 ここまではっきりとした加護を得られるのは一部の限られた人間だけなのだが、召喚された異世界人は例外なく得る事が可能だ。 これは召喚者が力神プーバーの力を借りる形で行使しているので力神を経由する事で加護が付与される。
そこまで聞いて朱里は最悪だと思った。
力神の加護はこの国の縁者である事を示し、所属を明確にする役割も持っている。
要は持っていなければならない代物なのだ。 この時点で朱里は危険察知の効果を信じざるを得なかった。 水晶に触れて運命神とかいう知らない神の加護を持っている自分が現れたらどうなる?
間違いなく碌な事にならない。 下手をすれば異端者として扱われる。
こんな他所の人間を拉致して当然のようにこき使う連中にまともなモラルを期待できない。
――終わった。
もう諦めざるを得なかった。 流石に王国と敵対してまで助けてくれる者は居ない。
酷い事になるのなら最悪自殺も視野に入れなければならなかった。
まるで断頭台に登る死刑囚の気分だと水晶へ手を伸ばそうとしたが――
「俺が先にします」
朱里の手を掴んだのは痴漢の少年だった。
少年は朱里をやや強引に水晶から引き離した後、手を乗せる。
すると彼のステータスが表示されるのだが――
荒癇 応供 સ્તર.1
જોમ સ્પષ્ટ નથી(+????)
સ્નાયુ સ્પષ્ટ નથી(+????)
સંરક્ષણ સ્પષ્ટ નથી(+????)
બુદ્ધિ સ્પષ્ટ નથી(+????)
દક્ષતા સ્પષ્ટ નથી(+????)
કૌશલ્ય
ભાષાની સમજ સ્વ-દેવતા
એક જેણે પ્રવાહમાં પ્રવેશ કર્યો છે
જે ધરતીની ઈચ્છાઓ પર કાબુ મેળવે છે
જેણે ધરતીની ઈચ્છાઓ છોડી દીધી છે
મુક્તિદાતા
――は? 何これ?
荒癇 応供という変わった名前などどうでもいいほどのインパクトが彼のステータスには含まれていた。
内容が一切理解できない。 辛うじて分かるのは項目の配置自体が変わらないからレベルが1である事とスキルが複数ある事ぐらいだ。 これまでの並びの傾向から一番上は言語理解だろうが、残りはさっぱりわからない。 後は何らかのステータス補正を受けている事ぐらいだろう。
これにはその場に居た者達全員が絶句。 朱里以外の日本人は全員、少年――荒癇から距離を取った。
これを見て不吉な物を感じるなという方が無理な話だろう。
全身鎧は全員が剣を抜き、ローブは懐から杖を取り出して構える。
国王は表情を青くし、ミュリエルもさっきまでの気の抜けた表情はどこへやら緊張に包まれていた。
ミュリエルは大きく呼吸をすると意を決したのか口を開く。
「貴方は何者ですか? ここへ呼ばれるのは力神プーバー様の眷属か、その資格がある者だけです」
「……そう言われましても俺には分かりかねます。 自分で呼び出しておいて相手に出自を問うのですか?」
静かだが何処か深みを感じる声。 さっきまでと雰囲気がまるで違う。
それはミュリエルもよく理解しているようで明らかに気圧されていた。
荒癇は周囲をぐるりと見回すとはぁと小さく溜息を吐く。
「この土地はその力神プーバーとやらを信仰する事で成り立っているのですね。 それは結構な事でしょう。 信仰に縛りはない。 どのような神を信じるのかは個々人の自由、俺が口を出す権利はないと思っていますので好きにすればいいと思います」
荒癇はですがと付け加えた。
「他者に信仰を強要するのは良くありません。 その点は改めるべきでしょう。 そこの彼等を御覧なさい。 自分が何をされたのかよく理解していない。 ――あぁ、それは貴方達もですね」
そう言って荒癇は朱里の背後に固まっている日本人達を差し、ミュリエル達には若干の哀れみの混ざった眼差しを向けていた。
その見透かすような視線が不快だったのか国王の表情に怒りとも恐れともつかない何かが浮かぶ。
「貴様、邪神の加護を受けたな」
「何の事でしょう?」
国王の低く威圧感すら感じる声を荒癇は涼し気に受け流す。
「惚けるな! 貴様の正体は分かっているぞ! 力神様の治世を脅かさんとする邪神が送り込んだ手先め!」
「何を言いだすのかと思えば訳の分からない事を。 俺が信仰するのは星と運命の女神ズヴィオーズ様のみ。 力神? 邪神? 全く知りませんね」
「ズヴィオーズ? 星と運命の女神? なんだそれは? 知らんぞ」
「人生を100割は損していますね。 三千世界の全てを見渡してもあの方ほどの美しさと神聖は存在しない。 絶対的な女神を知らないとは……」
荒癇は可哀そうにと顔を覆う。 煽っているようにも見えるが、近くに居た朱里には分かった。
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