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サラリーマンはヒーローでした (涼目線)
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これはまだ俺が高校2年生だった秋頃の話。
人混みが苦手な俺は電車を使わずに少し遠いけど自転車で通学をしている。
いつも通り自転車で家を出て学校へ向かおうとしていたが自転車のタイヤに空気が無いことに気がついた。空気入れを持ってきてタイヤに空気を入れ直したがやはり抜けていく一方だった。
「…パンクしてる」
昨日尖った小石でも踏んだのだろうか。仕方なく自転車を諦めた俺は電車で通学することにした。
自分の家の最寄りから学校までの最寄りは5個目の駅で乗り換えは無く行きやすいのだが、1つ1つの駅の間隔が広く乗車時間が長い。
運が良ければ座れるが通勤通学時間の乗車してる人達の目はみんな座席を狙うギラギラした目をしてて気が引けるしあまり関わりたくはない。
「(あーしんどい。早く着いて欲しい…)」
学校の最寄りまではあと2駅。
学校の最寄りの駅は大きい駅のためそこで乗り換えや降りる人も多く、その駅に着くまではどんどん人が乗ってくる一方で電車内がぎゅうぎゅうになっている。
近くの人の香水の匂いや汗臭い匂い、密着状態の圧迫される身体にだいぶ気分が悪くなっていた俺は下を向いてもう少しだと言い聞かせて手すりを掴みながら目を閉じていた。
すると突然お尻に違和感を感じた。
自分のお尻に何かを当てられている気がする。最初はこの人混みだし偶然当たってしまってるのだろうと思っていたがだんだん動きがおかしかった。
けど自分は男だし間違えてると気づいてすぐに辞めるだろうと思って無視をしていた。
しかしそいつは辞めるどころかどんどんエスカレートしていき、そいつの手が後ろから俺のお尻と太ももを何度も往復して触ってきて流石に気持ち悪かった。
学校の最寄りまではあと1駅、ここで声を出して注目を浴びるのも恥ずかしすぎる。しかし痴漢の手は全く止まらず痴漢の手が俺のズボンの前を触ろうと移動してきた時にパッとその手が引き剥がされた。
「おいおっさん、なにしてんだよ」
ぎゅうぎゅうの中後ろを振り向くと、スーツを着た男の人が凄い血相で痴漢の犯人であろうおじさんの手を掴んでいた。
「な、なんの話だ!」
「ほぅ、この期に及んでしらばっくれんのか」
電車が丁度目的の駅に到着してたくさんの人が一斉に降りていった後、スーツを着た男の人も痴漢の犯人の腕を掴んだまま降りて行き俺も電車を降りた。
すると男の人がそのおじさんを地面に勢いよくぶん投げた。
「なんなんだ君は!」
「なんなんだ君はだぁ?こんなクソみたいなことしておいてまだそんな強気とは覚悟できてるんだろうなぁ?まずはこいつに謝るのが筋だろうが」
「ひぃ、だから俺はなにも…」
周りからの注目も浴びる中スーツを着てる男の人に腕を引っ張られておじさんの前に立たされた。
「俺は見てたんだよ、証拠に写真もある。これ以上醜態を晒したくなきゃこいつに謝れっていってんだよ!」
「す、すいませんでしたもうしません!」
俺もビビるくらいスーツを着た男の人の凄い血相と迫力でおじさんは俺に土下座して謝罪をしてきた。
唖然として突っ立っていた俺にスーツを着た男の人が顔を見てきたので、大丈夫という意味で頭を縦に振ると納得したのを察したようで近くにいた駅員さんに声をかけておじさんを引き渡していた。
「ふぅ…朝から災難だったな。大丈夫?」
「え、あ、はい。助けて頂いてありがとうございます」
「近くにいたしもっと早く気づいてあげられれば良かったんだけど…君は綺麗な顔立ちしてるからこれからも気をつけなよ。あ、勿論証拠で撮った写真は消すから。あと電車の時から思ってたけど顔色悪そうだからこれあげる、水は少しぬるいかもしれないけどまだ開けてないから」
先程の凄い血相だった人と同じ人とは思えない優しい笑顔で話しかけてくれたその男の人は、俺に飴玉とペットボトルの水をくれた。それじゃ急ぐからと言ってそのスーツを着た男の人は行ってしまった。
しばらくして自転車が直り、また自転車通学に戻った俺は通学途中に学校の最寄り駅を通ると偶然にもその駅の近くのコンビニからあの日助けてくれたスーツを着た男の人が出てくるのを見かけた。
もしかして働いてるところが近いのだろうかとその人の後をつけてみたところ、人気のない公園のベンチに座ってコーヒーを飲み始めていた。
「(なにしてるんだろ…)」
「ぷはー!やっぱ朝はこれがないと始まらねーよな!」
まるでお酒でも飲むかのようなリアクションでコーヒーを飲むその人に俺はクスッと笑ってしまった。
しばらくすると飲み終わったのか立ち上がってその公園の近くに建っているビルの中に姿を消していった。
それから意図的にその公園を通学の時に通るようにするとやっぱりいつも朝にベンチでその人はコーヒーを飲んでいた。
ここに来ればあの人に会える。話しかける勇気はなかったけどそれを毎朝の楽しみに俺は通学するようになっていた。
これが俺と健人さんの初めての出会い。
この胸のドキドキと高揚感が恋だと気がついたのはもう少し後の話。
人混みが苦手な俺は電車を使わずに少し遠いけど自転車で通学をしている。
いつも通り自転車で家を出て学校へ向かおうとしていたが自転車のタイヤに空気が無いことに気がついた。空気入れを持ってきてタイヤに空気を入れ直したがやはり抜けていく一方だった。
「…パンクしてる」
昨日尖った小石でも踏んだのだろうか。仕方なく自転車を諦めた俺は電車で通学することにした。
自分の家の最寄りから学校までの最寄りは5個目の駅で乗り換えは無く行きやすいのだが、1つ1つの駅の間隔が広く乗車時間が長い。
運が良ければ座れるが通勤通学時間の乗車してる人達の目はみんな座席を狙うギラギラした目をしてて気が引けるしあまり関わりたくはない。
「(あーしんどい。早く着いて欲しい…)」
学校の最寄りまではあと2駅。
学校の最寄りの駅は大きい駅のためそこで乗り換えや降りる人も多く、その駅に着くまではどんどん人が乗ってくる一方で電車内がぎゅうぎゅうになっている。
近くの人の香水の匂いや汗臭い匂い、密着状態の圧迫される身体にだいぶ気分が悪くなっていた俺は下を向いてもう少しだと言い聞かせて手すりを掴みながら目を閉じていた。
すると突然お尻に違和感を感じた。
自分のお尻に何かを当てられている気がする。最初はこの人混みだし偶然当たってしまってるのだろうと思っていたがだんだん動きがおかしかった。
けど自分は男だし間違えてると気づいてすぐに辞めるだろうと思って無視をしていた。
しかしそいつは辞めるどころかどんどんエスカレートしていき、そいつの手が後ろから俺のお尻と太ももを何度も往復して触ってきて流石に気持ち悪かった。
学校の最寄りまではあと1駅、ここで声を出して注目を浴びるのも恥ずかしすぎる。しかし痴漢の手は全く止まらず痴漢の手が俺のズボンの前を触ろうと移動してきた時にパッとその手が引き剥がされた。
「おいおっさん、なにしてんだよ」
ぎゅうぎゅうの中後ろを振り向くと、スーツを着た男の人が凄い血相で痴漢の犯人であろうおじさんの手を掴んでいた。
「な、なんの話だ!」
「ほぅ、この期に及んでしらばっくれんのか」
電車が丁度目的の駅に到着してたくさんの人が一斉に降りていった後、スーツを着た男の人も痴漢の犯人の腕を掴んだまま降りて行き俺も電車を降りた。
すると男の人がそのおじさんを地面に勢いよくぶん投げた。
「なんなんだ君は!」
「なんなんだ君はだぁ?こんなクソみたいなことしておいてまだそんな強気とは覚悟できてるんだろうなぁ?まずはこいつに謝るのが筋だろうが」
「ひぃ、だから俺はなにも…」
周りからの注目も浴びる中スーツを着てる男の人に腕を引っ張られておじさんの前に立たされた。
「俺は見てたんだよ、証拠に写真もある。これ以上醜態を晒したくなきゃこいつに謝れっていってんだよ!」
「す、すいませんでしたもうしません!」
俺もビビるくらいスーツを着た男の人の凄い血相と迫力でおじさんは俺に土下座して謝罪をしてきた。
唖然として突っ立っていた俺にスーツを着た男の人が顔を見てきたので、大丈夫という意味で頭を縦に振ると納得したのを察したようで近くにいた駅員さんに声をかけておじさんを引き渡していた。
「ふぅ…朝から災難だったな。大丈夫?」
「え、あ、はい。助けて頂いてありがとうございます」
「近くにいたしもっと早く気づいてあげられれば良かったんだけど…君は綺麗な顔立ちしてるからこれからも気をつけなよ。あ、勿論証拠で撮った写真は消すから。あと電車の時から思ってたけど顔色悪そうだからこれあげる、水は少しぬるいかもしれないけどまだ開けてないから」
先程の凄い血相だった人と同じ人とは思えない優しい笑顔で話しかけてくれたその男の人は、俺に飴玉とペットボトルの水をくれた。それじゃ急ぐからと言ってそのスーツを着た男の人は行ってしまった。
しばらくして自転車が直り、また自転車通学に戻った俺は通学途中に学校の最寄り駅を通ると偶然にもその駅の近くのコンビニからあの日助けてくれたスーツを着た男の人が出てくるのを見かけた。
もしかして働いてるところが近いのだろうかとその人の後をつけてみたところ、人気のない公園のベンチに座ってコーヒーを飲み始めていた。
「(なにしてるんだろ…)」
「ぷはー!やっぱ朝はこれがないと始まらねーよな!」
まるでお酒でも飲むかのようなリアクションでコーヒーを飲むその人に俺はクスッと笑ってしまった。
しばらくすると飲み終わったのか立ち上がってその公園の近くに建っているビルの中に姿を消していった。
それから意図的にその公園を通学の時に通るようにするとやっぱりいつも朝にベンチでその人はコーヒーを飲んでいた。
ここに来ればあの人に会える。話しかける勇気はなかったけどそれを毎朝の楽しみに俺は通学するようになっていた。
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この胸のドキドキと高揚感が恋だと気がついたのはもう少し後の話。
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