病弱系男子水川くん

蛍。

文字の大きさ
12 / 16

男子高校生に断られました

しおりを挟む
日曜日、今日は涼君が洋服を返しにくる日だ。

この間駅まで送る時に別に急いでないとは言ったもののちゃんと昨日の夜に明日返しにいくと連絡がきた。

涼君への気持ちを自覚したからか、会えることに対して少し浮き足立ってるというかドキドキしてるというかとりあえず時間までソワソワして落ち着かない。

「…なんだ、この、変な緊張感」

涼君と会う時間はお昼の12時頃、俺の家の最寄り駅前で待ち合わせになってる。そのままどこかに出かけるか俺の家に来るか予定は特に決めてないが、どっちでも大丈夫のように俺の部屋は昨日掃除しただけあってこの前よりも綺麗に片付いている。

時刻は11:30。俺の家から駅までは10分くらいだが落ち着かない俺はもう向かうことにした。



「まあ、まだ早いよなぁ」

普段よりだいぶ早歩きになってしまったのか5分で駅に着いた。

涼君に到着したら連絡してとメッセージを送り俺は駅前の書店に入ることにした。


「…(そういえばあの漫画の最新巻てもう出てんのかな…あ、あった)」


目的の漫画を見つけてそれに手を伸ばすと、丁度同じタイミングで手を伸ばしてきた女性と手が触れてしまった。


「あ、すいません!」

「あ、いやこちらこそすいません。て、あっ」



慌てて手を離した俺は相手の方を見て謝るとそこにいたのは大学生時代に付き合っていた佳夜だった。

「…」

「…それ買うんだろ」

「え?あ、うん」


本を買い終えると2人で店の外に出た。

「なんか久々だな」

「そうだね」

佳夜とは大学2年生の頃に俺から一目惚れし、不器用ながらも地道なアタックを続けた末に付き合うことになった。あの頃は付き合えたことが嬉しくて佳夜が喜んでくれるようにわざわざ事前に下見してからデートプランを練ったりしていたのを覚えてる。

でも大学3年の後半からお互い就活が始まったのを機に就活のことで心に余裕がなかったりと距離が少しずつ開いていき、大学を卒業すると同時に俺は佳夜に振られてしまった。


「なんでこんなとこいるんだ?」

「今日はこれから友達の家に行くところでここが最寄りの駅なの。家に行くまでに少し時間があったから本屋さんに寄ろうと思って。健人は?」

「俺も人と待ち合わせ、そろそろ来ると思うんだけど」

「…彼女?」

「え、いやそういうんじゃないよ。彼女とかいないし」

「そうなんだ…なんか昔よりまた背伸びた?こんなに身長差あったっけ?」

身長比べをしてきて突然詰められた距離にドキッとしてしまった。

「あっ」

「えっ」

突然佳夜が俺の頭に手を伸ばしてきた。

「髪になんかゴミついてたよ」

「お、おう、さんきゅーな」

流石にびっくりして声がうわずってしまった。

「あ、じゃあそろそろ時間だからもう行くね。近いうちにまたご飯でも行こうよ!それじゃまたね」

「…ああ、またな」


少しテンパってしまったが涼君と待ち合わせしてるのを思い出して我に返り、急いでスマホを確認した。案の定数分前に到着したという連絡が入っていた。

「やべ、返信するの少し遅れた…」

改札を出てすぐのベンチのところにいると返信すると突然視界が真っ暗になった。

「…涼…君?」

「はは、流石に2回目はすぐバレちゃうか」

視界が明るくなるとそこにはいつものように可愛くてかっこいい涼君がいた。
この間会った時とは違い、涼君への気持ちをちゃんと自覚してるからか心臓がドキドキして顔が熱くなるのを感じる。

「これ、この間はありがとう。返すね」

「おう、これくらい気にすんな。ところで今日は、この後どうする?ご飯とか…」

「…あ、えっとこの後は用事があるから今日はもう帰るね」

「え?」

「またね健人さん」

まさかの返答に戸惑ってしまい、咄嗟に俺は涼君の手を掴んでしまった。

「…用事って、なに?それこの後すぐじゃなきゃダメなの?」

振り返った涼君の表情はいつもの涼君とは程遠い、泣きそうな歪んだ表情だった。

「…関係、ないでしょ」

俺の手を振り払うと涼君はまた改札の中へ入っていってしまった。



この時の俺は全部を察した気がした。


多分元カノといるところを涼君に見られてしまったんだなと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

処理中です...