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最終話 男子高校生が目の前に現われました
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俺はどうしたらいいかわからず暫くその場に立ち尽くしていた。でもこのままじゃいけないと思った俺は涼君が乗る電車のホームに急いで走った。
改札を通り電光掲示板を見ると涼君が乗るであろう電車が来るのは12:07、時計を見ると現在は12:06になっており少しずつホームからエスカレーターで人が上がってきているということはすでに電車はホームに来ている。
急いで階段を降りるがすでに扉が閉まる時のメロディが聞こえている。
「っ、はっ、涼君!」
頑張りも虚しく、ホームに到着すると同時に電車の扉は閉まり出発してしまった。
「はっ、はっ、あぁ…間に合わなかったな…」
普段遅刻と無縁の俺は久々に全力で走ったこともあり、呼吸を落ち着かせようとベンチに座って天を仰いで目を瞑った。すると突然頬に冷たいものを感じた。
「間に合ったんじゃない?」
頬に触れていたのは冷たい水のペットボトルだった。
目を開けると目の前には電車に乗って帰ってしまったと思っていた涼君が立っていた。頭がボケっとしていた俺は一瞬この状況が理解できなくて固まってしまったが、涼君がそこにいると認識すると慌ててバッと勢いよく立ち上がった。
「え!?あれ、電車もう行っちゃって、あれ!?」
「うん、俺も帰ろうと思ったんだけど…健人さんが俺の名前呼んでる声が聞こえた気がして降りちゃった。気のせいじゃ、なかった…?」
確信がもてないのか不安そうな顔をして聞いてくる涼君の頭に手をのせた。
「降りてくれて、ありがとう」
自分を呼んだ声は気のせいじゃなかったと確信に変わった涼君は優しく笑ってくれた。
「でも、なんで俺を追ってきてくれたの?」
「あぁ…えっとあの、話すことはちゃんとまとまってないんだけど、このまま今日涼君のこと帰したら後悔するんじゃないかと思って…気づいたら追いかけてた。ここで話するのもあれだし、嫌じゃなければ俺の家で話さない?」
「うん、いいよ」
俺の家に着くとこの間涼君が家に来てテレビを見た時のようにテレビをつけて横並びになって座った。なんとなく話の内容を察してるのか涼君は俺が話始めるまで待ってくれてるのを感じる。
「…単刀直入に言うと、駅で見たと思うけど一緒にいたのは元カノなんだ」
「うん、なんとなくそうかなって思ってた」
「大学生の時付き合ってて、卒業する時に俺が振られた。そこから連絡とか一切とってなくて、今日早めに駅着いたから時間まで本屋に居ようと思って行ったらたまたま再会したんだ」
「…うん」
元カノと再会した経緯までは話せたが肝心なことを俺はまだ涼君に伝えきれてない。いまだなにから伝えたらいいかわかってないけど俺は伝えなきゃという気持ちで涼君の方に体を向けた。それに気づいた涼君もこちらに体を向けてくれた。
「元カノはたまたま再会しただけで、なんもないっていうか、ほんとに俺はもうなにも思ってないし向こうもなにも思ってないと思う」
「…健人さんの頭撫でてた」
「あれは俺の髪にゴミがついてただけ!」
「…またご飯行こうねって言ってた」
「あれはきっと話の流れっていうか言葉の綾!てか涼君が行ってほしくないなら行かないし!今こうやって話してるのも、涼君に誤解されたくなくて俺必死で…」
俺の言葉に驚いて目をまん丸にした涼君と先程まで合っていなかった視線が合い、ゆっくりまた視線を逸らされた。
「…なんで、俺に誤解されたくないの…?」
涼君の言葉はボソボソとした小さい声だったがちゃんと聞き取れた。ちゃんと伝えなきゃと思いつつも、緊張しまくりの俺は中々言葉が口から出てこない。こんなに緊張するのは入社したての頃の最初のプレゼン以来だ。いや、その時以上かもしれない。
そんな俺を見かねた涼君は不安そうな表情をしながらも俺の片手を涼君の両手で包んでくれた。
「…俺のこと、どう思ってる…?」
涼君にここまでさせておいて俺はなにをしてるんだと自分の顔を空いてる片手で一発叩いた俺は、改めて涼君の顔を見る。
「最初は涼君のこと、自分の妹や弟と同じみたいに可愛いって思ってた。でも、涼君へのこの感情はそんな単純な綺麗なものじゃないって気づいて、もっと涼君に触りたいし、色んな場所に行ったり色んなことをしたりして、みんなが知らないような俺だけが知ってる色んな涼君を見たいし、涼君になにかあったら俺が絶対守るから、だから」
必死になって話してる俺に涼君がぎゅっと抱きしめてくれた。
「だから、こんな肝心なことも涼君に助けてもらわないと伝えられないヘタレで不器用なおじさんだけど、俺の恋人になってもらえませんか」
なんとか伝えきれた、と思う。俺はうるさいくらいに聞こえてくる自分の心臓の音をどうにか止ませようと必死に呼吸を整えようとした。すると涼君の手が優しく俺の背中をぽんぽんとしてくれた。
「健人さんは全然ヘタレじゃないよ。何度も俺を助けてくれたヒーローだもん。俺なんかでよければ、健人さんの恋人にしてください」
感極まってしまった俺は涼君を抱きしめながらぽろぽろと涙を流してしまった。
「ちょ、なんで泣くの?」
「…おじさんは涙脆いんだよ」
涼君は笑って優しく俺の頭を撫でてくれた。いい歳した大人が高校生に撫でられるなんて恥ずかしい。涼君がホームでくれたペットボトルの水を飲むとだいぶ落ち着いてきた。
「大丈夫?」
「…おう、なんか情けないとこ見せて悪かったな」
恥ずかしくて顔を合わせられない俺に涼君はくすっと笑う。
「…服返した時、すぐに帰るなんて言ってごめん」
「いや、あれは俺も悪かったんだ。連絡くれてたのにすぐに出てやれなくて悪かった」
「…ううん。元カノさんなんだろうなっていうのはすぐにわかったんだけど、俺男だし、俺が勝手に健人さんにアタックして気味悪がられてないかとか心配で全然自信もなくて、なんならこんな高校生のガキに興味ないよなとか、女性の人と一緒に並んでる健人さんみたらこれが普通だよなって思ったらなんか今日1日ちゃんと笑える気がしなくて…今もほんとに付き合う相手が俺でよかったのかなとかまだ思ってる自分もいて…」
涼君の表情が曇っていくのがわかる。性別、年齢差、当然の悩みだと思った。これから先何度もぶち当たる壁かもしれない。俺だって不安がないわけじゃない。けど俺は涼君の肩を掴んで目を合わせた。
「確かに俺は今まで女性としか付き合ったことはない。それは好きになった相手が女性だったからだし、男性を好きになるっていう思考も持ってなかった。でも女性とか男性とかそうじゃなくて、俺は涼君だから好きになった」
「うん…」
「俺は健全な男だから女性の胸だってお尻だって脚だって大好きだけど、涼君のことだって正直雨で濡れてた時とか普段の制服姿とかめちゃめちゃエロい目でみてたし、この間俺の家の風呂使ってた時も気が気じゃなかったし…ってこんなん言うのめちゃめちゃ恥ずかしいんだけど!てか俺だってちょっと数回助けただけでこんなおじさん好きになる涼君のこと色々不安なんだけど?気の迷いで好きとか勘違いしてんじゃないかとか、まだ高校生だし涼君の将来潰してるんじゃないかとか…」
しばらく場が静まりかえると、涼君の笑い声が聞こえてきた。
「ふふっ。そっか、俺のことそんな目で見てたんだ」
そう言うと座っている俺の太ももの上に向かい合う形で涼君が座ってきた。
「ちょ、ちょっと涼君!?」
涼君が俺の顔をじーっと見つめてくる。
「キス、したいんだけど」
「急すぎない!?」
「だって、俺結構頑張ってアピールしてきたつもりだったのに気の迷いとか勘違いとか思われてるの悲しいんだけど…」
確かに涼君のアピールは大胆なものが多かった。わりと鈍感な俺でも勘違いしそうになるくらいにはドキドキさせられた。先程も自信がなかったと言っていたし俺は涼君の頑張りを気の迷いなどという失礼な言葉で返してしまっていた。しょぼんとしてそっぽを向いてる涼君の頭をぽんぽんと撫でて顔をこちらを向かせる。
「気の迷いとか勘違いとか言ってごめん、俺のために頑張ってくれてありがと」
涼君の表情がパァっと明るくなる。
「俺の方こそ、俺を追いかけてきてくれてありがとう!健人さん!」
眩しい涼君の笑顔が愛おしいなと思った時にはすでに無意識に涼君の顔を引き寄せてキスをしていた。口を離すと顔を赤くして固まっている涼君が目の前にいた。
「おーい、大丈夫かー?」
顔の前で手を振って意識を確認する。
「はっ、ちょ、急すぎない!?」
「なんか涼君が可愛いからしたくなってしちゃった」
「こういう時に大人の余裕みたいなやつ出さなくていいから!」
「でも、さっき涼君もキスしようとしてくれてたでしょ?」
「そ、そうだけどよくわかんないまま終わったんだもん……もう1回、キスしよ?」
顔を真っ赤にした涼君のうるうるな目で言われるキスしよの破壊力は凄い。多分これで落ちない人はいないと思う。
「…そういう顔とか、俺の前以外でしちゃダメだから」
よく俺の言ってることがわからない涼君はキョトンとして首を傾げている。
「早く、キスしよ」
「うん」
今度は涼君の脳内にも体にもしっかり覚えてもらえるように角度を変えて何度もキスをした。しかし途中で俺はバッと顔を離した。涼君は?という顔をしている。
「ちょっと、一旦これ以上はまずい…」
俺の気まずそうな顔に察した涼君は視線を下に向けるとズボンが少し盛り上がってることに気づく。
「…俺が触ろうか?」
「ちょ、軽率にそんなこと言うもんじゃありません!俺は涼君が高校卒業するまで絶対に手を出さないって決めてるから」
「むぅ…健人さんがそう言うなら俺も我慢するけど…」
一度涼君には上から退いてもらい俺は急いでトイレに走った。涼君が高校を卒業するまでにはまだ約1年はある。これからは2人で色んなとこに出かけたり笑ったり泣いたり喧嘩したり、たくさんのことを経験していくことになると思う。涼君を悲しませないために、なにがあっても絶対に俺が守っていきたい。
けど初っ端からこんな状態で卒業まで我慢できるのか俺……。
Fin
改札を通り電光掲示板を見ると涼君が乗るであろう電車が来るのは12:07、時計を見ると現在は12:06になっており少しずつホームからエスカレーターで人が上がってきているということはすでに電車はホームに来ている。
急いで階段を降りるがすでに扉が閉まる時のメロディが聞こえている。
「っ、はっ、涼君!」
頑張りも虚しく、ホームに到着すると同時に電車の扉は閉まり出発してしまった。
「はっ、はっ、あぁ…間に合わなかったな…」
普段遅刻と無縁の俺は久々に全力で走ったこともあり、呼吸を落ち着かせようとベンチに座って天を仰いで目を瞑った。すると突然頬に冷たいものを感じた。
「間に合ったんじゃない?」
頬に触れていたのは冷たい水のペットボトルだった。
目を開けると目の前には電車に乗って帰ってしまったと思っていた涼君が立っていた。頭がボケっとしていた俺は一瞬この状況が理解できなくて固まってしまったが、涼君がそこにいると認識すると慌ててバッと勢いよく立ち上がった。
「え!?あれ、電車もう行っちゃって、あれ!?」
「うん、俺も帰ろうと思ったんだけど…健人さんが俺の名前呼んでる声が聞こえた気がして降りちゃった。気のせいじゃ、なかった…?」
確信がもてないのか不安そうな顔をして聞いてくる涼君の頭に手をのせた。
「降りてくれて、ありがとう」
自分を呼んだ声は気のせいじゃなかったと確信に変わった涼君は優しく笑ってくれた。
「でも、なんで俺を追ってきてくれたの?」
「あぁ…えっとあの、話すことはちゃんとまとまってないんだけど、このまま今日涼君のこと帰したら後悔するんじゃないかと思って…気づいたら追いかけてた。ここで話するのもあれだし、嫌じゃなければ俺の家で話さない?」
「うん、いいよ」
俺の家に着くとこの間涼君が家に来てテレビを見た時のようにテレビをつけて横並びになって座った。なんとなく話の内容を察してるのか涼君は俺が話始めるまで待ってくれてるのを感じる。
「…単刀直入に言うと、駅で見たと思うけど一緒にいたのは元カノなんだ」
「うん、なんとなくそうかなって思ってた」
「大学生の時付き合ってて、卒業する時に俺が振られた。そこから連絡とか一切とってなくて、今日早めに駅着いたから時間まで本屋に居ようと思って行ったらたまたま再会したんだ」
「…うん」
元カノと再会した経緯までは話せたが肝心なことを俺はまだ涼君に伝えきれてない。いまだなにから伝えたらいいかわかってないけど俺は伝えなきゃという気持ちで涼君の方に体を向けた。それに気づいた涼君もこちらに体を向けてくれた。
「元カノはたまたま再会しただけで、なんもないっていうか、ほんとに俺はもうなにも思ってないし向こうもなにも思ってないと思う」
「…健人さんの頭撫でてた」
「あれは俺の髪にゴミがついてただけ!」
「…またご飯行こうねって言ってた」
「あれはきっと話の流れっていうか言葉の綾!てか涼君が行ってほしくないなら行かないし!今こうやって話してるのも、涼君に誤解されたくなくて俺必死で…」
俺の言葉に驚いて目をまん丸にした涼君と先程まで合っていなかった視線が合い、ゆっくりまた視線を逸らされた。
「…なんで、俺に誤解されたくないの…?」
涼君の言葉はボソボソとした小さい声だったがちゃんと聞き取れた。ちゃんと伝えなきゃと思いつつも、緊張しまくりの俺は中々言葉が口から出てこない。こんなに緊張するのは入社したての頃の最初のプレゼン以来だ。いや、その時以上かもしれない。
そんな俺を見かねた涼君は不安そうな表情をしながらも俺の片手を涼君の両手で包んでくれた。
「…俺のこと、どう思ってる…?」
涼君にここまでさせておいて俺はなにをしてるんだと自分の顔を空いてる片手で一発叩いた俺は、改めて涼君の顔を見る。
「最初は涼君のこと、自分の妹や弟と同じみたいに可愛いって思ってた。でも、涼君へのこの感情はそんな単純な綺麗なものじゃないって気づいて、もっと涼君に触りたいし、色んな場所に行ったり色んなことをしたりして、みんなが知らないような俺だけが知ってる色んな涼君を見たいし、涼君になにかあったら俺が絶対守るから、だから」
必死になって話してる俺に涼君がぎゅっと抱きしめてくれた。
「だから、こんな肝心なことも涼君に助けてもらわないと伝えられないヘタレで不器用なおじさんだけど、俺の恋人になってもらえませんか」
なんとか伝えきれた、と思う。俺はうるさいくらいに聞こえてくる自分の心臓の音をどうにか止ませようと必死に呼吸を整えようとした。すると涼君の手が優しく俺の背中をぽんぽんとしてくれた。
「健人さんは全然ヘタレじゃないよ。何度も俺を助けてくれたヒーローだもん。俺なんかでよければ、健人さんの恋人にしてください」
感極まってしまった俺は涼君を抱きしめながらぽろぽろと涙を流してしまった。
「ちょ、なんで泣くの?」
「…おじさんは涙脆いんだよ」
涼君は笑って優しく俺の頭を撫でてくれた。いい歳した大人が高校生に撫でられるなんて恥ずかしい。涼君がホームでくれたペットボトルの水を飲むとだいぶ落ち着いてきた。
「大丈夫?」
「…おう、なんか情けないとこ見せて悪かったな」
恥ずかしくて顔を合わせられない俺に涼君はくすっと笑う。
「…服返した時、すぐに帰るなんて言ってごめん」
「いや、あれは俺も悪かったんだ。連絡くれてたのにすぐに出てやれなくて悪かった」
「…ううん。元カノさんなんだろうなっていうのはすぐにわかったんだけど、俺男だし、俺が勝手に健人さんにアタックして気味悪がられてないかとか心配で全然自信もなくて、なんならこんな高校生のガキに興味ないよなとか、女性の人と一緒に並んでる健人さんみたらこれが普通だよなって思ったらなんか今日1日ちゃんと笑える気がしなくて…今もほんとに付き合う相手が俺でよかったのかなとかまだ思ってる自分もいて…」
涼君の表情が曇っていくのがわかる。性別、年齢差、当然の悩みだと思った。これから先何度もぶち当たる壁かもしれない。俺だって不安がないわけじゃない。けど俺は涼君の肩を掴んで目を合わせた。
「確かに俺は今まで女性としか付き合ったことはない。それは好きになった相手が女性だったからだし、男性を好きになるっていう思考も持ってなかった。でも女性とか男性とかそうじゃなくて、俺は涼君だから好きになった」
「うん…」
「俺は健全な男だから女性の胸だってお尻だって脚だって大好きだけど、涼君のことだって正直雨で濡れてた時とか普段の制服姿とかめちゃめちゃエロい目でみてたし、この間俺の家の風呂使ってた時も気が気じゃなかったし…ってこんなん言うのめちゃめちゃ恥ずかしいんだけど!てか俺だってちょっと数回助けただけでこんなおじさん好きになる涼君のこと色々不安なんだけど?気の迷いで好きとか勘違いしてんじゃないかとか、まだ高校生だし涼君の将来潰してるんじゃないかとか…」
しばらく場が静まりかえると、涼君の笑い声が聞こえてきた。
「ふふっ。そっか、俺のことそんな目で見てたんだ」
そう言うと座っている俺の太ももの上に向かい合う形で涼君が座ってきた。
「ちょ、ちょっと涼君!?」
涼君が俺の顔をじーっと見つめてくる。
「キス、したいんだけど」
「急すぎない!?」
「だって、俺結構頑張ってアピールしてきたつもりだったのに気の迷いとか勘違いとか思われてるの悲しいんだけど…」
確かに涼君のアピールは大胆なものが多かった。わりと鈍感な俺でも勘違いしそうになるくらいにはドキドキさせられた。先程も自信がなかったと言っていたし俺は涼君の頑張りを気の迷いなどという失礼な言葉で返してしまっていた。しょぼんとしてそっぽを向いてる涼君の頭をぽんぽんと撫でて顔をこちらを向かせる。
「気の迷いとか勘違いとか言ってごめん、俺のために頑張ってくれてありがと」
涼君の表情がパァっと明るくなる。
「俺の方こそ、俺を追いかけてきてくれてありがとう!健人さん!」
眩しい涼君の笑顔が愛おしいなと思った時にはすでに無意識に涼君の顔を引き寄せてキスをしていた。口を離すと顔を赤くして固まっている涼君が目の前にいた。
「おーい、大丈夫かー?」
顔の前で手を振って意識を確認する。
「はっ、ちょ、急すぎない!?」
「なんか涼君が可愛いからしたくなってしちゃった」
「こういう時に大人の余裕みたいなやつ出さなくていいから!」
「でも、さっき涼君もキスしようとしてくれてたでしょ?」
「そ、そうだけどよくわかんないまま終わったんだもん……もう1回、キスしよ?」
顔を真っ赤にした涼君のうるうるな目で言われるキスしよの破壊力は凄い。多分これで落ちない人はいないと思う。
「…そういう顔とか、俺の前以外でしちゃダメだから」
よく俺の言ってることがわからない涼君はキョトンとして首を傾げている。
「早く、キスしよ」
「うん」
今度は涼君の脳内にも体にもしっかり覚えてもらえるように角度を変えて何度もキスをした。しかし途中で俺はバッと顔を離した。涼君は?という顔をしている。
「ちょっと、一旦これ以上はまずい…」
俺の気まずそうな顔に察した涼君は視線を下に向けるとズボンが少し盛り上がってることに気づく。
「…俺が触ろうか?」
「ちょ、軽率にそんなこと言うもんじゃありません!俺は涼君が高校卒業するまで絶対に手を出さないって決めてるから」
「むぅ…健人さんがそう言うなら俺も我慢するけど…」
一度涼君には上から退いてもらい俺は急いでトイレに走った。涼君が高校を卒業するまでにはまだ約1年はある。これからは2人で色んなとこに出かけたり笑ったり泣いたり喧嘩したり、たくさんのことを経験していくことになると思う。涼君を悲しませないために、なにがあっても絶対に俺が守っていきたい。
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