17 / 22
第16話
しおりを挟む
俺がマネージャーになりたくない理由は2つある。
まず1つ目からわりと重要な話だが、俺はこのゲームの世界のヒロインはマネージャーになるとこから物語が始まるということを知っている。ようするにここで俺がマネージャーになってしまった時点で彼らと学園青春ラブストーリーを繰り広げるヒロインになってしまうことが確定なのだ。
だが妹がプレイしてた時はいつも途中からしか見たことがなかったためどういう経緯でマネージャーになったのかまでは俺は知らない。もしかしたら今マネージャーを断ってる状況も実はゲーム通りですでにゲームのストーリーは始まっているかもしれない。
しかしマネージャーにならないことでゲームのヒロインを回避することができるのなら中身がれっきとした男の俺にとっては回避したいのだ。
それに話が進めば彼らとの接触イベントが続々と始まる日常が訪れるだろう。ただでさえマネージャーになる前から学校内の女子達から批難の的になっているのにマネージャーになってからを想像するとこれ以上は勘弁してほしかった。てかどうせならギャルゲーの世界に転生させてほしかった。
そして2つ目、これは俺の気持ち的な問題だが自分の好きだったバスケをマネージャーという形で参加することが嫌だと思った。
勿論それはマネージャーをバカにしてるのではなく、生前の俺の身長やフィジカルはバスケをやる上で非常に有利だったし自慢だった。今はそれのほとんどを失い、こんな低身長で中身は男というわけのわからない体で女バスに入ってバスケをしようなんて到底思えず、男バスの彼らに対しても俺がもうやりたくてもできないバスケを嫉妬や妬み無しに素直に応援できるとは思えなかったからだ。
居眠りしていたらあっという間に午後の授業も終わり、帰りのホームルームが始まっていた。
「学級委員の2人には放課後やってもらいたいことがあるから終わったら俺のところに来るように」
「げっ」
「っす」
これだから学級委員は嫌なのだ。
ホームルームが終わり金本と2人で先生のところに向かった。
「来週は一年生にとって入学して初めての学校行事の遠足だろ、2人にはその時に使うしおりをクラスの人数分作ってほしいんだ。印刷はしてあるから順番に重ねてホッチキスで止めてくれ。俺は職員室にいるから出来上がったら持ってきてくれ」
そう言って先生は机にドサッとしおりにするプリントを置いて教室を出て行ってしまった。
「そのダルいという感情を全面的に出した顔やめぇや、自分から学級委員立候補したんやろ」
「…ソウデスネ」
その通りすぎてなにも言えなかった。俺と違って金本は文句を言わずに作業を開始していた。俺に楽な方を譲ってくれたのか金本がしおりになるプリントを順番に重ねて俺にはホッチキス係の方をくれた。
「つかお前部活だろ、ここやっとくから行っていいぞ」
「俺かて自分で手挙げたんやからちゃんと学級委員の仕事くらいやるっちゅーねん。てかもっと端揃えて丁寧にホッチキス止めぇや」
楽な方をくれたのは感謝するが少し細かくてうるさい。きっと金本はA型だ。
「ちなみに俺A型やのうてAB型やから。自分が大雑把すぎるんちゃう、O型やろ」
「おっふ」
一言一句心を読まれてびっくりしてしまった。そしてほんとにO型なのでそこもびっくりしてしまった。
「でも今週の練習試合出るんだろ。ここって強豪校で部員数も多いから実力がアピールできる貴重なチャンスだろうし」
「そう思うんやったら口やのうて手動かしてくれる方が助かるんやけど」
「…左様でございますか」
ほんとに1ミリたりとも可愛げがないやつだ。少しでも気をつかった自分を後悔した。
「学級委員の仕事こなしたくらいで他の奴らに負けるほどやわな鍛え方してへん」
「ほぉ、随分自信があるんだな」
「そのニタニタした顔、全然信用してへんな。今週の練習試合で実力を先輩達に見してすぐレギュラー入りしたるから」
「そうかそうか、良い報告を待っているよ。頑張りたまえ少年」
ニタニタ顔で言うと金本に頭をチョップされた。
まず1つ目からわりと重要な話だが、俺はこのゲームの世界のヒロインはマネージャーになるとこから物語が始まるということを知っている。ようするにここで俺がマネージャーになってしまった時点で彼らと学園青春ラブストーリーを繰り広げるヒロインになってしまうことが確定なのだ。
だが妹がプレイしてた時はいつも途中からしか見たことがなかったためどういう経緯でマネージャーになったのかまでは俺は知らない。もしかしたら今マネージャーを断ってる状況も実はゲーム通りですでにゲームのストーリーは始まっているかもしれない。
しかしマネージャーにならないことでゲームのヒロインを回避することができるのなら中身がれっきとした男の俺にとっては回避したいのだ。
それに話が進めば彼らとの接触イベントが続々と始まる日常が訪れるだろう。ただでさえマネージャーになる前から学校内の女子達から批難の的になっているのにマネージャーになってからを想像するとこれ以上は勘弁してほしかった。てかどうせならギャルゲーの世界に転生させてほしかった。
そして2つ目、これは俺の気持ち的な問題だが自分の好きだったバスケをマネージャーという形で参加することが嫌だと思った。
勿論それはマネージャーをバカにしてるのではなく、生前の俺の身長やフィジカルはバスケをやる上で非常に有利だったし自慢だった。今はそれのほとんどを失い、こんな低身長で中身は男というわけのわからない体で女バスに入ってバスケをしようなんて到底思えず、男バスの彼らに対しても俺がもうやりたくてもできないバスケを嫉妬や妬み無しに素直に応援できるとは思えなかったからだ。
居眠りしていたらあっという間に午後の授業も終わり、帰りのホームルームが始まっていた。
「学級委員の2人には放課後やってもらいたいことがあるから終わったら俺のところに来るように」
「げっ」
「っす」
これだから学級委員は嫌なのだ。
ホームルームが終わり金本と2人で先生のところに向かった。
「来週は一年生にとって入学して初めての学校行事の遠足だろ、2人にはその時に使うしおりをクラスの人数分作ってほしいんだ。印刷はしてあるから順番に重ねてホッチキスで止めてくれ。俺は職員室にいるから出来上がったら持ってきてくれ」
そう言って先生は机にドサッとしおりにするプリントを置いて教室を出て行ってしまった。
「そのダルいという感情を全面的に出した顔やめぇや、自分から学級委員立候補したんやろ」
「…ソウデスネ」
その通りすぎてなにも言えなかった。俺と違って金本は文句を言わずに作業を開始していた。俺に楽な方を譲ってくれたのか金本がしおりになるプリントを順番に重ねて俺にはホッチキス係の方をくれた。
「つかお前部活だろ、ここやっとくから行っていいぞ」
「俺かて自分で手挙げたんやからちゃんと学級委員の仕事くらいやるっちゅーねん。てかもっと端揃えて丁寧にホッチキス止めぇや」
楽な方をくれたのは感謝するが少し細かくてうるさい。きっと金本はA型だ。
「ちなみに俺A型やのうてAB型やから。自分が大雑把すぎるんちゃう、O型やろ」
「おっふ」
一言一句心を読まれてびっくりしてしまった。そしてほんとにO型なのでそこもびっくりしてしまった。
「でも今週の練習試合出るんだろ。ここって強豪校で部員数も多いから実力がアピールできる貴重なチャンスだろうし」
「そう思うんやったら口やのうて手動かしてくれる方が助かるんやけど」
「…左様でございますか」
ほんとに1ミリたりとも可愛げがないやつだ。少しでも気をつかった自分を後悔した。
「学級委員の仕事こなしたくらいで他の奴らに負けるほどやわな鍛え方してへん」
「ほぉ、随分自信があるんだな」
「そのニタニタした顔、全然信用してへんな。今週の練習試合で実力を先輩達に見してすぐレギュラー入りしたるから」
「そうかそうか、良い報告を待っているよ。頑張りたまえ少年」
ニタニタ顔で言うと金本に頭をチョップされた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
僕はただの妖精だから執着しないで
ふわりんしず。
BL
BLゲームの世界に迷い込んだ桜
役割は…ストーリーにもあまり出てこないただの妖精。主人公、攻略対象者の恋をこっそり応援するはずが…気付いたら皆に執着されてました。
お願いそっとしてて下さい。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
多分短編予定
異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました
水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。
世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。
「見つけた、俺の運命」
敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。
冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。
食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。
その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。
敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。
世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる