魔王がやって来たので

もち雪

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それでも少しずつ歩む日々

さよなら異世界の最初の街

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祝賀パーティーから一夜明け、いつもよりも、もっと早い僕の朝が来た。

 バルコニー全員集まった後、主役達が一同に居なくなったので、城の執事のシャルルさんに連れ戻され、食べつくされた塩ゆでの枝豆に感激した。

 途中で帰ってしまったと言う、ギルド長のレンさんや副長の話を聞き、アニス王の傷が癒えたとて彼が先頭に立て兵士が動けなかった期間の埋め合わせはまだまだギルドに重くのしかかっている様に思われた。

 しかしそれでも僕の旅立ちの足止めをせずにいてくれた事に、感謝しなければならないだろう。

 朝の身支度をすませると、歯ブラシなどを回収する。後、これどれくらい使えるのだろうか……。鞄に詰められた荷物を確認にし、一度部屋で汚れているところがないか確認する。大丈夫、ルイスチェックは伊達じゃない。

 扉を開け「ありがとうございました」と、一人呟き部屋を後にした。
 リビングルームでは、ぬいぬいが先に来ており。

 皆の到着を待った。

     ★☆★☆★

「ハヤトさん、そろそろ行きまよ、起きてください」

 なんかミッシェルの起こされた。

「ハヤトも起きた事なので、連絡事項を伝えます。朝食を兵士練習所でとり、10時からパレードは予定通りですが、先ほどギルドより連絡があり進路を少々ずれますが、底なし沼付近でエクストラ、ランク級の魔物を退治して欲しいとの先ほど連絡がありました。よろしくお願います」いつもの定時連絡でルイスが宣言し、出発の挨拶なのでリーダーの僕が話をする事になった。

「いろいろ大変な事もあると思いますが、よろしくお願いします!」

 僕がそう言うと、ぬいぬいが――。

「ハヤト……、行くぞ! 俺について来い! これからはそう言った方がいい。旅に出れば不安で、不安で挫けそうな時が必ずある。それでもお前は、リーダーなのだから大丈夫だと、うそぶいて判断し決定する事で、反対意見や、どうするかの計画が立てやすくなる。そうすれば少しは生存確率が上がる。時々なら愚痴は聞いてやるからしばらく頑張ってみろ」

「皆さん、俺、俺、僕についてください! とりあえず負けません!何者にもです!!」

「「はい」」「お――!」

 勇者の間を僕が、最後に出ると、ルイスが僕に鍵を渡す。

「ここはハヤト達、勇者の為の家で、貴方の為にここは何百年ぶりに、誰かが住む家になりました。ならばハヤトが最後に閉めるのが通りです。」

 鍵を閉める。カチッと言う音がした。これからは多くの人々が次に使う、見る事も叶わいだろう勇者の為に、この屋敷を整えるのだろうか? それでも願わくば、この部屋を使わなくて良い様な、平和な世界が続いてほしい。

 僕は、振りかえり大きな声で叫ぶ。

「よし! 朝食行くぞ!」

 朝食は、枝豆の練り込んだパンだった。いや、他のパンもあったけど……僕の名前が書かれたプレートの前には、たくさんの枝豆パン。もうなくなったと思って安堵していた枝豆で作る。枝豆パン。

 枝豆たくさん作るほど好きだと思われている? それともちゃんとオードブルメニュー考えてたのに、枝豆ねじ込まれたから怒ってる?

 ……そんな事考えても仕方ない。企画の発案者のルイス分けて食べよう……。ルイスを探したら女性グループの方に入ってすごく和気あいあいと話してる。

 ……入る隙は無かった……。

 食べると何個かは、枝豆パンの中に、ずんだ餡まで入っていて美味しかった。
 何個かは、ベーコンと練り込まれていた。

 うーんどんなんだろうと感想を考えてるうちに食べ終わってしまってた。一般的の受けはどんなんだろう?

 食べ終わったら説明を聞いて、パレードが始まる。

 昨日、別れをすませたシルスさん、多くの見知った人の前を手を振って歩いて行く。

 花や紙吹雪、空はまだら色で、人々は商魂たくましく、花や紙吹雪、食べ物を売っている。進んで行くと、ギルドの前でレンさんがいる。本当はいけないのだけれど、彼女のもとへ走り寄った。

 彼女はとても困った顔をして頭を掻く。

「今まで、ありがとうございました」

「そう言うのはいいよ。私は仕事でやっていたし、もし君が反転すれば私が君の、とどめをささなければいけない。だから次帰って来るときは、心して帰って来る事だ。前も言ったが私がただでは死なないよ」

 僕は思わず笑う。

「笑いごとじゃないけどね。じゃ――頑張っておいでよ。彼女の実家へ行って、一波乱おこすんだろう? さぁいった、いった」

「最後にレンさんが、レンさんだったからそんな貴方を思い出して、大丈夫でいられるように考える事が出来ます。さようなら、今度会う時までに貴方にそんな気遣いをさせない人間になります。じゃ――また――!」

 そうして僕は後ろを振り返らずに走って行く。

 そして花の中、色とりどりの紙のなか、夢のような、本当のファンタジの世界にさよならした。


           つづく
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