魔王がやって来たので

もち雪

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さよなら海の見える街

愛すべき野郎どもとのわかれ

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 ソイルドソレルの街へは、自警団が僕らを導き、僕らは来た。
 
 そして来て早々に僕らは、サルメスを筆頭を筆頭した、ギルドと言うなの酔っ払いどもと、ある組織を壊滅き追いやった。

 この街は、愛すべきろくでなしどもが、自らの街を守って暮らすそんな変わった街だった。
 
 そしてとうとう僕らが街を旅立つ日が来たのだ。

 もちろん寂しくないわけで無いが、そんな気持ちはこの街には似合わない。

 ……っと、その前にやる事をやらねば、僕らは自警団に、このゲストハウスを借りていたわけで、自警団と契約する不動産屋をも、ともなってゲストハイスの引渡し前のチェックを受けた。

 それは僕とルイスが刀を扱うための修行中だったので、ミッシェルとフィーナが立ち合い、無事審査が許容範囲って事で、ギルド成績と照らし合わせて敷金、礼金、家賃も0円ですんだ。

 そしてギルドの方から報酬は、ルイスが今後の進行経路の相談の際、一部受け取り、人数かける一定額はどこのギルド降ろせる仕組みをも使い、残りは銀行に預けたり、ギルド報酬も貰わずそのままにしたが、銀行も大金のギルド報酬を受け取る場合も、場所を選ぶのが辛いところだ。

 お金の話も大切だが、お別れするのも大切だ。

 塔の住人、ラビとミノタウロスとキロガル氏にギルドを通じて挨拶したいと申し込み、宿泊の許可まで出たのだ。

「ルイス、塔へのおみあげ本当にお菓子と、肥料でいいかな?」

「お菓子は定番ですが、肥料は以前見た時、マンドラゴラの新しい肥料を使われてないようでしたので、まぁお試しようにって感じですね」

 そう聞くと実に、そつのない布陣だ。やはり出来る執事は違った。

 後は、出発に備え早めの昼食をとるだけだった。

 街、最後の料理店。そこは普通レストランだった。しかし旅立てば、その普通が難しい。

 この先、港町が多い事を考えて、僕は肉料理を頼んだ。

 がっりとした肉料理、次食べるのはいつだろう……。

 しかし外がやけに騒がし……そう思っていた時、彼らは来た。
 自警団の帽子をつけた彼らは、僕らに言った。

「すみません、勇者様御一行の皆様……。勇者様御一行のパレードを見ようと、近隣の村々から人が集まり過ぎてしまい、このままでは彼らを御しきれません。パレードを前倒しで、今からお願い出来ないでしょうか?」

「熱々の肉……」

「「すみません!!」」

 こうして僕のステーキ肉は、折り箱に仕舞われ紙袋へと収まった。

 そして勇者パーティーのパレードが始まった。軽快なリズムに乗って僕ら歩く。

 さすが村々から人が集まったと、言われるだけあって人は多い。

「やっとパレードが始まったか!」

 と、言っている酔っ払いの多さに、内心もうぅー!! ってなりつつ、子供たちに笑顔を向け歩きだす。

 ちなみスフィンクスは子どもなので、ルナの後ろに隠れてしまっていたようだ。仕方ないのでルナが小脇にかかえるではないが、左手で手を振りつつ、右手でスフィンクスの右の肩を撫でて歩いている。

 ちなみにスフィンクスの右側に、スフィンクスより偉い? ウンディーネがやはり、どこぞのお嬢様の様に歩いて、逃亡を阻止していた。

 途中の広場で挨拶をする。勇者、オリエラ、ルイス。

 そしてこの国で個人の業績で、すでに有名となっていたぬいぬい。

 それぞれが挨拶をしたが、僕の挨拶はこうだった。

「皆さんお世話になりました。この街の事忘れません。これから年末年始かけて、お酒を飲む機会も増えますが……お酒に飲まれる事のない様、息災そくさいでお過ごしください」

 全然、勇者ぼくないが……この街の人に言うべき言葉は、これしかないでしょう? ある?
 
 そしてギルド前、愛すべき野郎どもは、お酒を呑まず僕らを待って居てくれた。

 お酒を呑んでない彼らには驚いたが、そんな僕の顔を楽しげにサルメスは見ていた。

「お前はさっきの挨拶といい、本当に言う事が子供だな。酒の味を知らない、まだけつの青いガキだ。お前も早く酒が飲める様になれ。そして俺たちと一杯ひっかければ酒のうまさもだが、誰と飲むかで酒がどれだけ違うかって事を教えてやるよ。な? その為に無事に帰って来いよ」

 ははは、僕は思わず笑った。この人は、どこまで人たらしなんだ。

「はい。いつか落ち着いたら、ここにも遊びに来ますよ」

 そこで僕は近くにいたフィーナの腰を支えて、サルメスの前にワルツを踊る様に進み出て――。

「二人で……いや、ウンディーネも、いや、出来たらみんなで、それまでお元気で!」

「お前なぁ……、まぁ若いうちは俺も覚えはあるが、お嬢ちゃん達を泣かすなよ?」

「えっ?」と、言っている間に彼れは、フィーナや他のみんなにそれぞれ声をかけに行ってしまったので、誤解は解けないままに……。

 そして終わり間際、この街での僕らの師匠、弥一さんがいた。

 僕とルイスは揃って彼に頭を下げ、ルイスは刀を彼に見えるように、少し鞘から出してそしてしまう。

 ルイスが、弥一さん見せた笑顔は英雄の笑顔だった。誇らしく、高潔で、そしてすこし戸惑いのある。

 僕はそんな彼を、見なかった事にして歩き出す。

 そして僕らはこの街を去った。

 格好良く頑張るのはそこまで、塔に行く途中の浜辺で、もう冷え切ってしまった肉料理を食べたのだった。

 熱々が食べたかったなぁ……。

  続く
 
 
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