魔王がやって来たので

もち雪

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女王のおさめる国にて

ムーンドルイの城の敵、味方

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 仮初かりそめの女王が収めるムーンドルイ。広い土地を有するこの国には、街や村が少ない。

 この国の多くの民が遊牧民で、羊と共にこの広大な土地をキャラバンとなり移動し生活する。

 首都ムーンドルイは、大きな川のほとりにあり、近くにあるシッレトル山の鉱山から出た鉄や、銅で、その財を潤している。

 ――これじゃ……闇雲に逃げても食糧難でつむ! この部屋にあった観光ガイドをみて僕は頭をかかえた。

 城は豪華だが、広いばかりのこの城に何日も滞在していても、図書館は入れないし、禁止! 禁止! 禁止なのだ。

 もうこの城は、飽きた……。

 と、途方に暮れる僕だがこの何日もの間、遊んでいたのではない。ぬいぬいとルイス師匠の場所の特定は済んでいる。
 
 ぬいぬいは、いつも僕が走っている時間になると、窓から一定の間隔だろう間隔で、2秒だけ光の柱が中庭に落ちる部屋があるのを確認した。

 絶対ではないが、高確率でぬいぬいの部屋だろう。

 そしてルイスは、なんと僕が歩いていると、通りがかりの可愛らしいメイドが僕に呼びかけた。

「落とし物ですよ」

「あっ、ありがとう」

 それを開けてみたら、漢字で、『勇者』と書いてあり、彼のいる場所の外の景色が書いてあった。

 でも、すごーいルイス師匠! どうやって口説き落としたの?

 それによりとぬいぬいとルイスは同じ宮殿にいるらしい。

 そしてフィーナの部屋は、僕ともぬいぬい達とも違う宮殿ようだ。ある部屋の前の木の枝が異常に伸びている部屋が、彼女の部屋ぽい。

 たぶん、ウンディーネもそこにいるとは思う。誰も彼女とは敵対したくないだろうから。
 
 僕のいける所は全部言ったがまだ王子の消息は不明だ。隔離された塔にいるのか? と思ったが、そんな塔などはない。
 
 試しに、ウッリマリアにプレッシャーを掛けてみた。 散歩の途中出来るだけ死角になる場所で。
 
「この国の王子に会いたい」
 
「フリスト様にですか?」
 
「うん、そうだよ。他に王子っている?」
 
「ですが、そう言う事は禁じられ居ます」
 
「えっ? 何故? フリスト王子が女王に監禁されているから?」
 
「そんな事は絶対ありません!」と言って彼女は行ってしまった……。怒らせちゃった……。

 僕はだいぶ適当に言っていたが、いろいろわかって良かったが、彼女を怒らせたのは悪手だっただろうか?
 
 しかしそれは、それ彼女いない内に、迷子になったというていで散策しょう~と思ったら彼女よりごっつい騎士が来る……。
   
        ☆
        
 そして次の日ウッリマリアはしょげた顔をして現れた。
 
 「ハヤトのいう事が嘘だと思い、女王に直訴しようとしたが、女王はあってくださらなかった。もしかしたら……。いや……何でもない。ハヤトに言うべき事ではなかった。忘れてくれ……」
 
 ――いや、これはとんでもない事になった! これは明らかに僕のミスだった。

 これウッリマリア独断で内情を探り殺されるコースだと思い、めちゃ焦った。
 
「ウッリマリアは、見えている事だけ信じるの?」
 
「どういう事だ?」
 
「もし女王が、みんなに内緒にで王子の為に何かをしょうとしていても、正義に縛られて、法律道理でそれは悪だと決めつけるの? って僕は言っているの!」
 
「だから、どういう事だと言っている!」
 
 そう言って僕は襟首もたれて持ち上げられる。
「グヴゥ」

「ハッ! すまなかった! ……私は勇者殿まで……、もしかしてハヤトがこの私の考えなしの行動を責めているのか?」

 馬鹿力め!! 吐くわ!

「もし女王の王子のための考えた末の選択を、全体を見ずにその場限りの正義で、騒ぎ立てるなって僕は言っているんですよ。貴方自身がわからないって事だけで、僕の首を絞めた様に……次は王子の首を絞めるつもりなんですか? 知りたい事があったら、もっと賢く立ち回るべきです。敵と味方を見極めて」

「…………なら、お前は敵だ! 言葉だけで私を騙そうとする」

「何故?」

「ここから逃げる為だ!」

「なぜ逃げるんですか? まるでこの国が法律をおかして僕を閉じ込めてるみたい」

「そういうところが、敵だ! 口先だけで、私を誤魔化そうとする!」

 そう言って彼女は行ってしまうが、また帰って来て僕の横に着いた。

「おかえりなさい」

「ただいま!」

 そんな彼女がおもしろくって僕は笑った。


      つづく
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