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女王のおさめる国にて
王子の覚悟
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騎士団の夏季練習場の一室、勇者パーティーの中にわからずやの女騎士が一人。
彼女は僕の言葉を受け、深く深く考えている。
たぶん彼女は思考を巡らせ、僅かな最良を導き出す、そんなタイプではない。
己の意思と力の全てを、ただ一人の君主に捧げ仕える。それが彼女の生き方でないか? と僕は思う。
しかし彼の王は、未だ幼ない。
「ウッリマリア、今、答えを出す必要はないと思うよ」
そう僕はいつまで答えの出せない、家庭教師先の生徒へ言う様に穏やかに言った。
彼女が答えを1人で出せない内は、僕らは彼女のそばにいて王子の成長を見守るか、王子を託すべき、他の誰かを探す必要がある。
そして彼女は、まだ両耳を抑える様に頭を抱えている。そんな彼女を見て僕も、頭を抱えそう……。
「まず、僕の祖父を頼ります」
入り口を見ると、髪を切り揃えた少年が立っていた。
彼は白人系の多いムーンドルンの王子にしては僕たちアジア系に近い顔立ちをしている。
髪は黒髪と言うより、塩素で色素が少し抜けてしまった水泳部みたいな色合いで、瞳は白に近い黄色。
気づくとウッリマリアが、彼の手をとって泣いている。
「そのお瞳、亡き王と瓜二つでございます」
「ありがとう……」彼の瞳に、哀しみの色が宿る。生前の王と王子はどんな関係だったのだろう?
「今はまだ、遊牧民をまとめる存在の祖父は、決して感傷的でも、俺が可愛いだけの人ではなかった。母が亡くなった後は、単身で、月に1度は俺の様子を見に現れた。そして今の世界情勢を、俺に話して聞かせる。そのさなか我々は、常に監視されていたから今の状態を伝える事は出来なかったが……。いや、もしかして全ての事実を知っているかもしれないと、俺は思ってた。だからそこで俺の現状を話し、祖父のギャラバンの人々を無闇に危険晒すような軽率な人物と、そこで思われてしまったのなら祖父はもう来てくれないかもしれない? のではないかと思ってさえ居た……」
「そんな事はありません、王子のお祖父様知らなかっただけなのです! 王子の苦しい現状を! だから、王子が望めは絶対助けてくださいます!」
ウッリマリアの咆哮だけが、この部屋で響く。この部屋で1番幼ないオリエラさえ押し黙り、可哀想な王子にかける言葉はない。
「でも、そんな俺と祖父の面会でも、朗報はあった。私達は敵の腹の中に居てさえも、2人ともその場で殺されずに居たのは、俺と言う人質を殺せないなんらかの事情があったはずだ。そして俺の出した答えが、少なくとも祖父の生きている今なら、あの女王に対抗する力を祖父が持っていると考えた。そして俺という人質が居ない今なら女王を倒せるかもしれない。でも、かもではだめだ。祖父の話題は最近、勇者パーティーについてとても詳しく教えてくれた。もしかしたら貴方がたが、捕まったのは祖父の話しが女王にまで伝わったからなのかもしれません。そし俺は祖父の言葉の意味を考え行動に移さなければならない。そこに愛はあるとは言いません。しかし私には貴方が必要なのです」
そこまで言うと彼は、オリエラの前まで歩みを進めると彼女の前に跪き、手を差し出す。
「オリエラ姫、ホイルトツェリオがこの私、ウィッシュの後ろ盾なっていただけませんか? 貴方が頷いてくださるのなら、俺は貴方の他の誰も愛しません」
そう王子は誓ったのだった。
続く
彼女は僕の言葉を受け、深く深く考えている。
たぶん彼女は思考を巡らせ、僅かな最良を導き出す、そんなタイプではない。
己の意思と力の全てを、ただ一人の君主に捧げ仕える。それが彼女の生き方でないか? と僕は思う。
しかし彼の王は、未だ幼ない。
「ウッリマリア、今、答えを出す必要はないと思うよ」
そう僕はいつまで答えの出せない、家庭教師先の生徒へ言う様に穏やかに言った。
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気づくとウッリマリアが、彼の手をとって泣いている。
「そのお瞳、亡き王と瓜二つでございます」
「ありがとう……」彼の瞳に、哀しみの色が宿る。生前の王と王子はどんな関係だったのだろう?
「今はまだ、遊牧民をまとめる存在の祖父は、決して感傷的でも、俺が可愛いだけの人ではなかった。母が亡くなった後は、単身で、月に1度は俺の様子を見に現れた。そして今の世界情勢を、俺に話して聞かせる。そのさなか我々は、常に監視されていたから今の状態を伝える事は出来なかったが……。いや、もしかして全ての事実を知っているかもしれないと、俺は思ってた。だからそこで俺の現状を話し、祖父のギャラバンの人々を無闇に危険晒すような軽率な人物と、そこで思われてしまったのなら祖父はもう来てくれないかもしれない? のではないかと思ってさえ居た……」
「そんな事はありません、王子のお祖父様知らなかっただけなのです! 王子の苦しい現状を! だから、王子が望めは絶対助けてくださいます!」
ウッリマリアの咆哮だけが、この部屋で響く。この部屋で1番幼ないオリエラさえ押し黙り、可哀想な王子にかける言葉はない。
「でも、そんな俺と祖父の面会でも、朗報はあった。私達は敵の腹の中に居てさえも、2人ともその場で殺されずに居たのは、俺と言う人質を殺せないなんらかの事情があったはずだ。そして俺の出した答えが、少なくとも祖父の生きている今なら、あの女王に対抗する力を祖父が持っていると考えた。そして俺という人質が居ない今なら女王を倒せるかもしれない。でも、かもではだめだ。祖父の話題は最近、勇者パーティーについてとても詳しく教えてくれた。もしかしたら貴方がたが、捕まったのは祖父の話しが女王にまで伝わったからなのかもしれません。そし俺は祖父の言葉の意味を考え行動に移さなければならない。そこに愛はあるとは言いません。しかし私には貴方が必要なのです」
そこまで言うと彼は、オリエラの前まで歩みを進めると彼女の前に跪き、手を差し出す。
「オリエラ姫、ホイルトツェリオがこの私、ウィッシュの後ろ盾なっていただけませんか? 貴方が頷いてくださるのなら、俺は貴方の他の誰も愛しません」
そう王子は誓ったのだった。
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