魔王がやって来たので

もち雪

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女王のおさめる国にて

やって来た双子

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  幌馬車に乗って帰り道を行く。草原の中を駆ける風の音と、その景色は雄大で素晴らしいが、やはり少し飽きた。

 僕と似た人種のシロスとクスキに、呆れられる前に二人と話す必要があった。

 二人とも狼に似た毛皮と、ブーツを身につけて、シロスは耳の下まで髪を刈り上げ残りの毛を後ろにくくっている。

 シロスが弟で、髪を三つ編みにしているのが姉のクスキ。

 二人とも髪の長さ長い。双子で、シロスが弓の名手らしい。

 さっきシロスが見つけたうさぎを見て、「どうれ、俺が射貫いてやる」と、言った。

「あのうさぎを一匹のみ捕獲したとて、皆に分ばい出来ません。それに我々は楽しく旅をしているのでなく、目的があって移動しているに過ぎませんので、無理な相談です」

 そうルイスにすぐさま断られていた。それを聞いたシロスが壁にもたれかけ腕を組み、何故か満足そうに口角をあげた。

 それ見ていたミッシェルは顔が明るくなる。僕も胸が熱くなる。アニメで見るなんとバトルや、格闘ゲームのカッコいいイメージカットが、(バーン!)ルィイスvs(バーン!)シォロス ファイト!!!!!的な? イメージが浮かんだ。絶対ルイスは、紅茶をセット持っているはず。
 
 「呆れた、お前たちはうち村にいる間中お芝居をしていたのか?」
 クスキの勝気な声で、僕は妄想から引きもどされる。

「まぁ、そうとも言えますね」ルイスは、彼女に言われても動揺は見えない、いつもの冷静さだ。

「そうしか言えないだろう?、シロスもそう思うよな?」

「……あ? ああ、そうだな」
 
 男勝りのクスキに対して、シロスは想像の反対で、おじいちゃんの様な安心感があった。

「ハヤトたちがスフィンクスと遊んでいる間に得た情報から、二人は王都で行動する際の、情報伝達のためにこちら送られた事がわかりました」

「情報伝達って、どうやって?」

「ふみ矢だ。シロスは、村1番の弓の名手で何でも射抜ける。だが、弟はこの通りろくに喋らないので、しぶしぶか弱き女の身の私が同行する事になった」

 そう言うクスキだが、腰にはでっかい剣を携えてよく言う。

 背筋も真っ直ぐ、体の動きに変な癖もない。

「それは大変美しい決意です。でも、安心してください。貴方はハヤトのタイプではないですし、残りの男子は私の様に草食系か子供しかいません。もしかして次期女王になるかも知れませんが、それはそれで、でございましょう?」

「まぁ、そうだな。なら安心だ」
 
 クスキはそう言ったが、王子は信じられない物を見たという感じで、目を見開いて、二人を見ていた。

「ルイスはいつもあんな感じだから、安心していいよ」

 オリエラは、王子の動揺を見かねて笑いながら声を掛けたがまったくの逆効果で、王子は今度はオリエラを見つめまばたきを忘れたようだ。

 たぶんそこには、新たな恋の深まりは見えない。

 王子の好みは、さて置き僕らの前に立ち塞がった新たな問題は、城の攻め方だ。

「なら、騎士のみんなから情報と、攻めるための調査の結果を得るために、の橋渡し役として適役な私が先に城へと行こう」
 そう言ったのはウッリマリアだ。

「騎士が今回の作戦に参加してないのなら、私がこちらに来て居る事は伏せられているかもしれない。最悪、捕まえられていたところを、逃げ来たと言えばなんとかなるのではないか?」

「それは危険な賭けです。私たちが逃げたことで貴方に処罰は降りているだろうし、秘密を知るため拘束され今度は貴方を助けだせない可能さえある。そしてうちの風評被害もごめんこうむります」

「それならシロスに矢文を打たせようか? 騎士は壁の中から出てこないって事はないでしょう?」
 
「だが、今は誰が女王の手のものかわからないだろうし、難しい賭けだと思うよ」
 
 次々に乗り越えねばならない問題が出てきて、頭を抱える。

「あっ」

「何か作戦あったのですか? ハヤト」

「攻め方と欲しい情報として、お城には攻められたさいに使う、王族のみ知っている隠し通路はないの? 囲まれるだろうけど、場内なら騎士の数方が上回るし、機動力なら僕らパーティーも負けない。だからそこを使うべきだ」
 
「ハヤト、あるかもしれないが、それを父から聞く前に、祖父にあずけられてしまった。すまない場所も、あるかどうかさえ知らないんだ」
  
「出口の場所を探し出すにも、確証がないとただ向こうの警備を厳重にするだけか……」

「オリエラに替え玉になってもらい、同時出現するとか? そのまわりの僕らがさくらとなって、王子だってハヤシたてればどうだろ? 攪乱として使えるし、民衆のアシストも得られると思う。女王の仲間の数が兵士ほど多く連携がとれていなければ、民衆に手を出す事は避けるはず。王子の隠蔽を自ら水の泡にしないはず、そうでしょう?」

「外はいい標的になる。遊牧民あがりの兵も多く居る。弓兵の腕を舐めない方がいい。それに簡単に嘘をつく奴の事は私ならもう信じない」そうキクスに指摘される。王子を支えるだろう民衆の1人の彼女には、この土地ならではの価値観が備わっている。だから他所者の僕は、この提案を下げなければならない」

 難し過ぎる。しかしここでわかるなら、何日もウッリマリアと楽しい日々を過ごしてないか……。

 これ以上出ないなら、ぬいぬい含めてあらためて考えようって事になり、休息にもどる。

 実はルイスとミッシェルの二人で、女装潜入計画も考えたのだが、手配書どうのより女装役として僕も巻き込まれそうなのが嫌なんだよね。選択がなければするけどさー。
 
    つづく
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