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女王のおさめる国にて
いさかい
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ゲームのRPGの様に他の村へ行った後に、サクッと人数が増えた。
彼らと、どう今の状態を切り抜けるかと考えていた時、ルイスから「もうすぐ目的地へとつきますよ」言われる。
「えっ、もう騎士団の夏季練習場についたの?」
「いえ、ウイッシュ王子の祖父の治めるキャラヴァンへです。さきほどハヤトたちがテント中にいる間に、彼らが近くで冬営地にいると聞いたので、先ほどの休憩の時、御者を土地勘のあるウィッシュ、そして目の良いオリエラに交代して貰っていました。その彼らが煙を見つけ、そこは案外近かったようです」
「そうか、随分と早く着いたんだね」
ウィッシュの祖父が冬営地に居るとは聞いていたが、遊牧民である以上は絶対でない。そこがすんなりうまくいき、正直良かった。
そして話しは、キャラヴァンでどう行動するかに話題は移る。
「ハヤトはサラマナの一族同様に、演技をお願いします」
「いやです」
一同が、僕はを見つめる。
「いやいや、大将! ここは今一度あの演技をやっとこ、あのユメラの長老に今の姿を見せても帰れって言われるのがオチだ」
クスキ男勝りの彼女は、僕らの話しに割って入った。なるほど、彼女なら彼らの代表として僕らと渡り合えるだろう。
「自分の孫の為に集めていた勇者の情報と、僕の付け焼き刃の演技の違いに、何も違和感を感じない程度の長老なの?」
「そうではないが……」
「なら、今のまま自分のあるがままなら、まだ普段通りだから対処が思いつくけれど、偽りの姿で、気難しい老人に対処出来るほど、演技のバリエーションは多く無いよ、僕は」
「それはそうだが、我々とて勇者が失敗したら困るのだ。村の命運を背負ってきた身の上なのでな」
「クスキ、ゾルトは困らないから大丈夫だ。全部の報酬を彼が独り占め出来るよう成功させればいい」
シロスは長く話すと、クスキ同様に野心家タイプだった。まぁ、双子だから。
「ああ、そう言うかもな、じゃ今の情けない姿だでいいさ」
「情けないってなんですか? その言葉は撤回して下さい」
「なんだ? 気にさわったのか? すまなかった。気にしているだろう事を、正直に口にしてしまって」
フィーナとクスキが、僕の事で揉めている。止めないと、しかし本人が出るものだろうか?
パチーン
頬を、引っ叩く乾いた音が響いた。
クスキは唇を切ったのか、赤い血が唇よりしたたり落ちた。
彼女は頬を押さえ、シロスを睨みつけている。
「すまない、君たちのリーダーを侮辱するような事を言った」
彼の謝罪を聞いても、誰も動かないかたまったままだ。
「ちょっと待って冷静なって」
僕はいつの間にか姉弟喧嘩になってしまった、この話をおさめるべく2人の間に立っていた。しかし馬車は止まる。
ウィッシュの祖父の村に着いたなら、優先すべきは彼である。しかしこんな状態で降りれねー!
そこへウイッシュが乗り込んで来た。御者席を見ると、オリエラが小さな窓にへばりついていた。
ウィッシュは二人の前に立ち、跪く。
「ハヤト、恩人の貴方に対して、私の民が非礼をしてしまって大変すまない。私が頭を下げてどうなるものでもないだろうが、この通りだ大変すまなかった」
ウイッシュ王子は、僕に深々と頭を下げようとする。しかしルイスが「王が軽はずみに、他国の者に頭を下げるべきでは……」と、いさめる。
「しかしそれでは俺は孤立する王、独善的な王になってしまう。俺は強くなる。俺の善とするものを、踏みにじってしまわないでいいように」
「王子……」それを見て、クスキの声がか細く響いた。
「ウイッシュ、いいんだ」
僕はそう言って彼の肩に、手をかける事しか出来ない。
ここは、僕が生まれ育った世界ではない。暴力が、大手振るっている世界。
僕の許した事で、誰かが僕の許した人物の息の根を止めるかもしれない。
結局、ウィッシュは御者席と戻り、誰も言葉を交わす事のないまま馬車は進むことになった。
クスキはそこでやっと、唇の治療をして貰う。それはただ、動けなかっただけかもしれない。。しかしたら彼女に対する抗議の現れかもしれないし、今後のためにいい薬なるかもしれないと思ったのかもしれない。
そして僕達の今後にもうすぐたどり着く。見知らぬ人々の中で、自分を通し交渉する。
まばたき1つにすべての思考を巡らせるべき場所へ。
そして今回の訪問は、夏期練習所で考えていた予定と変わり、全員で行く事になった。
ここが締めであり、ここでの交渉でウィッシュの運命が決まると言っていい。
遊牧民をまとめる祖父、ユメラにお願いではなく、いちウイッシュの家臣として作戦についてもらうために。王子の祖父は孫のために、どの立ち位置に立つのだろう。
僕はウィッシュの人生に責任は持てない。王に据える事は出来てもそれから始まる、彼と彼の祖父、もしかしたら僕の知らない誰かとの、権力を巡る力の綱引きには参加出来ない。本当に僕は無責任でしかない。
だから僕は、ユメラに会って安心したい。彼に王子を押し付ける作戦はまだ白紙状態。
★
そしてあれから、ユメラのキャラヴァンに到着し、その見張りに話をした。
それからもう30分、この冬空の下、待てども、待てどもさっきの見張りは帰って来ないのである。
そして寒い。結局、人は責任は自分でとるしかないですよー! って老獪な爺に3秒で論破されそうな言い訳を考えついて、これでいいや。
そう思ったところだが、待ちすぎて考え直したくなりそうになってきた……。
続く
彼らと、どう今の状態を切り抜けるかと考えていた時、ルイスから「もうすぐ目的地へとつきますよ」言われる。
「えっ、もう騎士団の夏季練習場についたの?」
「いえ、ウイッシュ王子の祖父の治めるキャラヴァンへです。さきほどハヤトたちがテント中にいる間に、彼らが近くで冬営地にいると聞いたので、先ほどの休憩の時、御者を土地勘のあるウィッシュ、そして目の良いオリエラに交代して貰っていました。その彼らが煙を見つけ、そこは案外近かったようです」
「そうか、随分と早く着いたんだね」
ウィッシュの祖父が冬営地に居るとは聞いていたが、遊牧民である以上は絶対でない。そこがすんなりうまくいき、正直良かった。
そして話しは、キャラヴァンでどう行動するかに話題は移る。
「ハヤトはサラマナの一族同様に、演技をお願いします」
「いやです」
一同が、僕はを見つめる。
「いやいや、大将! ここは今一度あの演技をやっとこ、あのユメラの長老に今の姿を見せても帰れって言われるのがオチだ」
クスキ男勝りの彼女は、僕らの話しに割って入った。なるほど、彼女なら彼らの代表として僕らと渡り合えるだろう。
「自分の孫の為に集めていた勇者の情報と、僕の付け焼き刃の演技の違いに、何も違和感を感じない程度の長老なの?」
「そうではないが……」
「なら、今のまま自分のあるがままなら、まだ普段通りだから対処が思いつくけれど、偽りの姿で、気難しい老人に対処出来るほど、演技のバリエーションは多く無いよ、僕は」
「それはそうだが、我々とて勇者が失敗したら困るのだ。村の命運を背負ってきた身の上なのでな」
「クスキ、ゾルトは困らないから大丈夫だ。全部の報酬を彼が独り占め出来るよう成功させればいい」
シロスは長く話すと、クスキ同様に野心家タイプだった。まぁ、双子だから。
「ああ、そう言うかもな、じゃ今の情けない姿だでいいさ」
「情けないってなんですか? その言葉は撤回して下さい」
「なんだ? 気にさわったのか? すまなかった。気にしているだろう事を、正直に口にしてしまって」
フィーナとクスキが、僕の事で揉めている。止めないと、しかし本人が出るものだろうか?
パチーン
頬を、引っ叩く乾いた音が響いた。
クスキは唇を切ったのか、赤い血が唇よりしたたり落ちた。
彼女は頬を押さえ、シロスを睨みつけている。
「すまない、君たちのリーダーを侮辱するような事を言った」
彼の謝罪を聞いても、誰も動かないかたまったままだ。
「ちょっと待って冷静なって」
僕はいつの間にか姉弟喧嘩になってしまった、この話をおさめるべく2人の間に立っていた。しかし馬車は止まる。
ウィッシュの祖父の村に着いたなら、優先すべきは彼である。しかしこんな状態で降りれねー!
そこへウイッシュが乗り込んで来た。御者席を見ると、オリエラが小さな窓にへばりついていた。
ウィッシュは二人の前に立ち、跪く。
「ハヤト、恩人の貴方に対して、私の民が非礼をしてしまって大変すまない。私が頭を下げてどうなるものでもないだろうが、この通りだ大変すまなかった」
ウイッシュ王子は、僕に深々と頭を下げようとする。しかしルイスが「王が軽はずみに、他国の者に頭を下げるべきでは……」と、いさめる。
「しかしそれでは俺は孤立する王、独善的な王になってしまう。俺は強くなる。俺の善とするものを、踏みにじってしまわないでいいように」
「王子……」それを見て、クスキの声がか細く響いた。
「ウイッシュ、いいんだ」
僕はそう言って彼の肩に、手をかける事しか出来ない。
ここは、僕が生まれ育った世界ではない。暴力が、大手振るっている世界。
僕の許した事で、誰かが僕の許した人物の息の根を止めるかもしれない。
結局、ウィッシュは御者席と戻り、誰も言葉を交わす事のないまま馬車は進むことになった。
クスキはそこでやっと、唇の治療をして貰う。それはただ、動けなかっただけかもしれない。。しかしたら彼女に対する抗議の現れかもしれないし、今後のためにいい薬なるかもしれないと思ったのかもしれない。
そして僕達の今後にもうすぐたどり着く。見知らぬ人々の中で、自分を通し交渉する。
まばたき1つにすべての思考を巡らせるべき場所へ。
そして今回の訪問は、夏期練習所で考えていた予定と変わり、全員で行く事になった。
ここが締めであり、ここでの交渉でウィッシュの運命が決まると言っていい。
遊牧民をまとめる祖父、ユメラにお願いではなく、いちウイッシュの家臣として作戦についてもらうために。王子の祖父は孫のために、どの立ち位置に立つのだろう。
僕はウィッシュの人生に責任は持てない。王に据える事は出来てもそれから始まる、彼と彼の祖父、もしかしたら僕の知らない誰かとの、権力を巡る力の綱引きには参加出来ない。本当に僕は無責任でしかない。
だから僕は、ユメラに会って安心したい。彼に王子を押し付ける作戦はまだ白紙状態。
★
そしてあれから、ユメラのキャラヴァンに到着し、その見張りに話をした。
それからもう30分、この冬空の下、待てども、待てどもさっきの見張りは帰って来ないのである。
そして寒い。結局、人は責任は自分でとるしかないですよー! って老獪な爺に3秒で論破されそうな言い訳を考えついて、これでいいや。
そう思ったところだが、待ちすぎて考え直したくなりそうになってきた……。
続く
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