211 / 292
女王のおさめる国にて
ひと時の安らぎ
しおりを挟む仮住まいの夏期練習、今日の朝ごはんも、かたい保存食。シロスが今日、何か狩って来てくれるらしいので、楽しみにしよう。
だから干し肉のかたさを忘れるために、村とキャラヴァンであった事の報告をぬいぬいにした。
ぬいぬいは始終、目をつぶり肉の味を噛み締める様に聞いていた。
「俺の人選の候補は、ルナ、スフィンクスが教会でセーフゾーンを作り、最悪の場合は王子は逃げ込む事、女王も教会をすぐ敵にまわす決断は出来ないだろう。
そしてフィーナはまわりの拘束要員で、城下町、そしてそれは俺もだ。弓避けで空を覆う。ウンディーネは城の中に。ミッシェルとルイスは城下町に欲しいが当日次第だ」
そしてぬいぬいは、シルエットをみた。「シルエット、すまない助けて欲しいが羽を出さないでおくことは可能か? 人間は弱い。見た目だけに怯えるのだ」
「あら、私にその事について気を使ってくれるのね。その気持ち大切だと思うわ。私のが強者であるのと、だから無礼に怯えてる事を許せって事は、私にとって違うもの。それがわかっているならご褒美に、少しだけ手伝ってあげるわ。もちろを羽を出さないでね」
シルエットは、そう言うと、彼女は妖艶に笑う。赤い瞳は、僕らを挑発する様に怪しくきらめくのだった。
ムーンドイルまで向かうまでの1日、正解には2日。
移動手段を考えると、ゆっくり出来る時間はだいぶ限られていた。
その間に、特に何かあったわけではない。皆、それぞれ気ままに過ごしてした。
まずクスキとスフィンクスがわちゃわちゃやっているのに、シロスが巻き込まれていたのを見た。
スフィンクスがルナの横で、寝ていた。
あどけない子供の寝顔だ。
そこへクスキがやって来て、スフィンクスの背をなでいて、スフィンクスも気持ち良さそう撫でなれるままにしていたが……。
「頭も撫でて」
と、言ってクスキを見た時、誰? ああ……新しい人か、の、間があったのち「やぱり、いい……マスターに撫でて貰うから……」と、言ってルナの反対側へ逃げてふたたび箱座りする。
「遠慮するな、頭も撫でてやるぞ」
「いや」
それをクスキを探しに来たシロスが飛んで来て、あいだに入る。
「すみません。スフィンクス様、ルナ様、クスキが何か無理な事を言ったでしょうか?」
「今、撫でて欲しくない気分なの」
「スフィンクスは、教会では私の仕事のパートナーとして、触られるのも大丈夫のようですが、プライベートの時はいやなのでしょう。お姉さんに撫でられるのを断っていただけですよ」
「クスキ、なぜ、大精霊様やスフィンクス様に、迷惑ばかりかける!?」
「迷惑などかけていないが、大精霊様やスフィンクス様にお近づきになれるチャンスだのだぞ? お前も触れてみたいだろう?」
「それは……」
二人のやり取りを見ていたスフィンクスが、ルナの横から立ち上がり、クスキからすごーく、距離をとりシロスのもとへ行き、クスキの逆側に箱座りで座る。
「シロスは、撫で撫でしていいよ」
「なぜ? シロスだけなんですか?」
「シロスの事ちょと好きになったから……」
「なら、私は?!」
「………………」
「辞めないか、クスキ、失礼します。スフィンクス様」
と、うれしそうなシロスとスフィンクス。
「ああぁ……」と、立ったまま、頭を抱えるクスキ。
ルナは、そんなクスキを慰めているが、よっぽどスフィンクスに触りたいのだろう。クスキはうわの空で、相打ちをうっているようだ。
「やはり新しい子分には、教育が必要。ルイスは何をやっているのかしら? やはり私があの子を教育するべきかしら、どう思う? 主様」
2階の階段の柵の僕の隣には、いつの間にかウンディーネが居た。彼女は男性の様な身なりをして、三つ編みをしている。その後ろから同じ格好で、フィーナが歩いて来て、やはり僕の横に来る。
「彼女たちは、一応お客様だからウンディーネ、貴方が出て言ってはダメです。ハヤトやルイスたちに任せないと」
「じゃ、主様なんとかして!」
僕の方を見て少し厳しい顔をする、ウンディー。そんな僕とウンディーネを見てフィーナは微かに笑い声をだして笑っている。
「クスキはちゃんとスフィンクスにやり込められているから今回は問題ないよ。でも、スフィンクスから何か言われたら対応はする。それより僕らは訓練でしょう? そろそろ行こうか?」
「そうですね。参りましょう」「はーい」
建物の外の馬小屋では、オリエラとウイッシュ王子が、馬の前でいろいろ話している様だ。初々しい。
稽古の場所には先客のミッシェルとシルエットがいた。ミッシェルは、暇を持て余したシルエットに、戦いの稽古を見て貰っているとは聞いていたが、僕たちがあぁだこうだやっている。そのあいだ中も相手稽古していた。
基礎が出来ているミッシェルから、息も絶え絶えでも出来……いや、きついは、きついか、大変そうだ。
「ミッシェル、シルエット! 休憩しょう。そろそろお茶の時間だよー!」
僕たちは食堂へ向かう。
「ミッシェル、だいぶ動きに無駄が無くなったって来たね。シルエットは結構、鬼教官で戦い続ける必要があるけど」
「そうなんですよ。戦闘が続くって事で、ちょっと最近自信がついてきました。最初なぜ僕なのか? と悩みましたが続けて良かったです」
「やっぱ見込みがあるからでしょう?」
「いえ、違いますよ。最初、シルエットさんはぬいぬいに手合わせをする様に、口説きに行ったらしいですが、『お前に対して、俺の手札をみせるわけないだろう?』って言われて断られて。ルイスさんは、シルエットさんが『あの子はさも、わかりました。って物分かりのいいふりをするけど、負ければ即座にに努力をおしまず修正して来て最高の状態にすぐ仕上げて、私の気分じゃない時に戦いましょうとか、言って来そうだから嫌なのよ。私の時間は私が決めるわ』で、NGみたいで」
「まぁ……うん。否定はしない。あれ、僕は?」
「あぁ……フィーナさんは、結構やきもちやきそうって言ってましたね」
「そうか……フィーナが」
「惚気るなら、向こうで………………僕もとても綺麗な女性にいつも、声かけられるんですっていいですかね?」
「僕がシルエットに毎回、戦闘訓練の誘いを受けるって君に言ったと想像すれば?……でも、肝心はシルエットが聞いてどう思うかだけど……」
「う……ん、普段言わないで、死の間際に凄く言うようにします。もしかしたらシルエットさんが、その時、今のままの美しい姿で来てくれたらうれしいし」
「なんか、夢あるよね……。それは」
そんな事を言いながら食堂の調理場へ入ると、朝食後、全ての棚を開けて確認していたルイスを見たが、調理場が驚くほどきれいになっていた。
「ハヤト、棚の中に缶詰など保存食を見つけ、王子とウッリマリアにも礼儀で確認しましたが、食べて良いって事でしたのでしばらく食事が豊かになりますよ」
そこへシロスが、カモを仕留めて来たらしく。軒先に吊るしたらしい。異世界では、皆、耐性があるのかみんな初めてないよで皆、落ち着いている。
その後、夕食の時には貴族も狩りをするし、ウイッシュは慣れた手つきで手伝い。オリエラも懐かしいそうにそれを見ていた。
つづき
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる