魔王がやって来たので

もち雪

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女王のおさめる国にて

ひと時の安らぎ

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 仮住まいの夏期練習、今日の朝ごはんも、かたい保存食。シロスが今日、何か狩って来てくれるらしいので、楽しみにしよう。

 だから干し肉のかたさを忘れるために、村とキャラヴァンであった事の報告をぬいぬいにした。

 ぬいぬいは始終、目をつぶり肉の味を噛み締める様に聞いていた。

「俺の人選の候補は、ルナ、スフィンクスが教会でセーフゾーンを作り、最悪の場合は王子は逃げ込む事、女王も教会をすぐ敵にまわす決断は出来ないだろう。

 そしてフィーナはまわりの拘束要員で、城下町、そしてそれは俺もだ。弓避けで空を覆う。ウンディーネは城の中に。ミッシェルとルイスは城下町に欲しいが当日次第だ」

 そしてぬいぬいは、シルエットをみた。「シルエット、すまない助けて欲しいが羽を出さないでおくことは可能か? 人間は弱い。見た目だけに怯えるのだ」

「あら、私にその事について気を使ってくれるのね。その気持ち大切だと思うわ。私のが強者であるのと、だから無礼に怯えてる事を許せって事は、私にとって違うもの。それがわかっているならご褒美に、少しだけ手伝ってあげるわ。もちろを羽を出さないでね」

 シルエットは、そう言うと、彼女は妖艶に笑う。赤い瞳は、僕らを挑発する様に怪しくきらめくのだった。
 
 ムーンドイルまで向かうまでの1日、正解には2日。
 移動手段を考えると、ゆっくり出来る時間はだいぶ限られていた。

  その間に、特に何かあったわけではない。皆、それぞれ気ままに過ごしてした。

 まずクスキとスフィンクスがわちゃわちゃやっているのに、シロスが巻き込まれていたのを見た。
 
 スフィンクスがルナの横で、寝ていた。
 あどけない子供の寝顔だ。

 そこへクスキがやって来て、スフィンクスの背をなでいて、スフィンクスも気持ち良さそう撫でなれるままにしていたが……。

「頭も撫でて」
 と、言ってクスキを見た時、誰? ああ……新しい人か、の、間があったのち「やぱり、いい……マスターに撫でて貰うから……」と、言ってルナの反対側へ逃げてふたたび箱座りする。

「遠慮するな、頭も撫でてやるぞ」
「いや」
 それをクスキを探しに来たシロスが飛んで来て、あいだに入る。

「すみません。スフィンクス様、ルナ様、クスキが何か無理な事を言ったでしょうか?」

「今、撫でて欲しくない気分なの」
「スフィンクスは、教会では私の仕事のパートナーとして、触られるのも大丈夫のようですが、プライベートの時はいやなのでしょう。お姉さんに撫でられるのを断っていただけですよ」

「クスキ、なぜ、大精霊様やスフィンクス様に、迷惑ばかりかける!?」

「迷惑などかけていないが、大精霊様やスフィンクス様にお近づきになれるチャンスだのだぞ? お前も触れてみたいだろう?」

「それは……」

 二人のやり取りを見ていたスフィンクスが、ルナの横から立ち上がり、クスキからすごーく、距離をとりシロスのもとへ行き、クスキの逆側に箱座りで座る。

「シロスは、撫で撫でしていいよ」

「なぜ? シロスだけなんですか?」

「シロスの事ちょと好きになったから……」

「なら、私は?!」
「………………」

「辞めないか、クスキ、失礼します。スフィンクス様」
 と、うれしそうなシロスとスフィンクス。

「ああぁ……」と、立ったまま、頭を抱えるクスキ。
 ルナは、そんなクスキを慰めているが、よっぽどスフィンクスに触りたいのだろう。クスキはうわの空で、相打ちをうっているようだ。

「やはり新しい子分には、教育が必要。ルイスは何をやっているのかしら? やはり私があの子を教育するべきかしら、どう思う? 主様」

 2階の階段の柵の僕の隣には、いつの間にかウンディーネが居た。彼女は男性の様な身なりをして、三つ編みをしている。その後ろから同じ格好で、フィーナが歩いて来て、やはり僕の横に来る。

「彼女たちは、一応お客様だからウンディーネ、貴方が出て言ってはダメです。ハヤトやルイスたちに任せないと」

「じゃ、主様なんとかして!」

 僕の方を見て少し厳しい顔をする、ウンディー。そんな僕とウンディーネを見てフィーナは微かに笑い声をだして笑っている。

「クスキはちゃんとスフィンクスにやり込められているから今回は問題ないよ。でも、スフィンクスから何か言われたら対応はする。それより僕らは訓練でしょう? そろそろ行こうか?」

「そうですね。参りましょう」「はーい」
 
 建物の外の馬小屋では、オリエラとウイッシュ王子が、馬の前でいろいろ話している様だ。初々しい。

  稽古の場所には先客のミッシェルとシルエットがいた。ミッシェルは、暇を持て余したシルエットに、戦いの稽古を見て貰っているとは聞いていたが、僕たちがあぁだこうだやっている。そのあいだ中も相手稽古していた。

 基礎が出来ているミッシェルから、息も絶え絶えでも出来……いや、きついは、きついか、大変そうだ。

「ミッシェル、シルエット! 休憩しょう。そろそろお茶の時間だよー!」

 僕たちは食堂へ向かう。
 
「ミッシェル、だいぶ動きに無駄が無くなったって来たね。シルエットは結構、鬼教官で戦い続ける必要があるけど」
 
「そうなんですよ。戦闘が続くって事で、ちょっと最近自信がついてきました。最初なぜ僕なのか? と悩みましたが続けて良かったです」

「やっぱ見込みがあるからでしょう?」

「いえ、違いますよ。最初、シルエットさんはぬいぬいに手合わせをする様に、口説きに行ったらしいですが、『お前に対して、俺の手札をみせるわけないだろう?』って言われて断られて。ルイスさんは、シルエットさんが『あの子はさも、わかりました。って物分かりのいいふりをするけど、負ければ即座にに努力をおしまず修正して来て最高の状態にすぐ仕上げて、私の気分じゃない時に戦いましょうとか、言って来そうだから嫌なのよ。私の時間は私が決めるわ』で、NGみたいで」

「まぁ……うん。否定はしない。あれ、僕は?」
 
「あぁ……フィーナさんは、結構やきもちやきそうって言ってましたね」

「そうか……フィーナが」

惚気のろけるなら、向こうで………………僕もとても綺麗な女性にいつも、声かけられるんですっていいですかね?」

「僕がシルエットに毎回、戦闘訓練の誘いを受けるって君に言ったと想像すれば?……でも、肝心はシルエットが聞いてどう思うかだけど……」

「う……ん、普段言わないで、死の間際に凄く言うようにします。もしかしたらシルエットさんが、その時、今のままの美しい姿で来てくれたらうれしいし」

「なんか、夢あるよね……。それは」

 そんな事を言いながら食堂の調理場へ入ると、朝食後、全ての棚を開けて確認していたルイスを見たが、調理場が驚くほどきれいになっていた。

「ハヤト、棚の中に缶詰など保存食を見つけ、王子とウッリマリアにも礼儀で確認しましたが、食べて良いって事でしたのでしばらく食事が豊かになりますよ」

 そこへシロスが、カモを仕留めて来たらしく。軒先に吊るしたらしい。異世界では、皆、耐性があるのかみんな初めてないよで皆、落ち着いている。
 その後、夕食の時には貴族も狩りをするし、ウイッシュは慣れた手つきで手伝い。オリエラも懐かしいそうにそれを見ていた。

  つづき
 

 
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