魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
217 / 292
新しい若き王とともに

ハーピーのクエストの残念な結果

しおりを挟む
 ルイスは、晩御飯に合わせた様に、城から帰ってきた。きっと僕らの様子を、世間話として確認するために、晩御飯時に帰れるように仕事を済ませ帰って来ている。彼はプロで、とても律儀だ。
 
 彼は玄関で、俳優やモデルのようにコートを脱ぐ。僕はその時、2階から降りて来て、彼を何気なく見ていた。
 
「ハヤト、用はなんですか?」

 さすがルイス、なぜ、僕の何気ない気配と、動作でそんな事までわかるの? 執事の修業に読心術とか入っているの? 僕は彼に聞いて貰うべく、用意に急がねば。

「待って、ちょっと取ってくる」

 僕はリビングの書類入れから、ギルドで受け取った書類を慌てて持って来て、調査書をそのまま差し出す。彼の方が書類についても明るいので、その方が絶対早い。

「帰って来たばかりでごめん、これ見て」

 僕は渡した後、シマッタ! と、思った。彼は疲れているのにも関わらず、その場でその書類について1つ1つ丁寧に確認をしながら見てくれていた。合わせて、申し訳ないと思ったが態度には出さなかった。彼の望む勇者は、態度にはださなそうたから……。

「ギルドクエストで調べた結果、魔物のハーピーが保護地域を未確認の理由追われ、そこにはクエの依頼者の家が建つている。しかしその経緯さえもまだ未確認。いきなり住処を追わた害鳥である、ハーピーをどうするべき? そのヒントは2の未確認事項を解き明かすべきなんだけど……役所では担当者が不在らしく、わからない状態なんだ」

 彼は、書類を僕に返しながら言う。

「なら、城への環境省へ行きその地区がどういう扱いなっているか調べに行ってみては? 後、その屋敷を建物を建てた建築家、不動産なりを調べみればどうでしょう? ところで、なぜ、まだそんな仕事を? 『海の事は漁師に問え』と、いいますし貴方の仕事ではありませんよ」

「まぁ、そうだよね。ありがとう! 一度ギルドに任せてみる。お礼と言ってはなんだけど、良かったらルイスも肉まん食べて、お土産で買ってきたから」

「ハヤト、美味しいからと言って、同じくものばかり食べていてはダメです!」

「わかってる。ヤトにもまたって言われちゃったしね」

「ヤトがそんな失礼な事を言ったのですか!?」

 大きな声に放り向いたら、そこにセシルが青い顔をして立っていた。彼女たち不遇な育ちであるが、それでも彼女たちの使い道を考えてか、教育しっかりと受けていたようで、その淑女である彼女の足音を見逃していたらしい。

「栄養管理は、彼女の大切な仕事だからね。けど……。逆に、セトはこの先メイドとして、調理の仕事を目指しているのかな? そうならよそで働いた時のため、彼女の言葉使いについては改めるよう伝えていく。しかし街のレストランであれは彼女の性格は、魅力の1つだと僕は思っているよ」

「そんな事まで、していただかなくても大丈夫です。私が躾ます」

「ハヤトのお節介は、性分の様なのでセシルも諦めたほうががいいですよ」
 
 そうやってにっこり笑うルイスに、セシルは逆に戸惑ったようだ。なかなか、珍しい。結局、ルイスとセシル、セトの3人で話しをして誰かが納得する形になるだろう。
 
 そして僕もルイスの助言を受け、自室へ籠りするべき事を手帳と、ギルドに渡す書類として書き起こした。そしてハァーとため息をつく。この国の言葉には、まだなれない……。そして椅子を引き、手紙を持ってミッシェルの部屋を訪ね、扉を叩く。

 「はい……」と、用心するように、ミッシェルがシルクぽいパジャマを着て出て来た。そして僕の顔を見て少し安心し、少しがっかりする。その気持ちは僕も何となくわかる。

「ミッシェル、これ今回のクエストの報告書を書いてみたんだけれど、これをいい感じに清書して欲しい」

 ミッシェルは、報告書を僕の前で開き、目を皿の様にして見る。

「ハヤトさん、ところどころ読めない文字があるんですが……」

「あぁ、もといた世界の文字が入ってるかも? それはそれで頑張って!」

「ウンディーネを励ますように、言わないでくださいよ」

「ごめん、ごめん。しかし書くって事は日常やりなれていないし、こっちの言葉に文字まで自動変換されてしまうので、本当に文字をこちらの言葉だけで書くのは難しいんだ」

「わかりました。でも、この面倒くさそうな案件を続けるんですか?」
 
「ルイスと同じような事言うんだね。不正とかあったら困るからね。まぁ念のため」

「ルイスさんが言うなら、終わるべきでしょう」

「彼は自分の仕事は、数とカウントしないってのは言い過ぎだが、僕が手放すとこれルイスの所まで上がってしまいそうな気がするんだよね。あくまでも感、だけどね」

「ハヤトさん、ルイスさんに似てきました? 先を見越して全てをやれるのは、ルイスさんだからですよ」

「だから、そんな彼を休ませに、こっちは頑張ってるの。よろしくー」
 そんな軽い調子で押し付けた。
 
【ハーピーのについての経過報告】

 ハーピーは、そもそも保護地域の森、現在依頼主宅にて守られる(隔離される)存在だったようだ。

 保護地域がどんな過程を経て、一個人の自宅になった経緯も不明な為、ハーピーをこの国が、現状でどう捉えているかの把握が難しく。

 これ以上のクエスト続行は困難であると結果を出した。

 その為、ここでクエストの1番目の過程は一時、終了とする。

 しかし我々、勇者パーティーはこの事態を重くみて、保護地域がどんな経緯を経て、一個人の住宅になったのか日時を定め、結果報告を希望する。

              ☆
 
 今回からは大変、残念な結果であるがクエストは一時、中断となってしまった。こういう事もある。
 
「あっちょっと待って下さい。今日の午後の受け取りに行ったクエストの依頼書出しますから」

「それは明日にしょう」

「僕がこれからこれを清書するのに?」

「あ……。はい、新しいクエストを下さい」
 
 そしてまだ僕の今日の仕事は、まだ続く様だ。
 
     続く
 


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...