魔王がやって来たので

もち雪

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新しい若き王とともに

尋問

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 ストーマンてどんな魔物だろうとクエの狩場に向かっていた僕たちに盗賊が襲って来る。盗賊はサクッと捕まえはしたが、その後にも馬車はすぐに走り出す事はなかった。

 馬が暇を持て余している馬車の中、子どものようなぬいぬいお兄さんと、甘美な美しさを誇るシルエットお姉様が、盗賊に今回の事件のあらましについていろいろと聞き出してくれた。

 そして彼らは二人の組み合わせに驚いて、ベラベタ話をしてくれた。そう公式発表ではそう残してほしい欲しい、是非に。
 
 彼らの話しを総合すると、酒場で男たちに声を掛けたのは、帽子を深くかぶった男だそうだ。標的1人に対し、この国の生活費一カ月くらいの料金らし。全額を、犯人の人数で割った額で仕事を請け負ったようだ。
 
 ――俺たちの命やっすー!

「で、前金はいくら?」

「俺は10万だ」
「おい! 俺は5万だったぞ」

「そうな揉め事は、刑務所でやっていろ。必要な事以外が話すな!」
「随分安いお金ねぇ? 普通だったら死んでたわよ? 墓を建てるのにも足りないわ。 大丈夫?」

 ――う……ん、勇者パァ~テェ~。

「この中で、ちゃんとした殺しのエージェントが仲介に入って居る人ー? って言っても、言わないか……。シルエットのお姉様、少しお力をお貸しください」

「だって」

「「入ってません」」

 セクシーな太ももがあらわになる、スリットの入った衣装をお召しのシルエットお姉様は、ちょっと飽きてきてしまったようだし、黒いヒールはボロボロになってしまったし仕方ない。なので、今度は彼女の特殊能力を、雑に使いだした。彼女自身は箱の上に座り、小さなあくびをする。まるで気高い猫のように。

 しかしぬいぬいは尋問の手を緩めないし、僕も参加する事になる。その方が効果が高い。

「では、次は成功報酬の受け取り場所は? 言わないなら、その状態のまま置いて行きます。たぶん狼や盗賊居なけれ普通に帰れるでしょう。はい、あなた!」

「言うわけ無いだろう。バーカ」

「ぬいぬい! このペンで盗賊注意って、この人以外に体の全面に書いて下さい」

「顔もか?」

「顔は、大事!」僕は大きく頷く。そして1人書かれ居ない男に、「貴方が言わなけれ続きますよ」と語りかける。

 もちろん男は軽くそっぽ向く。
「…………」

「なんで、そいつだけ!?」「おい止めろ」と、うるさいだけで男は喋ろうとしない。
 
 そして書かれる男たちが、うるさくなっただけの状態になっている。そんの男たちをツタで拘束していく。口封じと、ぬいぬいに怪我をさせないようにだが……。

 この後、話さない男に話しても、話さなくても貴方恨みをかってやばいじゃないですか? ギルドか騎士団に保護して貰ったほうが身のためですよって言おうと……として、本当に僕の一言で恨みを買ってやばい事になったら……と考え、倫理的にやめた。だから無駄に落書きされた人々が作られている。

「大丈夫だ……。 俺は字と絵は得意だから、一生、消えなくも大丈夫なくらいには、芸術的に書いてやる」

 そうなんか、凄みのある怪し子供(ぽく見える)ぬいぬい、彼は古代魔法の魔法陣を書き出す。
 黒魔の衣装と、よどみのないペンさばきで作られる、謎な文章の走り書き。この世界の魔法想像力次第で結構なんでもありなので、男たちは明らかに凹み、やがて観念したようだべらべら話しだした。
 
 そして話を総合すると、街の外で再び会う手はずになっていたらしい。僕らの生死かかわらず報酬を貰え、僕らの内、誰かが残っていたら、その場で交換の手はずだったらしい。

 「絶対、この後、完全な口止めで、殺される筋書きー!」そう思わず言ってしまう。そした男たちは「えっ……、なんで……」と、つぶやくが、僕も少しイライラしてたので思わず「魔王倒すため結成された勇者パーティーと街のゴロツキたち、貴方がたはどっちを標的にしますかって話ですよ」と、言うと皆が「えっ……」などのつぶやきくともに青ざめた顔をしている。

 さすがに可哀そうになり少しだけ、良心が痛んだ。そしてすぐ忘れるよう努めた。今回標的が僕らだったから可哀そうなだけだ。被害者が他に出なかっただけ良かった、もう彼らの事を考えるのは僕の役目ではない、僕には次の役目が別にできた。

「じゃ……そこへ乗り込むか」
 
 まずは、生命の危険原因は排除しなければならない。その謎の男を。ギルドクエスト遂行も大切だが、今回街にだいぶ根付いて行動しているため、三姉妹や、王宮の人々も巻き込む事になるかもしれない。そう考えると優先順位1位に繰り上がる事のなった。
 
            ★

 そして待ち合わせの、街の近くの草原の中にぽーつんとある岩場。見通しがいい、僕からでも、相手からでも。

 そこで僕1人だけで待っていると、男が馬に乗って現れた。
「仲間はどうした?」

「あの冒険者パーティーなんだ? 走る馬車に火をつけて燃やしたのに、炎に巻かれても2人も生きてやがった。そして俺たちは奴らに負けた! 聞いてない、聞いてないぞ!」

 そう言って男の襟首を、掴んで引きずり落とす。
「離せ?!」

「なら、離すか……」

 僕が、離れた事によって、男の足にツタが絡まり勢いを増す。そして拘束した男砂利だらけの地面にひざまずかせる。

「貴方は誰ですか? って言ってももう話せないか……」
 
 彼は口元までツタに絡まれ「ウーーン!? ウーーン」と言う事しかできない。魔法の水を打ち上げて、迎えの馬車にその男を新しい乗客として迎え、馬車は出発した。

 僕は馬車の端っこで、借りた服と帽子を、持ち主に向かってどんどん放り投げる。縄でつながれた男たちが、僕を恨めしい顔で見るが臭いのは僕のせいじゃない。

「借りといてなんですけど、酒臭さ過ぎですよ! 絶対禁酒した方がいいですよ!」

 そうかれらに文句を言う。そこから、ののしり合いが始まって一層迷惑した。僕はもう火にあぶらを注ぐわけにもいかず、黙って座り足を伸ばした。

 そして騙されて勇者パーティーなんてやばい、パーティーを襲う事になり散々痛い目をみた盗賊が、醜くののしり声をあげる。謎の男を蹴り出そうとし始めて本当に醜い。
 
 しかしそこに黒のスリットのロングスカートとボロボロのヒールのが視界に入る。上を見ると、やはり腰に手を当てたシルエットで「次がどの子が踏んでほしいの?」と言う、お姉さまの一言で、皆だまった。

 そして馬車は城の前へと到着したのだった。
 
 
 続く
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