魔王がやって来たので

もち雪

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新しい若き王とともに

ふたたびしばらくの城暮らし

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僕らを襲わせた黒幕と、ハーピーのクエストの依頼者が繋がっていた。もうめんどくさい関係者全員捕まえて牢屋に入れよう。驚きとうんざりって気持ちが、僕の心の中で静かにワルツを踊っている。

「ホクレン家は問題のあったギルドクエストの依頼主だよ。ハッピーの保護区だった場所が不当に売買されてしまった件について、ギルドに土地の所有の売買情報について調べ貰っているところで、件で身に覚えはある。でも、正直言って不当売買って、人を殺してまでして隠さないといけないものなの? って気持ちはあるよ」

「ほぉ……」
 そう言ってウッリマリア、ホクレルの私兵を見る。
 彼は視線を動かさず、腕を机の上で組み、聞いてない振りを決め込んでいる。
 
「お前にギルドの職員に、知り合いは居るか? 例えば勇者一行が、今日どこのクエストヘ行くとか教えてくれる友達だ」

 ウッリマリアは、取り調べでは今のところ淡々とした口調で話しかけている。まぁ、いつもの調子だとなかなか話は進まないだろうが。

「…………」
 彼はウッリマリアが何を言っても微動だにしない。訓練されているのか、単に知らないのかさえもわからない。

「待って、ウッリマリア、僕らの情報ギルドが流してるって、ギルドも結託してるって事?」
 
「お前たちの向かった先に現れたなら、そう言う事だろう? ぞろぞろと尾行していたと思っていたのか?」

「そうなんですか?」

 ギルドが悪人と結託など、今までのギルドでは考えられない事だ。僕は馬鹿正直にその事についてホクレルの私兵に問うが、彼は横を向くだけでやはり返事はこない。 

「ハヤト、ギルドの受付のやり取りで変わったことはなかったか?」

「それはミッシェル、彼が手続きを今日もやってくれるてるはずなので、まだなんとも。……ギルドが盗賊に手を貸したのなら、今のミッシェルも身の安全について大丈夫でしょうか?」

「大丈夫ではないかもしれません。しかし権力に近しい存在とわかりやすい、ルイスや、ルナのような存在に攻撃を仕掛ける事は、新たな敵を作り出すだろう事くらい、ホクレルの当主も理解しているでしょうが……」

 フィーナが、僕の意見を補足するように、僕とウッリマリアに向かって話す。

「それについては、念のために今から動いた方がいいだろ。うちの兵士を今すぐ向かわせる。後、ホクレルの当主から話し聞く名目で彼の屋敷に押しかけるようにしよう。同じくギルドも」

「お願いします。証拠を隠滅されるまえに。しかしギルドの仕事を今、滞らせたら魔物について困りませんか?」
 
「そんなのは上がなんとかするだろう?」
 
「なんとかって……」
 
 しかしギルドが深く関わって悪事を働いているとなると、関わる人間の多さから巻き込まれる人数も増えてしまうだろう。

 僕らは死ぬ事はなかったが、いつもそうとは限らない。やはりギルドに巣くう悪があるのなら、早い内に取り除くべきなのだ。さすがにギルドという組織が腐敗し、こちらに悪意が向けられては数と手かずの多さには勝てないのだから。

「そしてお前たちだな、さすがクエスト終わりや夜中まで気を張っていられないだろう。夜までに寝る部屋を用意する。それまでに準備を整えるといい」

「ありがとう心遣いに感謝します。」

 僕らは城暮らしに逆戻りとなってしまった。ゲストルームの4人部屋だ。豪華なシャンデリア、寝室は各自、区切られていないが見えない配置になっている。豪華な装飾はないが、壁紙や絨毯が落ち着いた色調てまとめられている。
 
 素敵! 思わず乙女心が発動してしまう。

 そして窓の外を見る……? 見た事のある景色。

「懐かしいだろうお前がしばらく住んでいた部屋の上の階にしてやったぞ」

「あぁ……そう言えば僕は城住まいをしていたね。しかもここの……忘れたい過去過ぎて、城暮らしにカウントしてなかったけど……」

「あれでも他国から来る士官クラスの警備兵を泊める部屋だぞ贅沢な。その話しは置いておいてお前も明日、ホクレルの屋敷に同行する事になったからな! じゃあ、また明日」

 彼女は、そう言って扉を閉めたのだった。

 ……何で僕も?

     つづく
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