魔王がやって来たので

もち雪

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新しい若き王とともに

罠と負傷

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 暖炉が赤々と燃えている部屋で、僕ら男4人は顔を付き合わせて朝飯を食べるている。
 
 今日の朝食のメニューは、目玉焼きとほうれん草を茹で、バターと塩で調理したものと、なんと言ってもライス。ご飯だ。

 ご飯だなんて、久しぶりに食べた。白米がこんな甘い……、いや、そんなでもないか、日本の米より少しパサパサしているような気がする。

「どうしました? ハヤト、久しぶりのお米ですよ」

 そう、箸遣いも完璧なルイス言った。彼は勇者に詳しくので、もちろん僕が以前の勇者の様に白米を食べる事は知っていってくれているのだ。

「やはり、僕の国のお米とは違うんだ」

「そういうものですか……、私たちで言うとフィシュアンドチップスにポテトの代わりに、サラダが付いて来た感じなんでしょうね……」

「ルイス、共感してくれるのは嬉しいけど、それ全然違い過ぎじゃない? 品種から違うよ?」

 と、話していた時、僕は扉に視線を向ける。

「どうした?」「どうしました?」の声の後に、ウッリマリアが、ノックをせず扉を開ける。そして僕らの前にツカツカと歩みより――。

「喜べ! ホクレルを捜査する為の令状が出たぞ!」

 そう嬉しそうに、僕らに知らせる。彼女は今日もまぁハンサムで、男前だった。

 僕にしてみれば相変わらずだなぁ……と、いう感じではあったが、やはり他の3人の感想は違うようで。

「いやいや、異性の部屋にノック無しはおかしいでしょう?!」「お前、正気か?」「ウッリマリア嬢、私たちにも私生活と言うものがありまして……」

 一斉に話し出して、大変うるさかったが――。

「卿たちは私の友も同然、いや、親友と言っていいだろうだから気にする事など何もない」

 そう、ウッリマリアは広い心で言うのである。そんな大自然の様な彼女の前に、我々人間は沈黙するしかないのである。

       ☆

 大自然の様なウッリマリアは、台風の様に僕らを掻っ攫ってホクレルの屋敷前に連れて行った。
 
 馬車に乗って居る間は、オリエラに「師匠たちどうしたの? なんかあったの?」と、聞かれはしたが、すぐに復活した世間にもまれて育ったミッシェルが、「聞いてくださいよ」と口を開き、女性陣もだいたいの話を知る事となった。

 しかし男前なウッリマリアには、皆、好感を持っているので、繊細なルイスやぬいぬいが、余計無口になっただけの結果におわる。

 そんな僕らはホクレンの屋敷の前、ウッリマリアに後押しされて来たけれど、ぬいぬいと、ウンディーネは幌馬車から出ない内に狭い幌馬車内で、前衛では無い2人には危険過ぎると、早々に戦力外通告を受けてしまう。

 そしてシルエット「私が2人を守るわ」と、彼女も最強の戦力が離脱したである。

 周りが、大勢の兵士で固める中、ギルドへの調査と同時に、僕らは黒幕と思われる屋敷へと侵入する。

 まず、玄関を開けた執事を捕まえて、兵士が事情を聞いて居る間に、僕らはどんどん屋敷の奥へ侵入していく。

 見せられた見取り図には、2階に執務室があるはずで、一階のホールからそのまま階段へゆっくりと進む。よくある屋敷の中へ潜入するアドベンチャーゲームと、同じ作りの屋敷で、見知った感があり、2階へと上がり、左へと手すりの横を通り、そして目前のドア見て右に行く。

 そして突き当たりの部屋。ウッリマリアが、ドアノブを回して開けていく。

 ――えっ? 紐? 部屋の中にドアノブの辺りから横に紐がたるんだ状態で見えた。しかし開けるとともに、ピ――ンと糸のたるみはなくなってきたのだ。
 
「閉めて!!」
 僕は手を前に突き出し、シールドを作りつつ、ウッリマリアを引っ張る!

 バアァ――ンと、音をあげて扉は爆発したのだった。

「ヴァ――アァ?!」僕と、ウッリマリア足に激痛を感じのたうちまわる。シールドの隙をつく戦力に、僕らはなすすべなく倒れた。

「なんだ!?」「どうした?!」足音が響く。

「衛生兵の準備を急げ?!」「早くこの作戦の担当の騎士を呼んでこい!!」「早く怪我人を」

 うう……っと起き上がり、回復の魔法をかけるべきだ。視界はグラグラして、思考はまとまらない。
「辞めて下さい。その状態で集中力の必要な魔法は危険なだけです」
 僕を見つめ処置を施してくれていた兵士が、僕の手を下におろした。

「そして私たち技術でも、無駄に時間をかけるだけです。ルナ様のもとへ運びます。舌を噛まないように気をつけて。後、ウッリマリア様もご無事です」

「そうか、良かった……」
 彼は僕を刺激しないように、静かに言った。その気遣いを知っていていても、僕は混乱していた。頭の中には何故こんなことに? 原因を探し心の中で苛立っていた。

「罠が仕掛けらている気をつけろ!」

 辺りからの、声が飛び交うが、まだ他は爆発してない様だ。この館の主を捜査する司令官だけ、潰しに来たのならなかなか度胸が座っている。

 白い腕章を付けた4人がやって来て、僕は担架に乗せられて運ばれる事になった。みんなが青ざめた顔で見ている中を運ばれていく。

 フィーナも同じく、顔は青い顔をして僕を見ている。そして彼女の形の良い眉が少し動く。彼女は僕の代わりに、2階のあの奥へ行くのだ。そうわかった。
 
「気をつけて」
「はい!、では、行きましょう」

 彼女と別れた僕は悔しくて、歯軋りしそうな思いをこらえながら、担架の上に乗って一時撤退する。

 やはり僕の回復魔法は、後、一歩、一時しのぎでしかない状態から抜け出せないのだ。

 自分自身への怒りを抑えてながら、僕はルナのもとへ乗せられていく。

    続く
 

    

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