魔王がやって来たので

もち雪

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魔界の新たな闇

会議の突然の終結

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 全体を真っ黒で彩られた魔王城で、明るいダイニングルームで、僕らと魔王が会議で同じ席についたのは決められた運命と言っていいだろう。もしくはそれぞれの性質上の成り行きか。

 では次の段階に進むとしよう。魔王に誰が事と次第を伝えるか。
 僕はルイスに頼んだ。

「はい、では失礼ながら」ルイスは立ち上がりそう言った。

 これは僕たちにとって、よくある事で驚くべき事ではない。 

「ハヤト、お前ではなくルイスが我に伝えるのか? 偉くなったな」

 そう言った魔王は、冷静で感情をのせず話す。

「いえ、ヤーグ様ハヤトが偉くなったのではなく、私の伝える技術がハヤトより素晴らしいだけです。予定では近いうちにコーヒーをいれる腕前もこの世界でベスト10に入る予定です」

 ルイス、凄い。言ってる事はわけわからないが、見栄えて言えば新しい大作ファンタジーの映像です。と言っても差し障りない美しさと、貫禄だった。

 しかしここである問題に気が付く。今はまだ起っていないが、起こりうる確率は多分にある事に……。

 あまりここで魔王に気に入られると、ルイスが鳥にされちゃうかもしれないという確信を僕は感じていた。 たぶん孔雀……しかもアルビノの白い孔雀で魔王がコーヒーが飲みたいなどの必要を感じた時に、歩きながら人間に戻る一生美しい執事。なにそれ凄く、格好いい。

 そう僕が思った時、魔王がめちゃくちゃ僕をにらんできた。そこで一同は、僕と魔王を見つめ息を飲む。


「僕の言いたい事はルイスが言ってくれました。僕はこの世界に来て足りない部分を助けてくれる仲間と、その仲間たちの力を信じる事知ったので間違いがあるとは思いません」

 僕は立ち上がりそう言うと……、魔王は落ち着いた様子で「そうか……」と、静かに言ったので皆、安堵の息を漏らす。

 だが、僕には聞こえていた。

 (「お前の執事を孔雀にしたあかつきには、お前えは朝を告げる雄鶏にしてやろう。良かったなお前の好きな適材適所だぞ!」)

 魔王、何故かやっぱり激おこだった。

 そしてルイスが滞りなく説明する。

 魔界から来た何者かが、人間の領主と手を組み何かを行った形跡のあった事を。

 そして彼等は何かを魔界から運びいれ、人間界で手広く商い、またはなんかの利益を得る行動をして、その地に根付こうとし、そして報酬を得ただろう推測を。

 しかし我々の介入を知ると、関係者の命を奪い、事件の終結を選ぶ残忍さと判断の早さを、彼は書類ととも説明した。

「これらの事実を見て判断すれば、魔界にすべての事件の筋書きを書いた人物ないし組織について心当たりはないでしょうか?」

 そうルイス魔王に問い、魔王は、一度、僕を見たのち
「心当たりはないと言わん。だがすぐにお前たちを差し向けて、差し障りがない者たちだとは、お前たちも思わないだろう?」

 ーーそれはそうだ魔王にも立場があるだろう。

 彼は守る者が多く出来た。よしのさんだけなら空へ逃がせば良かっただろうが今、そうもいくまい。

 だが、相手の目的も定かでないなら、標的は人間界だけとは限らない。でも、僕らとは立場が違い過ぎるのも事実だ。

「では、人間界と魔界の境の峠を越えただろう人物について教えてくれ。 どんな人物が動いたかこちらが知っても差し障りはないだろ?」

 ぬいぬいがそう言うと、魔王がため息をつく。

 魔王はぬいぬいの子どもの姿に、侮ったりしないしないようだ。

 彼は言った。「頻繁に人間界へ赴くのだ、狐の里の者だけだ」

 皆は、僕かフィーナを見た。僕はフィーナを見た。

 彼女は何かを考えるように、下を見ている。彼女のそのかたい表情から読み取れるものは少ない。

「フィーナ、お前は後で私のもとへ来なさい。ハヤト、お前はその後だ。ほかの者たち、お前たちに立場があるだろう。今回の話の事で、ルイスとともに一名のみ来る事を許す」
 
 そう言うと魔王は席を立ち消えた。

「フィーナ……」

 僕は彼女のもとまで行こうとしたが、「大丈夫です。魔王様のもとへ行って来ますね」彼女そう言い僕を止めた。

 しかし彼女の後ろに、ウンディーネがついていく。
「ウンディーネ……」

「ウンディーネが、ついていくのは当たり前でしよう」
 そういうウンディーネの強い瞳の輝きを僕知っている。僕はしずかに首を振る。

「魔王様が駄目と言ったら、入れませんからね」
 そう言って二人は仲良さそうに手を、つないで部屋から出ていった。

     つづく

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