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魔界の新たな闇
ふたたび落ちる穴
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魔王の城の僕らの部屋は、鮨詰め状態だった。
最初長椅子のソファに、僕を中心にルイスとフィーナ。
対面の一人ソファにはぬいぬいとルナがそれぞれ座っていた。
そして付いてきたウンディーネは、最初は入口近くのルイスのベッドでゴロゴロしょうとして、「ハヤトのベッドはあっちです」と、ルイスに言われ僕のベッ卜からの、スタートだったが……。
今では出来る執事と、魔王の部下は退き、魔王とよしのさんが僕の両脇に座っている。
ルイスは立ち、フィーナとウンディーネは、同じ四角の椅子に背中を合わせるように座っているが、やはりウンディーネは、失礼なほど魔王を見つめている。
魔王とよしのさん、この二人オーラというか、僕の場違いさが無性に落ち着かない。
「席を代わりましょう。その方が考えの違いが明確になります」
「気にするな」
「私が真ん中へ座りましょう」とよしのさんの調子に途方にくれていると、魔王が助け舟を出してくれる。
「部外者のお前が何故そこへ座る? この話しはあくまでもこいつら自身の話しであるのに、お前はそこへ座るのか?」
「本当に貴方は……」
そう言ってうるさい。しかし正直に言ってもうるさそうなので、そのまま続行である。
「では、どうやって、誰が侵入するかですが……。まずルナ入れない」
「そうですね、わかりやすく戦いになるまで、私も入ろうとは思いません」
「オリエラも難しい。そして置いて行くにはルイスが最適だが………」
「私は絶対に参ります! 私のような優男では御二人を一度に守れはしないでしょう……」
そう……彼は悲しげに言うが、ルイスは僕の旅の終点の地が、ひとまずは狐の里ってわかっているぽいので、演劇の締めの見せ場を最前席でみたいのだろう。
「私が残ろう。私が行けば、何もしてこない可能性がある。そしていざと言う時、最前戦へあのものたちを運ぶ事も可能だ」
「それしかないな、狐の里側での事は未知数である。だが魔王がいる事によって最前戦への新たな追加増員可能と言えば願ってない話だ。ありがたい話しで感謝痛み入る」ぬいぬいそういい、深く頭を下げる。
「では、よしのさんは私と行動してください」
「ああ、任せておけ鍛練の成果を見せてやる」
「あ……宜しくお願いいたします」フィーナの変な間には、穴だらけの魔王の間の事が浮かんだのではないだろうか? 僕は浮かんだ。
これで鳥に鈴は付けられた。長年一緒に暮らして来たフィーナになら、彼の突飛な行動にも対応出来るはず。
「次、泊まるどこにするかでしょうか? 今回の本命と言っていい白煙の宿に泊まるなんてどうでしょうか? きっと私たちを、もてなしてくれるでしょから、話しが早くていいと思いますよ?」
ルイスの選んだ舞台、悪の商人の宿(仮)。……時代劇みたいだな。
「いいなぁ、話しが早くて実にいい。そうするか!」
よしのさんは上機嫌でそう言った。
どうせ顔が知られているフィーナとなら、情報がすぐに伝わると考えていい。危険かもしれないが、遅いか早いかの違いだろう。
「そうですね。いいと思います」
サクサクと話しは決まる。いつもとそうかわからない。しかしいつもと違い心は重い真夏の炎天下に居るかのような気分だ。
「それなら……何かしらのアクションは起こした方がいいですね。あのお話に便乗してしまう事になりますが、墓参り。両親のお墓参りに行きたいのですが大丈夫でしょうか?」
「それは危険ですが、過去の事件のあらましがわかるのではないでしょうか?」 フィーナの意見に魔王は賛成なようだ。
そうかもしれない過去がわかり、彼女の両親を殺した人物についてわかる。
「お前たちと俺たちがバラバラで行動すれば、わかる事も増える。そしてお前らの一人の攻撃力が高ければ、集団攻撃に特化してそうな狐に打ち破る可能性も上がるかもしれない」
「でも、フィーナを危険にさらしたくない……です」
みんなが一斉に僕を見た。
「だが、彼女は新米勇者のお前より遥かに強い」
「わかってます。そんな事、そして彼女は危機に立ち向かって行ってしまうことも、でも……僕の未熟さが災いして、彼女を助ける事は出来ないかもしれない。だから、彼女が危険な行為をするそのまま見過ごすことだけはしたくない」
僕自身は、白煙の存在も怖くない。なんで、こうも彼女の事になると、理性のたががはずれてしまうのか我ながらわからない。
「もう、何故こうも魔王様やハヤトは、私に過保護なのでしょうか? 私は狐の里の1.2を争う能力を秘め、魔王の城では事務仕事なども全て引き受けておりますのに、しかし私もハヤトやみんなを守りたい気持ちは同じです。私だって引けませんよ!」
「だが、やつらに狙いには、お前の心は含まれない。狙いは白銀狐の血とお前の命だ。気を付けるにこした事はない」
そんな魔王に向かい。彼女は勇ましく「はい」と答えた。
僕はその時、自分自身の気持ちに溺れかかっていた。
彼女になにかあったら、僕は白煙の息の根を止めに行くだろう。
犯人か犯人でないかは、この際はどうでもいい。止めるものも同じくに、彼女のために泣いてるだけの、自分に耐えられない。
実に愚かだけど、僕は、僕の大切なものをいちど異世界に捨ててきてしまった。自ら望んで偶然そうなった。大切なのは彼女なんだ。
続く
最初長椅子のソファに、僕を中心にルイスとフィーナ。
対面の一人ソファにはぬいぬいとルナがそれぞれ座っていた。
そして付いてきたウンディーネは、最初は入口近くのルイスのベッドでゴロゴロしょうとして、「ハヤトのベッドはあっちです」と、ルイスに言われ僕のベッ卜からの、スタートだったが……。
今では出来る執事と、魔王の部下は退き、魔王とよしのさんが僕の両脇に座っている。
ルイスは立ち、フィーナとウンディーネは、同じ四角の椅子に背中を合わせるように座っているが、やはりウンディーネは、失礼なほど魔王を見つめている。
魔王とよしのさん、この二人オーラというか、僕の場違いさが無性に落ち着かない。
「席を代わりましょう。その方が考えの違いが明確になります」
「気にするな」
「私が真ん中へ座りましょう」とよしのさんの調子に途方にくれていると、魔王が助け舟を出してくれる。
「部外者のお前が何故そこへ座る? この話しはあくまでもこいつら自身の話しであるのに、お前はそこへ座るのか?」
「本当に貴方は……」
そう言ってうるさい。しかし正直に言ってもうるさそうなので、そのまま続行である。
「では、どうやって、誰が侵入するかですが……。まずルナ入れない」
「そうですね、わかりやすく戦いになるまで、私も入ろうとは思いません」
「オリエラも難しい。そして置いて行くにはルイスが最適だが………」
「私は絶対に参ります! 私のような優男では御二人を一度に守れはしないでしょう……」
そう……彼は悲しげに言うが、ルイスは僕の旅の終点の地が、ひとまずは狐の里ってわかっているぽいので、演劇の締めの見せ場を最前席でみたいのだろう。
「私が残ろう。私が行けば、何もしてこない可能性がある。そしていざと言う時、最前戦へあのものたちを運ぶ事も可能だ」
「それしかないな、狐の里側での事は未知数である。だが魔王がいる事によって最前戦への新たな追加増員可能と言えば願ってない話だ。ありがたい話しで感謝痛み入る」ぬいぬいそういい、深く頭を下げる。
「では、よしのさんは私と行動してください」
「ああ、任せておけ鍛練の成果を見せてやる」
「あ……宜しくお願いいたします」フィーナの変な間には、穴だらけの魔王の間の事が浮かんだのではないだろうか? 僕は浮かんだ。
これで鳥に鈴は付けられた。長年一緒に暮らして来たフィーナになら、彼の突飛な行動にも対応出来るはず。
「次、泊まるどこにするかでしょうか? 今回の本命と言っていい白煙の宿に泊まるなんてどうでしょうか? きっと私たちを、もてなしてくれるでしょから、話しが早くていいと思いますよ?」
ルイスの選んだ舞台、悪の商人の宿(仮)。……時代劇みたいだな。
「いいなぁ、話しが早くて実にいい。そうするか!」
よしのさんは上機嫌でそう言った。
どうせ顔が知られているフィーナとなら、情報がすぐに伝わると考えていい。危険かもしれないが、遅いか早いかの違いだろう。
「そうですね。いいと思います」
サクサクと話しは決まる。いつもとそうかわからない。しかしいつもと違い心は重い真夏の炎天下に居るかのような気分だ。
「それなら……何かしらのアクションは起こした方がいいですね。あのお話に便乗してしまう事になりますが、墓参り。両親のお墓参りに行きたいのですが大丈夫でしょうか?」
「それは危険ですが、過去の事件のあらましがわかるのではないでしょうか?」 フィーナの意見に魔王は賛成なようだ。
そうかもしれない過去がわかり、彼女の両親を殺した人物についてわかる。
「お前たちと俺たちがバラバラで行動すれば、わかる事も増える。そしてお前らの一人の攻撃力が高ければ、集団攻撃に特化してそうな狐に打ち破る可能性も上がるかもしれない」
「でも、フィーナを危険にさらしたくない……です」
みんなが一斉に僕を見た。
「だが、彼女は新米勇者のお前より遥かに強い」
「わかってます。そんな事、そして彼女は危機に立ち向かって行ってしまうことも、でも……僕の未熟さが災いして、彼女を助ける事は出来ないかもしれない。だから、彼女が危険な行為をするそのまま見過ごすことだけはしたくない」
僕自身は、白煙の存在も怖くない。なんで、こうも彼女の事になると、理性のたががはずれてしまうのか我ながらわからない。
「もう、何故こうも魔王様やハヤトは、私に過保護なのでしょうか? 私は狐の里の1.2を争う能力を秘め、魔王の城では事務仕事なども全て引き受けておりますのに、しかし私もハヤトやみんなを守りたい気持ちは同じです。私だって引けませんよ!」
「だが、やつらに狙いには、お前の心は含まれない。狙いは白銀狐の血とお前の命だ。気を付けるにこした事はない」
そんな魔王に向かい。彼女は勇ましく「はい」と答えた。
僕はその時、自分自身の気持ちに溺れかかっていた。
彼女になにかあったら、僕は白煙の息の根を止めに行くだろう。
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