魔王がやって来たので

もち雪

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魔界の新たな闇

我らは今だ、敵の胃袋の中

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　白煙の旅館滞在する事になった僕たちは一度、温泉を堪能してきた。

　温泉は、少しだけ高い位置に造られた露天風呂になっており、木々の向こうには連なる雪に彩られた山々が見える。あの山々の向こうに人の暮しがあるのだろう。

「前に入った温泉も凄いが、この温泉も凄いな」

　そう温泉に入り、そう言った彼の体は僕とは違い、傷だらけだった。

「あの……体の傷治さないんですか？」

「この傷か……」彼は深く考えこみ、「以前の傷はサラが全部治してくれたんだが、これはヤーグに付けられた傷だ。

　それを本人に治してくれって言うのは格好悪いだろう。

　しかしフィーナは今、俺にかかっている魔法がどう反応するか、怖いらしく何もしてくれない。勇者ってのは因果な商売たぜ」

　そう彼は言うが、勇者だからではなく彼が特別なのだろう。しかしそれをいうのも野暮だろう。

「そうですね」っと話しを合わす。彼は返事をせず、ただ風の音を聞いているようだった。

　その後、よしのさんは完全に寝ていただけと、発覚するドタバタもあったが、僕らは部屋に戻るっても、フィーナたちはまだのようだった。

　ウンディーネというわかりやすい、危険な存在を自分の旅館で暴れさせたくは思わないだろう。しばらく待つことにして、前勇者について観察するのもいいだろう。

　だからしばらくは、浴衣姿で窓ぎわの机に一緒に座り涼んでいた。

「さすがに温泉街のど真中に、怪しい施設はないな……まぁ、あったらヤーグがめぼしをつけているだろうからな」

「本命はフィーナの住んでいた山奥ですが……」

　ここで買った地図をみても空いた土地は多い。よしのさんは椅子に深く体を預け座っているが、考えているの顔なのか、ふたたび寝落ち間際なのか今だわからない。

「それも想定そのうちだろ、俺たちの仕事はおとりなんだから、夜と人気のない場所に注意していればいい」

　そんなわけで、僕がとても気にしていた就寝時の並び順も、僕とよしのさんとペアで見張りなので、ほぼいつもと変わらずのようだ。

「じゃあ、予定通りしばし温泉街観光でもしますか！」

　しばらくすると、フィーナたちも部屋に戻って来た。

　彼女たちの用意をしばし待った後、宿に出ると別館ルイスとミッシェルとぬいぬいが旅館の前で何か話し込んでいる。

　それにしても三人とも温泉入り、こっちとは違う浴衣のようだが、ブラウンの髪のモデルみたい紳士と後輩系癖毛の青年に、めつきが悪く貫禄のある少年。外側からみると、不思議な組み合わせだった。

「やぁ、そっちどうだった？」

　完全に怪しまれているだろうが、礼儀としてただの観光客を装う。

「あっ、ハヤトさん温泉は、電気や打たせ湯、サウナまでどれが一番良かったか話していたんですよーー、ハヤトさんは何が一番良かったですか？」

　ーーえっ？
「こっちは大自然風のくつろげる露天風呂と、サウナと、水風呂しかったけど……」

「あ……、こっちの露天風呂は、竹の柵に囲まれていましたからね」
　ミッシェルは、気の毒そうにフォローをいれる。

「おい、先行くぞ」

　よしのさんの一言で、僕ら温泉観光する事になった。
　
　平和は人間側の監視の目を緩める結果になり、狐たちは人間側の資源や文化、科学の知識などを得るために警備のきついムーンドイルを南下した場所に、住みかを築きいるのではないか？　そこでの資源の１つある薬を売り歩き人間界側の貨幣に変えているのでは？　という仮説をたて人間側独自だろうものを探し、狐の侵食具合を調べようとしている。

　しかし僕の世界のアイテムと思われるものも、多く流通しているため判別は難しいかもしれない。

　そして僕らが歩きだすと、ついて来るものがいるようだ。

「こちらが近道だ」

　そう言ってすぐさま、路地にはいりこむ。

「へーー」とか「そうなんですか？」と言いつつ、我々もついて行くと路地の奥まったところまで、その男2人ついてきた。

　こんなところまでのこのことついて来るものに、成果はないだろうなと残念な気持ちになりつつ、その男たちをツタでぐるくる巻きにする。

「わぁーー！？」「待って下さい怪しい者ではないのです。白煙様に護衛として見守るように仰せつかっているだけなのです！」

　そう言われ拷問してはかせるわけにもいかず、「そのご厚意はうれしいのですが、無用です。そうあの方にお伝えください」とフィーナが言うのとよしのさんのきつい忠告。

「一度は許すが、私が悪を働く者ですと、自分から言う奴はそういない次はないからな」

　そう三白眼で言われると迫力がやばい。

「わかりました。そうお伝えします」そう言うので、彼らを解き放った。ペコペコと頭を下げていく様子を見ると余計もどかしくある。

「じゃーー観光の続き行きますか」
　そして僕ら歩きだす。善良に見える人間が一番厄介た。

　　　　つづく

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