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魔界の新たな闇
これは言わずにはおられまい
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向日葵ちゃんに先導され、部屋へ通される。
「火鉢に火が入っているから、その傍へどうぞ」
そう言って、ちゃぶ台の上にどんどんお茶を置いていく。しかし赤ちゃんを抱っこしている為か、湊の前には置かないようだ。
あぐらだったり、正座だったり、四角い火鉢を囲んで座る。
「ここは湊の、お家なのですか?」
「ひげのおじが、お金を置いていったんだ。私なら祖父によって、取り上げられる事もないからね。そして予想通りなのか、予想外なのか、身寄りのない子どもを集める事になってしまった」
「やはり、ひげのおじが里を出ていたんですね。父と仲が良かったから……」
「それでフィーナ様は、湊様から何を取り上げようと来たんですか?」
嘆く、フィーナに向日葵はそう強く言い、それを聞いた彼女は少し固まった。
「向日葵よしなさい」
「だって白雪様も体調が目に見えて悪いのに、こんなのあんまりです」
あぁーーーー!
二人の声に驚いたのか、ふたたび泣きだす赤ちゃんの声と共に、となりのふすまが開く。
「喧嘩してるの?……」
ぬいぬいと同じ年頃の、いや、本物の小学校低学年くらいの少年が言う。
「そんな事ないよ、大きな声をだしてすまなかったねぇ。向日葵、すまないが郁仁とを連れて宵太を寝床まで連れて行ってくれないか」
「嫌です」
「向日葵……」
「い・や・で・す」
向日葵は横を向いたまま、そう繰り返した。自分の居ないうちに、自分の好きな男の未来が決まってしまってはたまらないだろう。
「よろしければ私が、彼と赤ちゃんの面倒を見ましょうか? 執事見習い時に、子守りをするためにナニーの免許を持っております」
「いいわね。行きましょう」
幸子が壁から、上半身のみだしてそう言った。
彼れらがふすまの向こうに、消えると子どもの声で、「湊様たち夫婦喧嘩中?」と、聞こえ「そうよ。好きな相手には甘えたくなったりするでしょう」と幸子が言いながら去って行く。
それを聞いた湊は額をさえたまま動かなくなり、そんな彼を向日葵ちゃんが大胆に観察している。
それを拝まされている、僕らの構図になった。
どうやらある程度、祖父のしていることについて察している湊と湊を守るためのみに動いてる向日葵ちゃん。
手強いのは向日葵ちゃんの方だけど正しさを理由に、先に湊を落とすと手っ取り早くはあるだろう。
しかし僕が尊重したいのは、向日葵ちゃんの方なんだよな……。
ルイスも、そう動いているし……。
とりあえず、まぁ、湊にまず確認するしかない。
「湊、まず意識確認をさせてください。こんな事を言うのはアレ何ですが、貴方の身に何かあれば最悪、命を共有している向日葵ちゃんは死にますよ? 向日葵ちゃんにとっては、そんな問題じゃないけど、君にとってはゆゆしき事態しょう? 君はもっと保身にはしってもいいと思うよ」
「ハヤト」「君!?」「彼氏さん」
「君とフィーナは、彼女の言った様に、セットにすると危険だ。くだらない狐の里の存亡に命掛けてしまう気がする。そして向日葵ちゃん、僕たちには僕たちの理があるし、僕の彼女に当たらないで」
僕はフィーナの後ろにまわり、彼女の肩に顎を置き、彼女の細い腰を後ろから抱き締めながらそう話した。
慌てるフィーナと、鳩が豆鉄砲くらったような二人。
「僕が言いたい事は、もっと時間とか掛けてあげたいけど、湊、貴方が向日葵ちゃんを好きって事実を認めないとややこしい。好きって気持ちを認めた上で、里の事が大事ならそうすればいいよ。好きって気持ちを隠し、後悔されても後味悪い。狐なんでしょう?里の事ばかり考えていないで、愛に生きてよ。また明日来るから、今日は愛について考えてみて。ルイス帰るよ」
そしてやっぱりルイスは、ふすまの向こうで聞いてた。
「つい出そびれまして……」
「君は仕事が早いからね。想定の範囲内だよ」
「見送りは、いいからまたね」
そう言って、僕は家を出た。二人は戸惑い見つめあっていたが……。僕は家が見えなくなるくらい歩くと、頭を抱えて座り込んでしばらく動けなかった。
僕には、すべてが恥ずかし過ぎた。
つづく
「火鉢に火が入っているから、その傍へどうぞ」
そう言って、ちゃぶ台の上にどんどんお茶を置いていく。しかし赤ちゃんを抱っこしている為か、湊の前には置かないようだ。
あぐらだったり、正座だったり、四角い火鉢を囲んで座る。
「ここは湊の、お家なのですか?」
「ひげのおじが、お金を置いていったんだ。私なら祖父によって、取り上げられる事もないからね。そして予想通りなのか、予想外なのか、身寄りのない子どもを集める事になってしまった」
「やはり、ひげのおじが里を出ていたんですね。父と仲が良かったから……」
「それでフィーナ様は、湊様から何を取り上げようと来たんですか?」
嘆く、フィーナに向日葵はそう強く言い、それを聞いた彼女は少し固まった。
「向日葵よしなさい」
「だって白雪様も体調が目に見えて悪いのに、こんなのあんまりです」
あぁーーーー!
二人の声に驚いたのか、ふたたび泣きだす赤ちゃんの声と共に、となりのふすまが開く。
「喧嘩してるの?……」
ぬいぬいと同じ年頃の、いや、本物の小学校低学年くらいの少年が言う。
「そんな事ないよ、大きな声をだしてすまなかったねぇ。向日葵、すまないが郁仁とを連れて宵太を寝床まで連れて行ってくれないか」
「嫌です」
「向日葵……」
「い・や・で・す」
向日葵は横を向いたまま、そう繰り返した。自分の居ないうちに、自分の好きな男の未来が決まってしまってはたまらないだろう。
「よろしければ私が、彼と赤ちゃんの面倒を見ましょうか? 執事見習い時に、子守りをするためにナニーの免許を持っております」
「いいわね。行きましょう」
幸子が壁から、上半身のみだしてそう言った。
彼れらがふすまの向こうに、消えると子どもの声で、「湊様たち夫婦喧嘩中?」と、聞こえ「そうよ。好きな相手には甘えたくなったりするでしょう」と幸子が言いながら去って行く。
それを聞いた湊は額をさえたまま動かなくなり、そんな彼を向日葵ちゃんが大胆に観察している。
それを拝まされている、僕らの構図になった。
どうやらある程度、祖父のしていることについて察している湊と湊を守るためのみに動いてる向日葵ちゃん。
手強いのは向日葵ちゃんの方だけど正しさを理由に、先に湊を落とすと手っ取り早くはあるだろう。
しかし僕が尊重したいのは、向日葵ちゃんの方なんだよな……。
ルイスも、そう動いているし……。
とりあえず、まぁ、湊にまず確認するしかない。
「湊、まず意識確認をさせてください。こんな事を言うのはアレ何ですが、貴方の身に何かあれば最悪、命を共有している向日葵ちゃんは死にますよ? 向日葵ちゃんにとっては、そんな問題じゃないけど、君にとってはゆゆしき事態しょう? 君はもっと保身にはしってもいいと思うよ」
「ハヤト」「君!?」「彼氏さん」
「君とフィーナは、彼女の言った様に、セットにすると危険だ。くだらない狐の里の存亡に命掛けてしまう気がする。そして向日葵ちゃん、僕たちには僕たちの理があるし、僕の彼女に当たらないで」
僕はフィーナの後ろにまわり、彼女の肩に顎を置き、彼女の細い腰を後ろから抱き締めながらそう話した。
慌てるフィーナと、鳩が豆鉄砲くらったような二人。
「僕が言いたい事は、もっと時間とか掛けてあげたいけど、湊、貴方が向日葵ちゃんを好きって事実を認めないとややこしい。好きって気持ちを認めた上で、里の事が大事ならそうすればいいよ。好きって気持ちを隠し、後悔されても後味悪い。狐なんでしょう?里の事ばかり考えていないで、愛に生きてよ。また明日来るから、今日は愛について考えてみて。ルイス帰るよ」
そしてやっぱりルイスは、ふすまの向こうで聞いてた。
「つい出そびれまして……」
「君は仕事が早いからね。想定の範囲内だよ」
「見送りは、いいからまたね」
そう言って、僕は家を出た。二人は戸惑い見つめあっていたが……。僕は家が見えなくなるくらい歩くと、頭を抱えて座り込んでしばらく動けなかった。
僕には、すべてが恥ずかし過ぎた。
つづく
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