魔王がやって来たので

もち雪

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魔界の新たな闇

事件の渦に、巻き込まれる前の

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 そこは、ある日本家屋の広い座敷の部屋。多くの子どもたちが、さまざまに座っている。皆、大人達の空気を感じとり一様に押し黙っている。

 中央に座敷机が、置かれお茶がまばらに置かれていた。

「いつまでここに、居ればいいんですか?」
「白煙様の言いつけなので、聞いていただかなければ困ります」

 静まりかえったその部屋で、向日葵だけが大きな声で抗議し、彼らの不当性を障子の向こうの人物たちに対し伝えている。

 そして中央の机の前で、正座をし座っている湊は、目をつぶりただ黙っていた。

               ☆

 狐の里の旅館の客室に、魔王は突然現れた。

 黒いローブを身に付け、その金色の髪がローブの黒さに際立て、美しく輝いている。

 魔王は下へ向いていたが、空虚な目だけを動かし俺をみた。

「フィーナとハヤト、ルイスが捕まったらしい。白煙が狐の里の内政のため二人を確保している。と、告げてきた。魔物ないの内政には関わらない、それが数少ない私の少ないルールであるが、どうしたものか……」

 ヤーグは、くそ真面目な顔をしてそんな事を言い出す。

「そんなくそみたいな誓いは破れ、フィーナの事だぞ! 魔王に約束もルールもいらねえ破っちまえよ」

 俺をは奴の肩を掴んで、魔王としての生きざまを教えてやる。本当に仕方ない奴だ。

「お前を、勇者として送り出した奴の気がしれん」

 そうさも呆れたよう、ヤーグは言った。その時、スパーーンと小気味良く障子が開いた。

 ハヤトの小判鮫の精霊が、今にも部屋から出ていこうとしていた。

「待て、待て!お前は、どこへ行こうとしている!?」

「主様の所へ、匂いを辿ればたどり着く。そしたら主様と、フィーナと、しもべ1号のルイスを助けだす」

「どうやってだ!」

「悪い奴は、みんな水牢に沈めます」精霊は両手をげんこつにし、それに力を込めて言った。

 ったく、この精霊はこんなにべっぴんさんなのに……、でも、嫌いじゃないぜ!

「行くか! 本丸!」

 しかし俺の肩に、魔王の手が置かれて、精霊は消え去り俺は鳥となっていた。

「ウンディーネはともかく、お前は第三者でしかない。それをわきまえなさい」

 なんて事を、師範代の様に言う。そして俺はヤーグに、連れられ次の場所へ。


 次に俺たちが現れた場所は、白煙の経営する別館。ぬいぬい達の部屋だ。

「魔王さん、どうして……。三人に何かあったのですか!?」

「三人は、捕まった様だ。詳しくは、魔王城で話そう。お前たちまで勇み足で、白煙を追いかけられてもたまらん」

 そして俺たちはふたたび、移動する事になり、そのせいで俺の自慢の羽毛の艶が少し衰えた気がする……。

 たどり着いた我が家には、仏頂面だったり、不安そうだったり様々な顔が俺たちを出迎えた。

       つづく

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