猫のお知らせ屋

もち雪

文字の大きさ
15 / 37
夏休み

一緒がいいの

しおりを挟む
  早朝、起きて一番に暑いと感じる毎日。それにしても暑すぎるので、8月に入ってすぐにラジオ体操は中止になってしまった、本当に暑い。
 それでも、クーラーの付いている社務所しゃむしよで行う、奉納の舞の稽古は続いている。それが終わったら、かき氷の氷をたべる日々。

 みずほちゃんは、遊びにいっても早く帰って来るし夏休みは毎日楽しい。

 今日もかき氷の氷を少しだけ食べたら、台所の机の上にワークをおいて勉強している、みずほちゃんの横で、僕もひらがなドリルをやる。二人で勉強楽しい……ちょっと退屈たいくつだけど……。

稲穂いなほ、あのね……」

 みずほちゃんが、勉強をしながら僕に話しかけてきた。いつもは、勉強してる時は、話しかけないでねって言うのに……。

「この前の肝試しの時……ね」

「うんうん、楽しかったよね~」

「でね、明日の花火大会に行こうって、同じ班の子と昨日話しをして……ね……行く事になったの……」

「いいね……楽しそう。楽しみだね」

「うん、そうなの、で……お母さんは行くの、でもお父さんはいかないのね」

「お父さん残念だね……お父さんも行けばいいのにね」

「でね、稲穂いなほは、あずきとお留守番なの……」

「何で? 僕の一緒に行くよ?」

 僕は、書くのをやめて、横に居るみずほちゃんを見た。なんか、目から水でてきた……。

 『』ってノートに書いて、「よ」っ僕は言ったら、目の水の涙が止まらなくなった。みずほちゃんの立ち上がる音と、あずき先輩の鳴き声が聞こえる。

「あずき、明日の花火大会に友達と行くから、あずきと稲穂はお留守番って言ったら、稲穂が泣いちゃった……どうしょう……」

 僕は、あずき先輩なら味方もになってくれるかもしれないと思い、あずき先輩を見た。あずき先輩は、もう人間になっていたが床でうずくまっている。僕達ふたりは、あずき先輩を見つめた。あずき先輩はなんて言うのだろう。すごく、気になる。

「………………ねむい……」

 あずき先輩は凄く眠かったみたい、それだけ言うと目を閉じた。僕の涙は少しとまった。あずき先輩は、そのまま横になろうとするが、みずほちゃんも床に座り直しあずき先輩の服をむんずとつかんで、前後にひっぱる。

「あずき、起きて――、あずき――明日の事で大変なんだってば――」

 あずき先輩は、少し横になりながら……「みずほ、ねこは、寝るもんなんだぞ。だからねこなんだ」と言うが、みずほちゃんは「あずきおじさん起きて……猫の名前は、ほかにいろいろ理由があるって誰か言ってたし、だから起きて――」と、少し怒ったように言いながら、服を前後に引っ張っている。

「みずほ……俺は、猫では長寿ではあるが、猫又ねこまた的にはまだまだ若い方なんだぞ。だからおじさんは、やめろ心が傷付くから、俺は繊細なんだ」

 起きたあずき先輩は、座ってあぐらをくんだ。そして大きなあくびをした。

「で、なんだまず、みずほから言ってみろ」

「明日、花火大会だから、友達とお留守番してて、稲穂いなほに言ったら稲穂いなほが、泣いちゃって困ってるの」
 みずほちゃんが困った様に言った。でも、僕は一緒がいい。

「後、友達と会うのに……弟みたいな稲穂いなほがいると……友達と遊ぶ時、気になるし……」

「僕も、一緒の方が楽しよ……」

稲穂いなほ、おれが花火連れて行ってやろうか? せっかく消の漢字を思い出したし、俺が書いてやる」

「じゃー見えない様にして、みずほちゃんについてく!」

「それは、いや! 稲穂いなほ家にいなさい!」
 今日のみずほちゃんはいじわるだ。なんで一緒に行っては、駄目なのかわからない……。

「まぁふたりとも落ち着け、なっ。瑞穂みずほ、悪いけど宿題は、自分の部屋でやって。俺ちょっと稲穂いなほに話すから」

「うん、ありがとあずき。それとおじさんって言ってごめんね」

「はい、はい」
 そう言って、みずほちゃんはワークを片付け、手に持つと廊下に出て階段を上り、自分の部屋に行ってしました。

 あずき先輩が、みずほちゃんが座って居た僕の隣に座る。ティシュをとって僕に手渡そうとしたが、やめて……あずき先輩が、僕の涙と鼻水を拭いてくれた。

稲穂いなほは、瑞穂みずほと一緒に行きたいんだよな。たぶん特別にな気持ちで……」

「うん……だから何で、駄目なのかわからない」

「それには、いろいろみずほなりに理由があるけど。俺には難しすぎて説明できない。でも、猫と人間が違うのはお前もわかるな……」

「わかる……猫だとアイス食べられないし……」

「そうだな。でも、お前はみずほに選ばれた猫又ねこまただから、きっとアイスも食べられるようになる。きっと俺が出来る事は、お前も出来るようになる」

「本当に?」

「正直、わからんだがそう思った方がたのしいだろ?」

「うーん、そうかも……」

「だからもっと成長するのを、待ってくれないか? ヴーンむずかしいなぁ……。猫又と言う特
別な猫になれたんだから、瑞穂みずほからたよられる猫に、いつかはなれるかもしれない。なれないかもしれない。おれは、その2つの違いは、お仕事と勉強する事と、しか知らないからお前にいうんだが……それとは別に明日は我慢しないとみずほちゃんが困る。人間とか猫とか関係なしに、だから……明日は俺と行こう。花火見に。なっ?」

「みずほちゃん……困るの……? でも、僕行きたいけど……いきたいけど……あずき先輩と行く。みずほちゃんと行きたいけど……。みずほちゃんにも言ってね。行きたそうだったて……しぶしぶだって……」

「わかった。みずほちゃんに、伝えておく! よし! お父さんにも伝えておこずかいを、ゲットしてくる!」


 そう言って、あずき先輩は、うきうきで玄関の鍵を閉めて出ていった。なんか納得がいかないどけど……。待たなきゃいけないなら仕方ない。無理やりついてば嫌われるだけか……うーん、難しいけど。

 みずほちゃんとじゃないけど……花火は楽しみ……。本物はどんなのだろう……。


        つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

処理中です...