猫のお知らせ屋

もち雪

文字の大きさ
27 / 37
夏休み

おとうさんとあずき先輩、みずほちゃんとぼく

しおりを挟む
 猫の気持ち、こわいきもち。

 水は、飲むのは、出来るけど……。お風呂にはなかなか入れない。水がたくさんは、怖いよね~。
 なんでだろうね? わからない。
 
 人間の姿の僕の横で、猫のあずき先輩がごろごろしていた。その時、パジャマ姿で、通りかかったお父さんとあずき先輩は目が合った様だった。

「あ……そうだ。」

 そう言ってお父さんは猫用のかごを、ごそごそしだす。そこから取り出したブラシであずき先輩の背中をなでなです――い、す――い。どんどん黒い毛が取れる。僕はお父さんの後て見ていた。あずき先輩は、なんか気持ち良さそうで羨ましい……。
 
 僕は、もじもじしながらソファに座るみずほちゃんの前に行く。

「みずほちゃん僕のもアレしてもらいたいですが……」
 
稲穂いなほあれって?」

「あずき先輩みたいにブラシで、なでなでして欲しいです」
 
 僕はキャットタワーの前にいる、お父さんとあずき先輩を振り返りながら説明した。みずほちゃんは、僕の横から顔を出す様に二人を見つめる。

 そうすると、みずほちゃんは、猫用のかごの隣りに置いてあるかごを取り出し、その中に入っているブラシ探し出し僕に手渡す。
 
「人間の時に猫用ブラシを使うと、髪の毛に猫の毛がついちゃうから、こっちのブラシを使ってね。はい」
 
 ブラシを僕に手渡すと、みずほちゃんも自分のブラシを持って来くる。

「稲穂、いいこうやってす――い、す――いって髪の毛をとくのよ。やってみて」

「す――い、す――い出来た」

「ブラシちょっと貸して」みずほちゃんが、僕の髪のをとかす。猫の時よりもスイスイとブラシは、進む。

 でも、みずほちゃんの手が止まり、僕はみずほの方へと振り返る。

稲穂いなほは、髪の毛はどうするの? あずきみたいに伸ばすの? それとも短いままでいる?」

「そうねぇ……人間の髪の毛は抜けずに、長く伸びるのかぁ……でも、なんで伸ばすの? しっぽみたいに、追いかけると楽しい?」

「あずきが前に言ってたのは……、『漢字を使う時に、威力が上がる気がする』って事と、『奉納の舞の時は髪が長い方がいい気がする』って事かな?」

「ふむふむ、髪の毛にはそんな効果が……」僕は口もとに手を置き考える。夏は、短い方が良いけど、冬は長い方が暖かそう。どうしょうかな?……。考えているとまた、みずほちゃんは僕の髪の毛を、またとき始めた。

「稲穂の髪の毛は、猫毛で柔らかくて、少し細いから、髪の毛が絡まりやすいから短いままの方がいいかも?  でも、こまめにブラシです――い、す――いってやれば大丈夫だよ。はい、おしまい」

「みずほちゃんが――」
 僕は、期待して振り向く。
 
「えっ……やだ……」僕は前に向き直ると、小さな声で「今は、短いままでいいです……」と、言った。

 正直、猫缶だと思ったら、カリカリが出てきた時位のショックだった。カリカリが悪いんじゃなくて、今は、猫缶食べる為に準備されたお口と、気持ちだっただけなの……。

 そして、僕は猫缶が好きなだけであって……偶然は、仕方ない事なの……。

 みずほちゃんに毎日、す――い、す――いして貰えない……。ふぅ――あずき先輩にして貰うか……。

 僕は、あずき先輩を見た。
 あずき先輩は、今度はお父さんに抱っこされている。

 僕も……。

 お父さんは、猫のかごから……猫の爪切りを取り出した。僕は、思わず口を手でおおった。
 お父さんは、順調に、あずき先輩の爪を切って行く。パチン、パチン。

 ……あずき先輩の顔が無表情になっている。そしてとうとう顔をお父さんの腕の中に隠す。

(あずき先輩すごくかわいいかも~)

稲穂いなほ、そういえば、ひらがなドリルどこまで進んだの? うん、どうしたの?」

「ううん、何でもないよ。ドリルみてみてみずほちゃん!」

 僕は大きく伸びをしながら、爪を切っている、お父さんとあずき先輩を隠してドリルの場所まで、みずほちゃんを連れて行った。
 

 そうして僕が猫用爪切りで、爪を切られながら、フゥ――、フゥ――言ってしまうのは、次の日の出来事だった。


               おわり
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

処理中です...