異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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1章 DT、父親になる

1話 永久就職決まりました

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 扉に触れた雄一は吸い込まれるように扉の向こうへと飛ばされる。

 うわぁ、と情けない声を出してしまい、転がるように降り立った場所は雲の上のような場所なのに足場があり、上を見上げると真っ青な空のように見える。

 訳が分からない場所にやってきた事を自覚した雄一が苦々しく悪態を吐く。

「やっぱり触るんじゃなかったかっ!」

 早速、後悔を始めた雄一であったが状況を理解する為に辺りを見渡す。すると、挟むような位置関係で扉が2つある事に気付く。

 普通の扉と先程の自己主張していた扉の2つ。

 転がってきた方向的にもあの自己主張してた扉のほうが帰る扉だと理解した雄一はそちらに向かおうとした時、背後から声をかけられる。

「ようこそ、ユウイチ」

 コロコロとしたという声、女というより、女の子という感じの声にいきなり名前を呼ばれ、挨拶された雄一は前に飛ぶように移動しながら振り返る。

 振り返った先には、金色の髪が腰まで伸ばして頂上には俗に言うアホ毛を風もないのにピコピコさせている。
 そして、上空にある空の色より澄んだ空色の瞳をパッチリさせた、小さい顔の小柄の少女。雄一より2つほど下に見える真っ白なワンピースを着た少女が笑顔で見つめていた。

「私は運命を司る女神。シホーヌと言うのですぅ」
「チェンジでお願いします」

 間髪を容れずに切り返す雄一に目が点になるシホーヌ。

 アワワ、と見てるほうが可哀想になって頭を撫でたくなるような瞳を揺らした女神、シホーヌが問いかける。

「ど、どうして、そんな酷い事を言うのですぅ?」
「だってよぉ? 女神って言ったら、こうボンキュボンって感じだろ? そういう人と代わってくれよ」

 手でこんな感じ? とボンキュボンと表してくる姿を指を差し、白い肌だから余計に真っ赤な顔をしたシホーヌが叫ぶ。

「えっちぃのは駄目なのですっ! それに私の何が不満だというのですぅ?」
「何がって……」

 雄一はシホーヌを足から眺めるように上に視線を上げていくと体を守るようにするシホーヌに嘆息する。

「さっきも言ったようにボリュームが足らない。6年後にまた会いましょう!」

 そう言われたシホーヌは愕然とした表情をする。

 確かにシホーヌは14歳ぐらいに見えて、14歳と考えればかなり発達した体つきはしている。小柄なのにあれだけ胸があれば大きいと言えるだろうが……

 シホーヌは、モウモウとプンプンと激オコですよ! と言わんばかりに両拳を地面に向けて腕を伸ばして頬を膨らませる。

 雄一はこのままシホーヌを放置して帰ったほうがいいかな……と思うが目の前の女神を見て、本当にやったらマジ泣きしそうだとウンザリした気分で話を促してさっさと済ませる事にした。

「で、ようこそ、と言ってたんだから、何か話があるんだろう?」

 その言葉に驚きの新事実! と言わんばかりにオーバーリアクションするシホーヌ。

 捨て台詞のように「さっきの言葉はなかった事にはしないのですぅ!」と口でプンプンと言うとすっきりしたようで話を始める。

「それなのですが、異世界に行ってみたいと言ってた雄一にクリスマスプレゼント! 異世界への片道切符のお知らせなのですぅ!」

 言ってるシホーヌの目がチラチラと雄一と視線を合わせたり、合わせなかったりするのを雄一は首を傾げる。

 ドヤ顔する事で目が泳ぐのを誤魔化すように勢いで攻めるシホーヌが突きつける指の腹には漫画風に渦巻きがクッキリ描かれている。

 芸が細かい女神であった。

 しかし、そんな芸ではなかった事にしなかった雄一が半眼でシホーヌを見つめる。

「女神は嘘吐いていいのか? ってか片道切符のとこだけ、目が泳いでなかったから、そこだけはマジか? こら!」

 何の事なのですぅ? と明後日の方向を見つめて鳴らない口笛を吹くシホーヌが脂汗を流しながら必死の抵抗を繰り広げていた。

 呆れた雄一が踵を返して帰ろうとするとシホーヌは雄一のジャンバーを掴んで止めてくるのでジャンバーを脱ぐ事で回避する。

 だが、この女神は恐ろしい手段を取り、ズボンを掴み、足に縋る戦法に切り替えてきた。

 さすがにズボンは脱げない雄一が困っている隙にシホーヌは口を開く。

 でもね、でもね? と帰ろう雄一に踏み止まって貰おうと情報を提示し始める。

「トトランタにいけば、私からユウイチが読んでるお話みたいなチート? をあげる事ができるんですぅ! ほ~ら~ユウイチも行ってみたくなってきたのですぅ、 行ってみたいと思った時が! そう、その時が行く時なのですぅ!」

 確かにシホーヌが言うように雄一の心は揺れていた。

 正直、生まれた世界には未練を感じるようなものはなかったから行ってもいいかな? とは思い始めている。

 親は中学生の時に事故で2人共、死なせている。

 親戚もいるにはいるが、遺産相続の一件で赤の他人より信用が置けない存在になってしまっていた。

 そして、それに……と呟き、遠い目をした雄一が語る。

「もう英語の補習を受けなくていいなら行くかっ!」
「えっ、そんな理由で?」

 説得に成功したはずなのに、納得いかないといった顔をしたシホーヌが可愛い顔を顰めながら雄一の足を放す。

 早速とばかりにシホーヌに質問を開始する。

「で、どんなチートが貰えるんだ?」
「今、教えてあげられるのは、異世界に行ってすぐ困らないように言語と常識の心配はいらないよ、としか言えないのです」

 行ってからのお楽しみなのです、とシホーヌは頬笑みながら言って、向こうに行った後、知りたいと思うとゲームのように雄一の能力を見る事ができるからと言われる。

 シホーヌを見つめる雄一は思う。

 こいつは酷い嘘は吐かないだろうから本当の事を言ってるだろう。騙されたら自分が間抜けだったと諦めよう……と。

「じゃ、そのお楽しみを期待して行くとしますかねぇ。潜る扉はあの普通の扉のほうでいいんだよな?」
「はい、そうなのですぅ」

 そう言われた雄一は扉に手を触れると後ろからシホーヌが声をかけてくる。

「それでは、ユウイチ。これからよろしくお願いしますぅ」

 そう言われた瞬間、目的を聞いてなかった事を思い出して、慌てて振り返るが立ち眩みをするように膝を着いてしまう。

 そして、いつの間にか閉じてた目を開けると草原の真ん中に自分がいるのを自覚して溜息を零す。

「しまった。あの天然系に惑わされて肝心な事を聞き忘れた……」

 シホーヌが悪い訳ではないのだが、とりあえず相手のせいにする雄一。

 来てしまった以上、戻れないのだからしょうがないと割り切り、シホーヌが言ったように貰ったチートを確認しようと思い、自分の能力を知りたい! と念じる。

 すると目の前にメニューのようなモノが浮かび上がりそれはどこかで見覚えがあった。

 それは雄一が元の世界でやった事があるオンラインのF●1●のゲームのメニューにそっくりであった。ステータスをざっと見るとvitは11あるが他は1ケタのようだ。

 初期ならそんなものかと思うがこれはどれくらいの強さなのだろうと思うと、一般の熟練冒険者のステータスっと声と共に表示される。

 そこに表示された数字は5段階評価の俺の通知簿かっ! と思って項垂れそうになる数字が羅列していた。

 ちなみに説明はシホーヌの声であった。

 つまり、ステータスだけなら既に熟練者を余裕で凌駕しているようである。

 次はスキルを見ようと思うがスキルの欄がなく、おやっ? と思うが自分がやってたゲームならスキルじゃなく、アビリティだなと思って調べるとすぐ見つかり、思わず「ビンゴ」と呟く。

 発見した項目を意識すると想像したより少ないアビリティが表示される。

 武の探究者、魔の一元突破、肉体強化の3つが全てLv1のものと異世界知識と教育者の5つがnewと表示されている。
 何も表示されてない調理Lv4のものを合わせて6つであった。

 少しがっかりしながら調べると、武の探究者の説明を聞く。


『あらゆる武具を使いこなす者へと送られるアビリティ。剣のアビリティを持つLv3の者と武の探究者の1は同格の強さの目安になるのです。でもちゃんと訓練しないと十全の力は発揮できないので注意なのです』


 どうやら、ちゃんとチートのようで頬が引きつる雄一。アビリティLvの上限は、と頭で考えると「5なのですぅ」と返事が返ってくる。

 次に魔の一元突破に意識を向けるが少々、腰が引け始めた。


『魔法の1系統しか使えないが、その道で追随を許さない魔法を使えるようになるのです。最初に使う魔法がそうなるから注意が必要なのですよ』


 眩暈を起こす雄一は、確かにチートは欲しいと言ったが破格すぎだろうと呟く。

 あの女神は俺に何をさせるつもりなんだと恐怖する。

 異世界知識と肉体強化は想像は付く。既に体感で理解できていることが多かった為である。

 次に教育者というアビリティに注目すると再びシホーヌの声で説明される。


『指導する時に言葉で伝えられない思いを相手の心に響かせて正しく理解を促すアビリティ。説明下手なユウイチの為に用意してあげましたなのですぅ。褒めていいのですぅ』


 あのアホ毛の女神め……言いたい放題言いやがってとブツブツと呟くが、これぐらい強いほうがチーレムできるじゃないかと気持ちを切り替える。

 このメニューを見るとあのゲームと同じならきっとジョブがあるはずだと思った雄一はその項目を捜す。

 漸く見つけた雄一は、ジョブを一読して目を擦る。

「……」

 何度見ても変わらないそこに表示されるジョブ名を見て、体を震わせて叫ぶ。

「出てこい、シホーヌぅ!!!!」
「はいはいぃ~、そんな大声上げないでも出てくるのですぅ」

 目の前にひょっこり顔を出すシホーヌを睨みつけるようにしてジョブ名が記載されているところを指を差すが見えないかもと雄一は思うが、無駄な心配だったようで、シホーヌはなんでもないように見つめて笑顔で言ってくる。

「大丈夫ですよ。ユウイチ以外に私にも見えるのですぅ。これですかぁ? そのままの意味なのですぅ。どういう訳かというと……つまりこういう事なのですぅ」

 シホーヌの両端に小さな光が生まれると3,4歳の日本人に見える顔がそっくりな幼女2人が現れる。

 現れた2人のうち、のシホーヌの右手を掴んでいる髪の長い幼女は雄一を警戒するように睨みつけ、左手に掴まる肩のあたりで斬り揃えている幼女は呆けた表情で雄一を見上げている。

 顔が良く似てるところを見るとおそらく双子のようである。

「えっと、つまりね? 今日から、この娘達の父親は貴方なのですぅ」
「チェンジでお願いします」

 異世界で真っ先に美人とお知り合いになる予定だった雄一に最初に出会うのが色々足りてない女神と幼女ではない、切実に願う。

 だが、現実は無情にも「クーリングオフ不可でお願いなのですぅ」とシホーヌにニッコリ、と笑われる。

 時間を巻き戻せるなら最初に目的を聞かなかった自分をとりあえず殴りたい雄一だったが戻す事は叶わない。

 がっくりと項垂れる雄一の隣のステータスウィンドウにはこう記載されていた。

『イクメン Lv1 ジョブチェンジ不可』

 永久就職が決まった瞬間であった。
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