異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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1章 DT、父親になる

3話 これからお世話になる家らしい

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 日が傾き始めた街のメインストリートを歩く1組のカップルがいる。いや、良く見ると男の背中には幼女が2人抱えられていた。

 そんな2人が話をしながら周りの景色をキョロキョロしながらメインストリートを歩いていた。

「いいのかよ。女神様とあろうものが偽造した身分証明書を使ってよぉ?」
「失礼なのですぅ。あれはれっきとした、この地方を治める領主に書かせた物で間違いなく本物なのですぅ!」

 身長の割に豊かな胸を突き出して、鼻息よりアホ毛の活動が激しく自己主張しながら雄一を見つめる女神シホーヌ。

 真偽はともかく、街に入る時にシホーヌが持っていた証明書を見た門番はガチガチに固まるようにしながら汗をダラダラ流しているのを見て、やりすぎだ……と雄一は思ったようだ。

「あんな顔の売れ方したら、変な事やったら即疑惑対象にされっぞ?」
「そこはユウイチが頑張って、なるほど、そう遇されるだけの人物だったんだと後追いで評価を付ければいいのですぅ」

 シホーヌはいかに苦労して手に入れたかと力説してくるが、要領は得ないがどうやら催眠術みたいなものをかけて、書かせた上、忘れさせているらしい。

 何故か雄一の頭の中では五円玉を糸で吊って揺らすシホーヌの姿が浮かんでヤレヤレと溜息を吐く。それならよっぽど神の力、というほうがどれだけ有難みがあっただろうにと思った。

 シホーヌの苦労話を聞き流しながら、雄一はメインストリートの景色やそこを歩く人々を見て心を躍らせていた。

 どうやら、お約束の中世風のファンタジーな世界のようで、来る途中でシホーヌに聞いた限り、モンスターもいるらしい。

 建物は木造のものもあるがレンガ造りの建物もそれなりにあり、舗装もメインストリートはレンガらしきもので敷き詰められていた。

 夕方という事もあり、夕食の買い出しの主婦と冒険者らしき集団が酒場らしき建物へと吸い込まれるように入って行く。

 そう、冒険者らしきってとこに注目。シホーヌにも確認は取ったが存在するのである。

「あるのか、冒険者ギルドが……」

 そうシホーヌに届かない程度の声音で呟く雄一の口許が緩む。

 せっかく異世界にやってきて、冒険者ギルドがあるなら、ならないでどうすると雄一は思うが、暴走しそうになる気持ちにブレーキがかかる。

 それは、背中に背負う双子の幼女、レイアとアリアの事があった為である。

 確かに、せっかく来たのだから冒険者ギルドで仕事がしてみたいが、この2人だけにして放置して街を出るようなことを極力したくない。

 そう悩む雄一にシホーヌが何でもないように言ってきたセリフで悩む余地が生まれる。

「私もちゃんと面倒見ますよ? 料理、掃除はできませんが……あっ、洗濯は得意なのですぅ!」

 それを聞いた雄一は、はぁぁ? と聞き返した。

「神様が地上で遊んでていいのかよ?」
「だから、遊ぶんじゃなくて、ちゃんと面倒を見るのですぅ。正式な神々会議でしっかり承認を貰って行動してますのでまったく問題はないのですぅ」

 雄一が神々会議? と呟いて固まる姿を見たシホーヌは、プンプンと声に出して睨んでくる。

「疑ってるのです? 本当にしっかり認められ……」
「出された条件は何なんだ?」

 胸元に手を突っ込んで、おそらく許可書的なモノを捜して弄っていたシホーヌの言葉に被せるように言ってきた雄一の言葉に、へっ? と目を泳がせながら「何の事です?」と聞き返してくるのを見て、雄一は確信を深める。

「その神々会議というのが、真っ当なものである限り、お前みたいな残念な駄女神を放流する訳ないだろ?」
「えっと……あっ、今、駄目と女神を融合させましたね!」

 話の流れを変えようと必死さには敬意を払ってやりたいが、まずは知る事が大事と判断した。
 雄一は両肩を掴んで聞き出そうと試みようとするが、残念ながら背中で寝ている双子がいるので諦め、頑張って屈んでシホーヌを下から睨みつける。

「怖いのですぅ……話しますから睨まないで欲しいのですぅ。えっと、実はですね……」

 雄一は早く言え、と目で睨む。

 なんとか誤魔化したかったようだが、見逃して貰えなさそうだとやっと諦めたシホーヌは涙目になりながら言ってくる。

「私が地上に行くにあたって、相方を捜してくるように言われたのですぅ。そして捜して見つけたのがユウイチなのですぅ」

 なんじゃそら? と呟く雄一は「まだあるだろ? それだけなら会議しないだろう?」と言われたシホーヌが項垂れながら続きを口にする。

「家事アビリティが3以上あって、異世界に行ってみたいという者をという条件を付けられました」
「よっぽど、お前の家事は酷いモノなんだという事は痛いほど伝わったな」

 そう言われたシホーヌは「ううっ」と声に出して滂沱の涙を流す。

 その姿を見た雄一は、もしかしたら人を殺すレベルの料理を出す恐れがあるな……と恐怖した。

「それで俺に調理4与えたのか?」
「えぐえぐ、違うのですぅ。元から持っている人限定なのですぅ。あのアビリティは雄一が元々持っていた能力なのですぅ」

 涙を拭いながら「自覚症状はなかったのですか?」と聞いてくるシホーヌの言葉を受けて、雄一は言われてみれば……と思う。

 外で食べてる時、雄一が、なんでこんな不味い料理にみんな金を払って美味そうに食ってるんだろう? と思った事が1度や2度じゃなかった。そのせいで自炊するようになっていたのだ。

「確かに自炊はしてたけどな……自分以外の人に食べさせる機会がなかったから美味いかどうか知る機会がなかったからな……」

 その呟きを拾ったシホーヌが可愛らしく首を傾げる。

「ユウイチはお友達がいなかったのですぅ?」
「うっさい!」

 顔を掴んでアイアンクロ―をしてやりたいが出来ないので軽めの頭突きを入れる雄一。

 ひーん、と目尻に涙を浮かべ、額を抑えて屈むシホーヌから沈もうとする太陽を遠い目で見つめる雄一は今に至るまでの事を思い出す。

 中学生までの友達は両親のゴタゴタでいなくなり、高校生は入学式の後、同じ新入生のおとなしそうな可愛い子に絡んでた不良、後で分かった事だが学校で関わりたくないグループのリーダー格をワンパンで倒してしまう。

 初見でも敬遠されがちの雄一がそんな事をしたものだから、12月になっても、お友達がゼロの灰色の青春を過ごしていた。

 そこで横暴キャラで気が廻らないけど良い人キャラであれば、まだ良かったのだろうが、自分に中途半端に関わると不良グループに目を付けられたら可哀想だな、と考える雄一だった為、ぼっち状態が解除されなかったようだ。

 悲しい過去を忘れるように被り振って雄一は自分の料理の腕の事を考える。

 そうか、俺って料理が上手かったんだ……と呟く雄一を見て、シホーヌはおでこを摩りながら立ち上がり苦笑いを零す。

 雄一の料理はプロレベルといっても過言ではない。

 しかも上手くなろうとしてなった訳ではなくまさに天賦の才と言うべきものではあるが、本人はどうでも良さそうにしていた。

 既にその話題はどうでもいいとばかりに通りにある武具店や冒険に使いそうな道具屋のラインラップに目を奪われながら歩いている。

 間違いなく、1人だったら飛び出して、店に入っているのは間違いない。

「それはそうと、住居にはまだ着かないのか?」
「外れにあるのです。でも、次の角を曲がれば見えてくるのです」

 言われるがまま、次の通りを曲がる。

 突然、通りに面した部分だけに建物があると言わんばかりにその後ろには建物はなく、手入れがされてない広い空き地が広がる。

 更に奥に行くと少し大きめな家というより、施設、そう保育園と言われたら納得してしましそうな建物が見えた。

 その建物を見つめながら雄一は呆れているのを隠さずにシホーヌに目の前の建物が「そうなのか?」と問う。

「そうなのですぅ。味がある良い建物なのですぅ。褒めていいのですぅ」

 そう言うシホーヌは頭を突き出してきて、撫でろ、と言わんばかりにするが両手が塞がっているのでその頭の上で顎を載せ、口を開き、上の歯を下の歯に叩きつけるようにしてやる。

 その地味に痛い攻撃にシホーヌが「劈くような痛みがくるのですぅ!!」と頭を押さえながら、雄一の周りを旋回するように走り回る。

 そんなシホーヌを横目で見つめ、嘆息する雄一はどうでもいいかと割り切り、目の前の建物に目を向ける。

 確かに、平屋ではあるがレンガ造りで趣味の良い建物だと雄一は思う。近くにいかないと断言は避けるが、えらくデカイ庭が存在してそうである。

 その建物へと歩きながら雄一は言う。

「まあ、趣味は悪くないっと思うぜぇ? だがよ、あれ、4人で住むには無駄に大きすぎねぇーか?」

 そう言って、シホーヌのほうに視線をやるが、一切こちらに視線を寄こしてこない。
 それどころか顔をこちらに向けないコイツを殴りたい……と思うが殴れないので今は耐える。

 どうせ、見た目だけで選んで決まってから、気付くというポカをやらかしたのだろう……と雄一は諦める事にする。

 これから長い付き合いになるかもしれないアホ毛女神に血管切らされて死なないように諦めが肝心と早く学ぼうと雄一は心に戒める。

 不意を突くように振り向いてきた駄目女神は会心の笑顔を浮かべて言ってくる。

「それは、ユウイチが大きいから問題ないように用意したのです」
「そんな、ばっかなぁ~」

 雄一は、似非外国人のような話し方で切り返す。

 空を眺めた雄一は魚やキノコを沢山取って血管を強くしようと戒め直した。


 これから我が家になる建物に到着すると、予想通りと言うべきか、でっかい庭が存在している。大人の腰ぐらいの高さの塀で囲われており、中にある建物の外装もレンガ造りの保育園といった感じである。

 シホーヌの誘導の下、扉を開けられるとそのまま中に入って行く。案内されて、ある部屋の前に到着すると扉を開けた先にベットがあった。

「ここで2人を降ろしてあげるといいのですぅ」

 いくら軽いとはいえ、そろそろ4時間も抱えていたので有難いとばかりに降ろそうとするが2人は雄一の服をギュ、と握り締めて離そうとしない。

 シホーヌと顔を見合わせて困った顔をする雄一は着ている学校指定のブレザーを脱ぐ事で降ろす事に成功する。

「そういや、俺は補習の帰りだったんだよな」

 これがシャツだったりしたらこの手は使えなかったな、と苦笑する。

 再び、シホーヌに案内され、調理場とリビングと食堂が兼用になった場所へと案内される。

 テーブルに備え付けられている椅子にお互い座ると雄一は凝り固まった体を解しながら今後の話を始める。

「冒険者ギルドに行くにしろ、必要なモノを買うにしろ、最初の支度金的なモノはあるのか?」
「うん、あるのですぅ。銀貨10枚支給するのですぅ。ユウイチが冒険者になるためにの準備資金はその内の銀貨3枚になるのですぅ。それが適正……と友達が言ってたので間違いないのですぅ」

 ビシッとグルグル指紋付きの指を突き付けていってくるシホーヌに拍手をして称える。

「お前の判断だったら、疑ってかかったけど、友達が言うなら大丈夫だろう。ついでだから今からでもチェンジしねぇ?」

 シホーヌが縋りつくように「そんなに私が嫌いなのですぅ?」と言ってくるのを笑顔で見つめる雄一は、

「嫌いな訳じゃないって、ただ、面倒臭いだけ」

 机に突っ伏して、シクシク……と声に出して泣き始めるシホーヌを見つめる雄一は腹の底からメンドウクセーと思ってそうである。

「それはそうと通貨価値が分からんのだが?」

 泣き続けるシホーヌに問うが反応を示さない。

 頭をガシガシと掻いた雄一が溜息一つ吐いて、棒読みのセリフを吐く。

「頼りになる女神様~助けてぇ~」
「私にお任せなのですぅ」

 鼻を啜りながら、目端に光る涙を拭い、笑みを見せるシホーヌを見て、雄一は思う。コイツは扱いやすいのか扱い難いのか判断に苦しむな、と……

 勿論、顔に出さないように煽てるように、聞きたい通貨価値を問うと「しょうがないのですぅ」と胸を張って言ってくる。

「銅貨、銀貨、金貨とあるのです。国で取引される通貨もあるのですが、今は省くのですぅ。今、言った順番で価値が上がっていくのですぅ。銅貨が100枚で銀貨1枚といった具合にで、銅貨1枚がユウイチの世界でいう100円ぐらいの価値らしい……と、と、友達が言ってたのですぅ」

 縋るような視線を受けた雄一は同じ轍を踏まないとばかりに言葉を飲み込んで、やや視線を反らしながら「よく分かったありがとう」と無難に済ませた。

 とりあえず、明日は買い物と冒険者ギルドに行って情報集めかなと呟くと、陽が暮れてくるのを感じた雄一は、急ぎ夕食をなんとかしないと思い、台所に向かう。

 調味料関係を見るとだいたいのモノが揃っているようで、満足気に頷く。

「調味料はいい感じに揃ってるな? これも友達が用意してくれたとか?」
「違いますなのですぅ。台所は私が1人で用意したのですぅ。調味料も鍋もフライパンも包丁も!」

 心外だ! とばかりに言いながら胸をはるシホーヌ。

 そう言われて、周りを見渡すと確かに胸を張るだけの調理道具も揃っている。

「やればできるじゃねぇーか。で、食材はどこにあるんだ?」
「1週間分しか用意してないのですが、こちらにあるのです」

 ここです、と連れてこられた場所の扉を開けて中に入る。

 まず目の前にあった、薄い茶色の皮に包まれたイモ、見たままであればジャガイモを手に取る。これは色んな料理に使えて日持ちする良いモノだとシホーヌに笑顔で頷く。

 隣にある紫色の皮に包まれたイモ、見たままならサツマイモである。これは天然の甘みがあって子供に好まれるからきっとレイアとアリアに喜んでもらえるだろうとシホーヌを見つめる。シホーヌは一気に自信を取り戻したかのように鼻高々になり始める。

 更に隣に移ると長い棒のように見えるが、ヤマノイモと呼ばれるイモである。皆が良く聞く名前で言うなら自然薯……

「備蓄してるもの全部イモじゃねぇーか!! 頭、大丈夫か?」

 遂に我慢の限界がきた雄一が叫ぶ。

「でもでも、お芋ってとっても美味しいよ?」
「じゃ、俺達が肉や魚を食べる時もお前はイモでいいんだな? 三食イモづくしでこれからずっとそうでも?」

 その光景を想像したようで、身震いをして、自分を抱き締める。

 シホーヌは雄一のカッターシャツの袖を掴むと、半泣きで言ってくる。

「ご、ごめんなさいなのです。私もお肉を食べたいのです」
「中途半端な言い訳せずに素直にさっさと謝る! 分かったか?」

 えぐえぐ泣く「シホーヌに水はどこだ?」と言うと雄一のシャツを握ったまま、外に指を差す。

 外に向かおうとするが手を離そうとしないシホーヌに困った顔をするがさすがに泣かせた事が引っかかり、そのままにして外に一緒に出ていく。

 雄一は、横目でシホーヌを見て、思う。

 こいつも悪気があってやった事じゃないんだ。良かれっと思ったが空廻りしただけなのだからと思い、空いてる手でシホーヌの頭を撫でてやる。

「次は気をつけような?」

 そう言う雄一を見つめたシホーヌは涙を引っ込めて、鼻を啜りながら、元気良くウン、と頷くと雄一の手を掴んで「こっちなのですぅ」と引っ張る。

 その様子を見つめた雄一は、甘かったかと呟きながら苦笑いをしながらシホーヌが向かう先へと足を運んだ。


 シホーヌの案内で向かった井戸で水を汲んで戻ってきた雄一は、鍋に水を入れて竈の上に置く。

 洗い場に桶を置くと食糧庫に向かい、ジャガイモを数個持ってくると桶に放り込む。

 ジャガイモを皮つきのままよく洗い、鍋で水から茹でる。沸騰する前に弱火にして、じっくり火を入れる。 ジャガイモに火が通る直前で、湯を捨て、余熱で完成させ、手早く、皮をむき、サイコロ状にカットする。フライパンでバターとニンニクを加熱し、カットしたジャガイモを加え、ソテーする。仕上げにバジルを刻み、塩と混ぜたものを盛りつけたイモのソテーの上に振りかける。

「材料と時間の都合上、今日はこれで我慢して貰うか」

 振り返ると入り口のところでガン首揃えた3人がいた。レイアは涎を拳で拭い、アリアは指を咥えてこちらを見つめている。
 そして、シホーヌは美少女がしてはいけない類の顔をしていたので、描写は控えさせて頂きます。

 その様子に呆れた雄一は、手を叩く。

 その音に我に返った3人に、コップとフォークを用意するように言うとレイアとシホーヌが喧嘩をするように「どこにあるんだ?」とレイアが怒鳴り、シホーヌが「そこにあるって言ったのですぅ!」と言い返していた。

 取り残されたように雄一を見つめるアリアに

「先に座って待ってようか?」

 そう言って、4人分の皿を1人で持つ雄一の後ろを少し離れて、着いてくるのを見て笑みを洩らしながら食堂に向かう。


 用意が済んで、みんな揃って食事を開始した。

 結論を言うと雄一の食事は3人に好評をもって受け入れられた。

 その受け入れられた雄一は思う。美味しそうに食べてくれるのは嬉しいが、2人には最低限の食事のマナーを覚えさせる必要があると判断した。

 テーブルに飛び散らかしたイモを見つめながら呟く。

「レイア……そして、シホーヌ、覚悟しておけよぉ?」

 雄一の主夫としての戦いの幕が切って落とされたらしい。
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