異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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5章 DT、本気みせます!

142話 ビーストテイマ―になれるかもらしいです

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 魔道砲の砲身から火花が飛び散り、外装がゆっくりと崩れるのを静かに見つめる少年が1人いた。

 雄一である。

 黙って見つめる雄一は、火の精霊神殿にて、ホーエンに言われた言葉を思い出していた。





「取り込み中、すまない。さっきの魔剣などの回収で思い出した事なんだが、パラメキ国に提供した魔道砲の事だ。状況的にすぐに回収に廻るのが筋なのだが動く事ができん」
「どういう事だ?」

 雄一は訝しく見つめるが聞く体勢になる。

 今更、ホーエンが雄一を謀ったりはしないと理解している。

 だから、本当に動けない事実があるのだろう。

「あの魔道砲だが、アグートが横着してエネルギーコアの代用に精霊獣を使っている」
「はぁ? 確か、精霊と一対の大事なモンじゃなかったか? 馬鹿じゃないのか?」

 雄一は、アクアから精霊についての話を簡単に聞いていたので多少は理解ができてたから、まるで電池替わりにするように世界の4大元素の根源と言われる精霊獣を使ったアグートを馬鹿だと声に出して言ってしまう。

 ちなみにアクアにも勿論いて、アクアの精霊獣はあの有名の海蛇である。

 雄一の言動と態度に溜息を吐くホーエンは「まったく返す言葉もない」と項垂れる。

「今の反応だと多少は知っているようで話が早い。魔道砲を決して破壊しないほうがいい。これは、お前の為に言ってるんじゃない。このトトランタに住む者達の為に言っている」
「主様にはまだ話しておりませんでしたが、精霊獣は同属性の精霊には服従しておりますが力だけでいうなら精霊獣のほうが格上です。しかも、不安定な精霊の精神状態を感じとると暴走します」

 アクアは気絶するアグートをチラリと見て、続ける。

「今のアグートには精霊獣を制御する事はできません。火の加護を得ているこの方の言う事も聞きませんし、おそらく、この方では止めるどころか、勝つのも無理です。ですが……」

 言い淀むアクアの言葉にホーエンが繋ぐ。

「お前なら間違いなく勝てるだろう。だが、殺しては駄目なのだ」
「んっ? ああ、4大元素の根源……そう言う事か。火の精霊獣だと、火の魔法や、火そのもの、料理は火力が命なのにそれは困るな」
「あ、主様。そんな呑気な話ではありません。太陽の力が地上に降りてこなくなるのです」

 イマイチ、何を言われているか分からない雄一は首を傾げる。

 溜息を吐いたシホーヌが言ってくる。

「つまりなのですぅ。氷河期が来るって言ってるのですぅ!」

 雄一は、その事実とシホーヌに説明されるというダブルパンチでかなりの衝撃を受ける。

 シホーヌの言葉によるショックはともかく、氷河期なんてきたら人類の存続に関わる。

 仮に寒さを凌ぐ事ができても、農作物は勿論、狩猟、漁業も困難になるのは考えるまでもなかった。

「じゃ、どうしろと言うんだ?」
「一番は、破壊せずに回収だが、それが駄目だったら、精霊獣の心を折って主として認めさせるしかない。だが、精霊獣は同時期に主を2人持つのを嫌う。かなり労力を使うと思ってくれ」





 ホーエンとの会話を思い出すが、とことん面倒である事を再認識させられただけで、雄一は頭をガリガリと掻きながら溜息を吐く。

 おまけに具体的にどうやったら主として認められるかも分からないそうである。アクアですら分からないという話なので八方ふさがりであった。

「殺したら駄目、力加減は難しく、クリア条件は曖昧とか……こんな料理本があったら間違いなく竈に放り込む」

 崩れゆく魔道砲を見つめていたが、思ってたより頑丈だったらしく、このまま待っていたら何時、精霊獣が出てくるか分かったモノじゃないと判断した雄一は瞳を青と金に輝かす。

「待ってるのがだるくなってきたぞ、出てこい、精霊獣!」

 雄一は極大の水球を生み出すと魔道砲に打ち込む。

 その水球1発で破壊された魔道砲から飛び出してくるモノがあった。

 威嚇するように雄一を睨み、犬歯を見せて唸る。見るからに、既にお怒りであった。

 まあ、あんなノックのされ方されれば、誰だって怒るな、と納得する雄一であったが、現れた火の精霊獣を見て、口の端が上がる。

「おっ、お前か。お前だったらなんとかなるかもしれないな。これでも俺は隣に住んでた躾の悪い奴を躾けた実績があるからな」

 そう呑気に語る雄一に火の精霊獣は、流星群を連想させるように火球を放ってくるが、巴の一閃で掻き消される。

「「「ウォォォォ――――ン!!!」」」

 雄一の異常といえる行動で自分の魔法を打ち消された火の精霊獣は自分を奮い立たせるように遠吠えをする。

 体長が雄一の倍はあろうかという体格をし、胴から生えるようにして3つある頭が一斉に吼えるソイツは、地獄の番犬と言われるケルベロスであった。

 雄一は転移前に住んでいた家の隣に飼われていた人を見れば吼えて、近寄れば噛みつくという躾の悪いシベリアンハスキーを躾直した過去があった。

 だから、できると根拠のない自信に笑みを浮かべていたのである。

「とはいえ、いきなり、隣の犬を躾けた方法でやるのもどうかと思うから、心と体力を削りに攻めるか」

 つまり、傷つけずに体力を奪うなり、抗えないと思わせればいいと考えた雄一は即行動に移る。

 雄一が指を鳴らすとケルベロスにプールの水を引っ繰り返したかのよう水を上空から落とす。水が直撃したケルベロスであるが、少し動きを抑えつけられただけで、体を振って水を切っただけであった。

 勿論、雄一もこれでは効果がたいしてない事には気付いていた。

 再び、指を鳴らすと同じように水が落ちてきて水圧に耐えるケルベロス。

 ケルベロスは怒りが籠った目を雄一に向けると水から逃げるように走り出すが、お構いなしに雄一は指を鳴らす。

 高速で動く事で水から逃げようとするケルベロスであったが、雄一はその動きを見切って狙い違わずケルベロスに直撃する。

「さぁ、テンポ上げるぞ!」

 雄一は指を鳴らすのを徐々に間隔を縮めていく。

 ケルベロスは必死に逃げるが雄一に読み切られて、全てかかる。

 それがどんどん加速していき、落ちてくる水と水の間に呼吸をしようとするがタイミングを損なうと水を飲んでしまい、徐々に酸欠状態に追い込まれ始める。

 皆さんも経験がないであろうか?

 海やプールで水のかけ合いをして遊んだ時、軽くかかってる時は涼しく楽しいが、四方から手加減をする気のない水かけをされた時の状況を想像して貰えたら、今のケルベロスの置かれた状況が見えてくると思われる。


 それはともかく、既に今年、恋人と水かけキャキャウフフを楽しんだという裏切り者がいるならバイブルの所に来てください。


 閑話休題


 そんな状況に追い込まれ、元々、雨が降った後で足場が悪かったのに雄一がジャンジャンと水を生み出してくるのでケルベロスの動きは悪くなる一方である。

 追い込まれ始めたケルベロスは、水を飲むのを覚悟して遠吠えをする。

 すると上空から落ちてくる水がケルベロスを避けて落ちるようになる。息の荒いケルベロスであるが、雄一にしてやったといった顔を向けてくるが慌てない雄一は再び、指を鳴らす。

 今度は3つある頭が水球で覆われる。

 呼吸もできなくなり、慌てて前足や後ろ脚で引き剥がそうとするが手応えなく通り過ぎるだけである。

 手足が痙攣を始めて、ふらつき始めると水球を破壊する。

 呼吸ができて、持ち直すと怒りに染まった目をして雄一に飛びかかってくるが、あっさりと避けられると再び、水球をセットされる。

 それを3セットしたあたりで、ケルベロスに変化が生まれる。瞳に怯えが宿り始めたのである。

 雄一が指を鳴らす素振りを見せると逃げ腰全開になるケルベロスを見て頷く。

「次の段階に行く頃合いか」

 そう言うと雄一は口の端を上げて笑みを浮かべた。
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