異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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5章 DT、本気みせます!

143話 これがDTの真骨頂らしいです

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 雄一は走る、そう、ただ真っ直ぐに……

 無防備にも自分の体格の倍もあろうケルベロスの頭頂部を目掛けて飛び上がる。まさに噛みたかったら噛んでみやがれ、と言いたげに雄一は笑みを浮かべる。

 一瞬、飲まれかけたケルベロスであったが、気合いを入った眼光を放つと真ん中の頭が雄一を捕えるように口を開ける。

 凶悪な鋭さをみせる牙に雄一は恐れも感じさせずにケルベロスの気合いを超える気合いを込めて叫ぶ。

「気合いがたらねぇ!!」

 雄一はケルベロスの顎を拳で上空へと撃ち放つ。

 それだけでケルベロスの体は浮き上がる。

 殴られた事により顎を閉じさせられたケルベロスの口を両手で挟むように閉じた雄一がケルベロスの目を全力の威圧を放って覗きこむようにする。

「俺がお前の主だ! 従え!」

 雄一の威圧に体を一瞬、硬直するがすぐに左の頭が雄一に襲いかかる。

 真ん中の頭から手を離して、空中を蹴ってケルベロスの牙を避ける流れで蹴り上げて顎を閉じさせる。

 再び、同じように左の頭の口を閉じさせて瞳に威圧を放つ。

「お前の本能まで染み込ませて理解させてやる。俺がお前の主人だっ!」

 叩きつけるように放たれる雄一の威圧に圧されるケルベロスは小刻みに体を震わせる。

 それでも従わないとばかりに右の頭の口の中に魔力が集まり出す。どうやら火を吐き出そうとしてるようだ。

 雄一はそれにたいした挙動を見せない、ただ、笑みを浮かべて手を翳して親指と中指を触れさせる。

 それを見たケルベロスは動きを止めるが、雄一は翳した手を降ろしてクイクイとかかってこいと挑発する。

 ケルベロスは、雄一に怒りを覚えたのか、それとも雄一に恐怖を覚えた事に対する怒りか分からないが、3つ頭が同調するように雄叫びを上げる。

 3つの口に魔力が集まりだし、口から赤い輝きが放たれ出す。

「よしよし、お前の根性があるのは伝わった。後は俺のモンになる価値があるか試してやる。撃ってこいっ!!」

 不敵な笑みを浮かべる雄一目掛けて、口に収まりきらなくなった火球を噛み砕く。

 そのケルベロスの行動に雄一は眉を寄せるがケルベロスの牙から漏れる激しい光を見た瞬間、本能が危険シグナルを鳴らす。

 ケルベロスが口を開く瞬間にギリギリ間に合うタイミングで雄一は右手を前に突き出す。突き出したと同時にケルベロスの3つの口から閃光と共に灼熱の火線が放たれる。

 受け止めた雄一の眉が一瞬歪むが代わりに獰猛な笑みが生まれる。

「悪くない、が、まだ足らない。もっと見せろ、お前は火の精霊獣だろうがぁ!」

 受け止めていた火線を薙ぎ払うと近くの小山に弾かれてあたると貫通して空へと消える。

 あっさりと薙ぎ払われて、怯えるように股に尻尾を挟もうとするケルベロスだったが、意思の力で抑え込むと奮い立たせるように遠吠えをする。

「まだだ、お前の全部を見てない。全部、曝け出せっ!」

 雄一は、そう叫ぶと上空に飛び上がり、ケルベロスを見下ろしながら右手を突き出す。

 突き出した雄一の右手に凶悪な魔力が集まり始める。

 それに気付いたケルベロスが、まるで泣くように遠吠えを繰り返し始める。その声に反応するようにして、ケルベロスの前面に幾重にも障壁が生まれる。

「さあ、次はどれくらい頑張れるか? 凌いでみやがれ」

 雄一も男、やはり伝説で謳われるような存在を相手にして興が乗り始め、悪ノリするように凶悪な笑みを浮かべる。

 ケルベロスに向けられた右手に集まった魔力から水龍が生まれる。生まれた水龍はケルベロスに向かって襲いかかり、障壁にぶつかる。

 一枚、また一枚と粉砕されていく障壁を見つめて、ケルベロスはついに意思の力で抑えられなくなったのか尻尾を股に挟みながら懸命に遠吠えを繰り返し、障壁の強化に必死になる。

 最後の一枚になった所で雄一が放った水龍が消滅する。

 首の皮一枚で助かり、怯えるように「クゥ~ン」と鳴くケルベロスに再び、雄一は右手を突き付けながら話しかける。

「どうだ? 主と認める気になったか?」

 ケルベロスは一瞬の躊躇らしき仕草を見せたが牙を剥き出しにして唸る。

 その様子に満足そうに笑う雄一は魔力を練り始める。

「じゃ、次はこれを凌いでみろ」

 雄一は気合いを入れるように短く叫ぶとケルベロスを囲むように全方位に先程の水龍が配置される。

 それに驚いているケルベロスに気付いた雄一が忠告とお願いをする。

「さっきと同等の魔力が込められた水龍だ、気合い入れて凌げよ? 頼む、死なないでくれ」

 死の予感を感じとったように恐怖に歪めるようにしてみせるケルベロスは、本能の訴えに全力で従って死力を尽くして遠吠えを上げながら障壁を張っていく。

 雄一は、ケルベロスが息切れするまで遠吠えをするのを黙って見守り、身を伏せて縮こまるのを見ると水龍を放つ。

 今度は先程より充分に備えて込めた力だったようで格段に強度が上がっていたが、半分だけ凌いだだけで残る半分は無傷の状態でケルベロスに襲いかかった。

 ケルベロスの鳴き声が響き渡る。

 地面を穿った衝撃で生まれた粉じんにより姿が確認しづらくなるが、巨体が横たわり痙攣するように生きていた。

 雄一は生き残ってくれた事にホッとすると同時に調子に乗り過ぎた事を反省しながら近寄っていく。

「本当にちょっと危なかったな。それはともかく、主として認めさせる事はできなかったが、動けなくして連れて帰れる事で良しとするか」

 近寄った雄一に反応するように顔を向けてくるケルベロスに雄一は少し驚いた顔を見せる。

 震える四肢を踏ん張って立ち上がろうとするが、失敗するが再度チャレンジして立ち上がる。

「まだやる気か? もう勝てないのは痛いほど体で知っただろう?」

 雄一を見下ろすようにして立つケルベロスの姿に呆れるように見ていたが、すぐに様子がおかしい事に気付く。

 ケルベロスの瞳に敵意がないのである。

 何かを訴えるような瞳をジッと見られていた雄一が口の端を上げて笑う。

「自分の底だけ見せられて納得できないか? 俺の全力を見せろって言いたいのか?」

 そう言うと3つの頭が頷くように上下に揺する。

 雄一は、楽しそうに笑みを大きくして巴を地面に突き刺す。

「いいぜ、いいぜ、お前の気位の高さは悪くない。試されてやるから全力で撃ってきやがれ、決めた、絶対、お前に俺が主と嫌でも認めさせてやる!」

 ケルベロスは返事をするように今日一番の澄んだ遠吠えを始める。まるで歌うように吼えるケルベロスを見つめる。

 そのケルベロスの上には物凄い魔力が込められた火球が生まれる。だが、それだけで満足できないケルベロスは更なる魔力を込め始める。

 それを不敵な笑みで見守る雄一は、肌を刺すような熱さを感じて、まるでもう一つの太陽のようだと思う。

 それを向かい討つ為に雄一は両足を肩幅に開き、気合いを入れて火球を睨みつける。

 雄一の気合いに連動するように両目に宿っていた金と青の光が混じり合うようにして雄一を覆い始める。

 その光が雄一を包むように馴染むとイエローグリーンライトに近い色のオーラになって安定する。

 両目の瞳の色もオーラと同じように安定するとケルベロスに叫ぶ。

「いつでもきやがれっ!」

 それが合図になったかのように最後の力を振り絞るように遠吠えするケルベロスが雄一に極大の火球を放つ。

 極大だからゆっくりに見えるが凄まじい早さで雄一に襲いかかる。

 このまま落ちてくるのを待っていると死力を尽くしたケルベロスを巻き込んで死なせてしまうと判断した雄一は飛び上がる。

「まったく馬鹿犬が、俺が凌げなかったら自分が死ぬ事を考えなかったのか?」

 ケルベロスを一瞥して、呆れるように言うと正面に向き直り、口の端を上げて笑う。

「だがよ、凌ぐだけじゃ満足したりしねぇんだろ? ああ、いいぜ、俺の魂が燃えるとっておきの一発を眼を見開いて見てろっ!」

 雄一は雄叫びを上げながらケルベロスが生み出した火球に拳一つで殴りかかる。

 拳が火球にぶつかると上半身裸の雄一の背中の筋肉が盛り上がる。火球の熱さか自身が発する熱のせいか、噴き出す汗を流しながら拮抗した状態で腹の底から叫ぶ。

「これが俺の……俺の『お父さんマジ殴り』だぁ!!!!」

 覆っていたオーラが激しく明滅すると突然激しく光輝き始める。雄一を包むオーラはケルベロスをも飲み込む程、大きくなる。

 雄一は、「どっせいぃ!」と叫びと共に拳を振り抜く。

 振り抜かれた火球は押し返され、大爆発を起こす。

 貫くようにして雄一の放った力が上空にある雨雲に突き当たると見える範囲にある雨雲が掻き消え去る。

 地面に降り立った雄一はケルベロスを見上げる。

「どうだ? 満足したか?」

 少なくとも雄一はスッキリとした顔をして笑みを浮かべる。

 すると、ケルベロスを覆うように陽炎が生まれ、そこから見える影が縮むのに雄一が眉を寄せていると声がする。

「悠久の時を過ごしてきたが、こんな満たされた気持ちになる日が来るとは思ってなかった。わらわは満足じゃ、この身も心もそなたのモノじゃ」

 陽炎の中から出てくる存在を雄一は凝視する。

 何か認めるのを拒否するように眉間を良く揉んでから、もう一度見つめるが見えるモノは変わらなかった。

 若干、土埃に汚れて、足下が覚束ない歩き方をしてこちらにやってくる。アレが雄一が思う存在であるならば、そうなっているのは雄一が原因である。

 雄一の目に映る存在は、アクアやアグートと同じようにチャイナドレスのような服を着ており、アグートは真っ赤であったが、目の前にいる子はピンクに近い赤色といったチャイナドレスを纏っていた。

 チャイナドレスより、はっきりと分かるピンクの長い髪を両端でお団子にするような髪型をして、シホーヌより少し小柄な色々バランスがおかしい少女が雄一にヨタヨタと近寄ってくると倒れるように雄一に抱きついてくる。

 思わずといった感じで抱き返す雄一に少女は更に強く抱きついてくる。

「おおっ、逞しいオスの匂いがするのじゃ」

 にへら、と嬉しそうな顔をして雄一の割れた腹筋に頬ずりをする。

 雄一の顔が驚愕に歪む。

 正面から抱きつかれている事ではっきりと自覚する。歩いてくるのを見てる時から思っていた事ではあるが、明らかにバランスのおかしい胸の大きさの危険物を股間に押し付けられる事で自覚してしまう。

 雄一は、逃げるように腰を引いて、誤魔化すように目線を合わせて質問する。

「えっと、君は誰だ?」

 そう言いつつも誰かと検討は付いているが否定して欲しくて聞くが、抱きつきを阻止されて頬を膨らませて、そっぽ向かれる。

 忍耐強く耐えた雄一は、ピンクのお団子頭の少女にもう一度同じ質問をすると、「これから時間は沢山ある」と表情を明るくすると雄一に向き直り答えてくれる。

「わらわは、リューリカ。火の精霊獣じゃ。今日、この時より、わらわの主はそなただ。末永く、よろしくなのじゃ、ダーリン」
「ごめん、事情が分からない」

 可愛らしく頬を染めて、はにかむ少女、リューリカに負けずに切り返すが意にも返されない。

 思考が停止しかけている雄一に飛びかかるようにして首に抱きついて雄一に頬ずりを再開する。

 そして、雄一を覗き込むようにして、幸せそうに笑いながら言ってくる。

「わらわと初めての子作りしよっ?」

 雄一は澄み渡る青空を見上げ、「ああ、俺は夢を見てるのか、早く起きて朝食を作らないと……」と現実逃避しているのを見ていたリューリカが、にぱぁ、と笑顔を浮かべる。

「ダーリンは料理もできるのか? 素晴らしいのじゃ、わらわも早く食してみたいのじゃ」

 雄一は、MP0になり、涙を流し続けた。
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