異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

文字の大きさ
166 / 365
5章 DT、本気みせます!

152話 怒れる女王は怖かったらしいです

しおりを挟む
 睨め上げるようにする第一王女、サラが女王、ミレーヌを怨嗟の籠った声で罵倒する。

「戦争に勝ったからと言って、いきなりな力で捩じ伏せるようなやり口とは底がしれましてよっ!」
「ええ、確かに良いやり方ではないでしょうが、貴方達側の予定通りに事が進めば、そうされてたのが私と家族だったという事でしょう。ですが、単純に勝手の理由で攻め込まれた憤りだけでやってる訳ではないのですよ」

 先程みせたはっきりした怒りはナリを顰めているが、淡々と語るミレーヌの言葉の端から滲む怒気のほうが恐ろしいと見ている雄一は思う。

 それにどの程度の認識が出来てるか分からないが一瞬飲まれたような顔をするサラ。

「まだ、ほんの数時間調べただけですが、よくこれだけの事をしておいた国の代表である私にそんな口が聞ける。いえ、それを今まで防げてこなかった私だから馬鹿にされるのは当然なのかもしれません」

 そのミレーヌの言葉を聞いたサラとネリートの表情が固まる。

 ミレーヌは、自分を先導した騎士風、おそらく近衛騎士に頷いてみせる。

 近衛騎士はミレーヌに一礼すると鋭い視線をサラとネリートに向け、手にしていた資料を片手に朗々と語る。

「第一王女サラ、廃薬製造の首謀者である事は調べがついております。第二王女ネリート、奴隷売買の代表という調べも同時についております。まだ調べが完全ではありませんがこれから念入りに調べてさせて貰います」

 言葉尻は丁寧だが、意思の力で捩じ伏せて言っているのが分かる。です、ます調にするのに必死感が伝わってる為である。

 顔を青くする2人を見つめるミレーヌは嘆息する。

「まさかバレないとでも思っての強気な態度だったのですか? ああ、お二人は国外逃亡を計ろうとされた時に証拠隠滅したつもりになってたんですよね。その証拠隠滅された時、燃やしたモノが何かは確認されました?」

 ミレーヌは冷笑を浮かべながら玉座に肘立てに立てた手に顔を載せる。

 近衛騎士に目を向けるミレーヌの意図を受け取るとサラとネリートの前に書類の束を叩きつけるように放る。

 それを見た2人は驚愕な表情を浮かべて、思わずといった感じでネリートが「何故、ここに……」と呟いてしまう。

「貴方達が処分したと思った書類は貴方達の国の歴史を書いた本から外された紙ですよ」

 ゆっくりと腰を上げるミレーヌは「捨てる国の歴史まで処分する徹底ぶりには頭が下がります」と冷笑しながら続けて口を開く。

「戦争が始まる前の段階で気を利かせてくれた方が、こちらに草を放ってくれていましてね。浮足出した貴方達の目を掻い潜って集めてくれたんですよ」

 チラッと雄一を視線を一瞬向けた後、すぐに冷たい眼に戻りサラ達を見つめながら近寄っていく。

 ミレーヌの視線に気付いたホーラが小声で雄一に問う。

「ユウ、何かした?」
「ああ、リホウにできないかと聞いたら、手を打って成果を上げて女王に届けたとは聞いている」

 それを聞いていたホーラとテツは、リホウという男の恐ろしさの認識が甘い事を思い知らされる。

 普段、ヘラヘラ笑いながら雄一に泣きを入れられ、ヒィヒィ言いながら仕事しているイメージが強い。だからどうしても、できる男というイメージしづらかったが、今後は間違っても舐めてかからないようにしようと2人は顔を見合わせる。

 それを見ていた雄一は、この2人はその警戒心を逆手に取られてリホウに良い様に振り回されるだろうと思う。

 だが、リホウがこの2人を立ち直れないほどの事はしないと信じる雄一は良い勉強になるだろうから何度も騙されてヘコまされるといいと心で思い笑みを浮かべる。

 そんな雄一達のやり取りをよそに、近づいていたミレーヌは床にある書類の一枚を取り上げてサラに突き付ける。

「サラ王女、貴方は、廃薬製造してお金儲けするだけではなく、色んな薬品を作る事にも精力的だったようですね? 例えば、その薬を使われてると否定的な思考にならない、何でもイエスと答える人形にする薬とか、打ち続けると寿命が縮まり、最後には骨も残らないという薬と呼ぶのも汚らわしいですね」

 それを聞いた雄一から殺気が漏れる。

 声は出ていないが動く口がこう言っている。

「お前かっ!」

 ミレーヌの言葉を聞いただけで雄一はミュウの両親に使われた薬であると理解する。

 殺気をピンポイントで食らったサラは引きつけを起こし口から泡を吐き始め、失禁し出したので、ミレーヌは雄一が何かをしてると察知して目配せを雄一に送る。

 ミレーヌの視線に気付いた雄一は殺気を収める。

 解放されたサラは白目を剥いてピクリともしないのに隣で抑えつけられたネリートが悲鳴を上げる。

 近衛騎士がサラの容態を調べる為に首筋に指をあてる。そして、ミレーヌに振り返る。

「命には別状ありません」
「それは良かったです。例のモノを取り付けて退出させて閉じ込めておきなさい」

 漂う臭気に眉を寄せるミレーヌは兵に引きずるように連れて行かれるサラを見送った後、隣で抑えつけられているネリートを見つめる。

「さて、貴方のお姉様は退出してしまいましたが、貴方が消そうとして証拠を前にして何か仰いたい事がおありですか?」

 そう聞くミレーヌから忌々しそうに視線を切る。

 姉のサラがどうして、あんな風になったかは分かっていないが気位だけは高いようで虚勢を張る。

 その様子を見たミレーヌが近衛騎士に頷いてみせる。すると、近衛騎士はネリートの傍にくると首輪のようなモノを取り出す。

 それを見たネリートの表情が激変する。

「止めなさい、それが何か分かって……」
「勿論、分かってますよ。貴方が指示して魔法学者達に作らせたモノという事はね」

 冷たい目で見下すミレーヌは、近衛騎士に目配せをする。

 それに返礼した近衛騎士がネリートに首輪を持って近寄り、取り付けようとするとネリートが必死の形相をして暴れようとするが兵士に抑えつけられて身動きが取れない。

「止めなさい、止めろと言ってるでしょっ! お願いだから、それだけは止めてぇ……!」

 涙を流して懇願するネリートは顔立ちが良いだけに酷く醜くなったように見えた。

 その様子に憐憫の表情すら浮かべない近衛騎士が無表情に首輪の装着を終わらせる。

 着け終わるのを見守ったミレーヌは兵に拘束を解くように伝える。

「ご自身が作らせたから良く理解されていると思いますが、無駄な抵抗はされないほうがいいと思いますよ?」

 涙目ではあるがミレーヌをキッと睨むネリートは叫ぶ。

「この人でなしっ!」
「その言葉は貴方に言われても痛くも痒くもありません。では、質問をします。貴方は我が国の国民をどれくらい奴隷として売り払い……何人、生き残ってますか?」

 静かに問うミレーヌの言葉を聞いたネリートは口を閉ざして顔中に汗を浮かせる。

 すると黙秘して1分もしない内にネリートは絶叫しながら床をのた打ち回る。

「駄目じゃないですか、質問された事はちゃんと答えないと。それを製作された貴方なら知ってたでしょう?」

 片手を頬にあてて冷笑を浮かべるミレーヌはのた打ち回るネリートを見つめる。

 涙、鼻水と垂らすネリートは、濁音で叫ぶように痙攣を続ける。

 そんな様子を見て困った顔をするミレーヌに近衛騎士が進言する。

「女王陛下がお止めになられないとずっとこのまま痛みを与え続ける事になりますが?」
「あら、そうだったわね。うっかりしてたわ」

 かなり棒読みで本当に忘れてたのかアヤシイが誰もそれを突っ込む者などいない。

 必死に手を伸ばして、止めて欲しそうにするネリートに「何か仰いたい事がありますの?」と止める動作を止めて聞き耳を立てる。

 そして、反応が鈍くなってくると溜息一つ吐くと指を鳴らす。

 襲いかかる痛みが引き、荒い息をするネリートを見下ろして笑みを浮かべるミレーヌは再度質問をする。

「もう一度、質問します」
「し、知らない。正確な数字なんか把握してない。男女合わせて1000人はしてないとしか、生きてる数とかも売り払った後まで管理してない!」

 このやり取りを見ていた雄一はアグートの事を思い出すが、いくら、アクアに迷惑をかけないためだったとはいえ、少々甘かったかもしれないと少し後悔する。

 もうペナルティを伝えにリホウを出しているし、吐いた唾は戻せない。

 時折、嫌がらせのように顔を出す事でアグートのトラウマを抉る事で勘弁する事にする。

 そう叫んだネリートに底冷えするような声で「そうですか」と返事すると兵士にサラと同じところに閉じ込めるように伝える。

 連行されるネリートの背中に声をかける。

「貴方のお姉様にも伝えておきなさい。貴方達は簡単に死なせて貰えると思わないように。人として、女としての尊厳を徹底的に叩き潰すまで死ねると思わないように」

 その言葉を聞いたネリートが子供のように大泣きしながら部屋から退出する。


 今までのやり取りを見ていた雄一は、若干、アリアとミュウを連れてきた事を後悔した。

 だが、横に目を向けるとしっかりと見つめている2人を見て、どこまで理解できてるか分からないが強い子だと目を細める。

 そして、ミュウが、「パパ、ママ」と呟くのを聞いて、想像以上に理解していると分かり、雄一は黙って頭を撫でる。

 本当に自分がこういう時に無力だと感じさせられる。傷ついているこの子達を癒してやれない。ただ見守る事しかできない自分に苛立ち歯痒い。


 そんな雄一をよそに女王の話は進む。

「さて、第三王女、コレット。第四王女、シルフィ。貴方達の扱いは、この後、この国を任せるポプリ王女にお任せしましょう」

 ミレーヌは振り返るとポプリに頷いてみせると玉座に戻る。

 玉座に座るミレーヌに一礼したポプリは毅然な態度で前に出た。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...