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7章 DT包囲網!?
195話 人間なんだから、だそうです
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シャーロットは3人の騎士を相手に奮闘していた。
今も斬り結んでいた相手をなんとか弾くと荒い息を肩でしている。必死に呼吸を落ち着かせようとするが、膝が笑いだし剣を杖のようにして踏ん張っていた。
一見、3人の騎士を相手になんとか食らいついているように見えるが、実の所は違った。
確かにシャーロットは学生時代は間違いなく剣の腕で学内で3位を修めた才女なのは嘘はない。
だが、それはあくまで学生の中だけの話であり、正規に騎士になって普段から訓練する者と比べられたらプロとアマチュアの差がはっきりと出るレベル差があった。
当然、3人の騎士はシャーロットを本気で攻撃してなく、相手であるシャーロットの身分、伯爵の地位にあるものに攻撃するのを躊躇っているだけに過ぎなかった。
攻撃が消極的な騎士達に攻撃をいなし続けられたシャーロットは体力の限界が訪れ始めた。
それを見て、疲れで剣筋も定まらないのに中途半端に腕が立つシャーロットをいなすのもそろそろ限界が見えてきた騎士達が隊長であるドラドに視線を向ける。
「ええい、構わん。どうせ、ハミュ王女と一緒に捨て石にする予定だった娘だ。事故死だと伝えたところでキシリ様からお咎めはない。斬って捨ててしまえ!」
「おいっ、待てっ! 今、何と言った!? ハミュ王女を捨て石だとぉ!」
疲れから衰えが見えていたシャーロットの目に力が戻る。
目を剥いているシャーロットに嘲笑するドラドは告げる。
「お前もおかしいとは感じてたはずだ。ハミュ王女のお付きがお前である事と使節団の編成の偏りぐらいはな」
うっ、と唸るシャーロットは、反論を封じられる。
確かに、特別繋がりがなかったハミュ王女にお付きにされた事もそうだが、使節団の割にどうも騎士の割合が多いように感じていた。
城内でも有名な話、国王が娘には親馬鹿と知られているから、そのせいかと思っていたがどうやら違った事を知った。
愕然とするシャーロットをニヤニヤした顔で見つめるドラドが部下達に、やれ、と命令を下す。
先程までシャーロットを相手にしていた騎士が飛び出す。
今度は遠慮がない攻撃をしかけられ、シャーロットは防戦一方に強いられ、苦しい状況に追い込まれる。
防ぎきれない剣戟に体には切り傷が量産され、膝を突いたところを蹴り飛ばされて地面を舐めるように転がる。
先程の疲れと切り傷から滴る血が抜ける事で、体が思うように動かず、立ち上がる事もできずにそのままうつ伏せで倒れる。
何もできない自分が悔しくて涙を滲ませるシャーロットに騎士達がゆっくりと近づいてくる。
そんななか、倒れるシャーロットに縋りつく者が現れる。
「め、メリー! 何をしてるんだ、すぐに逃げるんだ」
そう、メリーがシャーロットに抱き付き、イヤイヤをするように被り振る。
メリーを突き離そうとするが起き上がる事もままならないシャーロットにはそれすらできなかった。
シャーロットの下にやってきた騎士達が剣を振り被ろうとするのが分かり、叫ぶ。
「いいから、逃げろ、メリー!!」
「い……いやぁぁ、シャロお姉ちゃんが一緒じゃなきゃ、やだぁ! パパ、ママみたいにいなくならないでぇ!!!」
叫ぶメリーに驚くシャーロット。
会ってから話すところを見た事がなく、周りの者の話でも話せなくなっていると聞いていた。
おそらく、両親を目の前で失った事がショックで口がきけなくなっているとレンに診断された事も聞いていた。
そのメリーが涙で瞳を揺らしながら、ここからシャーロットを連れ出そうと小さな体で引っ張っている。
振り返ると振りかぶる騎士の剣を見た瞬間、無意識にメリーを抱き寄せ、覆い被さる。
きたる剣戟に身を硬く歯を食い縛っていると降りかかったのは剣ではなく、男の断末魔と血飛沫であった。
パチパチパチ
拍手する音に気付き、そちらに目を向ける。
向けた先には金髪オールバックの軽薄な笑みを浮かべているが二枚目と言っても遜色がない20代後半の男が拍手をしながら近づいてくる。
「お嬢さん、合格です。貴方はあそこ、北川家にいる資格ありですよ。まあ、十中八九は大丈夫だとは分かってましたが、一、二を疑うのが私の仕事なんで、御容赦を……」
丁寧な礼をしてくるがこの場ではイヤミに映るはずなのに、自然に見える所が逆にイヤミでシャーロットの神経を逆撫でする。
何か言ってやろうと思ったが、それより、斬りかかろうとしてた騎士を思い出して振り返ると胸に穴が空いて血が噴き出して死んでる姿に息を飲む。
そんなシャーロットに近づいてくる金髪の男は、小瓶に入った液体を振りかける。
それをモロに被ったシャーロットは、跳ね起きるように立ち上がると金髪の男の胸倉を掴む。
「何をするっ!」
「良く効くでしょ? ダンガの2級ポーションは?」
胸倉を掴まれながら笑みを浮かべる。
言われて、切り傷は塞がり、まだふらつきは感じるが立ててる事に驚きを露わにする。
胸倉を掴む手を優しく解くと人を食った笑みを見せて、ドラドのほうへと歩いていく。
そんな男に恐れを感じてるようで、ドラドは叫ぶ。
「お前は何者だっ! 部下に何をした!」
シャーロットは、この男を見た事があった。何度か雄一と一緒に居る所を見た事があるからである。
金髪の男は腰を折って丁寧な礼をしてみせる。
「初めまして、私はリホウ。北川コミュニティの代表代理を務めさせて貰っている者です。何をしたですか? 何故、攻撃したかという同義ぐらいに答える理由はありませんね」
リホウと言動に苛立ったドラドが背後にいる部下に一斉にかかるように指示するが、返事はおろか、動き出す雰囲気すらなく慌てて振り返ると寝息を立てて眠る部下の姿があった。
「あちゃ……言うのを忘れてました。この場で行動できるのは貴方だけだったんですよ。この瞬間まではね?」
「どういう意味だっ!」
長剣に手を添えた形で動きを止めるドラドは汗を流しながらリホウに詰問する。
焦るドラドを尻目にリホウは肩竦める。
「いえね、ペーシア王国の使節団が動く事は分かってたんで網を張ってたんですよ。来ると分かってるのに何のおもてなしもしない訳にはいかないでしょう?」
そう言うとリホウは指を鳴らす。ドラドの背後から小さい光の塊が上空に向けて飛び出す。
光の塊を凝視するドラドに動けば足元から飛び出すと笑みを浮かべてリホウが伝える。
「そんな物々しい格好して、目に付きにくいルートとなるとダンガでは北門から入るしかありませんから、おもてなしの準備がしやすくて助かりました」
シャーロットは、ドラドが汗を増量してるのを見て、あれでシャーロットを攻撃しようとしてた騎士を仕留めた事を知る。
おそらく、それを目撃したメリーは震えて抱き付いて来てる事を知り、強く抱きしめ返す。
ニコニコ笑うリホウがドラドに軽い感じで話しかける。
「いやぁ~すいませんね。嘘が一つありましてね? 実は先程、私が指を鳴らす前なら動いても大丈夫だったんですよ……ごめんね?」
「また、ペテンをかけてて、動いても大丈夫なのだろう!!!」
リホウに振り回されて頭がきてるようで、唾を飛ばしながら叫ぶドラドは荒い息を吐く。
興奮するドラドに分かり易いようにジェスチャー付きで胸を貫通させられた部下を指を指す。
「嘘だといいですねぇ?」
笑うリホウを直視できずに震え出すドラド。
孤立無援の状況で恐怖に支配されたドラドは、縋るようにリホウを見つめて嘆願する。
「頼む、何でも話す。だから助けてくれ! 問答無用に殺さないのは聞き出したい情報があるのだろう? 頼むから……」
「何もありませんよ? 言ったじゃないですか。貴方達がやってくるのは分かってたと?」
笑みを浮かべるリホウが首を傾げるのを見て、絶望を感じた顔を見せる。
「そうそう、その顔が見たかったんですよ。わずかな希望に縋って蹴落とされる貴方の顔がね」
やっと見れたとばかりに喜ぶリホウは更なる追い打ちをする。
「ああ、それと実はさっきのも嘘で動いても大丈夫だったんですよ。私が合図をしない限りね」
「このクソッタレがぁ!」
その言葉と共に剣を抜いて斬りかかったドラドが一歩目を踏み出した瞬間、光の塊が飛び出てくる。
ドラドの股間に直撃するとぶつかった抵抗もないように突き進み、脳天から光の塊が飛び出す。
絶命したドラドがそのまま後ろ向きに倒れていくのを冷めた目で見つめるリホウが呟く。
「すいやせんねぇ、俺、嘘吐きなんで。アニキの大事にしてるモノに手を出そうとして楽に終わらせて貰えると思うんじゃねぇ!」
ゴミを見るようにドラドを見つめた後、気持ちを切り替えて、いつものリホウの緩んだ瞳に戻す。
振り返り、シャーロットとメリーの安否を確認すると近寄っていく。
「大丈夫でしたか? 怖い思いをさせてすいません」
まるで別人のようにペコペコするリホウをシャーロットはジッと見つめる。
そして、近寄ると静かに頭を下げる。
「まずは助けてくれた事を感謝する」
そう言って頭を上げたシャーロットは、迷いもなくリホウの頬に平手打ちを入れる。
叩かれた頬を押さえたリホウを睨みつけならシャーロットは吼えるように叫ぶ。
「先程の話を聞く限り、最初から見てたと受け取った。貴方がユウイチ様、そしてあの家に住む者達を大事にしてるのは分かった。だから、私の性根を調べたかったのは理解する」
目尻に涙を浮かべるシャーロットは絞り出すように言葉を紡ぐ。
「私はいい、だが、メリーがいる時にそれを確認する機会にするなっ! 助ける自信があったのだろうが、メリーもまたあの家の子だろっ!」
そうシャーロットに言われたリホウは目を大きくする。
普段のリホウのふざけた顔ではなく、素の表情が表に出る。
ふんっ! と鼻を鳴らすとシャーロットはメリーを連れて家の方向に歩いていくのをリホウは見送った。
リホウは本気で弱った顔をして呟く。
「痛いところを突かれたな……」
「ですね、効率、合理的を重視し過ぎた為、見逃してしまいましたね。誰であろうと完璧ではいれませんよ」
どこから現れた、と言いたくなるところからミラーが姿を現す。
本当に弱った顔をしてミラーを見つめるリホウが泣き事を言う。
「手を組んで一緒にしてたんですから、フォローぐらい入ってくださいよ?」
「何を言うんですか、私は女、子供に優しいと評判の冒険者ギルドの黒一点の受付のミラーですよ? イメージの問題で関わりを拒否します」
今も転がって起きない騎士達を寝かせたのはミラーの仕業であった。
冒険者ギルドに所属する以上、国には大きく関わらず、中立の立場を通さないといけないので、出て来れない事情もリホウは理解していたが、今のは本気で助けて欲しかった。
肩を落とすリホウにポンと叩くミラー。
「彼女も貴方があの優しい場所を大事にしてる事は理解してました。これは取り返せるミスです。気を取り直していきましょう」
「はぁ、そうですね。それにまだ当たりどころは残ってます。ヤツ当たりが混じってるのを自覚して叩き潰してやりますよ」
フッフフと笑うリホウを見て、ミラーは本気で苛立ってる珍しいリホウを目撃する。
「ユウイチ様には届きませんが、貴方もたいがい酷いですよ?」
「それは俺には褒め言葉ですよ」
そして、辺りに転がる死体を見て嘆息する。
「このまま、ここに放置したらきっとアニキが怒りますよね?」
ややウンザリした表情をミラーに向けるとドヤ顔したミラーが指先に青い炎を灯すと1つずつ死体にぶつけていく。
すると、一気に燃えあがり、燃えた所から灰になっていく。
「これで、後は風が適当に運んでくれますよ」
「さすが、エルダ―エルフですねぇ」
二人は顔を見合わせて肩を竦めると眠ってる騎士を物影に隠してた大八車に積んでダンガへと戻っていった。
今も斬り結んでいた相手をなんとか弾くと荒い息を肩でしている。必死に呼吸を落ち着かせようとするが、膝が笑いだし剣を杖のようにして踏ん張っていた。
一見、3人の騎士を相手になんとか食らいついているように見えるが、実の所は違った。
確かにシャーロットは学生時代は間違いなく剣の腕で学内で3位を修めた才女なのは嘘はない。
だが、それはあくまで学生の中だけの話であり、正規に騎士になって普段から訓練する者と比べられたらプロとアマチュアの差がはっきりと出るレベル差があった。
当然、3人の騎士はシャーロットを本気で攻撃してなく、相手であるシャーロットの身分、伯爵の地位にあるものに攻撃するのを躊躇っているだけに過ぎなかった。
攻撃が消極的な騎士達に攻撃をいなし続けられたシャーロットは体力の限界が訪れ始めた。
それを見て、疲れで剣筋も定まらないのに中途半端に腕が立つシャーロットをいなすのもそろそろ限界が見えてきた騎士達が隊長であるドラドに視線を向ける。
「ええい、構わん。どうせ、ハミュ王女と一緒に捨て石にする予定だった娘だ。事故死だと伝えたところでキシリ様からお咎めはない。斬って捨ててしまえ!」
「おいっ、待てっ! 今、何と言った!? ハミュ王女を捨て石だとぉ!」
疲れから衰えが見えていたシャーロットの目に力が戻る。
目を剥いているシャーロットに嘲笑するドラドは告げる。
「お前もおかしいとは感じてたはずだ。ハミュ王女のお付きがお前である事と使節団の編成の偏りぐらいはな」
うっ、と唸るシャーロットは、反論を封じられる。
確かに、特別繋がりがなかったハミュ王女にお付きにされた事もそうだが、使節団の割にどうも騎士の割合が多いように感じていた。
城内でも有名な話、国王が娘には親馬鹿と知られているから、そのせいかと思っていたがどうやら違った事を知った。
愕然とするシャーロットをニヤニヤした顔で見つめるドラドが部下達に、やれ、と命令を下す。
先程までシャーロットを相手にしていた騎士が飛び出す。
今度は遠慮がない攻撃をしかけられ、シャーロットは防戦一方に強いられ、苦しい状況に追い込まれる。
防ぎきれない剣戟に体には切り傷が量産され、膝を突いたところを蹴り飛ばされて地面を舐めるように転がる。
先程の疲れと切り傷から滴る血が抜ける事で、体が思うように動かず、立ち上がる事もできずにそのままうつ伏せで倒れる。
何もできない自分が悔しくて涙を滲ませるシャーロットに騎士達がゆっくりと近づいてくる。
そんななか、倒れるシャーロットに縋りつく者が現れる。
「め、メリー! 何をしてるんだ、すぐに逃げるんだ」
そう、メリーがシャーロットに抱き付き、イヤイヤをするように被り振る。
メリーを突き離そうとするが起き上がる事もままならないシャーロットにはそれすらできなかった。
シャーロットの下にやってきた騎士達が剣を振り被ろうとするのが分かり、叫ぶ。
「いいから、逃げろ、メリー!!」
「い……いやぁぁ、シャロお姉ちゃんが一緒じゃなきゃ、やだぁ! パパ、ママみたいにいなくならないでぇ!!!」
叫ぶメリーに驚くシャーロット。
会ってから話すところを見た事がなく、周りの者の話でも話せなくなっていると聞いていた。
おそらく、両親を目の前で失った事がショックで口がきけなくなっているとレンに診断された事も聞いていた。
そのメリーが涙で瞳を揺らしながら、ここからシャーロットを連れ出そうと小さな体で引っ張っている。
振り返ると振りかぶる騎士の剣を見た瞬間、無意識にメリーを抱き寄せ、覆い被さる。
きたる剣戟に身を硬く歯を食い縛っていると降りかかったのは剣ではなく、男の断末魔と血飛沫であった。
パチパチパチ
拍手する音に気付き、そちらに目を向ける。
向けた先には金髪オールバックの軽薄な笑みを浮かべているが二枚目と言っても遜色がない20代後半の男が拍手をしながら近づいてくる。
「お嬢さん、合格です。貴方はあそこ、北川家にいる資格ありですよ。まあ、十中八九は大丈夫だとは分かってましたが、一、二を疑うのが私の仕事なんで、御容赦を……」
丁寧な礼をしてくるがこの場ではイヤミに映るはずなのに、自然に見える所が逆にイヤミでシャーロットの神経を逆撫でする。
何か言ってやろうと思ったが、それより、斬りかかろうとしてた騎士を思い出して振り返ると胸に穴が空いて血が噴き出して死んでる姿に息を飲む。
そんなシャーロットに近づいてくる金髪の男は、小瓶に入った液体を振りかける。
それをモロに被ったシャーロットは、跳ね起きるように立ち上がると金髪の男の胸倉を掴む。
「何をするっ!」
「良く効くでしょ? ダンガの2級ポーションは?」
胸倉を掴まれながら笑みを浮かべる。
言われて、切り傷は塞がり、まだふらつきは感じるが立ててる事に驚きを露わにする。
胸倉を掴む手を優しく解くと人を食った笑みを見せて、ドラドのほうへと歩いていく。
そんな男に恐れを感じてるようで、ドラドは叫ぶ。
「お前は何者だっ! 部下に何をした!」
シャーロットは、この男を見た事があった。何度か雄一と一緒に居る所を見た事があるからである。
金髪の男は腰を折って丁寧な礼をしてみせる。
「初めまして、私はリホウ。北川コミュニティの代表代理を務めさせて貰っている者です。何をしたですか? 何故、攻撃したかという同義ぐらいに答える理由はありませんね」
リホウと言動に苛立ったドラドが背後にいる部下に一斉にかかるように指示するが、返事はおろか、動き出す雰囲気すらなく慌てて振り返ると寝息を立てて眠る部下の姿があった。
「あちゃ……言うのを忘れてました。この場で行動できるのは貴方だけだったんですよ。この瞬間まではね?」
「どういう意味だっ!」
長剣に手を添えた形で動きを止めるドラドは汗を流しながらリホウに詰問する。
焦るドラドを尻目にリホウは肩竦める。
「いえね、ペーシア王国の使節団が動く事は分かってたんで網を張ってたんですよ。来ると分かってるのに何のおもてなしもしない訳にはいかないでしょう?」
そう言うとリホウは指を鳴らす。ドラドの背後から小さい光の塊が上空に向けて飛び出す。
光の塊を凝視するドラドに動けば足元から飛び出すと笑みを浮かべてリホウが伝える。
「そんな物々しい格好して、目に付きにくいルートとなるとダンガでは北門から入るしかありませんから、おもてなしの準備がしやすくて助かりました」
シャーロットは、ドラドが汗を増量してるのを見て、あれでシャーロットを攻撃しようとしてた騎士を仕留めた事を知る。
おそらく、それを目撃したメリーは震えて抱き付いて来てる事を知り、強く抱きしめ返す。
ニコニコ笑うリホウがドラドに軽い感じで話しかける。
「いやぁ~すいませんね。嘘が一つありましてね? 実は先程、私が指を鳴らす前なら動いても大丈夫だったんですよ……ごめんね?」
「また、ペテンをかけてて、動いても大丈夫なのだろう!!!」
リホウに振り回されて頭がきてるようで、唾を飛ばしながら叫ぶドラドは荒い息を吐く。
興奮するドラドに分かり易いようにジェスチャー付きで胸を貫通させられた部下を指を指す。
「嘘だといいですねぇ?」
笑うリホウを直視できずに震え出すドラド。
孤立無援の状況で恐怖に支配されたドラドは、縋るようにリホウを見つめて嘆願する。
「頼む、何でも話す。だから助けてくれ! 問答無用に殺さないのは聞き出したい情報があるのだろう? 頼むから……」
「何もありませんよ? 言ったじゃないですか。貴方達がやってくるのは分かってたと?」
笑みを浮かべるリホウが首を傾げるのを見て、絶望を感じた顔を見せる。
「そうそう、その顔が見たかったんですよ。わずかな希望に縋って蹴落とされる貴方の顔がね」
やっと見れたとばかりに喜ぶリホウは更なる追い打ちをする。
「ああ、それと実はさっきのも嘘で動いても大丈夫だったんですよ。私が合図をしない限りね」
「このクソッタレがぁ!」
その言葉と共に剣を抜いて斬りかかったドラドが一歩目を踏み出した瞬間、光の塊が飛び出てくる。
ドラドの股間に直撃するとぶつかった抵抗もないように突き進み、脳天から光の塊が飛び出す。
絶命したドラドがそのまま後ろ向きに倒れていくのを冷めた目で見つめるリホウが呟く。
「すいやせんねぇ、俺、嘘吐きなんで。アニキの大事にしてるモノに手を出そうとして楽に終わらせて貰えると思うんじゃねぇ!」
ゴミを見るようにドラドを見つめた後、気持ちを切り替えて、いつものリホウの緩んだ瞳に戻す。
振り返り、シャーロットとメリーの安否を確認すると近寄っていく。
「大丈夫でしたか? 怖い思いをさせてすいません」
まるで別人のようにペコペコするリホウをシャーロットはジッと見つめる。
そして、近寄ると静かに頭を下げる。
「まずは助けてくれた事を感謝する」
そう言って頭を上げたシャーロットは、迷いもなくリホウの頬に平手打ちを入れる。
叩かれた頬を押さえたリホウを睨みつけならシャーロットは吼えるように叫ぶ。
「先程の話を聞く限り、最初から見てたと受け取った。貴方がユウイチ様、そしてあの家に住む者達を大事にしてるのは分かった。だから、私の性根を調べたかったのは理解する」
目尻に涙を浮かべるシャーロットは絞り出すように言葉を紡ぐ。
「私はいい、だが、メリーがいる時にそれを確認する機会にするなっ! 助ける自信があったのだろうが、メリーもまたあの家の子だろっ!」
そうシャーロットに言われたリホウは目を大きくする。
普段のリホウのふざけた顔ではなく、素の表情が表に出る。
ふんっ! と鼻を鳴らすとシャーロットはメリーを連れて家の方向に歩いていくのをリホウは見送った。
リホウは本気で弱った顔をして呟く。
「痛いところを突かれたな……」
「ですね、効率、合理的を重視し過ぎた為、見逃してしまいましたね。誰であろうと完璧ではいれませんよ」
どこから現れた、と言いたくなるところからミラーが姿を現す。
本当に弱った顔をしてミラーを見つめるリホウが泣き事を言う。
「手を組んで一緒にしてたんですから、フォローぐらい入ってくださいよ?」
「何を言うんですか、私は女、子供に優しいと評判の冒険者ギルドの黒一点の受付のミラーですよ? イメージの問題で関わりを拒否します」
今も転がって起きない騎士達を寝かせたのはミラーの仕業であった。
冒険者ギルドに所属する以上、国には大きく関わらず、中立の立場を通さないといけないので、出て来れない事情もリホウは理解していたが、今のは本気で助けて欲しかった。
肩を落とすリホウにポンと叩くミラー。
「彼女も貴方があの優しい場所を大事にしてる事は理解してました。これは取り返せるミスです。気を取り直していきましょう」
「はぁ、そうですね。それにまだ当たりどころは残ってます。ヤツ当たりが混じってるのを自覚して叩き潰してやりますよ」
フッフフと笑うリホウを見て、ミラーは本気で苛立ってる珍しいリホウを目撃する。
「ユウイチ様には届きませんが、貴方もたいがい酷いですよ?」
「それは俺には褒め言葉ですよ」
そして、辺りに転がる死体を見て嘆息する。
「このまま、ここに放置したらきっとアニキが怒りますよね?」
ややウンザリした表情をミラーに向けるとドヤ顔したミラーが指先に青い炎を灯すと1つずつ死体にぶつけていく。
すると、一気に燃えあがり、燃えた所から灰になっていく。
「これで、後は風が適当に運んでくれますよ」
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