異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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9章 DTの後継者候補!

233話 ごめんなさい、やっぱり僕は! らしいです

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 雄一に斬りかかったテツは、セオリーを無視して斬りかかり戻す反動を利用して廻し蹴りなどを放ちながら戦いだす。

 それに一瞬、目を白黒させるが楽しげに笑みを浮かべる雄一。

 笑みを浮かべる雄一に引き攣った笑みを返しながらテツは、今まで溜めこんでいた想いを思い出していた。



 テツは、ずっと筋トレや型の訓練をやりたがった。

 筋トレは雄一のように一撃で薙ぎ払う姿を理想としてたので切望していた。だが、訓練の許可を求めても一度たりとも雄一が頷く事がなかった。

 ただ、「お前には不要なモノだ」と言われただけであった。

 ならば、武器の力を頼るという考えに至り、勿論、サリナの青春の忘れ物シリーズの使い心地が良く、替える意味が理解できないという思いもあったが一撃が期待できる武器に替えようかな? 雄一に言った事もあった。
 当然、その手の武器を買うのは『マッチョの社交場』でサリナに作って貰うつもりだった。

 だが、その雄一の解答は筋トレと同じく頷く事がなかった。

 雄一に鍛えられて強くなってる実感はあったが、どんどん自分が理想とする強さから離れて行ってる気がしてテツは焦っていた。

 だから、せめて戦い方は自分の理想に近づけるようと初めて行った王都以降、意識して戦ってきた。

 そんなテツをホーラは馬鹿にするようにして見ているのを鈍いテツですら何度か気付く程、見慣れた光景と化していた。

 正直言って、この戦い方をし出した頃、違和感があったのをテツは覚えている。

 4年という歳月を費やして、その違和感が気にならなくなったはずだった。

 テツが4年費やしたのに、たった1回、昨日、意識が飛びかけて記憶が曖昧になりながら戦った時、忘れてた違和感を以前より強く感じる結果になった。

 そう、記憶が飛びかけのテツはツーハンデッドソードを片手剣のように扱い、力で押し込まず、スピードで押し込んでいた。

 戦い方なんて考えもせずに、ただ相手、雄一に蚊に刺された程度のダメージでも入れば儲けものと考えているかのように空いてる手足を攻撃に使い、威力などないと分かってる生活魔法の水を雄一にぶっかけようとしていた。

 当然のように全部かわされていたが、テツはその戦い方がしっくりと自分の中に受け入れられた。

 一撃勝負してた時より、確実に雄一に食らい付けていた。

 そうやって初めて、雄一が自分に伝えたかった一端を理解した気がしたテツであった。



「僕はユウイチさんのように敵を薙ぎ払い、圧倒するような一撃が放てる男になりたかった。ユウイチさんが言ってくれた両手剣の適性がそれを求めていると勝手に思ってました」

 雄一に斬りかかっていたテツは距離を置き、息を整えながら話しかける。

「そう言ってくれるのは嬉しいが、お前は俺ではない。それと同時に俺はテツじゃない。確かに普通ならテツが思うように両手剣の適性があれば、そうなるだろう。だが、お前の身体能力はその常識を破壊した」
「はい、僕は一撃に全てをかけるような性格はしてません。駄目だったらできるまで、やり続ける諦めの悪い性格をしている事を忘れてました」

 そう言ってくる雄一に照れ笑いを浮かべるテツは、相棒のツーハンデッドソードを見つめて申し訳なさそうにする。

 テツの様子を見て、雄一はテツが何を考えているか察して肩を竦める。

「サリナさんが作ったこの両手剣、素晴らしいですよね」
「ああ、まるでお前を見てあしらえたのかと聞きたくなるぐらい、お前専用の武器だと俺も思うぞ」

 テツは相棒のツーハンデッドソードを持ち上げて見つめる。

「今まで、僕の我儘に付き合ってくれて有難う。でも、いつか正しく君から卒業してみせる。だから、その日まで僕と付き合って欲しい」

 紳士にテツは相棒に語りかける。

 自分の想いがきっと届くと信じている。

 テツは巴という例外を知っている。巴のように話しかけられなくても、きっと相棒は自分に語りかけてくれており、テツの言葉も届いている。

 雄一に視線を向けたテツは構えずに剣を地面に当たらない程度に下に向けている状態でゆっくりと雄一に向かって歩いてくる。

 そして、雄一まで3mといった所で止まると、リズムを取るように連続で軽くジャンプし出す。

 目を閉ざしたテツが深呼吸を3度繰り返し、目を開いたと同時に雄一に目掛けて特攻する。

 雄一に無呼吸で連続斬りするテツであったが、雄一はそれに手刀で余裕で対抗してくる。

 更に手数を増やす為に蹴りかかったり、雄一を掴もうとしたりするが蹴りは当たっても動じさせる事もできない。

 掴みかかった方はもっと性質が悪く、手首を掴まれると一本投げで綺麗に決められて地面を転がって悶絶させられる。

 痛みでもがき転がるテツを見つめながら勘違いしてる事を伝えてやる。

「テツ、お前は水であり、風だ。水のように流れに乗って動け。風と共に動くのではなく、お前が通った道を後から付いてくるんだ」
「水であり、風ですか?」

 叩きつけられたテツは痛みを堪えながら立ち上がる。

 言われた意味を今までなら理解しようと考えただろうが、今のテツは言葉から受けるイメージを重視し始めていた。
 でなければ、相棒のツーハンデッドソードと会話ができてるとは思わない。

 ツーハンデッドソードを構えたテツは目を瞑る。

 それを離れた所で見ていたホーラとポプリが声を上げる。

 今、テツがやり始めた事を見て感じたのであろう。

 ホーラ達にはテツの存在が希薄になり、見えているのに位置が分からないという感覚に襲われている。

 一歩も歩かずに、その場で居眠りをするように立っているテツは、立ちながら寝るように舟を漕ぎ始める。

 ゆら~ゆら~、とその場で揺られているだけなのに、テツが歩法をしている時に感じる感覚を発動させていた。

「やはり、テツは自分の手札を自覚すると早いのじゃ。ある意味、天才と言っても良いかもしれんな、ご主人」

 雄一は嬉しげに口の端を上げるだけで巴の言葉には返事を返さない。

 巴も今の雄一の気持ちが理解できるので楽しげな笑みが翳らない。

 そんなテツが滑るように雄一の懐に入ろうとしてくるのを拳で出迎える。

 雄一の攻撃がテツにヒットすると思われた雄一の拳は空を切る。

「ユウが攻撃を仕損じたさ!」
「馬鹿モン、良く見るのじゃ。ご主人そんな間抜けだとでも?」

 ホーラの言葉に巴は不機嫌そうに鼻の上の方に皺を作って馬鹿を見つめるような顔をする。

 ホーラとポプリの見つめる先ではテツが雄一の背後から脇腹を一閃しようとしたらしいが、後ろを向いている雄一に剣先を抓まれてた。

 テツはそれに動揺する様子を見せずに、雄一がしっかりとツーハンデッドソードを左手で掴んでるの見て、理解すると掴んでる柄を軸にして逆上がりをするように地面を蹴る。

 雄一の右脇腹を潜るようにして左足でト―キックするようにして雄一の顔面を蹴ろうとしてきた。

 さすがにこれには驚いたらしい雄一にビックリした顔にする事には成功したようだが、あっさりと左足首を掴むと頭上に振り上げる。

「迫る動き、背後に廻り込んでの一閃、良かったぞ。最後のこの蹴りも良かったが、もう一声あれば及第点だったぞ!」

 今度は腕ではなく、足を掴んで地面に叩きつけようと雄一がするがテツは慌てた様子を見せずに雄一の振り下ろそうという力を利用して、振り下ろすタイミングに合わせて、雄一の後頭部に踵落としを入れようとしてくる。

 笑みを浮かべた雄一が首を傾けて通り過ぎる右足を空いている左手で掴み、両足を封じる。

「テツ、及第点だ!」

 雄一は更に勢い付けて、テツを背中から叩きつけた。

 碌に受け身が取れなかったテツが叩きつけられたと同時に喀血する。

 今度はさすがに血を吐き出すほど体内を傷ついてしまい、動けないテツに雄一は回復魔法を行使していく。

「すまんな、少し嬉しくて手加減が甘かったようだ」
「い、いえ、そう言って貰えて僕は嬉しいです。モヤモヤもスッキリしました」

 雄一の回復魔法の効果が出てきたようで、喋れる程度には回復したようだ。

 本当にスッキリしたような顔をするテツが空を見上げながら雄一に話しかけてくる。

「ユウイチさんが言っていた『何故、お前は自分の命を大事にしないか』という解答を聞いて貰っていいですか?」
「ああ、聞こう」

 そう答える雄一であったが、もう聞くまでもない、と思っていたがテツ自身の口から語られるべきだと笑みを浮かべて聞く体勢に入る。

「僕は今まで、死んだ父さんと母さんが僕を誇ってくれるような生き方をしなくては、そして、ティファーニアさんを幸せにする為に強い男になる事を考えてました」

 口許の血糊をテツは袖で拭いながら続ける。

「ですが、先程、シャーロットさんに言われたんです。戦う理由に僕の幸せが入っているのか? って、正直、焦りました。そんな事を考えた事がなかったんです」

 1人で考えさせるつもりだったのにノーマークだったシャーロットが動いてた事に苦笑が浮かぶ。

 シャーロットへの折檻は後で考えるとして、そういう事を汲めるようになってるのはシャーロットにとっても成長かと考える。

「シャーロットさんは言いました。僕が楽しく生きないと父さんと母さんは嬉しくないって、きっとティファーニアさんも僕も幸せになろうとしないと悲しむ気がしました」

 余計なシャシャリをしたシャーロットだったが、結果オーライになっているようだと雄一は思う。

 しかし、今回のシャーロットもそうだし、ホーラ達もそうだが、テツは天然の女たらしだな、と思う。

 それは家族としての愛なのか、1人の男性としての愛かという違いはあれど、周りがテツを放っておかない。
 なんだかんだ言いながら、あの巴にすら意識させている。

 そう思い苦笑する雄一であったが、テツに言った女たらし以上に人たらしであり、これに関しては完全なブーメランである事に気付いていない。

 お似合いの師弟コンビであった。

「それに気付いたうえで、ユウイチさんと戦って気付けました。だから、僕はユウイチさんに謝らないといけません」

 そう言ってくるテツに雄一は首を傾げる。

「僕は権力などに興味はありません、強い男にはなりたいとは思いますが、最強の男になりたいとは思ってません、が……」

 雄一に癒されながら、地面で寝るテツは雄一を見上げながら、涙を流し始める。

 それに虚を突かれた雄一を無視してテツは語る。

「ユウイチさん、ごめんなさい。僕は……世界二のお父さんじゃ嫌です! やっぱり、世界一がいいです!」
「テツ……」

 思わず、泣くテツを殴って、馬鹿野郎がぁ! と言いたくなる衝動に襲われた雄一は意思の力で抑えつけると代わりに笑いだしたら止まらなくなりそうな衝動に襲われ、苦笑をする。

「きっと、僕はユウイチさんと肩を並べるお父さんになってみせます。だから……僕がそこに駆け上がるまで待っててください」
「おう、待ってるぞ」

 雄一には珍しい微笑を浮かべてテツを見つめると、テツは破顔させた顔は涙と鼻水で無茶苦茶になる。

「馬鹿野郎が……」

 やっぱり我慢ができなくなった雄一がテツにそう言うとテツの隣に座ると爆笑し始める。

 テツも雄一に釣られるようにして笑うものだから呼吸困難に陥りながら咳き込む。そんな馬鹿な長男であり弟子であるテツの頭を乱暴に撫で続けて雄一は楽しげに笑い続けた。
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