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9章 DTの後継者候補!
256話 よろしく、と伝えておいて欲しいそうです
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ニッコリと笑うテツを見て、安堵のため息を吐くホーラ達の隣では、テツに向かって破顔させ、サムズアップする徹の姿と「おめでとう!」と万歳するようにするルナの姿があった。
「やるな? 今の迷いのない攻撃をしたところを見ると『ホウライ』というヤツの力の形も視えたんだな?」
「はい、黒い何かとしか説明ができないモノが見えました」
「初めてなら充分なの!」
ツーハンデッドソードを仕舞い、気を失っている啓太を抱えると皆の下へ帰ってくるテツ。
近寄ってくるテツを啓太を落とさない程度に加減した拳で顔をホーラ、脇腹をポプリが抉ってくる。
啓太を落とさないように必死にバランスを取りながらテツは半泣きになりながら文句を言う。
「何をするんですか!」
「何をじゃないさ! 一瞬、本当に死んだかと思ったさ!」
「心配させた分です!」
テツに食ってかかるホーラとポプリを眺めていた徹があっけらかんとした様子でサラッと言ってくる。
「いや、本当に一瞬ではあるが死んでたぞ?」
「うん、後ちょっとで飛び出して蘇生処置をするところだったの」
ルナは、大事にならなくて良かったと、どこか抜けた笑みを見せてくる。
テツは勿論、ホーラ達も目を点にして徹達を見つめる。
同じように見つめたホーラ達であったが、同じように驚くテツに気付き、詰め寄る。
「テツ、自分の事なのに肯定も否定もできないというのはどういう事さ?」
「いや、体がまったく動かないとか、視界が真っ暗とかは感じてるというか分かりましたけど、そうか、あれが死ぬという感じなのか……」
思い出すように天井を見つめるテツが身震いをして、
「あの感覚を味わうぐらいなら激痛に耐えた方がマシです。もう2度と死にたくないですね」
「2度死ぬ体験できる人は探してもなかなか見つからないと思いますよ?」
正論のようなトンチンカンな解答をするテツを呆れた顔して嘆息するポプリ。
そんなテツを上から下へと見つめる徹が言ってくる。
「どうだった? お前が手繰り寄せた存在は? 視たところ、既にあの時の力は霧散してるようだが」
「はい、1度だけ力を貸してくれたようです。可能性だけ、とブツブツ文句をだいぶ言われました。今度会う時は可能性が花を咲かせた、と言わせてみせます」
「可能性があると言わせて、ブツブツ文句を言うのは期待の裏返しなの頑張るの!」
ルナの励ましを嬉しそうに返事するテツを難しい顔で見つめるホーラに徹が意地悪な顔をして言ってきた。
「カチューシャの子、君がこの小僧と同じ事しても次のステップにはいけないぞ? それは隣のマントで隠してる我儘なオッパイの持ち主の子もだぞ?」
ブラックドラゴンにやられた衣服の破れや乱れを直した2人。別に徹に見られたからといって恥ずかしさに身悶えるという事はないが、かといって無駄に晒して見られたいという訳ではない。
「じゃ、どうしたらいいさ?」
「それはだな……殺気っ!!」
得意顔で何かを言おうとした徹であったがすぐに顔を引き締める。
徹に釣られるようにルナも辺りをキョロキョロしていると上空を見上げた徹の顔が強張る。
「み、美紅っ!」
「ついに見つけましたよ、トオル君!!」
徹に足蹴りを喰らわせる体制でスカートを押さえながら落下してくる黒髪の髪を肩で揃えたルナと同じ服を着る少女、美紅の瞳は先程のテツより赤く、真紅というのが適当な輝きを発していた。
「る、ルナ、逃げるぞっ!」
「と、徹、助けて欲しいのぉ!」
ルナは、髪型や体格は美紅と似ているが銀髪の少女に両足を抱き抱えられて地面に転がっていた。
徹は、ルナの両足に抱きつく西洋人形を思わせる銀髪の少女とルナを交互に見つめると良い笑顔をして額の前で人差し指と中指を伸ばして合わせた形でピッと振ってみせる。
「ルナ、見事だ。そのままエマを抑えていてくれ。俺だけが幸せになってみせるぅ!」
「ち、違うのぉ! 抑えてるんじゃなくて、確保されてるの! 助けてぇ~徹ぅ~!」
泣く振りをする徹がルナを嫌々、見捨てるという素振りを見せる。
それを見ていたテツ達はあきれ顔全開で、なんて手慣れた三文芝居なんだ、と思うと同時に楽しそうだなとも思い、羨望の眼差しを送る。
涙ながら必死に助けを求めるルナを本当に見捨てて逃げようとする徹の背後から落下してきた美紅に後頭部を蹴りを入れられる。
蹴られた徹が顔面で地面を陥没させる。
「「「死んだ! これはさすがに死んだでしょ!」」」
テツ達が声をハモらせて絶叫するように叫ぶ声に反応するように後頭部を両手で押さえて飛び起きる徹が徹を後頭部から蹴った事を除けば上品に着地した美紅に詰め寄る。
「死んだらどうする! 爺ちゃんに帰れって言われたぞ?」
「嘘を言ってはいけませんよ、トオル君。それぐらいで死ぬようならアローラは勿論、今世でも何度死んでるか……碌な怪我もしてないはずです。私の手加減は完璧ですから」
そんな言い訳では誤魔化されません、と静かな怒りを見せる美紅はまだ危険色を解かないのに若干怯みながらも徹は自分の額を指差す。
「怪我をしてないって? 額が赤くなってるだろ?」
「いや、今のはせめて生死を彷徨うぐらいして欲しいさ? 一応、人間だよね?」
テツは口をパクパクさせて、ポプリは色々、受け止めないといけない現実に頭が痛そうだったのでホーラが代弁して突っ込む。
そこで美紅は危険色の真紅を薄ら赤いレベルに瞳の色を落ち着かせて、テツ達を見つめると深々と頭を下げてくる。
「所用を先に済ませて挨拶が遅れました。十文字 美紅と申します。トオル君達と一緒で女神ノ冒険部の一員です」
「同じく、エマ・デュボワです。初めまして」
逃亡を諦めたルナを解放して立ち上がっていた銀髪の少女はペコリと頭を下げてくる。
同じように頭を下げて挨拶するテツ達だったが、ポプリが頭がまだ痛そうにしながらぼやく。
「挨拶が遅れた事など、どうでも良くなるぐらいの出来事が起き過ぎてついて行くのがやっとですけど?」
ポプリのぼやきを拾った美紅は苦笑を浮かべながらもテツ達を眺める。
「そうですか、貴方達があの方が仰っていた『運命の導き手』の方達ですか」
「それさ、さっきもルナって人にも聞いたけど、どういう意味さ?」
ルナより話が通じそうな美紅に問いかけるホーラ。
軽く目を伏せた美紅は被り振りながら言ってくる。
「私もそれほど詳しくお聞きした訳ではないので誤解させるかもしれない説明はできません。ですが、ルナさんにも言われたのではないのですか? 今、知っても意味はない、と? これは数ある未来の選択肢の1つだと今は理解するだけで充分ですよ」
丁寧ではあるがルナと同じ返答をされたホーラは溜息を吐いて引き下がる。いくら食い付いても美紅からそれ以上の解答を引き出せるとは思えなかったからであった。
視線を徹に戻した美紅は呆れを隠さない溜息を零す。
「なるほど、逃げた先にこの方が居られたのは運が良かったというべきか、相変わらずのカンの冴えというべきか悩む所ですが、それを考慮してもお説教です」
そう言うと徹の耳を引っ張る美紅がテツ達にお辞儀する。
「来た早々、忙しないですが、お暇させて頂きますね?」
「ちょっと、待ってください。聞きたい事がまだ沢山あるんです」
慌てたポプリが帰ろうとする美紅を呼び止めるが柔らかい笑みを浮かべる。
「質問されてもどれだけお答えできるか分かりませんが、良いのですか? トオル君がここに飛び込む事を選んだという事は厄介事の最中のはずです。お時間に余裕はおありですか?」
そう言われたテツ達は、最下層にいる雄一達がどうなったか今更ながら心配し出した。
さすがに雄一が死んだとは思わないが面倒な事になってたりしないかと思う。
離れた場所のテツ達を援護する為に自分の力を切り離して啓太達の能力を制限させていたのだから。
これがなければ、梓にも出会えず、テツの逆転劇はなかったであろう。
テツ達の顔色からそれを察した美紅が優しく諭すように言ってくる。
「お急ぎになられた方がいいですよ。何が一番大事か、それを見失わなければ大抵の事は上手くいきますよ」
そう言った耳を引っ張られて痛がる徹達を連れてゆっくりと上空に登っていく。
戻っていく徹達にテツが慌てたように声をかける。
「待ってください。ちゃんとお礼も何も出来てません!」
「うふふ、そんな事しなくていいの。私達も1度会ってみたいと思ってたから」
「だな、いらねぇーよ」
でも! と食い付くテツに苦笑を浮かべる徹が何かを思い付いたかのように顔を輝かす。
「そうだ、1つ頼まれてくれるか?」
「なんなりと」
テツは徹の言葉を聞き逃さないとばかりに身構える。
「こっちのミランダによろしく言っておいてくれ」
えっ? と固まるテツ達。
キュエレーで世話になった宿の主人と同じ名前であったからであった。
「じゃあ……貴方がミランダさんが家族と言った世界を救った少年?」
「はっはは! そんな格好いい話じゃないけどな。頼んだぞ?」
そう照れ臭そうに笑う徹は、上空で停止すると激しい光が生まれ、それに包まれると姿を消した。
しばらく徹達が消えた天井を見上げてたテツ達だったが、いち早く我に返ったテツが2人の姉に声をかける。
「急ぎましょう。ユウイチさんがどうなったか心配です」
そう言うと駆けだすテツを追いかける2人。
走りながら問いかけるホーラ。
「世界を救ったとはどういう意味さ?」
「以前にミランダさんから聞いただけなので、それほど詳しくは話せませんが……その話は今度にして、今は急ぎましょう」
10階層にいるテツ達は、最下層、20階層にいる雄一がいる場所を目指して走る事に集中した。
▼
一方、啓太の下から飛び去った恵は、テツ達と戦ってる最中に何をしていたかというと……
大型モンスターを抑える雄一のオーラに向かって掌をかざしていた。
雄一のオーラを時空魔法で抉り取ろうとしているようだが、抉った先から補完されていき、焼け石の水のようで『ホウライ』は舌打ちする。
「あの者の能力の底はどこにある? これでも足らないというのか?」
オーラの壁に綻びを生んで大型モンスターを引き寄せようとしているが、遅々として進まず、時空魔法を操る恵の方が額に汗を浮かせていた。
「壁だけでなく、この娘の能力に枷を付ける余力まであるとは……」
舌打ちが止まらない『ホウライ』は恵に継続して時空魔法を使うように指示を出そうとした時、恵に向かって制止の声をかける者が現れる。
「それ以上はさせません! そこから離れてください!」
そう叫んだのは、このパーティの司令塔のダンテ。
『試練の洞窟』にいたアリア達が最前線に現れた。
「やるな? 今の迷いのない攻撃をしたところを見ると『ホウライ』というヤツの力の形も視えたんだな?」
「はい、黒い何かとしか説明ができないモノが見えました」
「初めてなら充分なの!」
ツーハンデッドソードを仕舞い、気を失っている啓太を抱えると皆の下へ帰ってくるテツ。
近寄ってくるテツを啓太を落とさない程度に加減した拳で顔をホーラ、脇腹をポプリが抉ってくる。
啓太を落とさないように必死にバランスを取りながらテツは半泣きになりながら文句を言う。
「何をするんですか!」
「何をじゃないさ! 一瞬、本当に死んだかと思ったさ!」
「心配させた分です!」
テツに食ってかかるホーラとポプリを眺めていた徹があっけらかんとした様子でサラッと言ってくる。
「いや、本当に一瞬ではあるが死んでたぞ?」
「うん、後ちょっとで飛び出して蘇生処置をするところだったの」
ルナは、大事にならなくて良かったと、どこか抜けた笑みを見せてくる。
テツは勿論、ホーラ達も目を点にして徹達を見つめる。
同じように見つめたホーラ達であったが、同じように驚くテツに気付き、詰め寄る。
「テツ、自分の事なのに肯定も否定もできないというのはどういう事さ?」
「いや、体がまったく動かないとか、視界が真っ暗とかは感じてるというか分かりましたけど、そうか、あれが死ぬという感じなのか……」
思い出すように天井を見つめるテツが身震いをして、
「あの感覚を味わうぐらいなら激痛に耐えた方がマシです。もう2度と死にたくないですね」
「2度死ぬ体験できる人は探してもなかなか見つからないと思いますよ?」
正論のようなトンチンカンな解答をするテツを呆れた顔して嘆息するポプリ。
そんなテツを上から下へと見つめる徹が言ってくる。
「どうだった? お前が手繰り寄せた存在は? 視たところ、既にあの時の力は霧散してるようだが」
「はい、1度だけ力を貸してくれたようです。可能性だけ、とブツブツ文句をだいぶ言われました。今度会う時は可能性が花を咲かせた、と言わせてみせます」
「可能性があると言わせて、ブツブツ文句を言うのは期待の裏返しなの頑張るの!」
ルナの励ましを嬉しそうに返事するテツを難しい顔で見つめるホーラに徹が意地悪な顔をして言ってきた。
「カチューシャの子、君がこの小僧と同じ事しても次のステップにはいけないぞ? それは隣のマントで隠してる我儘なオッパイの持ち主の子もだぞ?」
ブラックドラゴンにやられた衣服の破れや乱れを直した2人。別に徹に見られたからといって恥ずかしさに身悶えるという事はないが、かといって無駄に晒して見られたいという訳ではない。
「じゃ、どうしたらいいさ?」
「それはだな……殺気っ!!」
得意顔で何かを言おうとした徹であったがすぐに顔を引き締める。
徹に釣られるようにルナも辺りをキョロキョロしていると上空を見上げた徹の顔が強張る。
「み、美紅っ!」
「ついに見つけましたよ、トオル君!!」
徹に足蹴りを喰らわせる体制でスカートを押さえながら落下してくる黒髪の髪を肩で揃えたルナと同じ服を着る少女、美紅の瞳は先程のテツより赤く、真紅というのが適当な輝きを発していた。
「る、ルナ、逃げるぞっ!」
「と、徹、助けて欲しいのぉ!」
ルナは、髪型や体格は美紅と似ているが銀髪の少女に両足を抱き抱えられて地面に転がっていた。
徹は、ルナの両足に抱きつく西洋人形を思わせる銀髪の少女とルナを交互に見つめると良い笑顔をして額の前で人差し指と中指を伸ばして合わせた形でピッと振ってみせる。
「ルナ、見事だ。そのままエマを抑えていてくれ。俺だけが幸せになってみせるぅ!」
「ち、違うのぉ! 抑えてるんじゃなくて、確保されてるの! 助けてぇ~徹ぅ~!」
泣く振りをする徹がルナを嫌々、見捨てるという素振りを見せる。
それを見ていたテツ達はあきれ顔全開で、なんて手慣れた三文芝居なんだ、と思うと同時に楽しそうだなとも思い、羨望の眼差しを送る。
涙ながら必死に助けを求めるルナを本当に見捨てて逃げようとする徹の背後から落下してきた美紅に後頭部を蹴りを入れられる。
蹴られた徹が顔面で地面を陥没させる。
「「「死んだ! これはさすがに死んだでしょ!」」」
テツ達が声をハモらせて絶叫するように叫ぶ声に反応するように後頭部を両手で押さえて飛び起きる徹が徹を後頭部から蹴った事を除けば上品に着地した美紅に詰め寄る。
「死んだらどうする! 爺ちゃんに帰れって言われたぞ?」
「嘘を言ってはいけませんよ、トオル君。それぐらいで死ぬようならアローラは勿論、今世でも何度死んでるか……碌な怪我もしてないはずです。私の手加減は完璧ですから」
そんな言い訳では誤魔化されません、と静かな怒りを見せる美紅はまだ危険色を解かないのに若干怯みながらも徹は自分の額を指差す。
「怪我をしてないって? 額が赤くなってるだろ?」
「いや、今のはせめて生死を彷徨うぐらいして欲しいさ? 一応、人間だよね?」
テツは口をパクパクさせて、ポプリは色々、受け止めないといけない現実に頭が痛そうだったのでホーラが代弁して突っ込む。
そこで美紅は危険色の真紅を薄ら赤いレベルに瞳の色を落ち着かせて、テツ達を見つめると深々と頭を下げてくる。
「所用を先に済ませて挨拶が遅れました。十文字 美紅と申します。トオル君達と一緒で女神ノ冒険部の一員です」
「同じく、エマ・デュボワです。初めまして」
逃亡を諦めたルナを解放して立ち上がっていた銀髪の少女はペコリと頭を下げてくる。
同じように頭を下げて挨拶するテツ達だったが、ポプリが頭がまだ痛そうにしながらぼやく。
「挨拶が遅れた事など、どうでも良くなるぐらいの出来事が起き過ぎてついて行くのがやっとですけど?」
ポプリのぼやきを拾った美紅は苦笑を浮かべながらもテツ達を眺める。
「そうですか、貴方達があの方が仰っていた『運命の導き手』の方達ですか」
「それさ、さっきもルナって人にも聞いたけど、どういう意味さ?」
ルナより話が通じそうな美紅に問いかけるホーラ。
軽く目を伏せた美紅は被り振りながら言ってくる。
「私もそれほど詳しくお聞きした訳ではないので誤解させるかもしれない説明はできません。ですが、ルナさんにも言われたのではないのですか? 今、知っても意味はない、と? これは数ある未来の選択肢の1つだと今は理解するだけで充分ですよ」
丁寧ではあるがルナと同じ返答をされたホーラは溜息を吐いて引き下がる。いくら食い付いても美紅からそれ以上の解答を引き出せるとは思えなかったからであった。
視線を徹に戻した美紅は呆れを隠さない溜息を零す。
「なるほど、逃げた先にこの方が居られたのは運が良かったというべきか、相変わらずのカンの冴えというべきか悩む所ですが、それを考慮してもお説教です」
そう言うと徹の耳を引っ張る美紅がテツ達にお辞儀する。
「来た早々、忙しないですが、お暇させて頂きますね?」
「ちょっと、待ってください。聞きたい事がまだ沢山あるんです」
慌てたポプリが帰ろうとする美紅を呼び止めるが柔らかい笑みを浮かべる。
「質問されてもどれだけお答えできるか分かりませんが、良いのですか? トオル君がここに飛び込む事を選んだという事は厄介事の最中のはずです。お時間に余裕はおありですか?」
そう言われたテツ達は、最下層にいる雄一達がどうなったか今更ながら心配し出した。
さすがに雄一が死んだとは思わないが面倒な事になってたりしないかと思う。
離れた場所のテツ達を援護する為に自分の力を切り離して啓太達の能力を制限させていたのだから。
これがなければ、梓にも出会えず、テツの逆転劇はなかったであろう。
テツ達の顔色からそれを察した美紅が優しく諭すように言ってくる。
「お急ぎになられた方がいいですよ。何が一番大事か、それを見失わなければ大抵の事は上手くいきますよ」
そう言った耳を引っ張られて痛がる徹達を連れてゆっくりと上空に登っていく。
戻っていく徹達にテツが慌てたように声をかける。
「待ってください。ちゃんとお礼も何も出来てません!」
「うふふ、そんな事しなくていいの。私達も1度会ってみたいと思ってたから」
「だな、いらねぇーよ」
でも! と食い付くテツに苦笑を浮かべる徹が何かを思い付いたかのように顔を輝かす。
「そうだ、1つ頼まれてくれるか?」
「なんなりと」
テツは徹の言葉を聞き逃さないとばかりに身構える。
「こっちのミランダによろしく言っておいてくれ」
えっ? と固まるテツ達。
キュエレーで世話になった宿の主人と同じ名前であったからであった。
「じゃあ……貴方がミランダさんが家族と言った世界を救った少年?」
「はっはは! そんな格好いい話じゃないけどな。頼んだぞ?」
そう照れ臭そうに笑う徹は、上空で停止すると激しい光が生まれ、それに包まれると姿を消した。
しばらく徹達が消えた天井を見上げてたテツ達だったが、いち早く我に返ったテツが2人の姉に声をかける。
「急ぎましょう。ユウイチさんがどうなったか心配です」
そう言うと駆けだすテツを追いかける2人。
走りながら問いかけるホーラ。
「世界を救ったとはどういう意味さ?」
「以前にミランダさんから聞いただけなので、それほど詳しくは話せませんが……その話は今度にして、今は急ぎましょう」
10階層にいるテツ達は、最下層、20階層にいる雄一がいる場所を目指して走る事に集中した。
▼
一方、啓太の下から飛び去った恵は、テツ達と戦ってる最中に何をしていたかというと……
大型モンスターを抑える雄一のオーラに向かって掌をかざしていた。
雄一のオーラを時空魔法で抉り取ろうとしているようだが、抉った先から補完されていき、焼け石の水のようで『ホウライ』は舌打ちする。
「あの者の能力の底はどこにある? これでも足らないというのか?」
オーラの壁に綻びを生んで大型モンスターを引き寄せようとしているが、遅々として進まず、時空魔法を操る恵の方が額に汗を浮かせていた。
「壁だけでなく、この娘の能力に枷を付ける余力まであるとは……」
舌打ちが止まらない『ホウライ』は恵に継続して時空魔法を使うように指示を出そうとした時、恵に向かって制止の声をかける者が現れる。
「それ以上はさせません! そこから離れてください!」
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