異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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9章 DTの後継者候補!

257話 アイツに乗って緊急出動だ、らしいです

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 時は遡り、雄一達が最下層に向かっている頃、アリア達は『試練の洞窟』から飛び出してきた。

 マサムネのおかげでいち早くモンスターの襲来を知る事ができた6人であったが、『試練の洞窟』を飛び出して冒険者ギルドに向かう道での周りの反応を見る限り、周知の事実に成っている事を知る。

 必死に走って冒険者ギルドに到着すると見覚えがある少女が少し高い位置に立って指示を出していた。

「シャーロットさん、無茶だ。あの仲の悪いコミュニティを一緒に突撃させるなんて……」
「ふざけるな! 気合いでなんとかしろ! タマはあるのかと言ってやれ!」

 見覚えがある? ような少女が歴戦の戦士と言った壮年の男に怒鳴る。

 周りにいる者達も普段のしがらみが無視しきれないのか、目で威嚇し合うのを見た知ってるかもしれない少女が更に声を荒げる。

「何、グダグダしてる! そんなチンタラしてる動きならジジイの腰使いのほうがマシだ! 口でクソを垂れる前と後に『マム』と言え! 分かったかクソムシども!」

 可憐に見える少女だけに汚い怒号にビビったらしい男達は一様に股ぐらを庇うようにして、声を張り上げる


「「「マム、イエス、マム!!!」」」


「声が小さい、大声を出せっ!」

 マムという連呼する声が響き、敵対関係にあったコミュニティの事などどうでも良くなった男達は急いで動き出す。

 若干、一部の男共が熱い視線を知らない少女に送る者がいたりするが大変だな、とアリア達は思う。

 その少女に楽しげに声をかける強者が2人いた。

「いや~良く纏めましたね? 非戦闘員の避難誘導とユウイチ様が作った壁から漏れ出た小物のモンスターを倒す部隊は既に動き出しましたよ」
「しかし、冗談で言ったのですが、本当にユウイチ殿は今の貴方を見たら泣くかもしれませんし、ヘタしたら他人のフリですよ?」
「ち、違うのだ。軍で新兵に手早く言う事を聞かせて、意思を統一する方法として教えられたのだ!」

 先程の人とは思えないほどアタフタする少女の下に近づいてきたアリア達が声をかける。

「初めまして、ここの司令官様ですか? 良ければ現状を教えて頂きたいの」
「スゥ! 他人じゃないからな、シャーロットだぞ? 同じ屋根の下で暮らす仲だろ?」

 半泣きなシャーロットに驚いた素振りをみせるアリアとスゥは顔を見合わせる。まるで、お互いに知ってる? と確認し合うように見える。

 そんな3人に苦笑するダンテが間に入る。

「確かに珍しい光景だったから、からかいたいのは分かるけどそれぐらいにしておこうよ」
「そうだぞ? からかうのはいけない。私はどちらかというと主に罵られたい側……なんでもない」

 何やら聞いてはいけない類の情報が飛び出してダンテ達は固まる。

 それに気付いたシャーロットが顔を真っ赤にするが唯一、マジモードのままのヒースが話しかける。

「すいません、モンスターの動きはどうなってるか教えてくれませんか?」
「ああ、そうだな、ごほん。モンスターの進軍は主のオーラだと思われるもので足止めされている。しかし、小物のモンスターは隙間を抜けるようでザガンを目指してやってきてる」
「全てのモンスターがこちらを目指しているの?」

 シャーロットの説明に質問を噛ませるスゥにシャーロットは首を横に振ってみせる。

「いや、小物と一部を除いた、強力そうなモンスターは『精霊の揺り籠』を目指そうとオーラを突き破ろうとしているという報告を受けているがビクともさせられてないそうだ。さすがは主だ」
「さすが、ユウさん。でも、止めるのは分かるのだけど、普段のユウさんなら飛び出してきて倒してそうなのにしてない、おかしい」

 アリアが疑問を口にするとシャーロットも確かにおかしいと思ったようで綺麗な眉を寄せる。

 スゥがダンテを見つめると話しかける。

「ダンテ、精霊に向こうの状況を聞けないの?」
「正直、土の低級精霊が暴走気味だから他の精霊の声が聞き辛いんだけど、試してみるね?」

 そういうと目を瞑るダンテが額に汗を浮かせて集中を始めた。

 5分程した時、止めてた息を吐き出すようにしたダンテが慌てた様子で皆に告げる。

「大変だ、『精霊の揺り籠』内の状況は聞けなかったけど、入り口周辺に張られたユウイチさんの壁に穴を空けようとしているホーラ姉さん達より少し年上の女の人がいる」
「それは不味いな。主の力に干渉できるとすれば、強力なモンスターが雪崩れ込む事になる」

 舌打ちしたいのを堪えるようにするシャーロットにレイアが慌てた顔をして聞く。

「シャロ姉! アタシ達はそこに行かないといけない。足を用意してくれないか?」

 そう言ってくるレイアに申し訳なさそうな顔をする。

 答えられないシャーロットの代わりにエイビスが答えてくる。

「申し訳ありませんが、非戦闘員の避難の為に大半のソリは出ています。僅かに残ったソリは前線で戦う冒険者達に運ぶ補給物資の分で余裕などないのです」
「それに仮にあったとして、『精霊の揺り籠』までソリで半日かかります。間に合いませんね」

 エイビスの後をついでミラーが更に無理な理由を伝えてくる。

「せっかくモンスターの襲来に気付いて出てきたのに、肝心な場所にはいけないのかよ!」
「レイア、気持ちは分かるけど、ザガン防衛に力を貸すのも大事な事だよ。きっとユウイチさんなら自分の身の回りの事はなんとか……」

 悔しそうにするレイアを諭すダンテだったが言ってる本人も悔しそうにしている。

 他の面子も悔しそうにするなか、アリアだけが諦めておらず、意を決した表情をすると胸元を漁り出す。

 それを見ていた皆が首を傾げるがアリアの近くにいたヒースは顔を真っ赤にして明後日の方向に顔を向ける。

「アリア、何をしてるの?」
「まだ諦めるのは早い。後できっとユウさんに怒られる。でも、まだ取れる手はある」

 アリアが胸元から取り出したのは黒いヒヨコのような鳥、そうクロであった。

 クロを見て、ああ! と声を上げる一同。

 どうやら、クロは今の今まで寝ていたようで驚いたようにピーピーと鳴いて右往左往する。

「うわぁ、コイツの事忘れてた。ミュウみたいに食って寝てばかりでそういう事が出来る奴って本気で忘れてた!」
「がぅ、ミュウ、違う。食って寝て遊ぶ」

 自尊心が傷つけられたとばかりにミュウが唸るが、レイア達は同じ扱いのほうがマシだったんじゃないか? と思ったが流す。

「できれば、こうも人目のある所ではクロの本当の姿を見せたくはなかった。でも緊急事態」

 アリアはそう言うとクロを覗き込むようにして話しかける。

「クロ、お父さんが大変。私達を運んで飛んで!」
「ピッ? ピィーピー!!」

 アリアの言葉を理解したようで、慌てた様子でアリアの掌から飛び降りるとクロから激しい光が発せられる。

 一瞬、視界を奪われるが視界が戻ると立派な漆黒の翼を持つ大鳥のクロの本当の姿が現れる。

「うわぁ、久しぶりに見たけど、また大きくなったね?」
「がぅぅ、ミュウ、負けてない」
「いや、普通に負けてるし、負けておけよ?」

 4年前であれば小さなアリア達が5人を載せて飛ぶのがやっとであったが、同じように4年経って大きくなったアリア達にヒースを載せてもまだ余裕があるほど大きく成長していた。

 シャーロットとエイビスとヒースはクロの姿を見るのが初めてだったようでビックリした顔をしてエイビス以外の2人が固まっていた。

 エイビスはいち早く驚きから回復して笑みを浮かべる。

「これの報告を友ミラーから聞いていましたが、聞くのと見るのとは大違いですね? 久しぶりに驚いてしまいました。やっぱりあの方と絡むのは止められません」
「私が最後に見た時とだいぶ変わってますから、私も少し驚きましたよ?」

 クスクスと笑い合うアクマが2匹。

 まだ呆け続けるヒースの両頬を同時に挟むように平手打ちにするミュウ。

「起きる、ヒース!」
「うわぁ、イタッ! あっ、余りにビックリし過ぎて魂が抜ける想いだったよ。あんな小さな小鳥がこんな……」
「驚くの後でするの、さっさと乗るの!」

 急かすスゥの言葉でクロを見ると既に乗り込んだ皆の姿があった。ヒースを叩いたミュウも既に乗り込んでいた。

 足下がフワフワするようにしっかりしない状態でおそるおそるヒースも乗り込む。

 乗り込むのを確認したアリアがクロの背中を優しく叩く。

「飛んでクロ。お父さんの下へ!」
「ピィ――――!」

 高い鳴き声を響かせると羽根を大きく羽ばたかせると凄い勢いで『精霊の揺り籠』方向へと飛び去る。

 それを見送っていたシャーロットに近くにいたどこかのコミュニティのトップらしき強面の男が話しかけてくる。

「マム、今のは何でありましょうか?」
「吉兆だ、それ以上、お前達が知る必要はない!」

 さっさと働け! と斬って捨てるシャーロットに不満そうにする強面。

「ワシ、これでもコミュニティの代表なんじゃが……」

 それを聞き逃さなかったシャーロットが怒鳴る。

「良く聞け、お前、お前達、私は公平だ! コミュニティの代表だろうが5の冒険者だろうが差別はせん。私にとってお前達は等しく無価値だ! 分かったらグダグダ言わずに働け、ウジムシどもがっ!」

 強面の者は、ヒィ、と情けない声を上げるとこの場を飛び出していき、その場にいる頬を紅潮させた男共が声を張り上げる。


「「「「マム、イエス、マム!!!!」」」」


「声が小さいっ!」

 シャーロットに罵られて嬉しそうに声を張り上げる男共を眺めるアクマ2匹は笑みを浮かべて頷き合う。

「やはりユウイチ殿の下には逸材が揃いますな?」
「ええ、本当に」

 そう笑い合う2人が筆頭である事をこの2人もまた気付いていなかった。
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