異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

文字の大きさ
297 / 365
9章 DTの後継者候補!

265話 風の精霊に希望を託すようです

しおりを挟む
 雄一の腰に抱きつくようにしてホーラとポプリが必死に止めようとしていた。

 それを優しい手付きではあるが力強く引き剥がそうとする雄一。

「離せっ、ホーラ、ポプリ!! 俺は行かねばならんのだ!!」
「このセリフだけ見れば、世界の未曽有の危機に挑む英雄みたいなとこが残念過ぎるさ、落ち着くさ!!」
「そうですよ、私はユウイチさんの子供を息子5人、娘4人という念密な計画を練っているのです。これと同じやり取りを何度もする余裕などありませんよ!?」

 ポプリの発言でホーラは半眼で見つめ、雄一はそんな計画が既に立てられている事を恐怖したが、人外の娘達以外は雄一が知らないだけで似たり寄ったりの計画を練っている事を知らない。

 男など選んだつもりで実は選ばれており、選ばされてるのに選んだ気になっているピエロである。

 だから、選んだのではない、選択肢が一択になってるだけである事を世の男は大半は知らない。
 勿論、雄一も例外ではなかった。

 世の男は大半がマ○オさん、ア○ゴさんであった。

 一度はその発言で動きを止めたが、恐ろしいモノを見る目でポプリを見つめた雄一は先程より必死になり、振り解こうと躍起になる。

「俺はやらねばならない事があるんだぁ!」
「だから、ダメだと言ってるさ!」
「そのやる気は私とベットでやる気になるといいんですよ! きゃっ」

 そのあざとい発言に雄一は涙目になりながら引き剥がそうとしつつ、「俺のバリアはどこだぁ!」と叫ぶ。

 だが、雄一が追いかけたい相手とバリア、こと、テツは一緒に行動しており、この場にはいない。

 2号の少年は普段から鍛えられた危機管理能力を発揮して岩陰に既に避難済みであった。

 そんな家では、たまに見られる風景の雄一達の行動をボゥとした顔をして見つめていた少女、ティリティアが声をかけてくる。

「あのぉ、すいません。早く寝っ転がりたい……ではなく、長い年月の間、力を使い続けたので眠りに着きたいので、こちらの用を先に済ませてくれませんか?」

 雄一に話しかけてきた緩んだ瞳を潤ませて見つめてくるティリティアであったが、どうやら眠かったらしい。

「寝っ転がりたいって言ったよな?」
「言ってません。お忘れですか、これでも私は四大精霊の一柱の土の精霊ティリティアですよ?」
「教えを受けた立場ではありますが、火の精霊のアグートは残念でしたよ?」
「ええ、僕も加護も教えも受けてますが、とっても残念な水の精霊様ですよ?」

 アグートに教えを受けたポプリと、もう雄一にバリア扱いされないと判断したダンテが岩陰から顔を覗かせて突っ込みを入れてくる。

 眠い為か表情が幼く見えるティリティアは、可愛らしく首を傾げる。

「大抵の人は、こう言うと信じてくれるのですが、貴方達には無理らしいですね……はっきり言いましょう! さっさと食っちゃ寝したいです!」
「アンタはアイナと同類か! 水と火の精霊と精霊獣の性格は結構違ったぞ!」

 そう突っ込む雄一を不思議そうに見つめるティリティア。

 ティリティアの言葉を聞いていたアリア達は最初に出てきた時に「本来なら人の子にあれこれと世話を焼く義理はありませんが」と言ってたのは面倒臭かっただけだったのだと理解した。

「アイナ? 誰?」
「お前のところの精霊獣だろうがぁ!」

 突っ込まれたティリティアは、思い出したようでポンと掌を叩いてみせる。

「あ~、知ってる、知ってる、ウチの精霊獣のアンナですね?」
「アイナだ! 今は勝手に家に棲みついてる」

 シレッと自分の眷属の代表のアイナの名前を忘れているティリティアに、お前、本気で忘れてただろ? と凄むように覗き込む雄一。

 そんな雄一を恐れもせずに逆に瞳を覗き込むようにして話しかけてくる。

「へぇ~、あの子が? 面倒臭がりで他人と関わるのを嫌う子なんですが……」

 そう呟くティリティアにこの場にいる者達の心が一つになる。

 お前が言うな、であった。

 雄一を緩んだ瞳で見つめ続けるティリティアが頷くと話しかけてくる。

「怖そうな顔をされてますが、面倒見は良さそうですね。あの子が棲みつく場所として選んだという事は美味しいご飯も出てくるという事……」

 うんうん、と頷き、ドヤ顔をするティリティア。

「2~3年寝たら、お世話になりに行きます」
「アイナを連れて帰るぐらい言えよ!」

 危険な予感しかしない雄一がドサクサに紛れて捨てるに捨てられない粗大ゴミ化してるアイナを処分しようとする。

 雄一の言葉など歯牙にかけないティリティアは、気にせずに話しかけてくる。

「私は美味しいご飯と寝床があれば文句は言いません。寝たら簡単には起きませんので睡姦プレイしたい放題……」
「ば、馬鹿! ここにはピュアな子達が一杯いるんだぞ!? それと言ってる事がアイナと一緒だからな!」

 苦虫を噛み締めるような顔をする雄一が心配する該当する人物がダンテ一人だけという悲しい事実でダンテのみ顔を真っ赤にしていた。

 レイアとミュウは言葉の意味が分からなくて眉を寄せるほどピュア過ぎたが、他の面子は呆れ顔でティリティアを見つめていた。

「何を慌てて……ああ、私が経験豊富だと思われてる? 安心してください、新品ですから!」
「もう、いいわっ!」

 つい、雄一はアクアを叩くようにティリティアを叩いてしまう。

 頭を摩るティリティアを見つめて盛大な溜息を吐きながら、最後の風の精霊に会う機会がきたら怖いな、と考える。

 せめて、1人ぐらいまともな精霊がいる事を祈る雄一にホーラが呆れを隠さずに言ってくる。

「ユウが頑張ったところで来るヤツはほっといても来るさ。それよりザガンに来た理由を先に片付けるさ?」
「ちょ、ホーラ、まるで不可避の未来みたいに言わないでくれ! はぁ、確かに先に用事を済ませるか。土の精霊であるお前に頼みたい事が……」
「崩落を阻止する為に力を貸して欲しいですね?」

 こちらから何かを言う前に頼む内容を先に言われて雄一だけでなく、ダンテを除いた者達が驚きを見せる。

 岩陰から出てきたダンテがティリティアを見つめて話しかけてくる。

「やっぱり、この地繋がりになってる場所の事は把握できるのですか?」
「ええ、やろうと思えば、この大陸全域の全てを把握できますが、面倒……力の無駄使いなので自分に関わる話題のみですが」

 ダンテは雄一が話をしてた事を知ったようにティリティアがもっと広範囲でできるのは道理であった。

 驚きから立ち直った雄一がティリティアに話しかける。

「なら、話は早い。頼めるか?」

 そう言うとティリティアは頷き、胸元で両掌で水を掬うようにしてみせるとティリティアの後ろにある土の宝玉に似たビー玉サイズの物が現れる。

 それを雄一に手渡す。

「その宝玉を崩落の危機のある場所の中央に置いておいてください。そうすれば、力を送りますので1年しない内に崩落の危機を脱するでしょう」
「アイナは土の精霊の眷属を連れてくるようにって言ってたが?」

 思い出すように言う雄一に口をへの字にするティリティアが嫌そうな声で言ってくる。

「そんな事ができる精霊を寄こしたら私がしないといけない事が増えるじゃないですか?」
「ついに面倒臭いという思いを隠すのを止めたの!?」
「働け、土の精霊のトップ1、2」

 雄一の話を邪魔してはいけないと黙っていたアリアとスゥであるが、ついに我慢の限界に達して突っ込んでしまう。

 だが、この場にいる皆の想いでもあった。

 ノースランドなど、「こんな自堕落な土の精霊だったからノンが犠牲になったんじゃないんだろうな?」と目尻に涙を浮かべた程であった。

「まあ、とりあえず、この宝玉があれば問題はないんだな?」
「はい、その宝玉1つで100年分の土の精霊への祈りの費用が掛かってますので大事に扱ってください」

 それだけの費用を捻出しても惰眠を貪りたいらしい。

 こんな残念な土の精霊を祈るモノ好きがいるのだろうかと思う雄一であったが、収穫祭などで勝手に祈る者達がいるから成り立ってるのではないかと思う。

 アクアを思い、不条理な世の中だと溜息を吐く雄一はティリティアに感謝を告げる。

「まあ、何をともあれ、助かる。面倒臭がらずに力は送ってくれよ?」
「ええ、それは間違いなく部下がやってくれます。ウチの部下は優秀ですから!」

 ドヤ顔して言ってくるティリティアだったが、筆頭の部下はかなり使えない事を棚上げして言ってくるのに呆れるが放置する事にした。

「じゃ、頼んだからな?」

 そう言って手を上げて疲れた顔をして地上を目指してこの場から出ていこうとする雄一を見るホーラとポプリは頷き合う。

 どうやら、ティリティアのインパクトでヒースの事を一時的に忘れているらしい雄一はアリア達に声をかけて帰ろうとしていた。

 ティリティアに振り返ったホーラが笑みを浮かべる。

「1つだけ、良い仕事をしたさ?」

 褒めてるのか貶してるのか判断に苦しむところだが、言われたティリティアは、欠伸を噛み殺し、目尻に涙を浮かべると幼女がするような笑みを浮かべてみせた。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

処理中です...