駄女神の玩具箱ーどうして、お前はそんなに駄目なんだ?-

バイブルさん

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ここからが玩具箱の本番

短冊に願いを込めて

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 雄一達は、冒険者ギルドの依頼でプリティラージト―ドと言うカエルの捕獲の依頼を受けて、生息地とされる山の上にある小さな沼にやってきていた。

 名は体を表すと言うだけあって名前以外の説明はいら……いる?

 プリティなリボンを着けた体長2mはあろうかというカエルである。油断すると自分の体長ぐらいの大きさのモノも飲み込むという可愛いカエルさんらしい。

 討伐だったら楽な仕事であるが、生きてる状態じゃないとダメらしくホーラとポプリの熱い説得により、テツが立候補してプリティラージトードを罠にかける為に疑似餌となり走っていた。

「テツくーん! 男がやるって言ったんだから気合い入れて走る!」
「僕はやる、って言ってませんよ! ホーラ姉さんに銃を突き付けられて手を上げろ、と言われただけですっ!」

 テツは、ポプリの言葉に律儀に答えながら、襲いかかる舌から必死に逃げる。

 当の本人であるホーラは何やら夜中までコソコソとして何かを探してたようで寝不足だったらしくテツに押し付けたら、すぐに居眠りを始めた。

 プリティラージトードを捕獲方法は落とし穴に落とそうというつもりで、テツを走らせている。勿論、普通に落とせば、あっさりと逃げられる。落ちたところに氷でフタをすれば逃げにくいうえにカエルだけに冬眠するのでは、と考えていた。

 テツが、落とし穴に近づいた所でポプリが叫ぶ。

「そこで全力でジャンプッ!」

 テツは言われるがまま素直にジャンプすると草むらに突っこむと悲鳴が聞こえる。
 それと同時にプリティラージトードも落とし穴に落ちるのを確認した雄一は入り口を氷漬けにする。

 雄一は寝てるホーラを背負うとポプリを連れてプリティラージトードの様子を見に行く。すると、予想通りで動きが緩慢になっており、身を縮めるようにするのを見て作戦成功をポプリと祝う。

 どうやって連れて帰ろうかと悩んでいると気付く。

「あれ? テツが戻ってこないな?」
「それなら、テツ君が飛び込んだ場所は滝壺に一直線だから、もうちょっとかかると思いますよ?」

 雄一は、マジか、と顔を強張らせる。分かっててテツに飛べと叫んだポプリの恐ろしさに身を震わせる。

 どんな感じの滝壺かと見に行こうとする雄一は、か細い声で雄一を呼ぶ声がするので近づくと手を伸ばせば届く距離の所に生えた植物にギリギリ引っかかってるテツを発見する。

「おっ、テツ、無事だったか」
「は、はい、なんとか」

 手を伸ばす雄一の後ろから来たポプリが、「凄い、テツ君しぶとい」と本当に驚いたような声を出す。

 そのポプリに抗議するテツに苦笑しながら手を差し出す雄一は、テツが体を支えている植物に目がいく。

「あっ、これって竹じゃないのか?」

 そう言うと雄一はテツに向けていた手をテツが持つ竹に似た植物を掴んで折る。

 テツは差し出していた右手は空を切らされ、左手でバランスを取っていた竹を雄一に折られた。
 「えっ?」という顔をして、事情が分からない、といった表情をして落ちていくのを見送った雄一とポプリは水音がするまで沈黙を守り、音と共に2人は再起動する。

「やっぱり、テツは滝壺に落ちたようだな。上がってくるまでノンビリしよう」
「そうですねっ!」

 地面に座る雄一の背中合わせで座るポプリは上機嫌そうに鼻歌を歌い出す。

 雄一は色々な事をなかった事にした。





 そして、泣くテツをホーラに押し付けて、更にホーラに泣かされたテツを見ないフリを続けた雄一は、無事にダンガに帰ってくる。依頼のプリティラージトードを納品すると家に戻ると皆の前で宣言する。

「今日は七夕をします」

 勿論、誰も分からない、いや、シホーヌだけは分かったようだが、雄一の勘定には入ってはいなかった。

 なので、雄一は乙姫や彦星の話を聞かせて、その日は竹にお願い事を紙に書いたモノを吊るすという話を伝える。

 イマイチよく分からなかったようであるが、その後は御馳走を食べようと言ったら喜んで参加表明する現金な子達で雄一は苦笑いをした。


 それから料理を作る為に籠っていた雄一であるが、後は運ぶだけというところまで済むと外を見るといい感じに暗くなっていたのでみんなの下へ向かう。

 紙を各自に配るが何を書いたらいいかと子供達が悩んでいるのを見た雄一が言う。

「将来、自分はこうなる! という事や、こうなりたいっ! という事を書けばいい。例えば、友達が沢山欲しいとかな」

 ふむふむ、と頷くと考え始める面子で一番に書き始めたのは意外にもミュウであった。

「ユーイ! ミュウ、書けた」

 雄一はどれどれ、と笑みを浮かべて手渡された紙を受け取ると『肉、食べたい』と書かれていて、お腹を抱えて笑う。

「ミュウ、台所からする匂いでお腹が減っただけだろう?」

 珍しく照れた様子のミュウが、ガゥゥ、と唸る。

 他の様子を見てみると一心不乱に書いているアリアの願いを盗み見たレイアが新しい紙に同じように一心不乱に書く姿があった。

 2人が並んで持って雄一の前にやってくる。

 アリアは、ふんぬっ、という気合いが入ってそうな雰囲気を振り撒き、手渡してきた。レイアは、雄一に叩きつけるように渡してきた願いを拝見する。

『ユウさんのお嫁さんになります』
『アリアの結婚絶対阻止』

 お互いの願いを見た2人は取っ組み合いの喧嘩を始めるが、雄一はしばらく好きにさせることにする。

 テツ達の所に行くとどうやら書き終えたところのようで紙を受け取る。

『ティファーニアさんに嫌われませんように』

 どうやらテツの願い事のようである。

 それを盗み見たホーラとポプリが雄一の手から奪うとテツに見せつけると優しく肩を叩くと「諦めるのは早いほうがいいよ?」と鬼かと思うような事を口走る。

 テツが不貞寝を始めるのを横目に次のを見る。

『ユウイチさんと結婚❤ ただれた関係でも可』

 雄一は何事もなかったかのようにその紙を一番下に廻す。誰の願いかも確認するのも遠慮した。

 次に見た紙には、『大人な女性になる』と書かれていたが聞かなくても字でホーラと分かった。

「へぇ、ホーラは大人に憧れがあるのか?」
「憧れというか、色々、そうなる為の下準備をしてるさ」

 胸を張って頑張ってるという意思表示をしていると、不貞寝していたテツがムクりと起きる。

「そう言えば、昨日、ホーラ姉さんが落としたモノを返すのを忘れてました。この柔らかいモノはなんですか?」

 テツは懐から取り出したモノをフニフニと指で形を変えて遊んでいるのを見た、ホーラと飛び上がり、ドロップキックをテツに入れる。

「一晩中捜し廻ったのに見つからないと思ったさっ!」

 吹っ飛ばされたテツはシクシクと泣きながら、「拾って上げたのになんで怒られるの?」と不貞寝に戻るテツ。
 どうやら、ホーラの大人な女への道は険しそうである。

 色々、一番心配な2人の下に来ると丁度書けたようで受け取る。

『シホーヌより賢くなりますように』
『アクアよりお利口さんになりますように』

 それを見た雄一は、こいつらはどれだけ仲良しなんだと思っているが、お互い相手を出し抜いたと思って勝利のドヤ顔をしあうのを見て思う。


 面白いから放置しよう


 全員の願いを吊るし終えると、雄一達はいつもより豪勢な食事で楽しげな空気に包まれていた。
 ミュウなど、早速願いが叶ったと嬉しそうに『ミュウダンス』を披露して皆の笑い声が響き渡る、食事を楽しんだ。


 七夕イベントをしたせいで食事の時間がいつもより少し遅めで騒いだ事で眠くなったちっちゃい3人がお風呂を愚図るので、女総出でお風呂に出かけていた。

 残る男衆である雄一とテツは洗い物をやっていた。

 洗い物をしてる最中にテツが思い出したように問いかける。

「そういえば、ユウイチさんは何をお願いしたんですか?」
「さてな、なんだったかな?」

 質問に惚ける雄一にテツは、「教えてくださいよっ!」と楽しそうに聞き返す声が洗い物の音が、お風呂が空いたと伝えられるまで響き渡った。


 竹の一番高い所の優しく風に揺られる短冊には、こう書かれていた。


『笑顔が絶えない家族でありますように』
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