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黒尽くめは言った。言う事きかないと祓っちゃうぞ、と
に!
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【どうや?落ち着いてきたか?】
雨が淹れてくれたコーヒーを飲んで気持ちを落ち着かせる。
「うん。落ち着いてきたから大丈夫。なぁ、雨…その、皆……は?」
【あの三人は怪我もないし元気や】
「……良かった…。俺、あいつらを喰ったんじゃないかって…怖くて……良かった」
また涙が溢れて来た。本当に良かった。でもあいつらを襲ったのは事実なんだ。謝らなきゃいけないけど、どんな顔して会えばいい?そもそも化物になった俺と、会ってくれるのか?
「ところでさ雨、このオニの子供、誰?」
考えるのが怖くなって未だに隣で寝てる真っ白な子供に話題を移す。
【ああ、そいつはお前を助けてくれた祓い師の式で、名前は白銀や。三日も眠っとったお前が暴走せんように、精神を落ち着かせてくれとったんや。目ぇ覚ましたから一先ずは安心やけど、相当危なかったんやで?何度叫び声上げて暴れ出しそうになったか。この俺でも抑え付けるのに難儀したわ】
「もし、暴走したらどうなってたんだ?」
【そりゃあ、食人鬼って名前で分かるやろ?本能のままに人間を喰い散らかすんや。暴走したら、自我が戻る可能性は限りなく低くなってまうからな。後で礼言っときや】
「そうだよ~。二日以上一睡しないで力を使い続けるのって結構キツいからね」
窓が開いたと思ったら、黒尽くめの祓い師が玄関から入るみたいに普通に入って来た。あれ?ここ二階だよな?足場になるような物なかったような……?まぁ、いっか。
「やぁ狩眞 零君。僕は巫っていうんだ。覚えてるかな?」
覚えてない訳がない。その不敵な笑み。すっと伸ばされた手を握る。
「えっと、助けてくれてありがとうございます。巫…さん」
「あはは、巫でいいよ。さんって柄じゃないし。それと敬語で話されるのは苦手だから、敬語はいらないよ。目が覚めたばっかで悪いんだけど、君の状況とこれからの事を話したいんだけど、大丈夫?」
「あ、はい…………あの、えっと…巫」
「なぁに?」
「俺、食人鬼って化物になったんだよな?」
「…そうだね。今の零君は紛れもなく食人鬼だよ」
「目が覚めた時、口の中に血の味が残ってたんだ。あの後……俺…」
「それは君の身体が一番よく分かってるんじゃない?食人鬼の空腹を満たせるのは人間の肉だけなんだよ?」
笑みを崩さず、俺を諭すように言う。
「…………!」
「廃墟から君を連れ帰った直後に暴れ出したから、一旦落ち着かせる為に肉を喰べさせたんだよ。で、目を覚まして暴れ出す度に肉を喰べさせて、白銀に精神を縛らせたんだよ」
気持ち悪い。仕方なかったとは言え、眠ってる間に人の肉を喰べてたなんて。
「零君が罪悪感を感じる必要はないよ。だって、死刑囚の肉だからね。目も当てられないくらいの犯罪を犯した人間の肉だ。だから、君が罪悪感を抱く必要はどこにもない」
「でも…それでも、人間の肉に変わりはないじゃんか……!」
「それじゃあ、喰べないでいる?きっと君が味わった食人鬼の飢餓感は地獄だったろうね?その後どうなった?理性も自我もぶっ飛んで友達を襲いかけたでしょ?またああなりたい?次は戻れる保証ないからね。またああなったら、君を殺さなきゃならなくなる。僕もそれはしたくない。嫌なのは分かるけど、受け入れてくれないかな?」
困ったように笑う。こんな顔もするんだな。
「………………分かった」
雨が淹れてくれたコーヒーを飲んで気持ちを落ち着かせる。
「うん。落ち着いてきたから大丈夫。なぁ、雨…その、皆……は?」
【あの三人は怪我もないし元気や】
「……良かった…。俺、あいつらを喰ったんじゃないかって…怖くて……良かった」
また涙が溢れて来た。本当に良かった。でもあいつらを襲ったのは事実なんだ。謝らなきゃいけないけど、どんな顔して会えばいい?そもそも化物になった俺と、会ってくれるのか?
「ところでさ雨、このオニの子供、誰?」
考えるのが怖くなって未だに隣で寝てる真っ白な子供に話題を移す。
【ああ、そいつはお前を助けてくれた祓い師の式で、名前は白銀や。三日も眠っとったお前が暴走せんように、精神を落ち着かせてくれとったんや。目ぇ覚ましたから一先ずは安心やけど、相当危なかったんやで?何度叫び声上げて暴れ出しそうになったか。この俺でも抑え付けるのに難儀したわ】
「もし、暴走したらどうなってたんだ?」
【そりゃあ、食人鬼って名前で分かるやろ?本能のままに人間を喰い散らかすんや。暴走したら、自我が戻る可能性は限りなく低くなってまうからな。後で礼言っときや】
「そうだよ~。二日以上一睡しないで力を使い続けるのって結構キツいからね」
窓が開いたと思ったら、黒尽くめの祓い師が玄関から入るみたいに普通に入って来た。あれ?ここ二階だよな?足場になるような物なかったような……?まぁ、いっか。
「やぁ狩眞 零君。僕は巫っていうんだ。覚えてるかな?」
覚えてない訳がない。その不敵な笑み。すっと伸ばされた手を握る。
「えっと、助けてくれてありがとうございます。巫…さん」
「あはは、巫でいいよ。さんって柄じゃないし。それと敬語で話されるのは苦手だから、敬語はいらないよ。目が覚めたばっかで悪いんだけど、君の状況とこれからの事を話したいんだけど、大丈夫?」
「あ、はい…………あの、えっと…巫」
「なぁに?」
「俺、食人鬼って化物になったんだよな?」
「…そうだね。今の零君は紛れもなく食人鬼だよ」
「目が覚めた時、口の中に血の味が残ってたんだ。あの後……俺…」
「それは君の身体が一番よく分かってるんじゃない?食人鬼の空腹を満たせるのは人間の肉だけなんだよ?」
笑みを崩さず、俺を諭すように言う。
「…………!」
「廃墟から君を連れ帰った直後に暴れ出したから、一旦落ち着かせる為に肉を喰べさせたんだよ。で、目を覚まして暴れ出す度に肉を喰べさせて、白銀に精神を縛らせたんだよ」
気持ち悪い。仕方なかったとは言え、眠ってる間に人の肉を喰べてたなんて。
「零君が罪悪感を感じる必要はないよ。だって、死刑囚の肉だからね。目も当てられないくらいの犯罪を犯した人間の肉だ。だから、君が罪悪感を抱く必要はどこにもない」
「でも…それでも、人間の肉に変わりはないじゃんか……!」
「それじゃあ、喰べないでいる?きっと君が味わった食人鬼の飢餓感は地獄だったろうね?その後どうなった?理性も自我もぶっ飛んで友達を襲いかけたでしょ?またああなりたい?次は戻れる保証ないからね。またああなったら、君を殺さなきゃならなくなる。僕もそれはしたくない。嫌なのは分かるけど、受け入れてくれないかな?」
困ったように笑う。こんな顔もするんだな。
「………………分かった」
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