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魔法回路と代償
二
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〈リーガル・ランドベア〉。一度だけ行ったことのあるリアゲートの屋敷の書庫で見つけた、埃を被って機嫌を損ねてた魔導書。
物にも自我はある。魔法使いじゃないと、声を聴くことは出来ないけど。
半分だけ魔法使いの血が流れてる俺は、物の機嫌を感じ取るくらいは出来る。
ハイズが持ち出したおかげで外に出れたからなのか、今は機嫌がいいみたいだ。
「アマネに言ってないよな?」
「そりゃあうまく誤魔化しといたよ。しっかし、ホントにいいのかい?せっかく愛しのアマネちゃんが家も身の安全も、危険を承知で確保してくれたんだぞ?」
「…………」
それは分かってるよ。あいつが俺のために苦しんだことは。
「けど、あいつも俺も今のままなんて無理じゃないか。あいつは歴としたリアゲートの人間だ。いつか、政略結婚の餌食にされる。価値のない安全の中にいるくらいなら、危険でもあいつの側にいる」
「簡単なことじゃないぞ?姉弟間の結婚は認められてるとは言え、実力だけで全てをはねのけなくちゃならない。敵はあのリアゲート。勝てる見込みは、はっきり言って零に近い」
そんなの分かってるよ。俺みたいな馬鹿でも、分かりきってる。
「だからこそやるんだよ。俺の全てを賭けて、リアゲートに戦争をふっかけてやるんだ」
リアゲートから見たら、虫螻が無様に醜く足掻いてるようにしか見えないんだろうな。
それでいい。虫螻だって生きてるんだよ。
虫螻だって噛みつくことを、忘れるな。
「まぁ、お前が覚悟を決めてるんなら、私は反対しないけどよ。ただ、代償のリスクだけは覚悟しとけよ」
代償か。内臓のどれかか、視力か聴力か味覚か声か記憶か。
「……分かってる」
「ホントかねぇ?もしも声を取られたら?魔法使いになるなら致命的だぞ?記憶を取られたら?アマネちゃんのことすら分からなくなるんだぞ?」
分かってるよ。そういうリスクがあることは。
「全く、頑固だねぇ。頭の固い奴は苦手だよ。しっかし、相変わらずきったねぇ部屋だな」
部屋くらいほっとけ。
「物だって自我を持ってんだから、大切にしてやれよ」
ハイズが指をすいっと動かす。それだけで、散らかってた物が綺麗に元の位置に戻った。
物にも自我はある。魔法使いじゃないと、声を聴くことは出来ないけど。
半分だけ魔法使いの血が流れてる俺は、物の機嫌を感じ取るくらいは出来る。
ハイズが持ち出したおかげで外に出れたからなのか、今は機嫌がいいみたいだ。
「アマネに言ってないよな?」
「そりゃあうまく誤魔化しといたよ。しっかし、ホントにいいのかい?せっかく愛しのアマネちゃんが家も身の安全も、危険を承知で確保してくれたんだぞ?」
「…………」
それは分かってるよ。あいつが俺のために苦しんだことは。
「けど、あいつも俺も今のままなんて無理じゃないか。あいつは歴としたリアゲートの人間だ。いつか、政略結婚の餌食にされる。価値のない安全の中にいるくらいなら、危険でもあいつの側にいる」
「簡単なことじゃないぞ?姉弟間の結婚は認められてるとは言え、実力だけで全てをはねのけなくちゃならない。敵はあのリアゲート。勝てる見込みは、はっきり言って零に近い」
そんなの分かってるよ。俺みたいな馬鹿でも、分かりきってる。
「だからこそやるんだよ。俺の全てを賭けて、リアゲートに戦争をふっかけてやるんだ」
リアゲートから見たら、虫螻が無様に醜く足掻いてるようにしか見えないんだろうな。
それでいい。虫螻だって生きてるんだよ。
虫螻だって噛みつくことを、忘れるな。
「まぁ、お前が覚悟を決めてるんなら、私は反対しないけどよ。ただ、代償のリスクだけは覚悟しとけよ」
代償か。内臓のどれかか、視力か聴力か味覚か声か記憶か。
「……分かってる」
「ホントかねぇ?もしも声を取られたら?魔法使いになるなら致命的だぞ?記憶を取られたら?アマネちゃんのことすら分からなくなるんだぞ?」
分かってるよ。そういうリスクがあることは。
「全く、頑固だねぇ。頭の固い奴は苦手だよ。しっかし、相変わらずきったねぇ部屋だな」
部屋くらいほっとけ。
「物だって自我を持ってんだから、大切にしてやれよ」
ハイズが指をすいっと動かす。それだけで、散らかってた物が綺麗に元の位置に戻った。
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