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2話 『適性職』
しおりを挟む「――おばさーん! 遅れてすみません!」
準備を整えて家を出ると、幼馴染のエムザラとそのお母さんが待っているのが見えた。
「ノアくんおそーい!」
「おはようノアちゃん。昨日はよく眠れたかしら?」
「はい、遅れてすみません!」
エムザラのお母さん ヘレンおばさんは僕のことをちゃん付けで呼ぶ。ちゃんはやめてと言っているのだけど……
こうして、僕たちは神殿へ向かった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『タバナクル神殿』
ここに、十五になる少年少女が集まっていた。
人数は十人ほど、その中にはノアとエムザラの姿もあった。
「いよいよだね!ノアくん!」
エムザラはワクワク顔で落ち着かない様子だ。
この神殿では得られる職業は大きく分けて三つある。『商業』と『農業』そして『冒険者』だ。
適性がなければその職業になることは難しいといわれている。ここが人生の分かれ道ということだ。
目の前では次々と職業が振り分けられている。ここまで、『農家』と『商業』しかいないようだ。
「――次、エムザラ=アーク………『商業』」
エムザラが駆け寄ってくる。
「やったよー!ギルド職員の適性もあるって神父さんが言ってたの!!」
ギルド職員は『商業』の中で最も安定した職業で、給金もそこそこの憧れの職業なのだ。
「よかったねエムザラ!」
「うん!ノアくんもきっと冒険者になれるよ!!」
エムザラは嬉しそうにそう言った。
「――次……ノア=キヴォトス」
――来た、いよいよ僕の番だ。
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