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1章 秋山とソレガシ
『ステータス』
しおりを挟む――さてと、まずはステータスの確認だな。
宿の女将さんから逃げるようにして部屋にやって来た秋山は、当初の目的通り、『ヘルプ』を使って情報を集めることにした。
「『メニュー』……『ステータス』」
_______________________
『ステータス』
――ゲーム時代のステータスは、大きく分けて五つ
〔VIT(生命力)〕 HP・体力・活力 (ビット)
〔ATK(攻撃力)〕 物理攻撃力・筋力 (アタク)
〔DEF(防御力)〕 ダメージ軽減率・精神力 (ディフ)
〔INT(知力)〕 魔攻・魔防・MP (イント)
〔AGI(敏速)〕 素早さ・回避率・ (アジ)
職業適性と下級職レベルによって、これにプラス・マイナス値が付く。
引き継いだ秋山のステータスは以下の通りだ。
『ソレガシ』
四位:双銃士
LV:950
HP:350,000
MP:920,000
VIT:950-C
ATK:950+S
DIF:950-D
INT:950+C
AGI:950+S
下級職:ガンナーLV950・アサシンLV950・メイジLV738
パッシブスキル:〔リジェネ〕〔歩光・閃〕〔異系統〕
__________________________
「そういや、ちゃんとステータス確認したのいつ振りだっけ」
昨日(?)のアップデートまでは、プレイヤーLVの上限がLV;950だった。
一年に一度しかレベルキャップが解放されないため、上限まで行ってしまうと自ずとステータスを確認しなくなってしまう。
取り敢えず、ステータスに変わりはなかったようで安心した。
さてと、次は――
「『ヘルプ』Q:このゲームのクリア条件は?」
『該当なし』
………………。
「『ヘルプ』Q:オレは何をすればいいんだ?」
『指定なし、成した事柄が成すべき理(ことわり)』
――格言かッ!!
「『ヘルプ』Q:ラスボスとか魔王的な奴が居るのか?」
『該当なし』
……だめだこりゃ。情報もクソも無い。
分かった事と言えば、ステータスと――情報が何もない、という情報だけじゃないか。
やるべきことが分からないのなら攻略もクソも無い。
一気に活力を失った気分だ。自分が極めていたゲームの中の世界に来たっていうのに、やることが無いとわ思ってもみなかった。
確かに《ゼノスト》には未だに最終ボスは実装されていないけど……
じゃあ、オレはなんで此処に連れてこられたんだ?
ん?……というか、オレって誰かに連れてこられたのか?
今の今まで、ゲームの中に入ったらしいこの状況に、軽く興奮状態だったため、特に気にしていなかった疑問だ。
「『ヘルプ』Q:なんでオレはここにいるんだ?」
……哲学じゃないぞ?
『アイテム使用による“エラー”』
「なんだよそれ……」あの《刻》とかいうアイテムのせいなのか? などと考えていた秋山だが、更に現れた文字に――これ以上ないくらいに目を見開いた。
『追記:“エラー”修復中――帰還方法:※※※』
帰還……方法!? さっき無いって書いてなかったか?!……
まさか――
「『ヘルプ』Q:ログアウト又は帰還方法は?」
『ログアウト:該当なし 帰還方法:※※※』
やっぱりか。意味が近い言葉じゃダメなのか……使いにくい。
しっかし、帰還方法が※※※ってのは教えられないってことなのか?
いよいよ怪しくなってきたぞ……
「とは言え、目的も特定の敵もいないのなら、帰還方法を探すのが得策かな……」
オレだって年頃の男の子だ、こういうのに憧れていたりもするが、いくら好きなゲームの中と言えど、このまま目的も何もなくスマホやゲームがない場所でダラダラと過ごすのは苦痛でしかない。
それに――もしもの時でも帰還方法さえ知っていれば安心できる。
今後の方針は決まった。
あとは……
聞くのを躊躇っていた一番重要な疑問があった。今も聞くべきか迷っている。
これを聞いてしまうと何もできなくなってしまう気がした。
「やめておこう――」
――死ぬ事なんて考えたくもない。
いくらゲームの中と言えど、生身で死ぬのは恐怖でしかない。それは、ゲーマーである秋山も例外ではなかった。
_________________________
それから一時間、質問を続けた。
時間の流れや通貨の価値、物価などは地球と同じくらいらしい。
不思議なことに、獣人や奴隷、貴族や商人、冒険者までが普通に存在しているようだ。NPCではなく《普通の人間》として。
そして驚くことに、ナビが言っていた“NPC”は感情の無い“ノンプレイヤーキャラ”の事ではなく“ニュープレイコミュニケーション”
つまり、NPCとは彼らの事ではなく、秋山が初めて会話した行動の事だったのだ。
なるほど、会話が成り立っていたわけだ……
ただ、ゲームの中に入り込んだだけだと思っていたが、ここは《ゼノスト》の中とは少し違う――少し認識を改める必要がありそうだ。
そう思いながら、秋山は目を閉じて眠りについた。
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