弓張月異聞 リアルチートは大海原を往く

狭間にて

閑話休題：#掠り__かすり__#は#経済基盤__縄張り__#あってこそ

　平安の当時は、税金は、上納金のようなものであったようであります。金納や物納といった様々な形で、掠りかすりのような形で納められていたこととなります。
　掠りかすりを取るのは、自分の縄張りでなければなりませんでした。
　当時の伊豆諸島は、伊豆の国が縄張りとされておりました。砂金一貫の内、七百匁を上納した忠重でありましたが、上納金でほくほくということにはならず、忠重の手元にある三百匁だけでないのではと疑いを駆けられることとなります。
　謝礼に金額が規定されているわけでもないため、現実に砂金がどのくらい謝礼となったかわからない方からすると、欲にかられた者達は、調査をおこなって、追徴をかけるという動きとなります。

　ちょうど、為朝達が女護島へ出かけた後に来た、伊豆介工藤茂光が追徴課税は、砂金一貫に対するものでありました。実際に貰った金額の申告と、貰った金額に対しての上納金を要求してきたというところであります。
　しかしながら、砂金は、為朝の元にあって、貰った総額など、忠重の知る由もなく、怒りに任せた使者は、忠重の指を斬り落として、三百匁の砂金と一緒に持ち帰ったのでありました。指を落とされ、悲嘆にくれた、忠重なのでありました。

  平安末期となるこの時期、人口の増加は百年ほどで倍になったとされる。この時期は、延喜格式例の追加による、あやかしと人間の婚姻による、目に見えなかったあやかしが、人口として数えられ、混血が進んだことによる人口増が起きたことによる。また、この百年は、あやかしの能力が、社会生産性に寄与した百年でもあった。狐火による湯屋である杜湯の増加だけでなく、鬼火による、白漆喰や製鉄といった工業製品の増加、製塩業の狐火や鬼火の転用、瘴気や死骸の祓いを中心とした、清掃事業や治水事業の拡充、三間樋箱といった衛生設備の拡充といった大都市圏の衛生改善事業、定常苗や堆肥などの農法改善による収穫量の拡大、稗、粟、蕎、田芋、里芋、といった救荒作物の増加、大豆、鬱金や生姜、山葵、檸檬、砂糖黍といった高額作物の生産拡大や畜産や養蜂の大規模化といった内容が勧められた。

  このため、西暦千百年あたりの人口は、人間とあやかしを合わせて、二千万人を越えたくらいであったと推定されている。

 献上品であった、蘇や絡といった乳製品の量産がすすめられ、薬樹として栽培された、生姜や鬱金、砂糖黍、山葵といった作物が換金作物として量産型進み、日宗貿易の拡大と宗銭の大量輸入による貨幣経済の浸透、味噌や醤油といった加工食品の発明や保存食品の発達といった、食糧生産の増加と加工食品の増加の影には、あやかしの存在が欠かせないものであった。
  京洛や古都、難波といった、消費地を結ぶ川筋の水運、白漆喰や膠といった水密材料の改善と量産が進み、大型船の建造が進むと、さらに大陸や南方諸国との交易量が増加し、羅針盤の浸透と、天測航行の開始は、塩飽衆や鷺衆を含めた、海図等の精度向上と交易の拡大は、莫大な海洋利権を生み出していた。
　平清盛が憧れた海は、既に松浦党や塩飽衆、渡辺党が利権を握っていました。



　大陸との正規に交易をおこなうための調整を進めていた清盛は、伊予や安芸の者達や、播州大輪田泊の修復を進めることで、利権確保を狙い、保元・平治との戦に勝利したことで、天下を獲ったのでありました。保元後に、渡辺党、松浦党、塩飽衆を傘下に治めたことで、宋国との正式交易を開始し、莫大な富を稼いでいたのでありました。



  特に、博多や肥前を中継拠点とした、大陸との交易拡大は、輸出の拡大と銅銭の流入という貨幣経済の拡大がすすめられることとなった。従来は、塩や稲といった交換しやすい品や砂金といった貴金属が使われていたが、銅銭の流入量が増えるにつれて、銅銭による売買が、庶民にも浸透して言ったのであります。