弓張月異聞 リアルチートは大海原を往く

Ittoh

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南洋紀行

南洋紀行 9. 男の娘は、男に抱かれるか

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 まぁ、斎としてのあたしもかなり記憶が良い方ではあった。シャッフルしたトランプカード52枚を一度見て、伏せて、全部あてることだってできた。ただ、イツキや妹ウルの方は、もっとすごい。満天に輝くほとんどの星の配置を覚えていて、星の配置から自分の位置を確認できる。星の位置から逆算して、自分の位置を知ることもできる。

 三日の後、為朝が乗ってきた船に、あたし達は乗ることができた。ミズチ口と呼んでる場所を開いて、あたし達の乗って来た船もミズチ達が、檣を外して海に沈めて洗い、赤銅の肌をした女や男が、炎で炙ってから、ミズチ口に入れた。あたし達には、女達がわらわらと寄って来て、衣服を剥いて、衣服を焼酎樽に漬けるとともに、焼酎を手拭に濡らして、あたしたちの身体を拭いていった。すっごいきつい花酒のような匂いに酔ってしまいながら、洗われていった。



 弟達は、ミズチの女達に好かれたようで、拭かれながら、女に抱かれてキスを交わしていた。あたしとウルは、袿を着せられて、小柄な女達に案内されて、甲板に出た。木で造られてない感じで、コンクリートみたいな船だった。甲板は、割竹が敷き詰められていた。ここもコンクリートで固められているような感じだった。
 船尾の屋形は、板葺きの屋根に漆喰で固めた感じで、柱は、竹を束ねて造られていた。



 艫屋形には、高楼が造られていた。高楼は、竹で六角の箱を造って繋いだ様に組み合わせて、漆喰で固めて、模型で造る艦橋みたいだった。艫屋形の中は、竹造りの籠や椅子、あたしが寝かされていた台と同じものが、いくつも造られて置かれた部屋が並んでいた。
 奥に進むと、二丈(6メートル)四方くらいの広さに一間(1.8メートル)四方の竹台が置かれて、褥が置かれて、玲が休んでいた。
「済まぬの、イツキ。雲鈴が、徹底せねばならぬというのでな」
「いえ、わかりますから」
妹のウルを見て、自分の胸に手をあてて、
「そちが、妹殿か。妾が敖玲じゃ、よしなにな」
と言って来た。なんか凄い。お互いに知らない相手に対する挨拶ってこんな感じなのかな。言葉が通じない相手というのは、ほんとに難しいものだって思う。妹も、きちんと胸に手をあてて、
「ウルじゃ」
と答えた。玲は、驚く様に笑った。
「頭の良い妹じゃな。イツキ」
「はい。自慢です」
何かしたのかなと、不安気な妹の頭を撫でて安心させた。
「イツキ、どうであった、この船を見て。多分そなたが生きた平成からだと八百年ほど前に造った船になるがの」
 平成より八百年前西暦だと1200年くらいだから、
「清盛とか頼朝がいた頃」
えっと、そんな頃にこんな船を造ってたって話は聞いたことないなぁ。
「そうじゃな。為朝は、源為朝じゃ」
えっと、為朝って、リアルチート
「為朝って、最強の男って奴」
為朝は、入って来て、どっかと座り込んでいった。
「最強って、俺か」
「は、はい」
為朝の懐では、少女が抱き着いていた。
「ととさま、最強なの」
「どうかな、天下は広い。まだまだ戦わねばわからぬよ」
と言いながら、負ける気は微塵も感じないような応えであった。
「無茶もする男じゃしな、為朝は」
玲が言うと、頭を掻くようにして、あたしたちを見ながら
「すまん。助けたかった」
えっとぉ、そっかぁ。病人を抱えた船を受け入れるのは、リスクだ。自分の船に病を持ち込むことになる。そのまま殺して焼払ってしまった方が楽なんだ。蜂蜜とか高価だろうし、他にも薬っぽいのが入っていた、そんなのは手間でしかない。
「良い。結果としては、よき仲間を側へ置くことができる。すまぬが、そなたたちにあまり自由は無い」
「えっと、それは」
「万金を積んでも離せぬ力を、そなたはもっておる。だが、万金を払う力は、妾には無い」
居住まいを糺し、
「恨まれても良い。イツキとウルを妾の副官として欲しい」
「断れば」
「弟御は、ここより北へ二十里ほどの島、宋ヶ島あたりで暮らせるよう、手配しよう」
二十里北って、小笠原諸島あたりだけど。宋ヶ島って無いよね。
「あたしは、構わないですよ。でもウルは」
あたしが承諾すると、玲は、ウルへ向かって
「ウル」
「はい、」
ウルは、既に応え方を覚えていた。自分を示し、ウルを示し
「妾とウル」
そして、為朝を示して、
「為朝と」
少し頬を赤く染めながら、左手の人差し指と中指で輪っかを造り、女陰ほとの形状を示し、右手の親備を男根に見立てて、抜き差しをしてからウルを示して、手を広げるようにして、
「愛したい」
そう言ってから、
「良いか」
手を広げて迎えた玲に、ウルは近づいていて。
「はい」
と答えて、玲に抱き着いた。
「為朝、ウルを頼む」
為朝に声をかけて、
「わかった」
為朝は、
ウルを姫様抱っこすると、懐籠にいた寧々と目が合う、
「ウルも母様になるの」
為朝が応える。
「そうだ、ダメか」
寧々は、
「ううん。ウル母様、よろしく。寧々です」
にっこりと笑った。
「寧々。よろしく」
姫様抱っこの腕の中で、ウルは、お辞儀をした。
そのまま、為朝がウルと寧々を連れ去った。
「前後が逆なんじゃ」
先に、ウルを篭絡されたら、選びようが無い
「覚悟を聞くには、逆ではだめであろ、イツキ」
覚悟かぁ、
「あまり、覚悟は無いかもしれませんが、よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げた。頭を上げると、玲が目の前に来ていた。
「キスしても良いか、イツキ」
「え、はい」
玲とのキスは、友達が悪ふざけするようなキスから、恋人が愛しむキスへと変わって、少しづつあたしを抱く力を強めていた。そのまま、女陰ほとへと指を撫で滑らせていって、中指が潜り込んでいく。
「女おなごの感覚は、大丈夫かや斎」
感覚が、鋭く敏感になって、少しの刺激でも、脳天にとどくような刺激となって突き抜けていく。あれ、斎って呼んだよね。指の動きに、蕩けるような快感が響くように弄られていく。
「わ、わかるの」
「妾には、あやかしが百目の血をも引いておる、そなたの想いには、たくさんの女子と遊んでいる想いがあろうに」
「あぁぁっ」
高校生の時、部活は女の子ばかりで、よく部室でモデルと称して、弄られていた。悦楽で愉しまれて、愉しんでいたように思う。
「それでも、斎は、子種を放ちながら、子種を放った相手を愛しんでいたのであろ」
「はい」
抱きしめた彼女達から存分に嬲られて、子種を放っていたのに、どこか斎には、放たれているような感覚があった。
男の娘として、学園祭とかでコスプレさせられて、男の娘として人前に晒されていることが、とっても、恥ずかしくて、嫌なのに、止まらなかった。打ち上げで、そのままの姿で、部活の女達に弄られ、子種を放っていた。
 最上級生になった時、後輩に入って来た男の娘と二人で、OBとなった女達を含めて弄られ遊ばれているなかで、後輩の男の娘に突き入れられたのが、自分自身の心を砕いてしまったように思う。
「イツキは、良いか、妾の夫を受け入れても」
蜜壺は、充分に受け入れられるように、濡れて淫気に溢れていたけれど、玲は聞いてきた。
「妾がこの姿故、夫に寂しい思いをさせておる。将」
すっと、隣りから入って来たのは、将と呼ばれた、少年だった。下帯から不自然なくらいに肉棒を滾らせていた。
「玲。おれは、玲の側なら寂しく無いぞ」
「ありがとう、将。そなたには、甘えっぱなしよな、妾は」
「それが、夫の甲斐性というものだろう。玲」

突き上げる、呻きは、斎にとって、遊びだった時よりも、イツキにとって斎にとってかわからぬままに、大きな大陸の雨に降られた、高原の時よりも、深く、深く、突き抜かれて、善がる喘ぎは、とこしえに、相手を追い求めるように、二つの魂を貫かれてイった。
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