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南海覇王為朝
マウイは、南海の民が祖霊なり
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講談師、見て来たように嘘を吐く。されど、真実混ざってこその嘘であります。
脱兎の如く、逃げ出した司ハルトゥを呆然と見送った為朝は、気を取り直すと、
「追えッ」
と命じて、玲に駆け寄った。
「大事ないか」
「ほほほ、大丈夫じゃ傷をおってはおらぬ」
「今のは、なんだ」
司ハルトゥの動きが、為朝には、見えなかった。一瞬で、玲に詰め寄るのを許していた。
「後で話そう、為朝。トゥルーカ」
話には聞いていた、、、かつて、神を狩る神と言われた蚩尤か。
一瞬の出来事に、呆然としていたのは、トゥルーカ達も同じであった。カグラ達鬼衆と愛宕衆に、獲り抑えられていた。
玲は、トゥルーカの言葉で話しかける。
『な、なんだ』
『あれが、そなた達の祭司か』
『かの祭司は、我らの敵となる。敵を見定めるため、三月の後に、そなた達が住む島へ神が向かう』
『神、、、』
『妾が仕えし西の竜じゃ。従うか、敵とするか、返事はその時で良い』
玲が、合図すると、カグラ達は、トゥルーカ達をそのまま船へと戻せと命じながら。
『妾達は、為朝に従い、妻となった者達でもある。そなた達の言葉ならば、マウイということになろう』
『マウイ』
為朝を見ながら、聞くと
『そうじゃ。この島の娘もまた、為朝が妻となった。マウイの島じゃ』
『おぉ』
為朝を見て、怖れるように逃げ出していった。
「何を言った、玲」
為朝が訊くと、玲は、
「マウイとは、彼らが祖霊にして彼らが神、妾達の神は、為朝じゃと言うたのだ」
「マウイか、」
「為朝、八幡神社に祭られし、八幡太郎と同じく、彼らが祖霊はマウイとなる」
「俺は、八幡太郎ではないぞ」
「だが、目指す者ではあろう、為朝」
「それは、、、」
「妾が従うのは、そなたじゃ為朝、妾達にとっては、そなたがマウイとなる」
「それは、そうだが」
「妾の夫は、そなたじゃよ」
玲は、為朝に抱きつき、キスをして言った。
「俺は、トゥルーカ達を見てくる」
為朝が出ていくと、ずっと控えていた将へ玲は言った。
「将。そなたは、妾の夫じゃ。誰にも渡さぬ」
抱き着いて、ぎゅっとする将は訊く。
「玲。為朝は違うのか、」
「為朝は、妾を斬れる者、妾が仕えし夫じゃ。為朝が、妻を持つのは許せるが、将、そなたの妻は妾一人じゃ。ダメか」
玲が、将へ甘えるように言うと、
「いいよ、玲。でも、為朝は、戸惑っていたように思う」
「それは、人であるが故であろう。神と呼ばれるに耐えられる人は少ない」
玲としては、慰めるのは虎正に頼むべきところだったが、日ノ本への航路をとっていることから、難波湊まで千里の航路となれば、半年は戻らぬ。今は、ウルとイツキに任せるしかなかった。
「将。為朝が、ウルとイツキを選ぶならば、妾は、この地に眠ろうぞ、付き合ってくれるか」
「うん。いいよ」
竜族にとって、存在は気の塊でしかなく、本生の顕現は、神々として昇華することとなる。かつて彼の国で神を狩る神に追われて、神と顕現し現より消え去って、人に祀られることとなるは、あやかしの本願ではない。
神となるのもまた、あやかしにとっては滅びなのだと、大婆様は教えてくれた。種を繋げることなく、滅ぶ一族、そのような一族に明日は来ない。日ノ本が、一族は、繋いだ血のために、滅んだ者達も多い。血族を護るがために、神として社に封じられた者達は、数多くの社で祀られておる。
「八幡が血族として社を護るのであれば、子を為して、この地に封じられても良かろう」
少し、哀しそうに、玲は呟いていた。
脱兎の如く、逃げ出した司ハルトゥを呆然と見送った為朝は、気を取り直すと、
「追えッ」
と命じて、玲に駆け寄った。
「大事ないか」
「ほほほ、大丈夫じゃ傷をおってはおらぬ」
「今のは、なんだ」
司ハルトゥの動きが、為朝には、見えなかった。一瞬で、玲に詰め寄るのを許していた。
「後で話そう、為朝。トゥルーカ」
話には聞いていた、、、かつて、神を狩る神と言われた蚩尤か。
一瞬の出来事に、呆然としていたのは、トゥルーカ達も同じであった。カグラ達鬼衆と愛宕衆に、獲り抑えられていた。
玲は、トゥルーカの言葉で話しかける。
『な、なんだ』
『あれが、そなた達の祭司か』
『かの祭司は、我らの敵となる。敵を見定めるため、三月の後に、そなた達が住む島へ神が向かう』
『神、、、』
『妾が仕えし西の竜じゃ。従うか、敵とするか、返事はその時で良い』
玲が、合図すると、カグラ達は、トゥルーカ達をそのまま船へと戻せと命じながら。
『妾達は、為朝に従い、妻となった者達でもある。そなた達の言葉ならば、マウイということになろう』
『マウイ』
為朝を見ながら、聞くと
『そうじゃ。この島の娘もまた、為朝が妻となった。マウイの島じゃ』
『おぉ』
為朝を見て、怖れるように逃げ出していった。
「何を言った、玲」
為朝が訊くと、玲は、
「マウイとは、彼らが祖霊にして彼らが神、妾達の神は、為朝じゃと言うたのだ」
「マウイか、」
「為朝、八幡神社に祭られし、八幡太郎と同じく、彼らが祖霊はマウイとなる」
「俺は、八幡太郎ではないぞ」
「だが、目指す者ではあろう、為朝」
「それは、、、」
「妾が従うのは、そなたじゃ為朝、妾達にとっては、そなたがマウイとなる」
「それは、そうだが」
「妾の夫は、そなたじゃよ」
玲は、為朝に抱きつき、キスをして言った。
「俺は、トゥルーカ達を見てくる」
為朝が出ていくと、ずっと控えていた将へ玲は言った。
「将。そなたは、妾の夫じゃ。誰にも渡さぬ」
抱き着いて、ぎゅっとする将は訊く。
「玲。為朝は違うのか、」
「為朝は、妾を斬れる者、妾が仕えし夫じゃ。為朝が、妻を持つのは許せるが、将、そなたの妻は妾一人じゃ。ダメか」
玲が、将へ甘えるように言うと、
「いいよ、玲。でも、為朝は、戸惑っていたように思う」
「それは、人であるが故であろう。神と呼ばれるに耐えられる人は少ない」
玲としては、慰めるのは虎正に頼むべきところだったが、日ノ本への航路をとっていることから、難波湊まで千里の航路となれば、半年は戻らぬ。今は、ウルとイツキに任せるしかなかった。
「将。為朝が、ウルとイツキを選ぶならば、妾は、この地に眠ろうぞ、付き合ってくれるか」
「うん。いいよ」
竜族にとって、存在は気の塊でしかなく、本生の顕現は、神々として昇華することとなる。かつて彼の国で神を狩る神に追われて、神と顕現し現より消え去って、人に祀られることとなるは、あやかしの本願ではない。
神となるのもまた、あやかしにとっては滅びなのだと、大婆様は教えてくれた。種を繋げることなく、滅ぶ一族、そのような一族に明日は来ない。日ノ本が、一族は、繋いだ血のために、滅んだ者達も多い。血族を護るがために、神として社に封じられた者達は、数多くの社で祀られておる。
「八幡が血族として社を護るのであれば、子を為して、この地に封じられても良かろう」
少し、哀しそうに、玲は呟いていた。
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