弓張月異聞 リアルチートは大海原を往く

外伝 平家物語異聞

平家物語異聞 京洛行幸、披露は華やかに

　講談師、見て来たように、嘘を吐くであります。
　宵闇壇ノ浦もまた、史実世界と同じように、平家の滅亡と、源氏勝利で、幕を閉じたのであります。まぁ、中身は色々と違いますが、、、
　戦に勝った、源氏の平家追討大将義経や鎮西大将範頼は、平家の残党狩りや九州の制圧のために数日かかり、特に、伊予河野水軍や熊野水軍、渡辺水軍から、櫂手や舵手と射た結果として、平家が同様に、射返されて、櫂手や舵手を殺されたのは、御大将義経が下知に問題ありと、軍監梶原景時に訴えたことで、戦後の交渉が難航したこともあって、義経が京洛に返すことができたのは、十日も経過していたのでありました。これは、松浦、山鹿の水軍衆は、平家方であったけれど、船手は戦闘員に非ずと、鎮西大将範頼に訴えたことで、さらに拗れたことも原因でありました。



　結果的に、伊豆帆無八丈大船に乗った一行は、一気に瀬戸内を駆け抜けて、渡辺湊へと深夜に辿り着き、そのまま女御衆は、坐摩神社にて預かりとして、主上と建礼門院様、二位尼様、そのまま川船へと乗り換えて、翌早朝に京洛京橋へ到着。
　京橋から御所まで三里（１２キロ）の道を、平宗実、源一が騎乗し、馬を寄せて二人で錦の御旗を掲げての行幸をおこなった。
　源一は、六尺五寸の巨躯なれど、胸乳おっぱい大きく、腰くびれ、尻豊かと当時の女性としては、旭日将軍木曽義仲の巴御前よりも二回りは大きく映え、緋錦金糸通し鋼小札姫仕立てと言われる見事な大鎧と、朱塗りの兜に白き笹竜胆の馬印をたて、小柄ながら、白錦銀糸通し鋼小札男仕立てと言われる見事な大鎧と、白塗り兜に赤き揚羽蝶の馬印を立てての護衛となった。八瀬の鬼衆が担ぐ御神輿に錦の御旗を立てた主上の後に、紅白幟を立てた騎馬武者弐百騎が連なって護衛する様は、見事な源平揃い踏みを見せての京洛行幸となった。
　左列平氏が紅幟の先鋒となって源氏日章の旗持ちが続き紅白幟が流れ、右列源氏が白幟の先鋒となって、平家日章の旗持ちが続いて紅白幟が流れた。
　白旗の源氏は、多田源氏渡辺党一門の差配であり、紅旗の平氏は、京洛で出家していた伊藤忠清が差配して小松家一門が差配した。
　この京洛行幸は、古今に無い初めての源平揃い踏みであり、見事な平安の演出ともなった。



　京洛の町衆が、宗実、一夫妻の姿を見て、五尺の宗実、六尺の一。壱尺の差を持つ夫妻なれど、天下無双の夫妻なり。



　かつて、京洛で、憎めない暴れん坊と呼ばれ、七尺の大男、古今無双の豪傑、鎮西八郎為朝が嫡女、平安の世に武家にあって太政大臣に昇りつめた、相国清盛が孫宗実との婚姻していたことを知った京洛の民は、これで、平和が来ると実感したのだと言われました。