歴史小説 歴史以前の縄文文明

Ittoh

文字の大きさ
8 / 28
縄文文明

縄文文明期08 縄文文明の終焉。全国制覇の始まり、崇神天皇と四道将軍

しおりを挟む


<<欠史八代の事績が可能とした、外征戦略>>



 欠史の中で、各地に弥生の息吹が拡がり、水稲の流れが生まれ、人口が増加していった。

 外ツ国より疫病が流れ込み、多くの民が病に斃れ死に絶えた。社への祈りが届かなかったことで、社そのものを再編し、大物主神を祀り、ようやく鎮めることができた。

 この時期に、社に手水が生まれ、沐浴潔斎の流れと共に、衛生確保が社の務めとなった。

 疫病の苦しみは、外ツ国との交易や交流が、盛んな地域を直撃しており、「出雲」「美」「丹」「越」だけでなく、筑紫ヤマトも国力を低下させていた。国力の低下は、治安低下であり、疫病の軛から逃れると、治安回復への流れが生まれた。

 この時、日本制覇へと方針転換したのが、崇神天皇であり、命を受けて実行したのが、四道将軍だったのである。

 全国制覇の国力は、葦原の恵みが齎した、年間水位変化を水稲栽培へ適応させた結果であり、米という籾米のまま数年保管できる長期保存性、アルファ化米という形で糒に加工すれば、十年以上の保存が可能という、戦略軍事物資にあった。当時の米は赤米や黒米が多く、美味しいというモノではなかったが、年間水位変化を転用した水稲栽培によって、人口の増加を支えるだけの食料生産を可能としたのである。

 さらに、大和盆地は水害が多く、大規模な土木治水事業を実施しなければ、安心して住むことのできない辺境の地でもあった。八代に渡り、土木治水事業を進め、水稲の地を開拓し、竹内街道を開き海へ出た。

 大規模土木治水事業は、万単位の労働力を動員する、法整備や強制力を必要とする。命令を理解できる知識が労働者に無ければならず、命令を遂行させる強制力がなければ、大規模な土木治水事業は推進できない。

 治水事業が非常に厄介なのは、結果が出るまでに歳月がかかり、強大な天災に見舞われれば、無に帰することにある。長期間強制するだけの権力の確立が、大規模土木治水事業を推進し、大規模土木治水事業の成功が、畿内ヤマト王権を確立していったのである。

 大規模土木治水事業が生み出したのが、水郷と水稲栽培地域であり、副次的に生み出されたのが古墳であり街道である。古墳期というのは、ヤマト王権の確立期であり、日本制覇に向けた勢力拡大期でもあった。水稲栽培地域というのは、居住地域ではなく、水位上昇によって溢れた水を吸収するための、遊水池としての機能でもあった。水稲の作付け時期や刈り入れ時期は、降雨量と水位変化に合わせて実施された。幾歳に渡って、水位変化に合わせた、稲の品種が育ち、単位面積当たりの収穫高も拡大していった。

 大規模土木治水事業が、水稲栽培地域を拡大させて、食料の増産を可能とした。西へ街道を繋いで、海に出たことで、塩の生産拠点をも確保した。

 崇神陛下の事績は、そのまま、先代までが築き上げた、努力の結晶でもあった。

 日本制覇事業もまた、崇神陛下一代の事業ではなく、垂仁天皇、景行天皇、成務天皇と歴代の継続事業であり、完成したのが神功陛下の御代であった。

 縄文文明は、縄文期に始まり、水稲によって弥生と遷移し、古墳期に最盛期を迎えた。

 石と土器の文化は、縄文の息吹であり、鉄と木の文化が、弥生の息吹である。この前提とすれば、石と土器から鉄と木への遷移は、そのまま縄文文明の終焉を示すと考えることができる。

 石と土器から鉄と木への遷移が、縄文文明の終焉を形としたのは、畿内ヤマトによる全国制覇であった。畿内ヤマトの全国制覇は、文化の多様性を、畿内ヤマトの原風景に塗り替えることであり、ヤマト民族を生み出すことでもあった。陸奥より薩摩まで国府を設置する事業が完成したのは、天平期であるから、事実上の日本制覇が達成されたのは、聖武陛下の頃ということになる。

 五円玉が手元にあれば、見て欲しい、五円玉に描かれる、水と稲穂と歯車は、日ノ本の象徴とされていて、五円玉は当たり前だが、漢字で書かれている。日本の原風景が、豊葦原から稲穂に代わり、漢字が全国に定着していったことで、多様性の縄文文明からヤマト文明へと代わったのである。

 ヤマト文明の定着は、国府だけでなく、国分寺国分尼寺、総社の設置によって、確立していった。漢字という新たな文字を浸透させるため、国分寺国分尼寺、総社の設置を進め、公地公民を含めて、教育を浸透させていったのである。ヤマト民族の成立は、公地公民を受け入れて、「(天皇を)まつろう民」となり、漢字による記述文化を形成していったことにあります。つまりは、ヤマト民族というのは、「(天皇を)まつろう民」であることを示します。

 天武陛下は、天武10年681年に「帝紀(ていき)」および「上古諸事」を編纂し、歴史の記述をおこないました。和銅5年712年に、稗田阿礼が口伝伝承されてきた、歴史を「古事記」として編纂されました。「古事記」は、神話の上巻、伝承の中巻、歴史の下巻となっています。稗田阿礼の口伝伝承を口述筆記したものなので、上巻と中巻が、主体となっているのは、口伝伝承の口述筆記した内容からとなります。

 「日本書紀」は、養老4年720年に編纂された、国史として記述されています。

 「古事記」が、口伝伝承を筆記したものであり、「日本書紀」が、国史として編纂されたモノとなります。

 ヤマト民族の確立が、「祀ろう民」としたのは、「風土記」による地誌編纂にあります。
 「風土記」は、総社に対して、支社から報告書をあげて、総社で取りまとめて、中央へ報告した地誌「」を纏めたモノとなります。「」の報告は、地名を明記して、地名の起源、土地の産物、肥沃の状態、伝承由来といった事柄が報告されています。

 地誌「」は、「祀ろわぬ民」を封じる記録であり、口伝伝承を「」として記録することで、確定させることにありました。総社を含めて、各地の社は、鎮守鎮護の役目を持ち、「祀ろわぬ民」を封じる結界でもあったのです。

 かつての文様が、口伝伝承として記録に残っていても、それを外に出すことをせず、鎮守鎮護の家に祀ることで、ヤマトという国家を鎮守鎮護の役儀を果たしたことになる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

山本五十六の逆襲

ypaaaaaaa
歴史・時代
ミッドウェー海戦において飛龍を除く3隻の空母を一挙に失った日本海軍であったが、当の連合艦隊司令長官である山本五十六の闘志は消えることは無かった。山本は新たに、連合艦隊の参謀長に大西瀧次郎、そして第一航空艦隊司令長官に山口多聞を任命しアメリカ軍に対して”逆襲”を実行していく…

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

処理中です...