延喜の御代にて、あやかしの鷺姫は、主上に見初められる

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御伽噺は、恋バナに代わる?

御伽噺は、恋バナに代わる? 先例を習いて、左大臣は気を遣う

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 坐摩の社に眷属しんしとして住まう、鷺衆は、坐摩のやしろ神祇かんなぎとして仕える、巫女衆の役儀を務めていたとされます。三韓征伐の頃であればともかく、京洛に都が移り、延喜の御代には、巫女衆としての役儀は、神楽舞ややしろの清掃といった役儀となっていたようです。

 しかしながら、世には先例を調べ、様々に思いめぐらせるモノ達が居たのも事実であります。

 左大臣藤原時平は、鷺衆について、調べておりました。

「鷺衆は、坐摩のやしろ眷属しんしか」

 書庫を漁り、いにしえの記録をひっくり返すように調べていた。

 鷺衆は、住吉の兎衆と共に、古来より主上に仕え、三韓征伐の頃には、天皇家の直属として、坐摩の鷺衆は、住吉の兎衆と共に、女帝神功に仕えて、鷺衆は連絡や諜報といった役儀を担い、水先や舵手といった役儀を兎衆が担っていたと記されていた。

 鷺衆にせよ、兎衆にしても、寿命は20年ほどで、人のように長生きできず、「如帝紀」では仕えていたあやかしひとならざるものを祀り住まわせるために、住吉、坐摩を女帝自ら建立したことが記録されていた。

 崇仁の御代あたりから、大陸から法家や道家といった諸子百家の思想が、殷周の御代から戦国乱世に移り行く中で、大陸から逃れたモノ達によって伝わった。結果として、労役への動員をおこなう技術・技能を持った官僚が生まれていた。結果として、大規模な治水工事によって、広大な墾田開発が実施されていった。万単位での動員を実行し、土木工事に使役して、労役の報酬として、墾田した班田を与えるという流れを築き、ヤマトの国権が拡大していったことが、「如帝紀」に記されていた。

 墾田開発を進め、食料生産が拡大すれば、人口増加を招き、労働人口の増加から、さらに大規模治水工事を推進して、墾田を開発して班田を与える。ヤマトの国力増大は、爆発的な拡大をしていくこととなった。

 大規模動員が可能となれば、戦は数によって、敵を押し潰すことができる。

 年々、大規模動員と周辺豪族の制圧を進め、鎮西、渡海制覇の三韓征伐をおこなったのが、「如帝紀」が書かれた、時期となっていて、鷺衆が活躍した旨が記されていた。

 調べ終わってみると、溜息が漏れ出て、左大臣から誰言うともなく愚痴が出ていた。

「鷺衆の役儀は、皇尊の伝者で探索か、空を飛べれば確かに役にたとうな、困ったものよ」

 しばらく、考え込んで、時平は、女御を呼んだ。

シズはおるか」

 呼ばれた女御は、階廊きざはしに座っていた。

「はい、御傍に、何か」

「新しき女御様ができるやも知れぬ。急ぎ明日、宮中に俺と共に参内し、新しき女御様の女房として宮中へあがってくれるか」

「新しき女御様ですか、はて」

 左大臣様の妹君が中宮に上がられ、東宮様も居られる。さらに、どなたかがあがられるのかと誤解していた様子を見て、時平は、

「藤原の姫ではない。先だって、神泉苑での宴にて、あやかしひとならざるものの姫が、主上より五位を授かった」

「な、五位の姫様ですか」

「そうじゃ、シズ。されど、あやかしひとならざるものの姫ゆえ、五位と申しても、雅なことは判るまい、その手助けをする女御じゃ」

 左大臣は、神泉苑で起きたことを、シズに説明をしていった。

「はぁ、、、」

 女御は、少し呆然としていた。主上の命で、五位となった姫に仕える女御。本来であれば、目出度き役儀であるが、仕える姫があやかしひとならざるものとなれば、話は異なる。面倒なことが予想される。

「実際に、鷺の姫が来るかは判らぬが、来た時にお付きの一人も居らぬでは、主上に悪いのでな。対応を、シズに頼むのじゃ」

「判りました。明日、宮中へ上がると致します」

「頼む。そうじゃ、そなたの父は、秋の耳目人事で、丹後介を拝して、丹後の受領となれそうじゃぞ」

「は、はい。ありがとうございます」

 こうして、女御シズの退路は断たれたのでありました。


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