琉球お爺いの綺談

Ittoh

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権威と権力、軍事力

権威と権力、軍事力 国際法を活用した大日本帝国のインテリジェンスと国際組織の萌芽

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 敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず。
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 日ノ本では、江戸時代の段階で、欧米の国際法を調査し、日本なりの分析をおこなっていた。

 幕軍の指導者であった、榎本武揚は、文久3年(1863年)オランダのハーグに留学し、船舶運用術、砲術、蒸気機関学、化学、国際法を学んでいる。元治元年(1864年)の2月から3月には、デンマークとプロイセンの戦争に、観戦武官として参加している。オランダ製の軍艦、開陽丸に乗って、日本へと帰還している。

 戊辰戦争の中で、榎本武揚は、英仏両国に対して、「厳正中立を尊守する幕府軍は、英仏国民の生命・財産・貿易の保護に限定して、「事実上の政権」として承認する」という交渉を実行している。敗色が濃厚となった、榎本武揚は、オランダから持ち帰った「海律全書」を、新政府軍海軍参謀宛に贈り、新政府軍は、海軍参謀名で感謝の意と、酒肴を送っている。

 明治政府設立後に、榎本武揚が、駐露特命全権大使となって、「千島・樺太交換条約」を締結している。

 しかしながら、国際法は、欧州公法の側面が強く、アメリカは独自の国際法に対する解釈をおこなっていた。これは、南北戦争(1861年4月12日-1865年5月9日)における海外交渉の中で、最初にみられている。アメリカ連合国は、イギリスとの交渉を行うための使節を派遣したが、アメリカ合衆国はこれを拘束した。トレント号事件である。イギリスは南北戦争時に、イギリスで建造され武装された船アラバマ号が、アメリカ合衆国に被害を与えたことに対して、中立国義務違反であるとしている。アラバマ号事件は、イギリス、アメリカの当事国と、スイス、イタリア、ブラジルといった第三国による仲裁裁判という形で解決され、イギリスが賠償金の支払いに応じた。

 結果として、アメリカ合衆国では、国際法を刑法と同じ形で紛争を解決する手段たりえるという判断をおこない、そうなるように推進しようという動きが生まれています。しかしながら、仲裁裁判は、紛争解決が可能な場合によるものであり、戦時における強制力を持つようなモノではありません。さらに、欧州公法としての国際法は習慣法であり、戦争を裁くモノではなく、戦争のやり方や範囲を制限するもので、戦争の善悪を裁くモノではありません。

 このアメリカの齟齬が、第一次世界大戦における、ウッドロウ・ウィルソンの理想主義的な考え方に繋がっている。これは、現在でも同じように、国際法に対して求める声が、事実としてあります。つまり、犯罪というモノを、国際的に定義し、すべての国で犯罪として裁く方向で議論されています。この考え方は、国家間の戦争を絶対悪として生じさせないことを目的として、各国の権利を国際法の中で制限しようとするモノとなっています。

 国際法学会や国際法協会の浸透と発展は、こういった国際情勢が、基盤となって推進されたものである。

 大規模な戦後処理のために、国際会議が必要となったのは、ウェストファリア体制以降となります。戦後処理を国際会議で実行されたのは、ナポレオン戦争や露土戦争、クリミア戦争、普墺戦争、普仏戦争、といった欧州における戦争でした。戦争におけるルールや、領土問題をめぐる条約など、外交の実務ルールが整備されていったのであります。

 19世紀末から、国際的な郵便や運輸、度量衡の統一が進められ、実務的な国際商取引を推進するために、国際条約が締結された時期でもありました。つまり、最初にグローバル化が進んだのは、19世紀末から20世紀にかけてということになります。



 つまり、19世紀末から20世紀初頭にかけて、アメリカを中心として、理想主義的な国際社会の形成が望まれる時代が先進諸国家に生まれていたという事情があります。21世紀に入り、ウッドロウ・ウィルソンの理想主義的行動を悪とする判断があるが、これは、戦争そのものを合法と判断するかどうかに判断基準があります。理由の如何に関わらず、すべての殺人を許容できない場合、戦争は非合法化されますが、これをグローバルスタンダードとするのには、非常に難しいところがあります。





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 正義の殺人はあるか、アメリカにおける、政治の倫理学
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