琉球お爺いの綺談

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if昭和史を描く理由

プロジェクトにドラマは要りません ~「プロジェクトX」のXは|×《ばつ》なのです~

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 日本が太平洋戦争で、長期間戦えたのは、満洲の開発を独自におこなったからです。しかしながら、帝国陸海軍は、基本的に長期戦闘をおこなうことを前提にしておらず、軍務機構も政府機構も、短期的な戦争を対象とした体制しかもっていませんでした。

 帝国陸海軍の敗北は、継続戦闘能力そのものの欠如であり、軍編成そのものには、組織的な欠陥が内在していました。

 お爺ぃが、if史を描いたのは、この組織的な欠陥解消を主眼としています。組織的な欠陥解消のため、帝国陸海軍から、支援戦力を抜き出し、大日本帝国護衛総体を設置しました。

 大日本帝国護衛総体は、郵便業務、通信業務、旅客輸送業務を国営企業の運営母体として、太平洋物流支配を図る、巨大国営企業を作り上げることにあります。史実で言ってみれば、満洲鉄道みたいな小さな組織ではなく、日本の統治地域すべてを巻き込むような組織にしてしまうことです。

 大陸だけでなく、東南アジア地域や太平洋島嶼地域を含めて、物流交易事業は拡大していましたが、民間事業でしかありませんでした。民間事業を委託事業として組み入れ、物流業務については、すべて国営事業に組み入れて、料金体系を構築します。

 事業を地域で統括すると、碌な結果にならないので、業務単位で分割して、運営組織を別々に分けます。都市整備、逓信、鉄道、航空、海運、四事業をそれぞれが運営し、護衛総体の運営母体となります。都市整備、逓信、鉄道、航空、海運の実務を担当するのは、軍務担当官となる。

 必要となるのは、都市整備、逓信、鉄道、航空、海運を担当し、業務を遂行できる、技術工兵隊である。

 都市整備、逓信、鉄道、航空、海運について、各地方に対する予算投下の一環として実施する。明治立国以来、日本の政治体制は、中央集権に偏り、すべて中央集権国家の確立にあった。つまりは、地方政治は、後回しにされたのである。

 日露戦争以降、日本が大国の末席に入ると共に、日本国土の安寧を図ることができた。

 この時期から、中央に偏り過ぎた、日本の利益配分は、地方に求める声が強くなっていた。日露戦争によって、労働力を失った結果まで、中央偏重となれば、地方からの反発は必至であった。まして、賠償金の請求ができなかったことは、地方中央に関係なく、政府の信頼を失わせる原因となっていた。





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 「我田引鉄」の原敬を選んだのは、地方への権限移譲と、内務省の権限拡大を図るためである。
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 鉄道を物流の要と捉え、都市整備こそが、国力向上の根幹である。

 日ノ本の歴史で重要となるのは、日露戦争終結から、第一次世界大戦の期間である。史実におけるシベリア出兵を意味あるものとするためには、シベリア出兵を第二次日露戦争と規定する必要がある。このためには、日露戦争の勝ち過ぎは許されず、大陸における日本の占領地は、出来る限り狭くする必要がある。

 これは、日露戦争後の日本に、大陸を独自に開発するだけの国力が存在しないからである。

 日露戦争の結果、ポーツマス条約の中で、旅順半島近郊を確保し、樺太を占領して、ウラジオストクおよびニコラエフスクへの砲撃までを遂行する。

 ポーツマス条約での範囲は、樺太利権の確保と引き換えに、大陸利権については、ロシアが保有する。日本は、旅順半島を確保するに留まり、営口や大石橋を日本側に租借権を有する形で、決着をつけた。北緯50度以北の北樺太については、日露の共同開発の流れとなった。

 「我田引鉄」を使って、中央資本を地方へ転用すること、大陸の拠点を確保できたことによる、遼東半島の開発に傾注することも、地方創成のひとつとした。選挙区を基準とするという偏りはあっても、中央に集中していた仕事を地方に作りあげる。運用する人員についても、地方で要請できるように学校の設置をすすめる。

 都市整備、逓信、鉄道、航空、海運が、工兵隊業務となります。工兵学校は、土木、電気、鉄道、航空、船舶の五事業が必要とし、五事業の技術技能を教える必要があった。尋常小学校卒業生を対象として、工兵学校で研修できる体制から始めた。

 工兵学校は、陸軍工廠および海軍工廠の工員養成まで対応できるように始まっていた。

 遼東半島では、大連に陸軍工廠および海軍工廠が設置され、それに伴って工兵学校が設置された。

 大連には、工兵学校だけでなく、工兵大学校も設置された。

 工兵隊は、数を必要とした。当初は、土木治水事業から始まり、徐々に鉄道、逓信、航空、船舶の運用が始まる。船舶については、各海運会社への委託事業を含めて、船員を軍属として雇用し、工兵学校での研修を担当することで、早期育成を達成させた。これは、鉄道も同じで、既設の鉄道工務者を研修担当として、早期育成を達成させていた。

 工兵学校は、陸海軍を含めた形で、兵員を要請する必要であった。学校組織の先でも無く、軍学校として設置するには予算が厳しかった。各地に建設された工兵学校は、技術養成の学校として、商工省の所管として、内務省所管として設置された。
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