琉球お爺いの綺談

お爺ぃ、よもやま噺

天平宝珠元年 皇妖紀元千年

　史実には無き、宵闇が紀元。元号の紀年は、改訂が多いことから航海記述等では使い難いこともあり、船長の書き記す日誌の記述には、天平宝珠元年を千年紀元年とした、皇妖紀元が用いられていた。後年の調査によって、実際の年数にはズレがあるとされているが、日ノ本が国体の確立年は、皇妖紀元を基準として徐々に一般で用いられるようになった。



　あやかしひとならざるものにとって、護るべき掟は、天平宝珠元年、上人様と主上とで交わされ、尊き鏡に刻まれた、約定以外には無い。男女の情愛は、約定に刻まれた掟であり、あやかしひとならざるもの一族の掟よりは上位にあって、掟を超えることができた。
　人を殺さず、主上が命に従い、主上の定めし律令格式の内に生きる。されど、情愛において、限り無し。
　あやかしひとならざるものとの混血が進み、鏡に刻まれし掟は、日ノ本における慣習法、成文法の上位となる約定となった。



　混血が進むことで、人を殺さずが曖昧となって、人の姿をしたあやかしひとならざるものが人を自称することが認められるようになると、徐々に緩和され、罪なき者を殺さずの意味合いに変化していった。
　約定に刻まれた律令格式例は、日ノ本で定められた法令集のことである。