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我田引鉄だけじゃない?

我田引鉄だけじゃない?10 セヴァストポリ要塞陥落、ソビエト社会主義共和国連邦拡大す

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 白軍壊滅す、セヴァストポリ要塞陥落。
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 大正12年11月(1923年)、イタリア、フランスの支援を受けていたロシア白軍が、対岸のトルコへと撤退し、セヴァストポリ要塞が陥落した。

 ロシア白軍が、なんとか要塞を中心に戦えたのは、ロシア帝国の最大都市でもあったキエフを確保できたからである。キエフを失ったロシア白軍は、赤軍に追われるようにジリ貧になって、セヴァストポリ要塞に撤退していった。

 2年間の戦闘に耐えられたのは、フランスからの支援とフランスイタリアから派遣された義勇兵によるものであった。逆に、赤軍としては、セヴァストポリ要塞が陥落しない限り、黒海を勢力圏にできないという結論になる。赤軍による、セヴァストポリ要塞攻略戦は、凄まじい犠牲を生み出していた。

 両軍で30万人以上の死傷者を出して、セヴァストポリ要塞は陥落した。ヴラーンゲリ総軍司令官は、旧ロシア海軍160隻を率いて、フランスへと亡命した。





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 ソビエト社会主義共和国連邦の成立
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 内戦が終結すれば、外征となる。世界中へ革命の輸出し、世界革命を目指そうとするレーニンは、コミンテルンを結成して、対外工作を開始していた。中国共産党と日本共産党は、コミンテルンによって組織化されたのである。

 1922年5月セヴァストポリ要塞陥落の後、レーニンが倒れた。8月には、スターリンが共産党書記長となり、ボリシェビキの掌握を始めた。レーニンの後継争いからトロッキーを嫌っていた、スターリンが書記長となったことで、ソビエト社会主義共和国連邦と極東ロシア共和国は対立していくこととなった。特に、グリゴリー・ジノヴィエフやレフ・カーメネフ、カール・ラデックを除名したことで、対立が決定的となった。

 レーニンは、新経済政策ネップを策定し、全産業の国営化を推し進めたのである。全産業の国営化の中で、農奴が多く働いていた農業は、上手くいかず、数百万人の餓死者を出すに至った。膨大な赤字を抱えた、スターリンは、レーニンの新経済政策ネップを否定し、富農狩りを含めて金持ちを粛清し、私有財産の国庫へと没収していった。

 セヴァストポリ要塞陥落によって、外国からの干渉は無くなったが、バイカル湖の極東ロシア共和国、沿海州を失ったことは、ロシア帝国時代の勢力圏は、半減したことを意味していた。

 スターリンは、コルホーズと呼ばれる半官半民に近い、集団経営方式を採用し、農業生産の拡大を進めた。工業生産としては、五カ年計画という計画経済によって、工業生産を2倍にまで引き上げることに成功した。





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 スターリンによる粛清と強引な収奪によって、ソビエト連邦は、ようやく国家として成立できるようになったのである。
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 ソビエト社会主義共和国連邦の成立に、参加拒否を示したのが、トロッキー率いる極東ロシア共和国である。

 トロッキは、極東ロシア共和国すべてを国有地として、豪農や富農、貴族の粛清を開始した。粛清した私有財産を国家の歳入として、産業別に協同組合ユニオンを形成した。農地や商業施設、工場は、すべて協同組合ユニオンによって経営される、集団指導による経営体制を確立した。協同組合ユニオン方式は、一定の成果を上げることに成功し、トロッキは、社会主義経済の活性化を推し進めた。

 ソビエト連邦内で、餓死者が数百万人発生した時、極東ロシア共和国は、満洲鉄道都市警備局と共同で、百万人を超える難民受け入れを開始した。ハバロフスクを始めとしたアムール川沿いの入植を進めた。そして、満洲鉄道都市警備局では、極東ロシア共和国と共同で、マチエフスカヤへの入植を開始した。

「首相、良いんですか。難民の中には、ボリシェビキの連中も多いと思いますよ」

「ハバロフスクからアムール川沿いは、河川航行圏で列車が走っていない。駅があるのは、ハバロフスクだけだ。
 アムール川河口のニコラエフスクまでであれば、満洲防衛に影響は低い。
 マチエフスカヤへの入植であれば、極東ロシアの管轄だ、
 ニコラエフスクには、オーストラリア軍3万にイギリス軍5千が派遣されている。今はレーニンの失敗に付け込んでおくことが大事だろ、風間君。
 それに、数百万人の餓死者が出ているのに、何もしないというのは、気分が悪いだろ」

「はぁ、それはそうですが」

「国際連盟には、人道的な対応ということで、内田さんに説明してもらっている」

 まぁ、報告書を読む限り、ソビエト国内は、あまり良い状況ではない。数百万人の餓死者というのも嘘では無いというか、もっと酷い状況でもあるらしい。
 これで、赤軍を抑えれると、いいなぁ、、、
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