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国際連盟の闇

国際連盟の闇07 「特区」における実体経済の拡大

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 遼陽半島から「特区」のインフラ整備は、日本担当です。
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 日本は、関東大震災の復興が上手くいく中で、フォードとクライスラーの自動車工場を奉天に設置して、アジア拠点として確立した。アメリカで造られた部品を、ウラジオストクに陸揚げして、長春に運び組み立てる流れが生まれたのである。日本は、アメリカから送られるT型フォードに搭載された2.9L直列四気筒ガソリンエンジンを、統制型エンジンとして使用し、組み立て修理を初め、鉱山鉄道用エンジンとして、ドイツからディーゼルエンジンを購入し、鉱山鉄道用オットー機関車の生産を開始していた。

 奉天に工兵大学校が設置され、鉄道科で市街走行用の鉄道車両の開発や車両製造整備だけでなく、バスやトラックに乗用車の修理が始まった。大連、遼陽、奉天の工兵大学校では、土木作業車の開発を中心として、特殊車両(「特車」と呼ばれるようになる)の開発が進められるようになった。日本では燃料が高価なガソリン車両ではなく、低廉で作れるオットーディーゼルの改造型として「特車」が派生し、非常に多くの種類がつくられるようになり、各種土木建築用重機に加えて、有坂式軽機関銃を搭載した、工兵用戦闘車両「特車」が製造されるようになったのである。

 また「特車」は、各地域の工兵大学校で、オットーディゼルの改造型として、製作された奉天工兵大学校製だけでなく、統制型ガソリンエンジンとされた、T型フォード搭載のガソリン直四気筒エンジンを搭載した「特車」を遼陽工兵大学校で生産していたのである。ディーゼル機関の奉天大学校とガソリンエンジンの遼陽工兵大学校と言われるようになった。

 生産台数は少ないが「特車」は、土木建築用の重機、消防用ポンプ車、輸送用トラックなど、必要に応じて、現場作業をおこなう工兵隊自身が、改造担当でもあったので、非常に多くのバリエーションが生産されたのである。

 日本は、アメリカへの輸出が拡大し、貿易摩擦が生じていた。摩擦の原因は、欧米との商売を実施するため、日本が金を必要としたことにあった。日本銀行の保有する金を担保として、横浜正金銀行や台湾銀行によって、アメリカ国債や南米国債の購入が実行され、資金を得る動きとなっていた。

 金融市場の動きは、勝ち負けがあり、日本からの投資が儲かる場合は、損をする人間が居ることになる。日本銀行の資金を担保として、国債や株式の売買で資金調達をおこなった結果、横浜正金銀行や台湾銀行は、利益をあげるようになったが、これは欧米側に儲けが減ることでもあった。日本側の金融売買は、ロマノフ帝室銀行経由の取引も多く、欧米諸国家にとっては、面倒な取引相手であった。アジアにおける金融市場は、上海が中心となっていたが、大きくアジア金融市場を握っていたのは、日本円を背景とした、ロマノフ帝室銀行であった。大正8年1918年以降、上海の露西亜帝室領事館には、ロマノフ帝室銀行上海支店としても機能していて、アジア圏のメインバンクとなっていた。

 日本は、「特区」の鉄道を中心としたインフラ整備に対して、集中的に資本を投下することで、物流経済の中核を握っていて、極東ロシアへの武器供与、軍の派遣、義勇兵の派遣、傭兵部隊によるゲリラ戦と、ボリシェビキ勢力をイルクーツク方面からカザフスタンに釘付けとして、「特区」の安全を確保していたのである。「特区」からの石油や石炭の供給、武器や食料に車両といった、様々な支援によって、対ボリシェビキ戦争の被害から、「特区」防衛を極東ロシア共和国は担っていた。

 「特区」の治安維持は、満洲鉄道都市整備局が保有する工兵隊50万を中心とした、警備局による治安維持部隊が後方支援を進めていた。直接戦闘としては、チタ郊外に駐屯する大陸派遣軍20万、奉天に駐留する10万が、極東ロシア共和国の予備戦力として展開していた。日本軍20万には、国際連盟諸国家から派遣された軍も参加していて、チタには国際連盟軍として駐留していたのである。これは、国際連盟諸国家が発行する国債を、ロマノフ帝室銀行が引き受け、数名の観戦武官派遣から、大隊規模派遣まで、数十か国が参加していたのである。

 チタは、諸国家が参加する、国際連盟軍の拠点であるが、実質的に10万の大規模に軍を派遣しているのは、日本軍であり、アメリカは義勇兵「フライングタイガース」を送り込んで、極東ロシア空軍の指導にあたっていた。ボリシェビキ・ソビエトに比べると、極東ロシアは総兵力では劣っているものの、日本を含めた国際連盟諸国家の支援と、国民皆兵制度を受けて、強力な軍組織へと変化していたのである。

 世界恐慌以降、国際連盟に所属する富裕層にとって、実体経済の拡大が年々激化する「特区」を中心とする大陸は、有望な資本投下先として、投資を拡大した結果、すさまじい発展を遂げていたのである。

 労働者としての「特区」住民の収入も拡大傾向にあったため、遼東半島や山東省にも波及していて、経済規模そのものが「特区」は、拡大傾向となったのである。

 日本の鉄道都市整備局は、インフラ整備と土木治水事業を拡充することで、「特区」のインフラをほぼ独占し、インフラ利用料で利益を上げるというビジネスモデルを確立し、物流と通信を中心に収益を上げていったのである。駅に設置された逓信局では、定額手形の預かり業務が始まていた。受け取りも支払いも定額手形のみであり、現金を扱っていないという法的な立場で、郵貯業務は銀行業務ではなく逓信業務扱いとなった。



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